世界最高峰のアスリートが集結! 西村碧莉に聞く「X Games Chiba 2023の楽しみ方」とは?

インタビュー
スポーツ
2023.3.28
『X Games Chiba 2023』女子スケートボードストリートに出場する西村碧莉 (C)齊藤 僚子

『X Games Chiba 2023』女子スケートボードストリートに出場する西村碧莉 (C)齊藤 僚子

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アクションスポーツの国際競技会『X Games Chiba 2023』が、5月12日(金)~14日(日)にZOZOマリンスタジアム(千葉県)で開催される。『X Games』が日本で開催されるのは、昨年に引き続き2回目。昨年は3日間で4万人が集まり、世界最高峰の舞台で躍動するトップアスリートたちの妙技に酔いしれた。

本大会にも世界から各種目を代表する選手たちが集結。中でも注目されるのが、女子スケートボードストリートに出場する西村碧莉だ。2017年に日本人としては初めて『X Games』で優勝。以降、表彰台の常連として『X Games』の会場を賑わせている。

「『X Games』は小学校の頃から憧れていた大会」と語る彼女に、本大会に賭ける思いや、『X Games』の魅力・見どころなどを聞いてみた。

(C)齊藤 僚子

(C)齊藤 僚子

スケートボードを次代につなげる活動をしたい

——大会まで2ヶ月を切った現在のコンディションを聞かせてください。

西村碧莉:自分では良い方だと思います。1年前(東京五輪練習中)に負った膝の怪我もほぼ回復していますし、パフォーマンスにはほとんど影響はありません。昨年の『X Games』よりも、いい状態で滑れると思っています。

——『X Games Chiba 2023』ですが、ご自身ではどのようなところに目標を定めていますか。

西村碧莉:結果がどうであろうと、全力で楽しむことが目標です。大会でしか会えない選手もいますし、毎回違うシチュエーションの中で、いかに自分自身が楽しむことができるか。それが今後のスケートボード人生にも役立つ、大きな経験にもつながっていくと思います。

——もちろん競技ですから、トップを目指すという側面はあるのでしょうが、やはり「楽しむ」というのが、西村さんにとっての一番の優先事項になっているようですね。

西村碧莉:もともとスケートボードは「スポーツ」というより、遊びの延長線として楽しまれてきたものです。私だけでなく、みんな結果を出しに大会に出るのですが、それ以上に「楽しく滑ること」を大切にしていると思います。

(C)齊藤 僚子

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——この大会の先には「パリ五輪」があると思いますが、その目標に関してはどうですか。

西村碧莉:出られる機会があれば出たいとは思いますが、絶対に出ようとまでは思ってなくて……。もともとスケートボードを始めたきっかけも『X Games』でしたし、オリンピックは後に出てきた大会なので、昔から目標としてきたわけではありません。もちろん誰もが出られるわけではない大きな舞台ですから出場は目指しつつ、もしそれが叶わなくても自分のスケートボード人生でやりたいことはたくさんあるので、それがすべてではないという感じですね。

——オリンピックよりも「スケートボード人生の中でやりたいことがある」というのは、具体時にはどんなことなのですか。

西村碧莉:スケートボード自体は一生続けていきたいのですが、競技者としていつまでもいられるわけではないと思っています。それ以上にスケートボードを使った表現活動、例えば街中でスケートボードを滑る映像制作のプロデュースをするなど、次の世代に繋げるような動きをしたいとは考えています。

会場の盛り上がりは去年以上!?

——西村さんは以前、「『X Games』で滑る選手に憧れてスケードボードを始めた」と語っていました。西村さんにとって『X Games』は、どのような位置付けにある大会ですか?

西村碧莉:アクションスポーツでは世界最高峰の大会ですし、私も小学生の頃からこの場で滑ることを目指していました。今こうしてこの大会に出場して、世界のトップスケーターたちと競っているということ自体、夢みたいだと感じています。

——そんな憧れの大会が日本で開催されて、そこに出場するということに関してはどのように思っていますか。

西村碧莉:東京オリンピック以降、日本でもスケートボードが盛り上がっていると感じてはいますが、まだまだ海外に比べれば知られていない部分があります。そういった意味では今回の日本開催には大きな意味があると思いますし、日本のファンの皆さんに体感いただけることは、とても楽しみにしています。

(C)齊藤 僚子

(C)齊藤 僚子

——今回、初めて『X Games』を直接見て、体験するという日本のファンの方もいると思います。そんな人たちにパフォーマンスを通じて、どのようなことを伝えたいですか。

西村碧莉:初めて見る方にとっては、スケートボードの技の難易度などはわからないかと思います。それよりもまずは、全員が楽しそうに滑っている姿や表情を見てもらいたい。海外からの選手も含め、一人ひとり違ったスタイルで滑りを楽しむのがスケートボードの魅力ですし、それを会場で感じることで、観客の皆さんも一緒に楽しい気分になってもらえればと思います。

——その選手たちの楽しそうな雰囲気は、東京オリンピックで初めてスケートボードを目にしたという人の印象にも残っています。

西村碧莉:大会に出ればお互いにライバル同士ですが、普段は選手みんなスケートボードを一緒に楽しんだり、外で遊んだりする友達です。そういった楽しいムードで競技が行われるのは、スケートボードならではなのかなと思います。

——「一人ひとり違ったスタイルで滑りを楽しむ」ということですが、西村さんのスタイルはどんな感じですか。

西村碧莉:自分ではよくわからないのですが、周りからは「ガールズスケーターっぽくない」といわれます。女子選手の滑りには、男子選手にはない独特の可愛らしさがあるのですが、私の滑りにはそれがあまりなく、「カッコよさ」が目立つスタイルに見えるようです。「顔がクールすぎて緊張していなさそう」ともいわれるんですけど、内心はすごい緊張していて、心臓が爆発しそうな感じなんですけどね。

選手個々のスタイルは普通に滑っているだけでも違いが分かると思いますが、技に挑戦したときに差が出やすいので、同じ技でも選手によって全然違った印象に見えます。そういうところを楽しむのも、スケードボードの見方の一つです。

——友達であり、ライバルという選手の中で、特に注目すべき選手はいますか。

西村碧莉:個人的に「この選手」と絞ることができないのですが、海外の選手は全般的にレベルが高いですし、オリンピックで金メダルを獲った西谷椛選手も出場します。コロナの影響があった昨年の開催と比べると、今年は世界から有力な選手が集まるので、技を決めたときの会場はもっと盛り上がるのではないかと思います。

——パフォーマンスを見守る観客側も、ようやく応援の規制が取れてきました。会場の盛り上がりというのも、アスリートとしては気になりますか。

西村碧莉:そうですね。やはり観客の皆さんの応援によって、スケーターたちも気分良く滑ることができますので、そこは滑る方からしたら重要だと思います。

(C)齊藤 僚子

(C)齊藤 僚子

選手同士が高め合う姿を会場で見てほしい

——『X Games Chiba 2023』への来場を予定しているファンの方々にメッセージをいただけますか。

西村碧莉:実際に会場に来てもらえるとわかると思いますが、目で見る印象のほかに、例えばボードを弾く音、グラインドをしている音など、耳で感じる迫力もスケートボードの醍醐味の一つです。そんな臨場感を会場でぜひ感じてもらいたいですね。

とにかく今回の『X Games Chiba 2023』はスケートボードの世界最高峰の選手たちが集まる貴重な機会です。一流選手たちのパフォーマンスを実際に目で見て、スケートボードにもっと興味を持ってもらえたら嬉しいですし、自分自身もそう感じてもらえるような滑りができたらと思っています。

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