城田優インタビュー 3年目はバリエーション豊かに「PEANTUSの素敵なクリスマスを」
『スヌーピー プレミアム・シンフォニック・クリスマスコンサート2022』でゲストボーカルを務める城田優 撮影:辰巳隆二
世界中で愛されている「PEANTUS」の世界に浸ることが出来る『スヌーピー プレミアム・シンフォニック・クリスマスコンサート2022』が2022年12月3日(土)に愛知県芸術劇場 大ホール。21日(水)に東京文化会館 大ホール。24日(土)に兵庫県芸術文化センター KOBELCO大ホールで開催される。ステージに設置されたスクリーンには、この公演のために制作されたPEANTUSのかわいいイラストの映像がオーケストラの演奏に合わせて上映される。3年連続でゲストボーカルを務めることが決まった俳優で歌手の城田優に見どころを聞いた。
――コンサートは、チャールズ・M・シュルツが生み出した「PEANUTS」が生誕70年を迎えた2020年に『billboard classics スヌーピー プレミアム・シンフォニック・クリスマスコンサート』として初開催されました。城田さんは3年連続で出演することが決まりましたね。
はい。ヴィンス・ガラルディが生み出したアルバム『A Charlie Brown Christmas(スヌーピーのメリークリスマス)』に収録された楽曲を、栗田博文さんが率いるフルオーケストラと、ピアニストの宮本貴奈さんを中心としたジャズピアノトリオ、そして各地の少年少女合唱団の歌声で楽しんでいただくコンサートです。リハーサル中、僕が出演しない時間は、客席に座って聴かせていただくこともあるのですが、どの楽曲も美しくて、いつまでも聴いていられるなとうっとりしています。今回、3年連続で歌わせていただくことが決まり、大変ありがたく思っています。
3年連続で出演するステージに向けて、意気込みを語る城田優 撮影:辰巳隆二
――コンサートは、1965年に全米のテレビ局で初放映されたクリスマスの特別番組「A Charlie Brown Christmas」のために、ヴィンス・ガラルディが制作した名盤『A Charlie Brown Christmas(スヌーピーのメリークリスマス)』を深みのあるオーケストラや、スリリングなジャズトリオの演奏、子どもたちの澄んだ歌声で楽しめることが魅力です。今年はメニューも装いも新たに。2022年バージョンで上演されると聞きました。
はい。昨年までは「Last Christmas」などのヒットソングをメドレーにして歌うコーナーがあったのですが、今年は僕自身が伝えたいと思っているメッセージを持つ曲を新曲として歌う予定です。
――城田さんにとって、思い入れがある曲、ご自身が書き下ろしたオリジナルの作品もありますね。
はい。ひとつはジョン・レノンさんの「Happy Chiristmas(War Is Over)」です。クリスマスが近くなるとかける大好きな曲で、社会が不安定な今だからこそ歌いたいと決めました。
――書き下ろし曲は、城田さん自身が作詞・作曲された「Love&Peace」ですね。
ええ。この曲は2011年に起きた東日本大震災が原因で、眠れなくなった子どもが増えているというニュースを観たことをきっかけに生まれました。実は僕の妹が同じ状況にあったので、妹のために音楽で出来ることがないかと考え、その思いを歌詞にしました。曲が生まれて11年経った今は、苦しんでいる人が前を向く力になればという思いを込めて歌っています。クリスマスという聖なる夜だからこそ、平和について改めて考える時間になれば良いなと。子どもたちと歌声を合わせることで、次の世代が平和について考えるきっかけになればと思っています。もちろん「Christmas Time Is Here」、「Just Like Me」など世界で愛されているガラルディの名曲も歌います。バリエーション豊かな内容で、PEANTUSの素敵なクリスマスを楽しんでいただきたいです。
昨年のコンサートの様子
昨年の公演でもゲストボーカルを務めた城田優(写真左)は、ステージでスヌーピーと共演。観客を沸かせた (C)2022 PEANUTS
――昨年のコンサートでは、終盤にオーケストラの演奏で「Christmas Time Is Here」を披露されました。心にしみる歌声でしたが、城田さんはどのような思いで歌われているのでしょうか。
この曲は英語で歌うのですが、「クリスマスが来たよ、すごく素敵でハッピーだ」という思いが込められているので、歌いながら温かい気持ちで満たされていく。とても癒される曲です。
――そして、上演真っ只中のミュージカル『キンキーブーツ』で、城田さんがドラァグクイーンとして歌っている曲も選曲されたと聞きました。
はい。「Not my father's son」を歌います。オーケストラのアレンジで歌う予定ですので、ミュージカルとはまた違う雰囲気を楽しんでいただけると思います。壮大なアレンジで歌うことが出来ることを僕自身も楽しみにしています。
――城田さんにとって思い出深いクリスマスは?
