【対談】神激×TOTALFAT ジャンルも世代もキャリアも飛び越え、熱い思いがクロスオーバー
■エモ渋滞!? MCのこだわりと重要性とは?
――神激のライブを観てどう思われましたか?
Shun:MCが独特だよね。オラついたり、ちょっとセクシーな感じになったり。
三笠:それは、メンバーが6人いるからできるんですよ。
Shun:キャラクターが全然違うもんね?
三笠:はい。最初にMCをやりだしたときは。
いもこ:全員熱い、みたいな感じで。
ことの:全員が全員、ずっと自分の人生を語りまくってたんですよ。
Shun:エモ渋滞してたんだ。
いもこ:だから、聞いてる側も疲れちゃってて。それで、みんなで相談して。
ことの:それぞれが何を伝えるのが得意なのかを、私たちは年に何100本もライブをやってるので、そのなかで試していって。
いもこ:“その叫び方はキャラに合ってないから止めたほうがいい”とか“声の出し方がぽくない”とか。細かいところまで毎日みんなで反省会を繰り返していった結果。
三笠:いまはライブ1本のなかで、今日はいもこがこういうことを話したかがってるからそこをメインに盛り上げようとか。起承転結を考えてMCをするようになっていったんです。
Shun:陣形ね。それはウチも組むよね。“ここはラジオ番組風ね”って決めたら。
Jose:そこはとにかく面白くする。
Shun:俺の言ったことにガンガン茶々入れてきてって。
Jose:あと、イベントや対バンは“あのバンドが言ってたあの話から繋いでいこう”とか。
Shun:MCかぶりは絶対嫌なんで、最低限、他の出演者のMCは聞くようにしているんです。
三笠:あー。それ分かります!
Jose:めっちゃいいこと言ったと思っても、前の人が言ってたら“あれ?”っていう反応になっちゃうから、そうならないように。あと、他のバンドがウチの名前を出して話をしてくれたら、その話から繋げていくとか。
Shun:あのバンドが何周年とか、ここのライブハウスが何周年とか、一緒に背負えるトピックがあったときはそれを本番直前に伝えてMCに盛り込んで展開していったりもする。
三笠:そうしたら、その日しか言えないMCになりますもんね。だから、ウチもメイク途中でもMCだけは聞きに行くようにしてます。
神使轟く、激情の如く。/三笠エヴァ
――三笠さんは。
三笠:ここにいる3人は聞いてますね。
いもこ:特に、三笠は他の出演者の言葉を拾って話すことが多いから。
ことの:よいこもそれ、よくやるよね? 今日ここにはいないんですけど、ラップ担当の二日よいこというメンバーがいまして。
Jose:ラップ、めっちゃ早口だったよね。あの子。俺がやったら噛みそうだもん。
Shun:神激はさ、もうどんな音楽性でもいけるでしょ? このメンツがいればやれないことなくない? って思うんだけど。
三笠:そう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです。よいことTiNAが3年前に加わったんですけど。そこから、よいこはラップ、三笠はシャウト、涙染まあまねというメンバーはスクリームをやろうと。ボーカルは、ことのちゃんといもことTiNAのクリーン3人なんですけど、そこでも、この子は英詞がいいとか。6人の個性がめきめき伸びていって。各々が特化したものを持ってるからこそ、なんでもやれるなって思うんです。
Shun:そうやって各々のスキルが高くなればなるほど、楽曲を作る側も放り込んでいけるんだよね。ここまでやれんの? って。
Jose:だから曲の展開が凄いことになってるんだと思うよ。ウチらの2.5曲分あるようなボリューム感で1曲が展開してるから。
ことの:ウチは曲をメンバーのマニピュレターさんが作ってくれているんですが。毎回ライブでは、そのマニピュレーターさんが現場にいて、その場に合わせて音を操作して作ってくれてるからこそ“この子はもっと高音がいけるな”と分かるので。それがそのまま次の曲に反映されてたりするんです。
三笠:だから、新しい曲が出るたびに頭抱えてます。
Shun:でも、そうやって上手くなっていくんだよ。ところでさ、年齢とか聞きたい訳じゃないんだけど、俺らいま22年目でこれから23年目に入るんだけど。23年前って何してた? いた?
三笠:生まれてないメンバーもいますね。
Shun:そういう人たちとこうして話せてることがすごいなと思って。
Jose:確かにね。
Shun:会話してたら分かるのよ。バンドマンの俺らの言葉の意味を、ちゃんと理解して話してるなっていうのが。そこが嬉しいし。若いのにすごいなって感心するよ。
三笠:いやいや。自分たちもTOTALFATさんとライブができたり対談できること自体、すごいことだと思っていまして。自分はすごいフェスとかが好きで、『モンバス(MONSTER bash)』でTOTALFATさんとか観てた側なんですね。
(注:ここから、別件を終えてBunta[Dr]が取材に合流)
Shun:(Buntaに向かって)モンバス観てたって。
Bunta:おぉー。その節はありがとうございます(笑顔)。
TOTALFAT/Bunta(Dr)
――到着早々ですが、Buntaさんも『GOD FEST.2022』の感想を聞かせてもらえますか?
