9mm Parabellum Bullet『RUSH BALL 2023』ライブレポートーー研ぎ澄まされた9曲で魅せる5年ぶりの舞台
9mm Parabellum Bullet 撮影=田浦ボン
『RUSH BALL 2023』9mm Parabellum Bullet
SEにセレクトしたAtari Teenage Riotの「Digital Hardcore」の轟音が会場中に響き渡り、観客の期待を煽る。「『RUSH BALL』!!」と菅原卓郎(Vo.Gt)が声高らかに叫び、1曲目「太陽が欲しいだけ」へ。タイトルのまま、太陽が熱を帯びてじわじわと高くなっていくようなイントロが観客のテンションを昂らせていく。緻密に作り込まれた滝善充(Gt)のギター、ストイックにビートを刻むかみじょうちひろ(Dr)、腹の底からぶつけていく中村和彦(Ba)のリズム。たった1曲で、9mm Parabellum Bulletが何たるかを見せつけていく4人。
「All We Need Is Summer Day」では内側に籠もる熱を放射させつつも、夏の終わりの切なさや悲哀に似た感情を美しくも疾走感あるギターロックで表現。『RUSH BALL』が終わると、楽しかった夏が終わるな、なんて切なくなる。この1曲にその思いがぎゅっと詰まっている。最高の気持ちをキープしたままそのままでいてほしい……と思うけど、次曲「The Revolutionary」でさらにその刹那が激昂に代わり、もっともっと音をぶつけてくれ! と欲が出てしまう。
9mm Parabellum Bullet
2009年の初登場から今年で4回目の出演となる彼ら。前回が『RUSH BALL』20周年のときで、今日がそれ以来5年ぶりの登場に。久しぶりの出演を喜びつつ、5年の空白にちょっと物言いをつける菅原。それでも、今年はバンド結成19周年、さらに9月19日(火)には9年ぶりとなる日本武道館公演の開催が控えている彼ら。「9」は彼らにとって大事な数字ということもあり、もっとお祭り気分を楽しんでほしいと、8月9日(水)にリリースした12thシングル「Brand New Day」を披露。疾走感はもちろん、瑞々しいのにちょっぴり懐かしさもあって、彼らにしか出せない9mmサウンドに心が奪われる。
9mm Parabellum Bullet
ステージ後半は「いくらでも喰らいなさい!」と、「Black Market Blues」、「新しい光」とキラーチューンを連投。美しい轟音と怒涛のギターロックサウンドは清々しくも、バンドの進化もきっちりと体感できる音ばかり。ラスト「Punishment」はもうしっちゃかめっちゃか、音が振り乱れるように鳴り響いていて、観ているこちらが痙攣しそうなくらいの凄まじい音の洪水。それでも驚くほど美しい整合性があって、気付けば吸いこまれるように彼らの音世界に漬けこまれていた。最新式の9mm Parabellum Bulletを見せつけ、全9曲のステージが終了。
やはり彼らは『RUSH BALL』の舞台が似合っている。次も5年後なんて言わず、早めのスパンでの出演をお願いしたい。
取材・文=黒田奈保子 撮影=田浦ボン
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