細田佳央太、豊原江理佳ら出演 フィリップ・リドリーの児童小説を白井晃演出で8月に上演
(左から)白井晃、細田佳央太、豊原江理佳、東野絢香、尾諭
2023年8月に、世田谷パブリックシアターにて、せたがやこどもプロジェクト 2023『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』を、白井晃演出にて上演することが発表された。
本作は、イギリスの劇作家フィリップ・リドリーの児童小説を原作としており、まつもと市民芸術館を拠点として活動する劇団TCアルプのために白井が2012年に創作した作品。今回新たに、成長著しい若手の俳優たちとともに「今」を生きる子どもたちのための作品として世田谷パブリックシアターでリクリエイションする。
白井はこれまで多くのフィリップ・リドリー作品を手がけ、世田谷パブリックシアターでもこれまでに『ピッチフォーク・ディズニー』『宇宙でいちばん速い時計』『ガラスの葉』『マーキュリー・ファー Mercury Fur』『レディエント・バーミン Radiant Vermin』と、作・フィリップ・リドリー×演出・白井晃のタッグで5作品を上演してきた。白井は、「彼の作品に出会った瞬間から、そこに書かれている世界が、頭の中に絵として浮かび上がってきてしまう」と語っている。
物語は、街の中心にそびえ立つ巨大なタワー(Shadow Point)を軸に、その街に暮らす3世代にわたる人物たちが、愛や憎しみ、喜びや悲しみとともに生きる様子が描かれる。登場するのは近所の魚屋さんやケーキ屋さん、超高層アパートの建設など、どれも身近な事柄ばかりだというのに、なぜか見たことのない奇妙で幻想的な世界が広がっている。それでもふと気がつくと、いまの私たちが生きる人生や社会の本質が浮かび上がってくるような不思議な魅力に満ちている。
主人公メルセデス・アイスを演じるのは、新進気鋭の細田佳央太。白井演出作品に感銘を受け出演を熱望していたという細田だが、白井は映像作品で活躍する細田の演技に以前から注目しており、満を持して主人公のメルセデス・アイス役に抜擢された。
メルセデスの幼なじみで純粋な女の子ヒッコリー役には、舞台を中心に活躍する若手実力派俳優の豊原江理佳。重要な役割を果たすことになるこの役を豊原に託した白井は、豊原が舞台で発揮するエネルギーと類稀な存在感に期待を寄せている。
メルセデスの母ロージー役には、NHK連続ドラマ小説『おちょやん』でみせた繊細な演技が注目され、映像作品と舞台作品での活躍がめざましい個性派の若手俳優・東野絢香。
さらに、物語全体を支える影のタワーの作業員(作品全体のナレーター)役は、『アルトゥロ・ウイの興隆』『バリーターク』にも出演し、白井が絶大な信頼をおく俳優・松尾諭が演じる。
白井のもとに集結した魅力あふれる俳優たちとともに、子どもも大人も楽しめるフィリップ・リドリーの児童小説作品『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』を新たに立ち上げる。
ここは影のタワー、おまえの王国よ。欲しいものはなんでもあげる。
この世界はみんなおまえのもの。
This is Shadow Point, your kingdom.
You are now the Prince of Shadow Point and everything you want will be yours. This is your world.
――“Shadow Point”で生きる3世代にわたる家族のおはなし――
メルセデス・アイスは影のタワーのことならなんでも知っている「影のタワーの王子」。
ある日、世界は黒と白の色のない世界に。
おもちゃのロボット、ドールハウス、お菓子やチョコ……最後に欲しかったのは、「色」でした。
第1部
母ドールと父ハロルドの間に生まれた女の子ロージーと、母サンドラと父ヨゼフの間に生まれた男の子ティモシーは出会い、成長します。ロージーとティモシーは“影のタワー”が大好きでした。
第2部
ロージーとティモシーは結婚して大好きな影のタワーに暮らしています。
喧嘩をしたり、太ったり、いつしか毛が薄くなったりしながら暮らす二人。やがてロージーとティモシーの間に男の子が生まれます。名は、“メルセデス・アイス”。
第3部
時が経ち、影のタワーは汚れて朽ちていきました。
ミセス・アイスはメルセデス・アイスを溺愛し、求めるもの全て与えるようになりました。
メルセデスと隣室に住むヒッコリーは共に成長し、古びたタワーの中で一緒に遊ぶようになりますが、自分を「影のタワーの王子」だと思っているメルセデスのワガママにヒッコリーは振り回されてしまいます。
ある日、甘やかされたメルセデスを諫めたヒルダとミセス・アイスは仲違いします。この二組の家族のもめごとが、最後、タワーの大爆発へとつながっていきます……。
公演情報
『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』
【会場】世田谷パブリックシアター
【翻訳】小宮山智津子
【演出】白井晃
【出演】細田佳央太 豊原江理佳 東野絢香 松尾諭 ほか
https://setagaya-pt.jp/news/20230213-129174.html