Hello Sleepwalkersが結成15年で迎えた大きなターニングポイント、現体制ラストワンマン『アルストロメリア』に込めた想いとは
シュンタロウ(Hello Sleepwalkers)
男女ツインボーカル、トリプルギター、ジャンルを超えて独自のミクスチャーを繰り返す、唯一無二のロックバンド。Hello Sleepwalkersがこの夏、大きなターニングポイントを迎える。オリジナルメンバーのユウキ(Dr)の脱退に伴う、現体制でのラストワンマンライブ『アルストロメリア』が、7月28日に大阪バナナホール、30日に東京・恵比寿リキッドルームで開催されることが決まった。突然訪れた新たな旅立ちを前に、メンバーは何を考え、どんな未来を見ているのか。バンドの頭脳でありソングライターのシュンタロウ(Vo&G)に、ライブを前にした現在の心境を包み隠さず語ってもらおう。
――結成15年のバンドにとって、大きなターニングポイントが訪れました。ユウキくんの脱退はいつ頃、どういうふうに伝えられたんですか。
去年の12月か今年の1月だったと思うんですけど。バンドっておんなじ生き物だなと感じていて、おんなじ方向を向いていないといけないし、おんなじ歩幅で歩かなきゃいけないし。そこに対する熱量やモチベーションを保つために、すごい力がいると思うんですけど、それがキツくなってきたのかな?というのはあります。身体的にもですけど、特に精神的に。でも僕も、夜中に曲を作ってる時とか、「もうやめたいな」と思うこともけっこうあるんで、(ユウキの)気持ちはとてもわかるというか。納得したわけではないけど、飲み込めた気はしたんですけど、まだ実感はそんなにないです。これからたぶん、スタジオのちょっとしたこととか、日常の生活の中で、「ああ、ユウキ、やめたんだな」ということを感じていきそうな気はしてます。もう十何年の付き合いで、一緒に住んでた時期も10年ぐらいあって、生活も、音楽に関しても一緒にいたんで、それがパッといなくなるのはなかなか想像出来ないというか。実際、(ユウキは)引っ越して、もういないんですけど、それでもまだあんまり想像できないです。だから、たぶんライブですね。ライブが終わった後とかに、実感するかもしれないです。
――ツイッターとかを見てる限りでは、ユウキくんは元気で、ラストライブも頑張ります!という前向きなテンションに見えてるんですけどね。言葉としては。
そこに向けては、全然前向きに出来ると思ってるんですけど。この先どれくらいかわかんないですけど、(バンドを)続けていくとなった時に、たぶんユウキはそれが出来ないと思って、バンドのためを思って、「やめたい」と伝えたと思います。特に、年を重ねるごとに、それ(バンドを続けること)がどれだけ大事か、みんな実感してるというか、体で体感してると思うんで。それもあって、特に考えることが多くなったのかなと思います。
――あえて音楽的、バンド的な話をすると。ハロスリはシュンタロウくんの描くビジョンが一番大事なもので、とても優秀なメンバーがそれをしっかりサポートしてくれる、そういう形のバンドだと思っていて。音楽的なリーダーはシュンタロウくんだと思うし、でもメンバーとしては横一線というか、みんなが平等に発言権を持っているバンドでもあって。そのバランスが今後どうなるのか、そこがかなり気になってます。
そこはかなり難しいところで。曲って、気を使い出すと、つまんなくなると思ってて。メンバーとか、リスナーの人に対して。「俺はこの曲がやりたいから、一緒に野垂れ死のうぜ」みたいな感覚があるんですよ。「もしこれが駄目だったとしても」って。活動における責任感は、みんなでシェアしないといけないんですけど、音楽的に考えると、それとは矛盾するというか、一緒に責任を持とうとすると、つまんなくなるなと思うんで。そこは逆に、尖っていかないといけないんで。そのバランスは難しいです。
――そういう意味で、5人のハロスリはとてもいいバランスのバンドだったと思います。
そうですね。音楽的には、僕が「これは難しいかも」と思って作ったフレーズを、普通に叩いたり弾いたりできるし、それを超えることをレコーディングでしようとするんで。そのへんが面白いですよね、人と一緒に音楽をやるというのは。
――そうですね。まさに。
特に、ユウキはずっとうまかったです。初めて見た時から、ずっとうまい。2歳の時からドラムをやってて、父親が音楽が好きで、父親がやっているスタジオで練習したりして。小学校の時に見たのかな、最初に見た時も、ビビったんですよね。僕もギターを始めてて、けっこうイキってたんですよ、「俺はポール・ギルバートよりうまい」とか言って(笑)。でもそんなわけはなくて、その後、中学校ぐらいでドラムを始めた時も、ユウキはもうバンドをやってて。ユウキの親子と、別の家の親子の4人で、ベンチャーズの曲をやってて、「これはなんだろう」と思って、初めて衝撃を受けて、ビビリちらかして。
