THE ORAL CIGARETTESは2度目の主催イベント『PARASITE DEJAVU』を前に何を語るのか

インタビュー
音楽
2022.10.14

――では、ここからは2日目の出演者について聞かせてください。タイムテーブル順に1組ずつ、誘った理由や現時点での印象などを教えていただければと。まず、トップバッターのCVLTEから。『DREAMLAND TOUR 2022』で競演済みで、山中さんがいろいろとディグってる中で見つけたバンドでしたね。

山中:はい。最初は「北海道のバンドなんや」って思いながら音楽だけ聴いてたんですけど、東京でライブをする日を見つけたので、個人的にライブハウスに遊びに行って。そこから連絡を取り合うようになりましたね。共感する部分がすごく多いんですよ。「これ、俺らも昔やってたな」とか、「あ、こういうMCしたら実はマイナスになるのに……」とか(笑)。でもこういう時期にしか出せへん良さって絶対あるんですよね。すごく人懐っこいやつらやし、兄ちゃん兄ちゃんって言ってくれるから、「じゃあDREAMLANDのメンバーとしてこれから先ずっと面倒見よう」という感覚で。だから、これから一緒にやる機会がすごく増えていくと思います。

――2組目はVaundy。イベントで一緒になったことがあるんでしたよね。

山中:『バズリズム LIVE 2021』ですね。Vaundyくんが挨拶に来てくれたんですけど、「学生時代から聴いてます」と言ってくれて。「え、Vaundyくん、俺ら聴いてたんや!」と思って。喋ってみたらただの大学生のお兄ちゃんで、そこがまたよかったですね。

鈴木:僕はこの前の武道館も観させてもらったんですけど、ステージ上での自分の力をすごく信じてるんやろなと思って。今回出演してもらう7組の中で唯一のソロアーティストなので、バンドの中であのメンタルの強さがどう発揮されるのか、すごく楽しみですね。

山中:CVLTEもVaundyもそうやけど、若いやつらは恐ろしいっすね。

あきら、鈴木、中西:(深く頷く)

山中:音楽から上の世代へのリスペクトを感じるというか……どこまで遡るのか分からないけど、超大物J-POPシンガーへのリスペクトまで見えてくるやないですか。俺らは正直理論とかをあんまり勉強してこなかったバンドで、歳をとってから学び始めた感じなんですけど、彼らは最初からそういうことを踏まえて作ってるから、すごく秀逸な音楽なんですよね。音楽が本当に好きな子たちなんやなと思います。

――3組目のKEYTALKとは親交が深いですよね。

あきら:前回で言うONAKAMAのポジションというか、僕らの歴史を知ってる同世代のバンドを呼びたいなと思ってオファーしました。まさやんが入る前の頃、奈良の100人のライブハウスでツーマンしたのが最初やったんですけど、その頃から知ってて未だに仲のいいアーティストって少なくて。僕はほぼ毎日遊んでるので、つい関係性に甘えてしまって「まあどうせどっかで会うし」という感じになっちゃってたんですけど、改めて自分たちのイベントに迎えられるということで嬉しいですね。

――あきらさんから見て、今のKEYTALKってどんな感じですか?

あきら:今、全50本のツアーをやってるんですよ(※取材時)。僕も何ヶ所か観に行ったんですけど毎回すごくいいライブをしてるし、ライブやりまくってすごく脂が乗ってるなと思いますね。変わらないところは変わらないし、それが面白い。飽きないバンドです。

――4組目はMY FIRST STORY。『DREAMLAND TOUR 2022』にも出演していましたし、ボーカルのHiroさんは『Bullets Into The Pipe』にも参加していましたね。

山中:最初に声掛けたのがマイファスだった気がします。俺とHiroが仲直りしたタイミングで、Hiroが「横アリでツーマンやろうぜ」と誘ってくれたんですよ。そこで仲直りしたって言ったら、めっちゃおもろない?って(笑)。結局それは実現しなかったんですけど、「いつか大きいところで一緒にやれたらええな」という話はずっとしてたんですよね。今回パラデジャをやることが決まって、その話を一番に思い出したので「パラデジャ、やることになったわ」ってHiroに電話したら、「そうなん。てことは……?」「そういうことです(笑)」という流れになって。今までの俺らとマイファスの歴史を知ってもらった上で足を運んでもらえたら、お客さんはよりライブを楽しめると思うし、バンドと客席の相乗効果であいつらもより力を発揮するんじゃないかと思いますね。

――5組目はマキシマム ザ ホルモン。そもそもみなさんってホルモンは通っているんですか?

