映像演劇の最先端を体験~鈴木拡樹主演舞台『アルキメデスの大戦』<8K映像上映>レポート

レポート
舞台
2022.12.17
舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

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2022年10月1日(土)〜11月3日(木・祝)まで全国6カ所で上演された舞台『アルキメデスの大戦』が、東宝演劇史上初の試み<8K映像上映&8Kオペラグラス配信>として再び観客に届けられることとなった。その全6回の上映のうち、2022年12月16日(金)東京・ニッショーホールでの“観劇”に参加。新たな映像演劇の体感をレポートしたい。

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真   写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真   写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  鈴木拡樹    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  鈴木拡樹    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  宮崎秋人     写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  宮崎秋人    写真提供/東宝演劇部

8K映像とは「現行のハイビジョン画質の16倍、4K画質の4倍にあたる3,300万画素の超高精細映像で、ロングショットにおいても細部までクリアに描写する最先端の映像メディア。8K映像が4K映像と大きく異なるのは、大画面のスクリーンで再生された際の画質の差。200インチを超えるモニターであれば、4K映像に比べて遙かに自然でむらのない奥行きある立体的な高画質の映像を実現することが可能」な映像のこと。今回はその高スペックを最大限に発揮するべく実際の劇場にて上演されるということで、まずは自分なりに観やすいと感じられる席に着席(映画館同様に全席自由のシステム。普段の観劇でも前方でより生の迫力を感じたい派、真ん中以降で全体の様子を観たい派、下手派、上手派などさまざまな好みがあると思うので、そこはスペースが許す限りお好みで)。

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席中央より撮影)         写真提供/東宝演劇部

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席中央より撮影)         写真提供/東宝演劇部

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席中央より撮影)         写真提供/東宝演劇部

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席中央より撮影)         写真提供/東宝演劇部

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席中央より撮影)         写真提供/東宝演劇部

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席中央より撮影)         写真提供/東宝演劇部

上映が始まり最初に驚かされたのはそのリアリティー。舞台上の俳優たちはスクリーンに映っているはずなのに、まさにそこに立っているようにしか見えないのだ。映像はカット割りのない定点。それでも通常はスクリーンの大きさに合わせて全体的に縮尺が変わってしまうものだが、ここではまさに“実物大”。セットも人間も実寸と思われる大きさにしっかりと固定されているので、自身の席から舞台上の俳優までの距離感も全く違和感がなく、開始早々から「上映」ではなく「上演」という気分にスイッチを入れることができた。

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席下手後方から撮影)         写真提供/東宝演劇部

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席下手後方から撮影)         写真提供/東宝演劇部

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席下手後方から撮影)         写真提供/東宝演劇部

12月11日に行われた、坊っちゃん劇場での8K上映時のスクリーン見え方(客席下手後方から撮影)         写真提供/東宝演劇部

映像はさすがの美しさ。セットの様子も細かく見えるし照明効果も綺麗で、人物も輪郭が鮮やかなので一人ひとりがくっきりと見えた。映像特有の「点が集まった画像を見ている」感じがなく、また、よくあるアトラクションなどで触れる人工的に立体化した映像とも異なるこのナチュラルな立体感、空間の奥行きまで掴めてしまう映像のあり方は初めての視覚体験である。音響もリアルで、俳優たちの発する台詞も劇場内に響くあのテンションで、熱を伴って伝わってきた。

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

休憩を挟み2幕に分けての上映も劇場と同様のタイム感。また、オペラグラスを持参すれば通常の観劇同様、自分のタイミングで観たいところにフォーカスして楽しむこともできる。その感覚を取り入れたのが、上映会後に実施される<8Kオペラグラス配信>。劇場の大きなスクリーンで等身大の感動を楽しむのとはまた一味違う8K映像の魅力として、「手持ちのスマートフォンやタブレットでの鑑賞&好きなところを自由自在に拡大」という自分だけの鑑賞が叶うもうひとつのスタイルである。

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部


舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真    写真提供/東宝演劇部

“第二次世界大戦前夜”を鈴木拡樹演じる数学者・櫂 直の視点から描いた人間ドラマ『アルキメデスの大戦』は、戦争という大きな大きな事象を「正義」や「情熱」や「頭脳」といった人間の中にある形のないもの、非常にミニマムなものの揺れ動きの積み重ねで語っていく、繊細で豊かな作品だ。そこに生まれる感情や、俳優がその身体から発するエネルギー……そうした板の上にしかないオーラのようなものも、私は目の前の映像から確かに感じることができた。櫂が黒板に計算を書きつけていくチョークの滑る音、その指先に乗った数学者の静かなる興奮……観劇中の没入感は、終演後も心地よい余韻となっていた。

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  鈴木拡樹    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  鈴木拡樹    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  福本莉子    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  福本莉子    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  神保悟志    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  神保悟志    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  岡田浩暉    写真提供/東宝演劇部

舞台『アルキメデスの大戦』 舞台写真  岡田浩暉    写真提供/東宝演劇部

演劇の現場は未体験という人はもちろん、観劇に親しんでいる人にも満足してもらえる映像演劇<8K映像>。今後、観劇スタイルの選択肢のひとつに加えたい心地よい体験となった。またぜひ違う作品でも味わってみたい。

取材・文=横澤由香

上映情報

舞台『アルキメデスの大戦』8K映像上映&8Kオペラグラス配信
■8K映像上映   ※終了
【上映スケジュール】
<愛媛・東温>
日程:2022年12月11日(日)14:00/18:00
会場:坊っちゃん劇場

<東京・新橋>
日程:
2022年12月15日(木)12:00/17:00
2022年12月16日(金)12:00/17:00
会場:ニッショーホール(旧ヤクルトホール)
※お問い合わせ https://faq.toho.co.jp
 
■8Kオペラグラス配信概 ※詳細は公式サイトにて
【視聴購入期間】
2022年12月16日(金)20:00~2022年12月23日(金)20:00 まで
※アプリ内で視聴をご購入いただけます。

 
【配信プラットフォーム】
8Kオペラグラス    ※詳細は作品HPをご確認ください。
料金】2,600円(税込)
※8Kオペラグラスでのアフタートーク配信、及び舞台写真ポストカードのプレゼントはございません。
 
出演者:
鈴木拡樹
宮崎秋人 福本莉子 近藤頌利 岡本篤 奥田達士
小須田康人 神保悟志 岡田浩暉

 
米村秀人 神澤直也 二村仁弥 高橋彩人
 
原作:三田紀房『アルキメデスの大戦』(講談社「ヤングマガジン」連載)
舞台原案:映画「アルキメデスの大戦」(監督 脚本:山崎 貴)
脚本:古川 健 演出:日澤雄介
 
製作:東宝
 
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