僕はスペインで暮らしていたことがあったのですが、スペインは多くの人がキリスト教なので家族で過ごす日というイメージでした。日本はバレンタインデーもそうですが、恋人と過ごす日というイメージがありますよね。僕は12月26日が誕生日なのですが、12歳ごろまでは、母から「あなたは12月25日に生まれたのよ」と教えられていたんです。
――え。なぜですか?
いや、家計の事情とか色々あると思うんですけど。クリスマスケーキって大体、24日のクリスマスイブか当日のどちらかにお家で食べますよね。2回もケーキを用意するのって大変じゃないですか。だから25日だって言われていたんです。
――いつまで知らなかったのですか?
12歳ごろまで知らされていませんでした。真実を知った時はショックでしたね。
――真実を知った翌年からは、2つケーキがあったのですか?
1つでした……。
――喜びはたくさんあった方が嬉しいように感じますが……。
ぜひ、母にそう伝えてください。大人になってからも、周りが楽しそうにクリスマスを過ごそうとしている中で、「誕生日なんだよね」とは言えなくて。気をつかわれることに、気をつかってしまうので、楽しい思い出はあまりないんです。ここ数年はコロナ禍ということもあって、集まることが出来ないのでひとりで静かにクリスマスを過ごして、誕生日の朝を迎えています。最近サンタクロースが来てくれないんですよね。でもクリスマスは大好きな家族と集まる今でも特別な日です。
『スヌーピー プレミアム・シンフォニック・クリスマスコンサート2022』のメインビジュアル (C)2022 PEANUTS
――ことしのお誕生日で37歳を迎えられますね。数日後には2023年がスタートします。37歳の年にしたいことなどはありますか?
海外でエンタテインメントを学びたいと思っています。その国の良さ、日本との違いなどを勉強したい。質の良いエンタテインメントをしっかりと吸収して、プレイヤー、クリエイター、プロデューサーとして、自分の中から生まれたものをみなさまにお届けしたい。自分が何が好きで苦手なのか。そう思う理由は何か。掘り下げて行けば、不得意と思っていたことが好きになるかもしれないし。その逆もあるかもしれない。自分を知るためには、自分とは違う人間の価値観を知ることが大切。そういう経験を重ねて、自分の色を知りたいと思っています。最初に行こうと思っているのは、スイスやスウェーデンです。
――海外での新しい体験を経て、よりパワーアップした城田さんのステージを観られることを楽しみにしています。俳優、シンガーなどさまざまな顔をお持ちですが、セリフではなく「歌」で言葉を伝えることについて、どのように考えておられますか。
映画やドラマなど、多くのエンタテインメントには音楽が多用されていますよね。音はにおいと共に、人間のイメージに残りやすいものだからだと思うんです。色々な場面がありますが、僕自身は宇多田ヒカルさんの「time will tell」という楽曲の歌詞にすごく励まされました。“どんなにつらいことがあっても、時間が解決してくれる”というシンプルなものなのですが、「大丈夫だよ」と言葉で言われた時よりも、メロディーに乗せて「大丈夫だよ」と言われた方が、何倍も力になる。五感に響くというのでしょうか。僕は音楽には、力があると信じています。ストレートな言葉ほど、歌に乗せると心に響くなって実感しています。
――お話をたくさん、ありがとうございました。最後に公演を楽しみにしているファンの方にメッセージを。
こちらこそありがとうございました。あと5時間くらい話せるんですけど。今年のコンサートは20、21年にはお見せできなかったPEANTUSの魅力を感じていただきたいと、色々な準備をしています。フルオーケストラのコンサートというとカチッとした感じがすると思うのですが、リラックスして楽しんでもらいたいので、少年少女合唱団との和やかなやりとりなども演出したいです。名古屋、東京、神戸といらっしゃるお客さまによっても、雰囲気が変わりますので、ぜひ一緒に素敵なクリスマスの思い出を作ることが出来ればうれしいです。
スタイリング=橘 昌吾
衣装協力=JULIUS TOKYO STORE
ヘアメイク=花村枝美
取材・文=翡翠