やっぱりポピパは最高!『「BanG Dream! 10th☆LIVE」 DAY3 : Poppin'Party「Hoppin'☆Poppin'☆Dreamin'!!」』ライブレポート
『「BanG Dream! 10th☆LIVE」 DAY3 : Poppin'Party「Hoppin'☆Poppin'☆Dreamin'!!」』 2022.9.24(SAT)有明アリーナ
2022年9月22日(木)~25日(日)の4日間に渡り、『BanG Dream! 10th☆LIVE』が東京都 有明アリーナにて開催された。初日のRoseliaを皮切りに、Morfonica、Poppin'Party、RAISE A SUILENとリアルバンド4組が4日連続でバトンを繋いでいくという、間違いなく2022年の『バンドリ!』史に残る一大イベントだったわけなのだが、今回はDAY3のPoppin'Partyによる「Hoppin'☆Poppin'☆Dreamin'!!」の模様をレポートする。ポピパらしく笑顔の絶えないライブではあったが、その笑顔の裏側に潜むエモーショナルを感じられる素晴らしいひと時だった。ポピパが『バンドリ!』の座長でいてくれて本当に良かった。私はそう感じずにはいられなかった。
各地で記録的な豪雨を降らせた台風15号は、その日のうちに温帯低気圧になっていたものの首都圏にも大粒の雨を降らせていたが、なんとかライブ開演の直前には雨足も収まり、直前までの豪雨から一変、雲の隙間から夕焼け空が顔を覗かせていた。今年の8月末に再開業したばかりの会場には数多くのフラワースタンドが並び、また豪雨の影響で開演ギリギリの入場となってしまったものの、既に場内は開演をまだかまだかと待ちわびるファンの手拍子が鳴り響いており、ファンの熱量の高さに圧倒される。
暗転から、雨音のSEが聞こえてきた。「急に雨降ってきた~、ずぶ濡れだよ~。」と香澄の声がする。どうやらライブ前にはりきりすぎて、予定よりも早く楽屋入りしてしまったらしい。次の瞬間、突然部屋の明かりが全て消えてしまう。「停電かな…、さっきまで雷もすごかったし…。」奇しくもライブ会場にいる我々と全く同じような導入から、ライブもスタートしたが、その先からは香澄らしいキラキラドキドキな方向へと物語が動いていく。
暗闇から気付くと、有咲の星のシールの謎の世界に。「星のシールを辿っていけば有咲に会えるかも!」と香澄が歩き始めると……空から降ってきた何者かとぶつかってしまう。その正体は、アニメ「BanG Dream! (バンドリ!)」から香澄のスクールバッグについているポチにゃん。香澄はいつの間にか天空世界に飛ばされていたのだった。天空世界の案内役のポチにゃん曰く、なんでも最近、地上の天候が荒れているのは、天空世界の神々が落ち込んでいるからなのだとか。そして天空世界の神々はとても音楽を好むことも教えてもらう。そこで地上のバンド代表としてポピパから香澄が選ばれたのだ。他のメンバーを地上から天空世界へ呼び出す方法が“ポピパピックアップガチャ”だったり、連続で沙綾が被るガチャあるある的な小ネタも挟みつつ、5人揃ったポピパの音楽の力で天空世界の女神たちを元気にすることに。
愛美
そんな流れから1曲目の「ぽっぴん'どりーむ!」を披露すると、再び映像に戻る。こちらの世界でもポピパはポピパらしく演奏出来ていることを確認し、地上へ無事に帰るまでの流れをここでおさらい。天空世界には女神が4人おり、それぞれに認められなくてはならない。その証として星のかけらをもらい、それを4つ集めることで、地上への扉が開くという。まずは湊友希那にそっくりな太陽の女神の元へ行くことに。暗転中にメンバーも後ろを向いてステージからモニターの映像を見ている姿がシルエットで見えたが、楽しそうに肩を揺らしたりウキウキしてる様子が伺えた。