山中:バリバリ通ってますね。高校生の頃なんてずっと聴いてました。

あきら:ホルモン聴きながら数学やると速く解けるよな(笑)。

山中:あはは! あと、コピーしようとして驚愕するという。

中西:そうそう(笑)。

山中:「無理無理、ムズすぎる!」って。

――ホルモンとはどういう繋がりなんでしたっけ。

山中:前に、SiM、coldrain、ホルモン、フォーリミ、マンウィズのボーカルとSHANKのドラムで温泉旅行に行ったことがあって。そのあと俺らのツアーに誘ったんです。そのタイミングで亮君が活動休止に入ってしまったから、結局ホルモンは出られなくなっちゃったんですけど、メンバーみんなが俺らに対してすごく良く接してくださって。この1年なんて、ホンマずっと会ってるんちゃう?という感覚になるくらい結構会ってるんですよ。メンバー同士すごく仲よくなったので、もう一度誘ったところ、「絶対にやりたいね」と言っていただいて。だから、実はプライベートではずっと絡みがあったけど、今回ようやくみんなの前で一緒にやれるという感じです。

――なるほど。6組目の凛として時雨についてはいかがでしょう。

山中:時雨は俺がただのファンという(笑)。TKさんとはLINEで音楽の話とかめっちゃするんですよね。「今回のミックス、どこですか?」とか「マスタリングは誰にやってもらいました?」とか。すごくリスペクトしてます。このメンツの中に時雨が入ってるのってめちゃめちゃ面白いし、パラデジャにしかできへんことやと思うんですよ。うちの兄も時雨の大ファンなので、この日アメリカから日本に帰ってくるって言ってました(笑)。ほとんど時雨のためというか(笑)。

――そして7組目はMAN WITH A MISSION。トリ前ですね。

山中:マンウィズはツアーに誘ってもらったことがあったんですけど、俺らからマンウィズにアクションを起こすことがずっとできていなかったんですよね。というのも、テレビとかでよく見るし、ちょっと違うところにいる先輩というイメージがあったんですよ。だけど、オーバーグラウンドに向けてやることやりつつ、復興のイベントに出演したりとか、見えないところでそういうことをやってるという話は聞いてて。ああ、この人たちってすごく人間っぽい人たちなんやなーって。

あきら:……ん?(笑)

中西:人間?(笑)

山中:ごめん間違えた(笑)。マンウィズのライブを観ると「やっぱりレべチかも」って思うんですよ。なので、俺らとしては挑戦する気持ちというか。自分たちの前にマンウィズがいてくれることで、「よし、やるぞ」という感じでステージに上がっていける気がしてます。

――この7組、そしてオーラルが一堂に会するということでどんな日になるのか……ちょっと想像つかないですよね。

鈴木:想像つかないですね。

山中:元々パラデジャは泉大津か奈良でしかやるつもりがなかったんですけど、ここまで喋ってきたようにいろいろあった中で「今回は関東でやろう」というテンションになって。そのうえで「ああ、この人ね」と思われるようなメンツを発表しても面白くないというか……その土地土地のフェスでセットリストを変えるのと同じように、地元の関西にはこういうメンツを呼ぶ、関東は第2の故郷だからこういうメンツを呼ぶ、という感覚で考えていきましたね。それで今回は、周りから見たら意外かもしれないけど実は繋がってたんですよという、ちょっと異色なメンツで攻めてみようと。だから今後いろいろな場所で『PARASITE DEJAVU』が行われることになったら、その土地に対する自分たちのテンションで誰を呼ぶか決めていくことになるんやと思います。

――なるほど。最後に、オーラルのライブはどんな感じになりそうか、言える範囲で語っていただきたいなと。抽象的な言い方になってしまいますが、2019年の『PARASITE DEJAVU』は死生観が真ん中にあって、その上で“生きていくための音楽を鳴らす”というようなライブだったように思うんです。

