大阪松竹座開場100周年記念 劇団創立75周年『松竹新喜劇 五月新緑公演』初日開幕
(左から)曽我廼家桃太郎、曽我廼家一蝶、藤山扇治郎、渋谷天笑、曽我廼家いろは、渋谷天外
2023年5月13日(土)大阪松竹座にて『松竹新喜劇 五月新緑公演』が開幕した。
劇団創立75周年を迎えた本年は、歿後40年となる舘直志による傑作喜劇『花ざくろ』、『三味線に惚れたはなし』の豪華の2本立て。また本公演より長年劇団をけん引してきた渋谷天外が代表を勇退し、藤山扇治郎、渋谷天笑、曽我廼家一蝶、曽我廼家いろは、曽我廼家桃太郎の若手5名が軸となる新たな劇団体制でのスタートとなる。
開演の前に劇場前にて出演者による初日ご挨拶と、渋谷天外から大きなバトンの贈呈が行われ、温かな声援が送られる中、終始にぎやかな雰囲気でイベントを締めくくった。
藤山扇治郎 コメント
今回『花ざくろ』で主人公を演じさせていただきます。5月21日は祖父、藤山寛美の命日でございます。一生懸命精進して、祖父のようにお客様に喜んでいただけるよう頑張ります。
渋谷天笑 コメント
天外さんから受け取ったバトンをしっかり握りしめて、全力で走り抜けたいと思います。皆様、松竹新喜劇を応援してください。
曽我廼家一蝶 コメント
道頓堀で生まれた劇団、我々劇団員一丸となって、100周年目指して頑張りたいと思います。応援のほどよろしくお願いします。
曽我廼家いろは コメント
本日初日迎えることとても嬉しく思っております。私は『花ざくろ』では藤山扇治郎さん演じる三次郎の嫁、加代子を演じさせて頂きます。劇団の名作のお役に挑むことにとても緊張しておりますが、今だからできる、今しかできない『花ざくろ』を皆様にお届けできるよう頑張ります。
曽我廼家桃太郎 コメント
大阪松竹座開場100周年、松竹新喜劇75周年、桃太郎のお話が今から約600年前の室町時代、桃太郎のモデルになった吉備津彦命(きびつひこのみこと)が活躍していたのが2300年前のなんと紀元前3世紀頃らしいです。これらのように松竹新喜劇も今後ずっと頑張っていきたいです。
渋谷天外 コメント
渋谷天外
このたび劇団代表という座を退かせていただきました。70歳の老人がやっているよりも若い方に引っ張ってもらおうということで、今までの荷を肩から下ろさせてもらいました。彼らが今後頑張っていってくれると思うので、今後もどうぞ応援のほどよろしくお願いします。今まで長い間ありがとうございました。
髙田次郎 コメント
髙田次郎
今年91歳になります。芸能生活70年になります。松竹座開場100周年記念、松竹新喜劇75周年となり、これからの益々の発展を祈念いたしまして、手締めをさせて頂きたいと思います。ありがとうございました。
今回の『花ざくろ』は、昭和39年5月中座で初演され、度々再演を重ねている劇団の財産演目の一つ。
初演時の配役は植木職人の垣山三次郎に藤山寛美。以降、昭和41年に金田龍之介が1度演じた以外、生前すべて藤山寛美が演じた三次郎を、今回孫の藤山扇治郎が初めて挑んだ。
三次郎の嫁・加代子を、曽我廼家いろはがつとめ、使用人の平川に曽我廼家一蝶、園主高橋に渋谷天外といった二人を取り巻く登場人物たちとの掛け合いに、客席からは笑い声が。
優しい三次郎が一変して怒りを露にする場面では、圧巻の演技に客席は引き込まれ、最後は大きな拍手に包まれた。
(左から)曽我廼家いろは、藤山扇治郎、渋谷天外
(左から)曽我廼家一蝶、藤山扇治郎
(左から)藤山扇治郎、曽我廼家いろは
続く、『三味線に惚れたはなし』は、三味線の音色にのって、大工仲間たちが大騒動を巻き起こす時代物の喜劇。
佐野屋の娘・お静に惚れてしまう鶴吉を渋谷天笑、その鶴吉の相棒である亀吉を曽我廼家寛太郎、弟分の竹公を曽我廼家桃太郎が演じた。
(左から)曽我廼家一蝶、藤山扇治郎
(左から)曽我廼家桃太郎、渋谷天笑、曽我廼家寛太郎、山本喜楽、里美羽衣子、曽我廼家一蝶
前_曽我廼家寛太郎、左_曽我廼家桃太郎、右_渋谷天笑
昭和55年に南座で『顔と声』のタイトルで上演されて以来、実に43年ぶりの上演となる本作は、川浪ナミヲが演出を手掛けた。
松竹新喜劇らしい泣き笑いの芝居で観客は大盛り上がり。公演は温かく賑やかな雰囲気の中、初日が開幕した。