「Yes! BanG_Dream!」では有咲が星型のタンバリンを持ってステージ前方へ飛び出し、続く「キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~」ではギターソロで戸山香澄役・愛美と花園たえ役・大塚紗英が背中合わせ、流れで大塚と牛込りみ役・西本りみがステージに膝をついて弾き合う激しいパフォーマンスを披露。ポピパらしいワチャワチャっとした楽しさあふれるステージに「フゥ~~!!!最高!」と想像以上にテンション爆上げの友希那……ではなく太陽の女神。「あなたたちの音楽で私も導かれた気がする」と星のかけらを授けてくれた。
大塚紗英
続いて赴いたのは風の女神の下へ。やはり、どことなく倉田ましろ似の彼女は非常にネガティブな性格で、自身を「女神失格だ……」と嘆く。本当はネガティブな自分を変えたくて、かっこよくて大きな風を吹かせたい!ということで、ここからはカッコ良いラインの楽曲のパートに。
「Moonlight Walk」の間奏では身体を大きくのけ反り、そのまま床に寝転ぶようにギターを弾き続ける大塚。「まだまだ行くよー!ティアドロップス!」と続けて「ティアドロップス」。2番に入ると歌詞に合わせてペンライトの色が青から赤に変わる会場。フロアとの息はぴったりだ。「もっともっとカッコいい私たち、見ていってね~!」と「イニシャル」を披露し、3曲続けてカッコいいポピパを猛アピール! 題して「先輩風作戦」は大成功となり、自信を取り戻した風の女神から星のかけらを回収。そんなストーリーに合わせてステージ上では、グッズのタオルで仰いで風を吹かせあう姿に思わず和む。
そして次は、雷の女神の下へ行くことに。最強の音楽を求める “小さな”女神、ということでDJブースの中にチュチュ風の女神が……ってここまでくるともう隠す気も無さそう(笑)。これまでにポピパが披露してきた楽しさ、カッコよさだけでは、彼女の考える最強の音楽には足りない。もっとお客さんと一緒に盛り上がるための“フロア盛り上げヂカラ”が必要だ! と説く彼女に合わせて、ポピパメンバーとお客さんのクラップでレスポンスゲームが行われる。5人が即興で考えたリズムに合わせて、フロアのみんなが手拍子で応えていく遊びで場内の一体感を温めていった。
西本りみ
そんな雷の女神のお眼鏡に適うような、フロアとの一体感を感じる選曲が3曲続く。「What's the POPIPA!?」ではドラム(スネアとハット)とキーボードもスタンディングセットが用意され、5人全員が横並びになってマーチングバンドのような演奏を披露した。一度、暗転を挟みスポットライトに照らされた愛美が木琴で「ピンポンパンポーン!」と鳴らすと「開けたらDream!」へ。演奏に入ればたちまちパリッとしたスイッチが入り、Keyソロでは市ヶ谷有咲役・伊藤彩沙がショルキーを担いで前へ。最後に「Hello! Wink!」を披露すると、雷の女神もご満足の様子。「フロアのみんなも盛り上がってくれてありがとう~」と再び幕間へ。
最後の女神は“厳格で人一倍音楽が大好き”だという宇宙の女神。彼女の元へと続く扉をくぐると、真っ暗な宇宙空間へ放り出されメンバーは離れ離れに。これまでの女神とは違い、姿を一切見せない宇宙の女神は、どうやら一筋縄では行かなさそうだ。なんとか5人が合流するも、「あれっ、ランダムスターが無い。さっきまで持ってたのに……」と愛機を失くしてしまう香澄。「香澄がモノ失くすなんていつものことだろ」と有咲。「うぅ、パスポートとか……?」と自ら過去の失敗を掘り返す香澄と笑いあうメンバー。「なんか、こういう感じ久々だな」「有咲の近所の公園でみんなで歌ったね」とこれまでの足跡を振り返る中で思い出す5人。楽器が無くても、音楽は出来る。星空の下、楽器を置いて5人でアカペラで「前へススメ!」をワンコーラス歌うと、流れ星がひとつキラリと輝いた。こちらに向かってドンドン接近してくるその流れ星の正体はランダムスターだった。愛機を取り戻した香澄は改めて「前へススメ!」を披露。ポピパはどんな時も笑顔を絶やさず、キラキラ輝いてて、眩しい。そんなことを考えていると「Lalalala...」というイントロが続けて聞こえてくる。「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」だ。「みんな心の中で一緒に歌って~」と満面の笑みで愛美が語り掛けてくる。「まぶた閉じて あきらめてたこと いま笑って いま赦して 昨日までの日々にサヨナラする」。直近のインタビューや、アンコールでのMCでも語られていた話ではあるが、最近のポピパを表すキーワードとして「許しあえる関係」という言葉が所々で彼女たちから飛び出てくる。その言葉の裏付けとしてメンバー間の信頼関係がゆるぎないものになっているという事実も加えて語られていたと思う。何年もの時を経て、初期のころの曲にも深みが出てくるのは本当にズルい。個人的なこの日のベストアクトは間違いなくこの曲だった。
