リコリコ・SAO…アニソンど真ん中、ここに集結!『SACRA MUSIC FES.2022』Day2レポート
LiSA
『SACRA MUSIC FES.2022 -5th Anniversary-』 Day2 2022.11.26(SAT) 幕張メッセイベントホール
2022年11月26・27日の2日間、『SACRA MUSIC FES.2022 -5th Anniversary-』が幕張メッセイベントホールにて開催された。レーベル設立5周年を祝い、FLOW × 藍井エイル、ClariS×TrySailという人気アーティスト同士の貴重なコラボも見られた他、シークレットアーティストとしてLiSAまでも出演。他にもSACRA MUSICレーベル所属アーティストが多数出演し、両日ともに人気アニメ主題歌など30曲を超える楽曲が堪能できた。今回は、Day2である27日(日)のフェスの模様をレポートしていく。
この日、開演に先だち場内アナウンスを行ったのは幹葉(スピラ・スピカ)だ。禁止事項や感染症対策についての諸注意をかしこまった口調で行った後、「今日はもう、Day2やろ!とにかく今日という日を楽しんじゃってください!」と、いつもの元気いっぱいボイスで楽しげに締めくくる。
佐藤ミキ
Opening Actには、佐藤ミキがピンスポットに照らされて登場。バラード曲「名もない花」(TVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』ED)を、ピアノから始まる優しい音色に乗せて感情豊かに歌い上げる。青いペンライトが揺れる場内。演奏後には「今日はこんなに素敵な会場で歌わせていただけたこと、心から嬉しく思っています」と感謝を述べ、客席から拍手を送られると共に、厳かに舞台の幕を開けた。
PENGUINRESEARCH
ステージのモニターに流れるオープニング映像。そこからシームレスに登場したのは5人組バンド、PENGUIN RESEARCHだ。1番手から激しいロックナンバー「決闘」(TVアニメ『ゾイドワイルド』OP)と、今年8月にリリースされた新曲「千夜祭」を2曲続けて歌い上げる。客席で踊るペンライトは赤。舞台の背景スクリーンにも「祭り」を思わせるたくさんの提灯の映像が映し出され、ボーカルの生田鷹司の叫ぶような力強い歌声でフェスのムードがどんどん高まっていく。最後は「お前らの中の『楽しい』が咲き誇りますように!」と叫び、圧巻のステージを終えた。
ASCA
続く2番手には、『SACRA MUSIC FES.』のバンドと共にASCAが登場。赤と黒の衣装に、客席のペンライトは再び赤。1曲目には「Howling」(TVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』OP)をパワフルに歌い、興奮のステージが続く。特にサビの「ウォオ、ウォオ」の箇所では、客席の熱気を受け止めるように両手を大きく広げたのが印象的だった。2曲目には「RESISTER」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』OP)を披露。観客一人ひとりに声を届けるように、舞台を端から端へ移動しながら歌い上げ、会場の熱気をさらに高めていく。
halca
打って変わって、3番手にはhalcaがピンスポットに照らされて登場した。ピンクのドレスにシースルーのワンピースを重ね、春を思わせるいで立ち。その姿にも相応しく、優しいピアノイントロから始まる「センチメンタルクライシス」(TVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』ED)を歌い、会場は一気に華やかなピンク色に染まる。MCでは『SACRA MUSIC FES.』の5周年を祝うと共に、来年1月25日のセカンドアルバム発売の告知も入れつつ、2曲目に「誰彼スクランブル」(TVアニメ『Engage Kiss』のOP)を披露。クルクル回りながらステージ右端から左端へと移動し、楽しげに演奏を締めくくった。
スピラスピカ
