松竹の新アートスペース「SHUTL」東銀座に誕生、中銀カプセルタワービルのカプセル2基を再利用
SHUTL外観 撮影:archipicture 遠山 功太
10月7日(土)に中銀カプセルタワービルのカプセル2基を取得・活用し、東劇ビルの隣接地にオープンする新アートスペース「SHUTL(シャトル)」がグランドオープンし、 10月7日(土)、8日(日)の2日間は一般開放される。
SHUTL利用イメージ
同プロジェクトは、松竹グループのミッション「日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する」に基づき、歌舞伎座の再生、京都南座の耐震改修工事による保存など、歴史的建築物を次代に継承し、新たに利活用してきた当社による取組みの一環となる。同社が本社を構えている東銀座エリアを日本文化の発信拠点として発展させるべく、実験的な取り組みとして、東劇ビル隣接地の利用を通じ、日本文化の中でも日常生活には欠かせない「モノ」とそこから生まれる「コト」にスポットを当てた新規プロジェクトをおこなっている。
中銀カプセルタワービル(提供:中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト)
その中で昨年に解体された建築家・黒川紀章の代表作「中銀カプセルタワービル」を構成していたカプセルを2基(オリジナルの内装を保持した状態と、内装を取り払ったスケルトン状態を1基ずつ)取得。今回オープンする「SHUTL(シャトル)」は、伝統と現代の新たな接続方法を生み出す実験場(ラボ)として、伝統文化と現代のカルチャーの融合、そして日本文化そのものの新陳代謝を促進することを目的としている。新設した建物内に2基のカプセルを収納し、それぞれのカプセルを活用しながら美術・工芸作品の企画展示・販売や、映像上映などを通じたイベントの企画・実施を予定。この場所で現代の表現者が日本文化と出会い直し、自らの表現と伝統を結びつけることで、「未来のオーセンティック」を生み出す実験場(ラボ)として機能する。
あわせて最初の自主企画展示として、施設のコンセプト「未来のオーセンティック」を体現するシリーズ展示企画「伝統のメタボリズム」を開催。10月13日(金)から始まる同シリーズでは、「未来のオーセンティック」を体現する企画として、伝統という概念そのものを問い直し、新陳代謝を促進するさまざまな表現を「言葉と文字」「様式の変容」「見立て」の3期にわたって紹介する。
■シリーズ第1期展示『伝統のメタボリズム~言葉と文字~』
2023年10月13日(金)~11月5日(日)に開催される、シリーズの第1期展示となる『伝統のメタボリズム~言葉と文字~』展では、コミュニケーションやアーカイブにおける基本要素である「言葉」と「文字」の輪郭と変化に着目。他者と繋がり、生活するうえで不可欠な要素である「言葉」と「文字」が、これからどのような変化を遂げていくのか。そして未来のオーセンティックとなり得る新しいコミュニケーション手段がどのように出現していくのか。同展は、そのような問いから現在形の「言葉」と「文字」のありようを見つめ、伝統が更新される予感を可視化する。
詩、現代美術、デザインというカテゴリーからアーティスト・クリエイターを選出。デジタルネイティブ世代の詩人として『現代詩手帖賞』や『中原中也賞』等を受賞し、詩という表現ジャンルで多彩な活動を展開する最果タヒ+展示デザインを手掛ける佐々木俊。2010年からSNS上で匿名のアーティストとして活動し、泣き笑いの絵文字を用いた代表作「The Laughing Man」をはじめ、さまざまなメディアを駆使したコンセプチュアルアートで国内外で注目を集める松田将英。そしてSHUTLのロゴデザインをはじめ、関西から日本のみならず世界にその存在感を発揮している新進気鋭のデザイナー三重野龍。三者それぞれが今回のテーマに応答した作品を発表する。
■シリーズ第2期展示『伝統のメタボリズム~様式の変容~』
撮影:archipicture 遠山 功太
2023年12月15日(金)~2024年1月21日(日)に予定されているシリーズの第2期では、古来から引き継がれている「様式」が残る日本画と陶芸というジャンルに身を置きながら、オリジナルの視点で挑戦を続ける2名のアーティストを選出する。
1987年に生まれ、京都を拠点に活動、素材や流派の様式といった伝統的な「日本の絵画」に新しい技法を加えることによってその可能性を追求している品川亮。1996年タイに生まれ、器物作品とそれらを用いたインスタレーション作品の制作を通じて「工芸とアート」の関わりについて言及する野田ジャスミン。「様式」が形作る伝統に自らの手法を投げかけ、まさに「伝統のメタボリズム」を体現する新進気鋭の両名がテーマに応答した作品を発表する。
それぞれ入場料は無料。
施設情報
撮影:archipicture 遠山 功太
撮影:archipicture 遠山 功太
撮影:archipicture 遠山 功太
撮影:archipicture 遠山 功太