阿部史典インタビュー! 主催大会『ぼくらは格闘探偵団』に向けて意気込みを語る
僧侶レスラー・阿部史典は、いまや『ジュニア夢の祭典』から居酒屋でのマットプロレスまで、幅広い活躍ぶりでプロレス界の人気者に。2015年、名古屋の団体スポルティーバエンターテイメントでデビューした阿部が、2022年末にプロレスリングBASARAを退団してまでやりたかったことこそが、今回の『ぼくらは格闘探偵団』の開催だった。
プロレスとの出会い、"B"に傾くきっかけから現在に至るまで、そしてこの興行に懸ける想いとは何か? 阿部選手に話を聞いてみた。
「野村となら現在進行形の『B』を見せられる!今のプロレスファンに見せたい格闘芸術」
――阿部選手がプロレスラーとしてデビューした時には既に格闘探偵団バトラーツは解散していましたが、どういう経緯でバトラーツを知ったのですか。
阿部:僕は小学生の頃からプロレスが好きで、WWEが好きだったのでスネークピットジャパンに通って、そこで澤宗紀さんに会って澤さんの試合を見に行ったのがきっかけでした。「何だろう、この人面白いな」と思ってさかのぼったら、結果的にバトラーツに繋がったっていう感じです。そもそもスネークピットもプロレスごっこができると思って行ったら澤さんや鈴木秀樹さんがいて、プロレスはレスリングだって知ったのも後追いなので。
――どうやってさかのぼったのですか。
阿部:お寺で修行してた頃は時間がいっぱいあったので、昔の映像をいっぱい見ましたね。その後スポルティーバで知り合ったタケシマケンヂ(元バトラーツ)さんが、引退前に石川雄規さんがいるカナダに行くっていうので一緒に行きたいですって2ヶ月くらい行ったりしました。朝まで石川さんにいろんな話を聞かせてもらって、それがまためちゃくちゃ面白くて。
――元々はWWEが好きだった阿部選手がバトラーツの映像を見て、どう思いましたか。
阿部:金の取れる喧嘩だなって思いましたね。人に伝わるような痛みが多い気がして。頭から突き刺さるとか普通の人にはあまりわからないじゃないですか。でも殴られる痛みはわかるし、「この野郎」っていうのがバトラーツにはある。漫画みたいだなって思いました。バトラーツを見て、プロレスラーって強いんだなって改めて思いましたね。
――今回『格闘探偵団』という興行を行うことになりましたが、いつ頃から考えていたのですか。
阿部:デビューしたときからずっと思ってました。でも自分の力が足りなくて、一番はやっぱり根底に技術がないといけない。ただ本気で殴ったり頭突きしたりするなら中学生でもできるけど、その中に技術があるっていうのが格闘芸術、バトル&アーツだと思うので。それを学びながらプロレスに落とし込む日々でした。
――このタイミングはようやく整ったということでしょうか。
阿部:今なら行けるんじゃないか、やっと行けるんじゃないかなって。石川さんたちだってそんなに時間があるわけじゃないし、今のプロレスに突き付けたかった。あと日高(郁人)さんが本当にいろいろなところにパイプを繋げてくれました。日高さんがいなかったらできなかったです。
――今回の興行に関して石川雄規さんには何と言われましたか。
阿部:石川さんがカナダから帰ってきて何回かその話をさせていただいたんですけど、バトラーツはやっぱりブランドだし、石川さんたちが作り上げてきたものだから、簡単に使って欲しくないし、やるんだったらちゃんとやって欲しいと。石川さんには「B」というものを使わせていただくのは本当にありがたいと思っています。
阿部史典と野村卓矢が石川雄規に出場オファー
――石川さんのどんな部分に惹かれますか。
阿部:プロレスって絶対に技の綺麗さじゃなくて、一番大切なのはやっぱり戦う気持ちや立ち向かう姿だと思っていて、それを一番凄い表現で見せてくれるのは石川さんだと思うんです。もう怖くなってしまうような、ああいう顔をやっぱり今のお客さんに見て欲しいんですよ。
――そんな中で阿部選手はメインイベントでアストロノーツのパートナーでもある野村卓矢選手と戦います。
阿部:深く考えてはいないんです、思い入れがあり過ぎるとあまり良くないので。野村が相手なら深く考えなくてもやりたいことをやれる。デビューしてすぐの頃からずっと一緒に練習してきて、野村とやることが一番新しいものだと思うんです。だって我々は何もバトラーツをかじっていないので。自分であり自分たちの積み上げてきたものがそういうものだと思っている。野村となら現在進行形のものを見せられると思ってます。
野村卓矢&阿部史典
野村卓矢&阿部史典
――野村選手とは何が一番共感できるんですか。
阿部:どうなんだろう、野村に聞いたことないですけど、感覚が似ているかなとは思います。でも一番は僕の練習に付き合ってくれたってことですね、野村さんも好きで来ていると思うので。プロレス入って良かったなと思うのは野村さんに会えたことですね。
野村卓矢&阿部史典
――この2人の戦いでお客さんに何を感じて欲しいですか。
阿部:僕は曖昧なものって面白いんだよっていう感覚があって、でも正直今のお客さんが見て何だよって思われるかもしれないし、それは不安です。プレッシャーはあります、蓋を開けてみたら中身を見られるのが怖いです。
阿部史典 vs 野村卓矢
――かつてのバトラーツを応援してきたファンを意識しますか。
阿部:そういう人たちが来て「何だよ」って思われたくないし、でも俺らがこういうことをやらなかったらそれを言える場所もなかったと思うんですよね。何より忘れられていってしまうのは悲しいなと思う。自分がこれだけ狂ったものなので今の人にも見て欲しいし、昔の人にも「まだこんなやつがいるんだ」って思って欲しいです。
野村卓矢&阿部史典
聞き手:三田佐代子
【対戦カード】
■メインイベント 30分1本勝負
阿部史典(格闘探偵団)vs 野村卓矢(大日本プロレス/格闘探偵団)
阿部史典 vs 野村卓矢
■セミファイナル 30分1本勝負
石川雄規(フリー)&関本大介(大日本プロレス)vs 池田大輔(フーテンプロモーション)&藤田ミノル(フリー)
石川雄規&関本大介 vs 池田大輔&藤田ミノル
■第3試合 30分1本勝負
スーパータイガー(ストロングスタイルプロレス)vs 矢野啓太(プロフェッショナルレスリングワラビー)
スーパータイガー vs 矢野啓太
■第2試合 30分1本勝負
日高郁人(ショーンキャプチャー)&タノムサク鳥羽(フリー)vs 佐藤光留(パンクラスミッション)&“brother”YASSHI(ダブプロレス)
佐藤光留&“brother”YASSHI vs 日高郁人&タノムサク鳥羽
■第1試合 30分1本勝負
鈴木秀樹(フリー)vs 飯塚優(GLEAT)
鈴木秀樹 vs 飯塚優