大橋彩香
「懐かしいね、あの頃の私たち」と5人の絆を改めて確かめ合う。香澄は……いや、ポピパは変わらずキラキラドキドキを探し続ける。7年経っても変わらずポピパで居られることは本当に奇跡だと思った。「最後の曲です!皆さん楽しんでいってください!」と披露したのは「星の約束」。本楽曲がエンディングテーマ曲となっている『劇場版「BanG Dream! ぽっぴん'どりーむ!」』が本当に素晴らしい映画で、この日のライブの魅力は劇場版を観ていないと半減してしまうくらいに、ポピパにとってもマイルストーン的な出来事だということが如実に表れていたのだと思う。こと音楽においてはパンクカルチャーの流れから生まれているバックボーンもあり、心の叫びだったり、苦しみだったり、心情を吐露するような表現で使われがちな“エモい”という言葉があるが、ポピパのそれは決して感傷的じゃない“エモさ”なのだ。言わば、青春の煌めき。どんな時も笑顔を絶やさないからこそ生まれる“エモさ”がポピパにはある。そんな“エモーショナル”がググッと押し寄せる中、ラストに紙吹雪が舞い散る。結局、最後まで姿を見せることのなかった宇宙の女神だったけれども、太陽と風と雷の女神の助けもあって、無事に脱出し、再び天空世界へと戻ってきた。案内役のポチにゃんが「宇宙の女神から「ポピパ、やりきったかい?」と伝言を貰っているワン!」とその正体も明かされたところで、元の世界へようやく帰還。楽しみで早く来すぎた香澄が楽屋で寝てたというオチだったのだが、最後に5人でライブ前の円陣をすることに。リアルの5人も暗転したステージ上の立ち位置でやるシルエットが見えた。
伊藤彩沙
お色直しをしてアンコール1曲目は「イントロダクション」。「ぽっぴん'どりーむ!」「星の約束」と今回はライブ初披露の楽曲が目白押しだったことも挙げておきたい。またここまでずっとMCなしで、あくまでキャラクターとしてストーリーに沿ったステージが披露されていたこともあり、ようやくここでキャストとしての挨拶が5人から入る。
「2年ぶりのワンマンで、気合いも入ってて新曲だらけ。これまでの中で1番頑張ったライブ。」と語った伊藤は「もうすぐ8年だけどまだまだ進める、成長できるステージがあるのはすごいことだし、それもバンドリーマーの皆さんのおかげ。」とファンへの感謝を語った。
「私というか、沙綾的にはズボンが短くなりました!」と大橋の生脚に喜ぶメンバー(主に愛美)の姿に笑ったり、「ホント久しぶりのワンマンで……ずっと会いたかったです。他のバンドと連続でやる中、ポピパの魅力って何だろう?って考えたらやっぱりキラキラドキドキかな!ということで、今回はダンスにも挑戦したり、台風だって吹き飛んじゃうぜ!ってくらい楽しいライブにしようと……」ライブを振り返る西本の横で、急にフライングで号泣し始める大塚の姿があったり。
「今日あったようにカッコいい、楽しい、盛り上がる、全部ひっくるめてポピパ。これからも突っ走っていくので付いてきてくれますか?」と西本が〆ると、「ホント年々、涙もろくなってきて…。」と大塚が続く。「涙が出てきちゃったのは、私ホントにポピパが好きだなって思えたからで……」と、初めてのライブから歩んできた道のりを思い返すと、涙が止まらない。「家族じゃないけど、もう一つの家族みたいな、大切な存在です。」と、ポピパの絆を涙ながらに語ってくれた。