4番手には、場内アナウンスも行っていたスピラ・スピカが登場。「イヤヨイヤヨモスキノウチ!」(TVアニメ『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』OP)を披露するも、ラストのサビ直前で「ちょっと待って!」と急に演奏を停止する。そこで自身が徳島出身であることから、「阿波踊りを幕張メッセに遊びに来てくれたみんなとやりたーい!」と叫んだ。それに応えて演奏再開と共に客席が踊り出す。そして、フェスのバンドメンバーにも声をかけ、「次は弾かなくていいので踊ってください!」と白井アキト(Key.)まで踊らせる。自由すぎる展開に、客席からは堪え切れず笑いも漏れてしまっていた。幹葉は2曲目にも「燦々デイズ」(TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』OP)と、明るい楽曲を披露。最後は大きくジャンプを決め、「一旦、さよーならー!ほなほなほなー!」と挨拶をしながら舞台をはけていった。
激しく、そして楽しく続く今回のフェス。それをまた一気に新たな場面へ転換してくれたのが次の出演者、斉藤壮馬である。バンドにも独自のメンバーを引き連れ、自身もエレキギターを抱えて「埋み火」を弾き語る。まるで森の中にいるように、ペンライトは緑一色に。幻想的な音楽に、ただただ身を委ねていたくなる。続く楽曲では背景に美しい空の映像が映し出される中、疾走感のある楽曲「memento」を披露。「静と動」、または「冷静と情熱」とも形容すべきこの2曲に、心が洗われたような清々しい気持ちになる。演奏の後の拍手は、舞台が暗転するまで長く長く続いていた。
TrySail
舞台は暗転したまま転換へ。ジングルが流れる中で、ステージからは次の出演者らが歩くコツコツという音が鳴り響く。やがて舞台が明るくなったとき、そこにいたのはTrySailの3人だ。淡いパープルで統一した衣装で、1曲目には「ごまかし」(TVアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』OP)を歌う。客席のペンライトはピンク・青・黄とメンバーそれぞれの色に。中には片手で2本、3本を同時に持って振るファンの姿もあった。ステージ上の3人の揃ったダンスと共にペンライトは揺れ、彼女達がゆっくり手を挙げるのとまったく同時にペンライトも上がっていく。ファンも舞台も、一体となる。2曲目には「はなれない距離」(TVアニメ『阿波連さんははかれない』OP)を披露。愛らしい歌声はもちろん、MVさながらの3人の仲睦まじい掛け合いが尊くて胸が苦しくなる。最後は3人、小声で「またね」と声を揃え、愛くるしいステージを終えた。
前半のトリへいく前に、グッズ紹介のMCとして幹葉が再び登場する。だがフェス限定グッズは、この時点ですでにSOLD OUT。代わりに幹葉自身もClariSのアクスタ狙いでグッズ購入の列に並んでいたというエピソードを語り、「おかしい、誰も幹葉って気づいてくれんかった!」と嘆くと、笑いの代わりの拍手が客席から巻き起こった。また、このMC内ではTVアニメ『呪術廻戦』2期OPなど担当したWho-ya ExtendedのSACRA MUSIC移籍や、来年4月11日の『SACRA MUSIC FES.2022』映像商品化のニュースも発表。驚きと喜びで、客席は再び大きな拍手に包まれた。
FLOW
いよいよ前半のトリ。赤いライトに照らされたステージにはFLOWが登場した。ペンライトも赤に染まる中、1曲目には「Sign」(TVアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』第6期OP)を披露。バックの5枚の縦長スクリーンには、5人の姿がそれぞれアップで、リアルタイムに映し出されるという大迫力の演出だ。続くMCではKEIGOが「(世間が)コロナになってから、ライブが思うようにできなかったりして。心底ライブやりたかったんすよ」と語り、改めてライブが出来ている現状に大きな喜びを述べると、会場からはそれに応えるように大きな拍手が上がった。続く2曲目には「燈」(舞台『ライブスペクタクル「NARUTO -ナルト-」~うずまきナルト物語~』公演イメージソング)を熱唱。心臓に直接がんがん響いてくるような音楽は、まだまだ終わらない。
FLOW × 藍井エイル
3曲目にはDay1と同じくコラボアーティストとして藍井エイルを呼び込み、前日の「COLORS」とは替わって「GO!!!」(TVアニメ『NARUTO -ナルト-』第4期OP)を披露。曲の合間にはもちろん、「思い出作ろう!」と定番のビッグウェーブで会場全体を1つにしていく。「みんなウェーブありがとう!これがやりたくてバンドやってます!」とKEIGOが叫びつつ、4曲目には「GOLD」(TVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』OP)を歌った。最後はドラムロールで観客も同時に大ジャンプを決め、熱量最大級のパフォーマンスを終える。