――そんな頃から知ってるんですね。
その後はけっこう空いて、僕が高校ぐらいの時にまたしゃべるようになって。うまいのは知ってたし、かっこいいなとずっと思ってたんで、僕からお願いして、そこから今日までやって来たという感じです。
――そんなに長く一緒にいたのなら、やめると言われて、なかなか実感が湧かないのはわかります。
そうなんですよね。毎日一緒にいると、それが普通の生活になっていくから。たぶん、ほかのメンバーも、そこまで実感ないんじゃないかなと思います。そのへんは、これからだと思います。
シュンタロウ(Hello Sleepwalkers)
――気が早いですけど。今後については、サポートを入れるという形になりますか。
はい。何人かサポートの方をお願いして、やっていこうかなという感じです。もうスタジオも入ったんですけど、「ドラマーによってこんなに違うんだ」って、めちゃくちゃ感じてて。僕はユウキのドラムしか知らなかったんで、まず音の大きさが違うとか、「ユウキがHello Sleepwalkersのドラムだったんだな」って、めっちゃ感じました。「ユウキの音に乗っかって来てたんだな」って、それはこの間、スタジオに入って思いました。まあでも、これからはまた違った形で見せて行けたらと思うし、4人の力というものが、5人の時は20%だったけど、これからは25%ずつになるというか。
――曲作りも、少し変わりそうですか。
そこが今、ちょっと悩んでるというか。そこまで考えた曲作りを、今までしてこなかったんで。メンバーどうこうを別に考えていないというか、けっこう何でも対応してくれるんで、「とりあえず作ってみるか」とか、そういうものもあると思うし。逆に、ユウキが過去に叩いた曲が、今後に影響してくることもあるだろうし。まあなんとなく、いなくなっても別に、音楽的には「いる」ような気がしてます。今作ってる曲的には。
――実は、さっきここに来て初めて聞いたんですけど。現体制ラストライブに合わせて、新曲をリリースするんですよね。いきなり知らされて、びっくりしました。
それ自体は、ユウキのパートはなくて、4人でユウキに贈ろうという曲です。ユウキの脱退はその後なんで、Hello Sleepwalkersとして出すんですけど、ユウキのパートは作らなかったです。アコギ2本と、歌二人と、エレキ1本、ベース1本で。昨日(7月4日)に録り終えて、完成は今週中です。
――アコースティックっぽい感じですか。すごく気になります。
人に曲を作るって、提供とかじゃなくて。人に思いを込めて歌うことは、今までそんなになくて、自分のことが一番多いんですけど。だから、どうなるんですかね。「ナルミが泣かないように」って、ずっと言ってるんですけど。泣きがちなんで、ライブで。ちゃんとこれを届けて、やり切ったという気持ちで、終わってほしいなと思います。
――どんな歌詞ですか。一目で、ユウキくんに贈る歌だとわかる感じ?
はい。けっこう直接的なんで。パッと聴いたら、ラブソングなのかな。でも、その状況で聴いたら、わかると思います。夜中に歌詞を書いてて、泣きそうになりながら書いてました(照笑)。なかなか、人に書くのってこういう感じなんだ、と思いながら。そういう辛さもありつつ、めちゃくちゃいい曲になったと思います。ユウキがやめるということ自体に関して、間違いか?といったら、そうでもないと思ってて。人生的に、大きく見ても、やめたから世界が終わるとか、そういう話でもないと思うし。やめると言っても、僕らと道が離れていくだけで、これからも一緒に歩き続けていこう、みたいな気持ちで作りました。
――その言葉を聞いて、安心しました。道は分かれるけど、気持ちは一緒に歩き続ける。
みんな、もともと友達だったんで。そこは、今までやってきたことと変えようという意識はなくて。「Hello Sleepwalkersはこうやってきたよね」というものを、続けていきたいというか。そして、もう少し時間が経ったら、ちょっとずつ形が見えてくるのかなと思います。急にどうこうというのは、特に考えてないです。今のところは。活動休止(2018~2021年)の時も思ったんですけど。待ってくれてる人がいる以上、止まるべきではないということを、常々思ってるので。次に向かって、お互いの新しいスタートだと思うんで。そういう意味でも、次に向かうスピードは速いほうがいいのかなと思って、新しい曲を日々作っているという感じです。