「今回はずっとライブ中、香澄たちとしてステージに立っていて、アンコールでこうしてようやく私たちとして喋っているわけなんですけど、だからこそライブ中はずっとポピパで居られる幸せを感じながら出来た。」と喜びを噛みしめる愛美。「準備含め1番バタバタしてたはずなのに本番では慌てず余裕があった。リラックスしてたよね。」と振り返り、久しぶりのワンマンをメンバー共々、心の底から堪能できた様子だった。
「次でホンマに最後の曲なんやけど、やりたくないな~!(笑)」という愛美に「帰りたくな~い」「ここに住みた~い!」とライブの終わりを惜しむメンバー。「けど、明日はRASさんがあるから帰らないと……」と「それじゃ最後の曲、聞いてください!「ときめきEXPOSE ‘Burn out!!!’ 」と叫び、ポピパverでRASの「 EXPOSE ‘Burn out!!!’ 」をサビだけ披露すると、ステージ上にはデカデカと「BanG Dream! 11th☆LIVE 開催決定」の文字が。2023年2月に。ポピパ×RAS、モニカ×Roseliaによる2DAYS公演開催決定のサプライズ発表に会場がどよめきつつ、本当に最後の曲、「キズナミュージック♪」を披露。「キズナミュージック♪ ただひたむきに 追いかけていた 胸の奥の思い」。決してポピパは歩むべき道を間違えることはない。メンバーの胸の奥には燦然と輝くキラキラと、どんな時でも聴こえるドキドキの鼓動があるから、これからも真っ直ぐに歩いていけるのだ。銀テープが降り注ぐ中、大好きな歌、約束の歌、永遠の歌をボクたちに届けてくれた。
最後まで「やっぱり帰りたくない!」と結局、床に座り込む5人だったが、満足したら「よし、帰るか!」と帰る。そんなハチャメチャな感じもまた“ポピパ”らしく、終始笑顔が絶えないライブだった。単純に“ガールズバンド”という括りで考えても、もうすぐ活動開始から8年になるグループは意外と存在しておらず、もはやベテランの域に入りつつもあると思うし、長年続けてきたからこそ変化してきたメンバーの関係値が素直にライブに反映されるのもポピパの魅力だと思う。けどやはりポピパがボクらを大きく惹きつけるのは結成当初から変わらない「キラキラドキドキ」への姿勢だ。彼女たちの物語はこの先、どこまで続いていくのか分からないけれど、7年経ってもまだまだ先がありそうだと感じさせてくれる懐の深さがポピパにはある。やっぱり『バンドリ!』にはポピパが居てくれなきゃダメだ。やっぱりポピパって凄いな。そんな当たり前のことでしかこのレポートを結べないのだが、きっとこの結論こそがPoppin'Partyへの最大の賛辞だと私は思っている。
文・レポート=前田勇介 撮影=福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)、ハタサトシ
セットリスト
『「BanG Dream! 10th☆LIVE」 DAY3 : Poppin'Party「Hoppin'☆Poppin'☆Dreamin'!!」
ライブ情報
Poppin'Partyも出演の要注目ライブ!
『BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022』
受付期間:2022年9月25日(日) 10:00~ ※先着順・なくなり次第終了
『ブシロード15周年記念ライブ in ベルーナドーム』
・アサルトリリィ
一柳隊
スタァライト九九組(小山百代、三森すずこ、富田麻帆、佐藤日向、岩田陽葵、小泉萌香、相羽あいな、伊藤彩沙)
Happy Around!、Peaky P-key、Photon Maiden、Merm4id、燐舞曲、Lyrical Lily
Poppin'Party、Roselia、RAISE A SUILEN、Morfonica
from ARGONAVIS Special Band(伊藤昌弘、日向大輔、前田誠二、森嶋秀太、小笠原 仁、真野拓実、宮内告典)
ミルキィホームズ、フェザーズ
Aqours(斉藤朱夏、小林愛香、降幡 愛)、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(大西亜玖璃、前田佳織里、小泉萌香)
バーチャルD.U.P.(デ・ジ・キャラット/プチ・キャラット/ラ・ビ・アン・ローズ)、奥井雅美