ReoNa
休憩をはさんで、『SACRA MUSIC FES.』のバンドが再び舞台に登場。後半の1番手にはReoNaが出演した。1曲目に「ANIMA」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』最終クールOPテーマ)、2曲目に「Alive」(TVアニメ『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』OP)を熱唱。ステージの中央に立ち、鬼気迫る歌詞を決して悲痛にではなく、力強く歌い上げる。また歌い終わりの「ありがとう」の声や、MCで語る「楽しんでますか?」などの一言一言からも、気高さが感じられた。そして3曲には「シャル・ウィ・ダンス?」(TVアニメ『シャドーハウス 2nd Season』OP)を披露。4人の女性ダンサーたちを引き連れフロア中の観客と共に踊り、間奏ではボードの上でタップダンスを披露するなど、「今だけは、すべてを忘れて踊りましょう。」というメッセージを込めて歌うReoNaの姿を見せつけた。
三月のパンタシア
後半2番手には、三月のパンタシアが登場。1曲目に「青春なんていらないわ」を、舞台の上をゆっくり歩きながら歌ったり、間奏ではステージ中央で手拍子しながらぴょんぴょん跳ねたり、切ない楽曲も明るく気持ちよく客席へ届ける。続くMCでは「昨日はテンパって5秒ぐらいでMC終わっちゃった」と笑いながら、今回は初めての方にも向け、「痛くて脆くて、ちょっとけだるい青春の情景を音楽にして届けています」とアーティストのコンセプトをしっかり伝えた。やがて2曲目にはテンポ早めの「四角運命」(TVアニメ『カッコウの許嫁』ED)をパワフルに歌い、ポップで爽やかなステージを締めくくった。
藍井エイル
3番手には藍井エイルが登場。客席のペンライトが青く染まる中、10月にリリースしたばかりの新曲「心臓」(『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』主題歌)を1曲目に歌った。2曲目にはカントリー調のバラード「HELLO HELLO HELLO」(TVアニメ『カッコウの許嫁』2ndクール ED)を披露。藍井エイルの手の振りに合わせ、客席でも青や黄のペンライトが揺れた。続くMCでは『SACRA MUSIC FES.』のバンドのメンバーを紹介。黒須ローリン克彦(Ba.)、山本淳也(Dr.)、白井アキト(Key.)、アンジェロ寺前(Gt.)、三沢崇篤(Gt.)の5人の名が紹介される度に、それぞれ大きな拍手が起こる。やがてまた彼らの演奏に乗せ、3曲目に「I will…」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』ED)を情熱的に歌って、会場をまた新たな感動で包み込んでいく。
Aimer
ステージはまた一転、赤いライトで照らされると、続いてはAimerが登場。昨年末にヒットした「残響散歌」(テレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編 オープニングテーマ)を歌えば、客席は発声していないにも関わらず、まるで会場全体が歌っているような錯覚を起こすほど場が一気に華やぐ。2曲目には「朝が来る」(テレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編 エンディングテーマ)も披露。続くMCでは、SACRA MUSICには昨年9月に移籍してきたばかりながら、「こうして設立5周年をお祝いできる一員として参加できて、とても嬉しいです」と祝いと感謝を述べた。やがて3曲目に「SPARK-AGAIN」(TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』 OP)を熱唱。火花が散るような背景映像に、本当に会場内で火花が散っているのではないかと思うほどの確かな熱を感じる。今年は年末のNHK紅白歌合戦の初出場も決まり、それに向けて仕上がりもバッチリという印象を受けた。
ClariS
Aimerやバンドが去った直後、曲の歌い出しと共にClariSが現れると、登場を待ちわびた客席から拍手が沸き起こった。話題の「ALIVE」(TVアニメ『リコリス・リコイル』OP)を披露し、透明感を感じさせながらも、会場中に響き渡るような力強い2人の歌声で魅了した。また2曲目には「コネクト」(TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』OP)を披露すれば、曲に合わせて客席からも手拍子が自然と巻き起こる。ステージの映像にも踊り歌う2人の姿が映され、サビで手を重ねるところや小指と小指がクロスされる所などがクローズアップされる度、胸が熱くなってしまった。
