『ヴァグラント』『FACTORY GIRLS』「3LDK」アミューズの注目作品&ユニットが集合 日比谷フェスティバルレポート

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2023.5.1
a new musical『ヴァグラント』出演者たち

a new musical『ヴァグラント』出演者たち

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数多くの劇場が集まる日比谷・銀座の街を舞台に、2018年より開催されている『日比谷フェスティバル』(NESPRESSO presents Hibiya Festival 2023)。ミュージカルや伝統芸能、オペラ、器楽といった様々なエンターテイメントの熱気を劇場から街へ解き放ち、都市とエンターテインメントと人を繋げている。2023年4月30日(日)に行われたステップショーの様子をお届けしよう。

a new musical『ヴァグラント』

平間壮一

平間壮一

廣野凌大

廣野凌大

本作は、ポルノグラフィティのギタリストである新藤晴一がプロデュース・原案・作曲・作詞を手がけるオリジナルミュージカル。この日は新藤と平間壮一、廣野凌大、小南満佑子、山口乃々華、水田航生、美弥るりかが登場。

和の要素とロックの要素が入り混じった粋で華やかな「祝い唄」、トキ子(小南満佑子・山口乃々華)、政則(水田航生)、譲治(上口耕平)という幼なじみの3人が歌う詩的な言葉が印象的な「月の裏側」、佐之助(平間壮一・廣野凌大)の熱さや葛藤を感じさせる「マレビトの矜持」が披露された。この日公開されたビジュアルと合わせてイメージが広がり、作品への期待がグッと膨らむ。

新藤晴一

新藤晴一

パフォーマンスの後は新藤も参加し、本作が始動したきっかけや楽曲についてのトークが行われた。まずは観客を前に初披露した楽曲について聞かれ、新藤は「これからどんどん進化していくと思うけど、皆さんに歌ってもらったことで曲がイキイキして感動しています」と笑顔に。緊張していたという廣野をはじめとするキャスト陣も「良かった!」と胸を撫で下ろす。

この企画は、新藤が2019年にロンドンで『メリーポピンズ』を観て改めて魅力を感じ、「自分は曲も歌詞も小説も書く。簡単なことではないけどチャレンジできるかも」と思い立って周囲に相談したことから始まったそう。ポルノグラフィティとして追求する音楽とは違い、物語が呼ぶ音楽を作りたいと感じて取り組んだ結果、今まで作ってこなかった音楽ができたという。

新藤から「逆に、普段ミュージカルの曲を歌うことが多いみなさんがロックやポップス寄りの歌を歌うのはどうなんですか?」と質問されると、平間は「オリジナルで、日本語で書かれた日本語のための楽曲なのでお芝居もやりやすいしすんなり言葉が入ってくる」と答え、美弥も「翻訳だと日本語に無理がある場合もあるけど、言葉に合わせて音楽があると歌っていて気持ちいい」と話す。

また、新藤はミュージカルに挑戦したからこその気付きもあったそうだ。その一つが楽曲で使用する音域。「歌いやすい名曲は1オクターブ半くらいに収まった上で豊かなメロディーがあることが条件らしい。でも、俺が作ってあいつ(岡野昭仁)が歌ってる曲は、その倍くらい(笑)。歌いにくいんだってことを最近学びました。だからこのミュージカルでは比較的まともにしたけど、でも広いですね。これから大変なところがどんどん出てくると思います」とハードルを上げる。これに対し、廣野は「(ポルノグラフィティ)第3のメンバーになれるように頑張ります!」とボケて笑わせていた。

左から小南満佑子、水田航生、山口乃々華

左から小南満佑子、水田航生、山口乃々華

歌唱の感想を聞かれた山口は「とても綺麗なメロディーだけど歌詞は生々しさもあって、物語を知るとより深みが増す楽曲なんだろうなと思いながら歌いました。新しいけどどこか安心するようなメロディーで、歌っていて楽しかったです」と語る。小南も「今日は3曲だけでしたが、作品の世界観などが詰まった楽曲で、私もいちミュージカルファンとして楽しみです。演劇界に新しい風を吹かせられるような作品になるんじゃないかと思います」と自信を覗かせた。

そんなキャスト陣の姿に、新藤は「歌唱指導や振り付けの方が指摘や指示をすると、皆さんすぐやるのでびっくりしました。ミュージカル俳優はあんなに一瞬で入るものなんですね」と驚きつつ、「僕がミュージカルファン目線で書いた曲を今日聞けて、このミュージカルを観たいと思いました」と仕上がりに期待を寄せる。アーティストのライブにはない長い稽古期間にも興味津々なようで、「これだけ歌えて踊れて物語の理解力も高い人たちが、これから1〜2ヶ月稽古するんでしょう。ありがたいですね。絶対見に行きたいし仲良くしてもらいたい!」と笑顔を見せた。

左から美弥るりか、廣野凌大

左から美弥るりか、廣野凌大

最後に平間が「この作品の登場人物は、1人1人が悩みや不安を抱える人間。誰もが持っているような闇と立ち向かい、どんな人と出会ってどんな変化が起きるのかを描いています。みんなが仲間になって、最後は一緒に盛り上がれる舞台にしたいし、何かの力になればいいと思っています」と語り、最後に様々なメッセージや問いかけが詰まった「あんたに聞くよ」というナンバーでステージを締め括った。

>(NEXT)『FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜』

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