山中:うん、まさにそうでした。

――それに対して、今回はどうなりそうですか。

山中:今回は死生観とかではなく、生きていくということをよりリアルに表現していきたいなと。前回の『PARASITE DEJAVU』では俺らが想像し得ない世界――自分が死んだあとの世界はこうあってほしいとか、今まで30年間生きてきた中での“こういう気がする”、“こういうことなんじゃないか”という思想の部分が前面に出てたと思うんですよ。それは、亡くなった友達に対する想いがめちゃめちゃ強くあったから、そういうテーマになっていったんですけど。だけど前半に話したように、2019~2022年に自分たちのスタンスや思考回路が変わっていって、その中で感じたことがすごく多かったので、今回のライブではそういう部分を表現するような――“生きていくということは、こういうことなのかもしれない”という部分を伝えると同時に、“俺らはこういうふうに生きていきますよ”という決意表明にもなるような、そういうライブになっていくのかなと思ってます。

――オーラルの場合、山中さんの思想がそのままライブのテーマになっていくじゃないですか。そういう部分ってメンバーにどう共有しているんですか?

山中:多分、普段から漏れてるんだと思います。「拓也はこういうスタンスだから、今ここにイラついてるな」という部分が言わずとも生活の中で共有されてるというか。だからライブのMCで何を言うかも普段メンバーには全く伝えてないくらいで……でもパラデジャはオーラル4人でやる大きいイベントだから、普段のライブよりも特に共有するようにしてますかね。ステージの図面を描いてたら自然と「これは何に使うの?」って話になるから、「実はこういうテーマで、最後にこういうふうにしたくて……」みたいな話をしたり。

――心の中のかなり深い部分に関わる話なので、完璧に共有できることではないと思うんですよ。お三方は山中さんから何か説明された時、「正直よく分からないな」と思うことってないんですか?

あきら:あります、あります。

――そういう時はどうするんですか?

あきら:僕も半分お客さんみたいな感じで「へえ、拓也は今そんなことを思ってるんだ」と思いながら……でもオーラルの一員ではあるので「このバンドはこう思ってるんだぞ!」っていう顔をしてます(笑)。

山中:あははは!

あきら:でもそこに対しては特に何も思わないですよ。「俺はそう思わんで」ってケンカになることもないし。拓也の今言いたいことをこのライブで伝えるんだ、オーラルが吐く言葉はこれなんだ、という。

中西:人それぞれ考えを持ってるから、他の人からは「ん? そこなん?」って思われるようなことを誰でも考えてたりすると思うんですよ。だけど拓也はみんなが持ってる感情、みんなが経験してることに照らし合わせながら言葉をチョイスして、自分の思考を人にちゃんと伝えられるから、僕はその言葉を聞いて腑に落ちることがいっぱいあります。きっとライブに来てるみんなも、そういうふうに拓也の言葉を受け取って自分なりに解釈してるんやと思うし。

鈴木:だから感情としては「うん、そうやろな」「すごく理解できるな」と思う場面の方が多いんですよね。それに、拓也の発する言葉に対して信頼を置いてるから、1から10まで聞かなくても不安にならないので。これからリハーサルに入っていくんですけど、さっき言ってた図面の話みたいに、準備を進めていく中でキャッチできることもいっぱいありそうやなと。それがまた楽しみですね。


取材・文=蜂須賀ちなみ  撮影=西槇太一

ライブ情報

『PARASITE DEJAVU 2022 〜2DAYS ARENA SHOW in SAITAMA〜』
会場:さいたまスーパーアリーナ
 
▼DAY1 ONE MAN SHOW
2022年10月22日(土) 16:00 open/17:00 start
出演:THE ORAL CIGARETTES
 
▼DAY2 OMNIBUS SHOW
2022年10月23日(日) 11:00 open/12:00 start
出演:THE ORAL CIGARETTES / マキシマム ザ ホルモン / MY FIRST STORY / KEYTALK / Vaundy / CVLTE / 凛として時雨 / MAN WITH A MISSION
 

10/22(土): A席 ¥7,800(税込)
10/23(日): A席 ¥8,800(税込) ※SOLD OUT
2日通しA席 ¥16,000(税込) ※SOLD OUT

リリース情報

シェア / 保存先を選択