ClariS×TrySail
さらに極めつけが3曲目、TrySailが再びステージに加わると、ClariS×TrySailとして「オルゴール」(TVアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 Final SEASON -浅き夢の暁-』最終話ED)が披露された。最初は格子の映像が映し出された縦長スクリーン5枚の後ろでそれぞれ歌う5人。鳥籠の中で歌っているかのような光景から、やがて5人揃ってスクリーンの前へ歩み出て、横一列となって歌う。その姿はまるで、アニメで活躍する魔法少女達そのものだ。
SawanoHiroyuki
SennaRin
ClariSらがステージを終え、興奮冷めやらぬまま、いよいよモニターには「Final Artist」の文字が。SawanoHiroyuki[nZk]が、バンドメンバーに田辺トシノ(Ba.)、藤崎誠人(Dr.)、椿本匡賜(Gt.)を引き連れてフェスの最後の舞台を飾った。1曲目の「βios」には、ボーカルにSennaRinが登場。バンドの激しいサウンドの中にも、澤野弘之の奏でる優しいピアノの音がくっきりと立ち、そこに凛としたSennaRinの歌声が乗る。続いてボーカルLacoを呼び込んで披露された「Hans Up to the Sky」(TVアニメ『86―エイティシックス―』第1話ED)。Lacoが手を左右に振り、舞台を左へ右へと移動しながら歌うと、聴いているこちら側も自然と体が揺れてしまう。そして3曲目にはReoNaのボーカルで「time」(TVアニメ『七つの大罪 憤怒の審判』ED)を演奏。気高い彼女の声に重なるnZkサウンド。ReoNaのソロのステージとはまた別の世界に誘われたような気持ちになるパフォーマンスだ。
SawanoHiroyuki[nZk]/Vo.Aimer
そして4曲目にはAimerをボーカルに呼び、Day1の「StarRingChild」(TVアニメ『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』最終話ED)に替わり、Aimerが「初めて澤野さんに書いていただいた大切な曲」として「RE:I AM」(TVアニメ『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』第18話OP)を披露した。バックには宇宙の映像が。ペンライトは緑に輝き、今日というこの日のフェスすべてを包み込んでいくような壮大なエンディングを迎えた。
LiSA
大きな拍手が起こり、そしてアンコールの手拍子が鳴り響く。やがてモニターに映し出されたのは「Secret Artist」の文字。再び『SACRA MUSIC FES.』バンドが登場し、儚く切ないBGMが奏でられる中、現れたのはLiSAだ。アンコール曲として「炎」(劇場版『鬼滅の刃』無限列車編主題歌)を歌い上げた。強く伸びやかなLiSAの歌声を聴いて、これほどまでにたくさんの名曲たちに囲まれ、今日というこの日はなんと贅沢だったんだろうと思いを巡らせた。歌の終わりには「皆さんの未来に、最高の日がたくさんありますように」とLiSAからの祝福が贈られ、今度こそライブは終了を迎えた。モニターにはアーティストを出演順に振り返っていくエンディング映像と、BGMに合わせて響く来場客の手拍子。最後には「SEE YOU NEXT SACRA MUSIC」の文字が映し出された。
一曲一曲ごとに感情を掻き立てられ、様々な光景を見せてくれた今回のフェス。特に強く思い出すのは、「これがやりたくてバンドやってます!」と叫んだFLOWのKEIGOの言葉だ。それには我々も「この音が聴きたくて、この景色が観たくて、この熱気に包まれたくてライブに来てます!」という言葉を返したい。まだコロナの制限が完全解除される日はきていないが、少しずつ日々は前進している。やがてマスクも外し、大きく口を開け、皆と大声で歌い合える日も近く感じられるようになってきた。最後にLiSAがくれた祝福を胸に、未来で待つたくさんの「最高の日」へと歩んでいこう。
文・取材=平原学 Photo=平野タカシ
セットリスト
『SACRA MUSIC FES.2022 -5th Anniversary-』