服部百音、角野隼斗、津田健次郎出演『ボストン・ポップスon the Tour 2023 ジョン・ウィリアムズ・トリビュート』日本公演 東京公演のオフィシャルレポートが到着
10月8日(日)、3日目のプログラムは「STAR WARS:The Story in Music」で、ストーリーテラーとエピソード1から9までの名曲たちが観客を『スター・ウォーズ』の世界へと誘う。全エピソードから惜しむことなくお届けする内容ということで、コアな『スター・ウォーズ』ファンも納得の構成になっている。
開演時間となり、ジョン・ウィリアムズのインタビュー映像が流れた後、公演ナビゲーターの笠井信輔アナウンサーが登場し、1970年代に『スター・ウォーズ』が生まれた背景から2019年に公開された『エピソードIX:スカイウォーカーの夜明け』までの壮大な物語のこと、その壮大な物語のために作られた映画音楽が素晴らしいもので、それは歴史に残る偉大な創作であることを伝えた。
そして、笠井アナの呼び込みで、指揮のキース・ロックハートがステージに登場した。「ボストン・ポップスで20年ぶりに日本の皆さんに素晴らしい音楽を聴いていただけるので大変嬉しいです」と今の心境を答え、『スター・ウォーズ』シリーズにおけるジョン・ウィリアムズの音楽の素晴らしさ、偉大さについて語った。
笠井信輔
笠井信輔
そして、キース・ロックハートに向けて“May the Force be with you”という名ゼリフでコンサートの成功を願い、ストーリーテラーを務める声優・俳優として活躍している津田健次郎にバトンタッチして、ステージから退いた。津田はアニメ「チェンソーマン」「呪術廻戦」をはじめ、多くの作品に参加しているほか、『スター・ウォーズ』シリーズでもカイロ・レン役の日本語吹替を担当しており、日本の『スター・ウォーズ』ファンにもお馴染みということで、まさにストーリーテラーにうってつけの存在と言える。
キース・ロックハートが「皆さんご存知の通り、全てははるか遠い銀河の彼方で始まります」と日本語で伝え、英語で“A long time ago, in a galaxy far, far away…” とオープニングで流れるフレーズをきっかけに「スター・ウォーズ」のメインタイトルが会場に響いた。
津田健次郎
津田健次郎
津田の語りと音楽が交互に綴られていくスタイルで、「エピソードI:ファントム・メナス」に始まり、「エピソードII:クローンの攻撃」「エピソードIII:シスの復讐」「エピソードIV:新たなる希望」「エピソードV:帝国の逆襲」までを第一部、休憩を挟んで「エピソードVI:ジェダイの帰還」「エピソードVII:フォースの覚醒」「エピソードVIII:最後のジェダイ」「エピソードIX:スカイウォーカーの夜明け」までを第二部として披露した。第二部のオープニング曲が「ジャバ・ザ・ハット」だが、この曲にはチューバのソロがあり、その担当が日本人の楽団員・萩原崇丞氏ということで、曲終わりにキース・ロックハートが萩原氏を紹介するという粋な計らいも見られた。
最初のうちは観客が遠慮して拍手を躊躇っていたりしたが、途中でキース・ロックハートが観客に“拍手をしてもいいよ”と手で合図を送り、そこからは楽曲が終わるたびに大きな拍手が会場を包んだ。物語が進み、「エピソードIX:スカイウォーカーの夜明け」の最後の曲「スカイウォーカーの夜明け」の演奏が終わるやいなや観客たちが立ち上がってスタンディングオベーションで気持ちを伝えた。
津田健次郎
笠井信輔、津田健次郎
カーテンコールでキース・ロックハートが再びステージに登場した直後、ステージ袖から花束を持って、初日のゲストとして出演したヴァイオリニストの服部百音が現れた。完全なサプライズだったらしく、キース・ロックハートも驚いた表情を見せたが、笑顔で花束を受けとり、感謝の気持ちを込めて抱擁すると会場に大きな温かい拍手が鳴り響いた。
終演後、公演ナビゲーターの笠井に話を聞くと「私は中学生の時にテアトル東京で最初の作品を観て、それ以降も劇場で公開されるたびに観てきました。そんな自分が、まさかジョン・ウィリアムズのオーケストラがパフォーマンスするコンサートで導入の進行役を務められるなんて予期していませんでした」と終演後も興奮が冷めやらぬ様子。そして、「『スター・ウォーズ』シリーズはこれまでに映像は技術の進歩と共にいろいろ手を加えられたり、修復されたりしてきていますが、音楽は変わってないんです。 ジョン・ウィリアムズは作品が進んでいくにつれて音楽で世界を広げていっているんです。今日、聴かせてもらってジョン・ウィリアムズの音楽の偉大さを改めて感じました。オープニングでロックハートさんに質問をさせてもらいましたが、その中で、『時代によって重要な作曲家として考えるならば、ベートヴェンがその時代で重要だったのと同じように、ジョン・ウィリアムズは今の時代における重要な作曲家だ』と話されていました」と、ジョン・ウィリアムズの偉大さを再確認したとも語っていた。
ストーリーテラーを務めた津田健次郎も「本当に楽しかったです! あまりリハーサルをする時間はなかったのですが、音楽と僕が語るお話とずっとバトンリレーをしているような感じが気持ちよかったですし、メインタイトルが流れた瞬間に一気にテンションが上がりました!」と大興奮。「ボストン・ポップスさんの音楽が主役ですから、お客さんがいかに気持ちよく音楽を聴けるかを考えました。それがストーリーテラーの役目だと思いましたから、うまく橋渡しが出来ていたのであればよかったなって思いますね。 とはいえ、ステージの上で、オーケストラの真横で音楽が聴けるという貴重な体験が出来て最高です。時系列での物語になっていたので、『スター・ウォーズ』全体の物語のテーマを改めて感じることもできましたし、最後のエピソードになった時にはグッと胸にくるものがありました。またボストン・ポップスが来日した時にも、このプログラムを演奏してほしいと思いましたし、その時にまたストーリーテラーとして参加できたら嬉しいですね(笑)」とボストン・ポップスとの再共演を熱望。
そして、ボストン・ポップスを率いたマエストロ、キース・ロックハート。3日間の東京国際フォーラム公演を終えた心境を聞くと「疲れました(笑)。でも、素敵な会場で音楽が出来ましたし、3日間4公演で1万8000人に音楽を届けられたことがとても嬉しいです」と笑顔を見せた。そして「12日にはまた服部百音さんとの共演もありますし、大阪でのコンサートも楽しみです」と12日・13日に控えている大阪公演を楽しみにしていると答え、「今度は20年も経たないうちに日本に戻ってきたいと思っています」とファンに嬉しいメッセージも届けてくれた。
「ボストン・ポップス on the Tour 2023」日本公演は、10日(火)にサントリーホールで井上芳雄をゲストに迎えての公演を行い、12日(木)と13日(金)の2日間は大阪・フェスティバルホールで「ジョン・ウィリアムズ・トリビュート」(12日・ゲストはヴァイオリニストの服部百音)、「STAR WARS:The Story in Music」(13日・ストーリーテラーは浪川大輔/公演ナビゲーターは東京公演同様、笠井信輔)が、開催される。
文=田中隆信 写真=福岡諒祠(GEKKO)