『氣志團万博2022』3年ぶりの現地開催で痛感した、生じゃないと伝えられないこと、あの場にいないと受け取れないメッセージ

レポート
音楽
2022.9.27
『氣志團万博2022 ~房総魂~』(2022.9.19撮影) 撮影=青木カズロー

『氣志團万博2022 ~房総魂~』(2022.9.19撮影) 撮影=青木カズロー

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氣志團万博2022 ~房総魂~
2022.9.17,18,19 千葉県・袖ケ浦海浜公園

3年ぶり、ここで逢えた――。

千葉・袖ケ浦海浜公園にて、『氣志團万博2022 ~房総魂~』が開催された。新型コロナの流行により、去年はWOWOWでの放送のみ、一昨年は配信での開催。実に3年ぶりの現地開催となった『氣志團万博2022』。初日のトップバッターで登場した氣志團が、1曲目「房総魂」で《当たり前じゃなかった ここでまた逢えること》と歌っていたように、毎年、夏の終わりに千葉で『氣志團万博』が開催されることは決して当たり前じゃなかった。袖ケ浦の海が見える大きな公園に全国から仲間が集い、ともに豪華アーティストたちのライブに熱狂して酔いしれて。『氣志團万博』でしか起きない数々の奇跡を目撃できることが、いかに尊いことだったか? 日常を奪われた3年間、僕はあの場所を想うたびに懐かしく寂しい気分になり、再会の日を本当に待ちわびていた。だからこそ、『氣志團万博2022』初日を迎えて、会場に足を踏み入れて、3年前と変わらない会場のあの景色を目にした瞬間、この場所に戻って来られた喜びで泣きそうになってしまった。空には3年ぶりの現地開催を祝福するような青空が広がり、会場はマスク越しでも分かるみんなの笑顔で溢れている。当たり前じゃなかったこの風景。それを見るだけで嬉しくて幸せで、胸がいっぱいだった。

世の中は決して平穏無事な日常に戻ったわけではないし、フェスにもガイドラインが設けられて、マスクもしなきゃなんねぇし、ライブ中に声だって出せない。それでも、氣志團はこの場所で『氣志團万博』を開催することを選んだ。「やっぱり生じゃないと伝えられないことがあるなって、より感じさせられた2年半でした」と綾小路がVTRで語っていたが、開催決断に至るまではハンパない苦悩や苦労があっただろうし、腹を括らなきゃいけない瞬間もあったはず。それでも生で伝えることの重要さに改めて気付き、『氣志團万博』ファンや出演者の期待を受け、『氣志團万博』にしかできないことを信じて、氣志團は『氣志團万博2020』の現地開催を決断した。それも3日間、全44組の豪華アーティストを招聘しての全力開催。やるからには徹底的にやる、とことん楽しませる。そんな気概に満ちた充実の内容や驚愕のラインナップを提示されたら、僕らがやるべきことはただひとつ。全力で楽しむだけだ。

ニューロティカ 撮影=釘野孝宏

ニューロティカ 撮影=釘野孝宏

松平健 撮影=上山陽介

松平健 撮影=上山陽介

3年ぶりにこの地に爆音を鳴らしたのは、ウェルカムアクトでMOSSAIステージに登場したニューロティカ。今年の正月には結成38年目にして、初の日本武道館公演を成功させた“絶対、諦めない”を地でいく、尊敬する大先輩バンドがしっかり場を温めると、YASSAIステージではオープニングセレモニーアクトの松平健が「マツケンサンバ」で会場中を踊らせる。ロティカからのマツケンというあり得ない流れや、賑やかで派手やかなオープニングに“これぞ、万博!”とテンションが爆上がりしたところで、“俺たちがやるしかねぇ!”とばかりに、YASSAIステージのトップバッターに名乗りを上げたのは氣志團。いよいよ『氣志團万博2022』が本格的に幕を開ける。

氣志團 撮影=上山陽介

氣志團 撮影=上山陽介

ここでまた逢えたことの喜びを高らかに歌った「房総魂」で万感の想いを伝えると、最高の3日間の始まりを告げる勇ましく堂々としたステージを見せ、主催者として、トップバッターとしての役割をしっかり果たした氣志團。「One Night Carnival」の曲中には、この曲でみんなの合唱が聴けない悔しさを語り、「春から全国各地のフェスに呼ばれて、みんな大好きなフェスを取り戻すために情熱だけで頑張ってて。夏フェスのアンカーで秋フェスの第一走者の俺たちは、来年に向けてこのバトンを大切に繋いでいかなきゃいけない。だから、一番厳しいガイドラインを選んだ。ごめんな、大きな声で歌わせてあげられなくて。でも俺、来年は全員のことをハグするから。『氣志團万博』、3日間優勝させようぜ!」と『氣志團万博』に向けての熱い想いを語り、想いを受け取ったオーディエンスからハグより温かい拍手が起きる。ヤバイTシャツ屋さん、SiM、打首獄門同好会、coldrain、サンボマスター、10-FEETといった、ロックフェス常連の豪華出演者がズラリ並んだ初日。フェスの現状や主催者の想いをしっかり理解した上で見せた、この状況下での最高のアクトはどれもグッと来たし感動的だった。来年は声出しもモッシュも解禁されて、“そんなこともあったね”と笑って話せるようになればいいなと心から思った。

ヤバイTシャツ屋さん 撮影=青木カズロー

ヤバイTシャツ屋さん 撮影=青木カズロー

SiM 撮影=青木カズロー

SiM 撮影=青木カズロー

打首獄門同好会 撮影=青木カズロー

打首獄門同好会 撮影=青木カズロー

coldrain 撮影=上山陽介

coldrain 撮影=上山陽介

サンボマスター 撮影=釘野孝宏

サンボマスター 撮影=釘野孝宏

10-FEET 撮影=青木カズロー

10-FEET 撮影=青木カズロー

木梨憲武、藤井フミヤ、布袋寅泰、香取慎吾と、綾小路 翔のルーツと言えるスーパースターが勢ぞろいし、綾小路が幾つもの夢を叶えたのも初日の見どころだった。とんねるず楽曲も連発したオールタイムベストなセットリストで沸かせた木梨憲武と「ニホンノミカタ」など矢島美容室の楽曲をコラボし、チェッカーズ楽曲の連発でオーディエンスを震撼させた藤井フミヤとまさかの「ギザギザハートの子守唄」のコラボ。布袋寅泰とは氣志團がデビュー前からSEとして使用している「BE MY BABY」の夢のコラボを実現し、アイドルと狂犬の奇跡の融合を果たした香取慎吾と自身提供曲である「I’m so tired」をコラボ。3年ぶりの現地開催の実現、そして幾つもの奇跡のコラボの実現で、“諦めなければ、夢は叶う”と体現し、証明してくれた『氣志團万博2022』初日だった。

木梨憲武 撮影=釘野孝宏

木梨憲武 撮影=釘野孝宏

藤井フミヤ 撮影=上山陽介

藤井フミヤ 撮影=上山陽介

布袋寅泰 撮影=中野修也

布袋寅泰 撮影=中野修也

香取慎吾 撮影=上山陽介

香取慎吾 撮影=上山陽介

氣志團 撮影=青木カズロー

氣志團 撮影=青木カズロー

>>次のページは、ゴールデンボンバー、HYDE、ももクロ、岡崎体育ら“万博ファミリー”が集結した2日目をレポート。

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