Bunta:『EAT THE ROCK 2022』のときとは違くて、『GOD FEST.2022』は自分たちのフェス。俺らも当日は熱いMCになったんだけど、最後はどう締めくくってくれるんだろうと思って観てたら、1人じゃなくて。全員が熱いMCをしだして。
Shun:結成当初それでエモ渋滞したから、役割分担しようってことになったんだって。
Bunta:じゃあ、あの日は結成当初のエモ渋滞がぶり返してたんだ(笑)。
ことの:そうですね。
Bunta:俺らも含め、みんな気持ち入れてやってたから、最後に自然とそういう空気になったんだね。最初はアイドルっていうことで、俺は実は斜めに見てたんだけど。本気でつきあうとバンドマンと精神性がすごい近いなって気がしてたんですね。そういうなかで、最後にああいう熱いMCがきたから、俺はその瞬間、純粋に“すげーな”と思いました。
いもこ:ありがとうございます。でも、私は初めてお会いした『EAT THE ROCK 2022』のとき“乳首スケスケになるまで遊ぼうぜ”とか、めちゃめちゃ下ネタ言いまくってて(一同笑)。最後に熱いMCもしたんですけど、そっちのほう印象に残っちゃってて。“下ネタの子”という印象になっちゃってたんじゃないかなと思ってたんですね。
Shun:だから『GOD FEST.2022』でBunta、最初に言ってたもんね。“今日も言っちゃうんすか。あのMC”って。
Bunta:言ってた言ってた(笑)。
いもこ:実は『GOD FEST.2022』でも言ったんですよ。
Bunta:そうなの? 俺、そのタイミングにMCチェックできてなかったわ。
いもこ:熱いところだけ見てもらえたのなら、逆にそれでよかったです。印象が払拭できて。
Shun:いやでも、これからもその二面性でいったほうがいいと思うよ。熱いMCの刺さり方が変わるから。柔らかくしといて刺すと。
Jose:攻撃力が上がるからね。
Shun:一点突破だけじゃあダメなんだよ。柔らかくして柔らかくして、中に入ってから内部破壊するという。
三笠、いもこ、ことの:おぉー!!
Shun:ぜひね『インディペンデンスデイ』という映画を観て。そうしたら分かるから。
ことの:みんなで観ます。
Bunta:俺らみたいなバンドは、憧れてきた海外のバンドもそうだけど、最初は日常会話みたいなテンションから入って、そこでお客さんの共感を得るんだけど。神激のMCは、お客さんの共感させ方がバンドマンっぽいなと思った。昔はお客さんと垣根を作ることがアイドルのやり方だったと思うんだけど、そこからAKBが出てきて。神激はさらにそこから音楽性も共感性も進化したところでやってるアイドルだと思う。だから、お客さんを見てても、刺さるところが普通のアイドルのファンとは違う気がした。そういう意味で、俺らともリンクできるところがあるなと思ってた。
三笠:神激は、アイドルが好きでウチらも来てますという人よりも、SiMが好きで神激にも来てるというキッズのほうが多いんですよ。
Shun:そこの層をとっていけたらめちゃくちゃ強いと思う。で、そいつらを連れて『TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)』に出て大暴れするんだよ。
Bunta:コロナになる前はサークルとかモッシュ、ダイブとかやってたの?
三笠:モッシュは普通にありました。
Bunta:お! クロスオーバーしてるね。
Shun:クロスオーバーというのは80年代からある言葉で、違うものが交わって新しいものが生まれるということね。
いもこ:ウチはサイリウムを振りながらめっちゃ激しくツーステ踏むような人もいるので。もはやクロスオーバーを超えて自由形です!
Bunta:次回の『GOD FEST.』、いまは無理だけど、モッシュやサークルをフルキャパでやれるようになったらめっちゃ楽しそうだね。
三笠:そのときは出演、お願いします!
Shun:それは、この場で決定で。
三笠、いもこ、ことの:やったー!
Jose:じゃあ俺、それまでにサイリウム振る練習しとくわ!
取材・文=東條祥恵 撮影=大橋祐希
TOTALFAT情報
2023年1月21日 (土) 渋谷CLUB QUATTRO
2023年1月28日(土) 梅田CLUB QUATTRO
2023年1月29日 (日) 名古屋CLUB QUATTRO
ほかライブ情報はオフィシャルサイトへ。
■TOTALFAT オフィシャルサイト http://totalfat.net/
神使轟く、激情の如く。情報
シングル「EGO PARADISE」
2022年12月1日発売
シングル「SYZYGY」
2023年2月発売
<ライブ情報>
神激ワンマン GOD MAKE ERA
2023年5月28日(日)幕張メッセ国際展示場
ほかライブ情報はオフィシャルサイトへ。
■神使轟く、激情の如く。 オフィシャルサイト https://www.shingeki-official.com/