竹内唯人・VILLSHANA 男同士のリアルを綴った新曲の制作秘話からプライベートまで、この2人だからこそのありのままを語る
VILLSHANA / 竹内唯人 / Aile The Shota
2019 年にABEMAの恋愛リアリティショー「オオカミちゃんには騙されない」に出演し、スタイリッシュなヴィジュアルと気さくなキャラクターとのギャップで同世代からの注目を集める竹内唯人。10月25日に配信された新曲「ゼロセンチ」では、竹内と親交深いVILLSHANA、Aile The Shotaを迎え、楽曲とリリックを共作。男同士のリアルな友情のもとに綴られたそれぞれの恋愛観に、個性溢れるヴォーカルとトラックの織りなすグルーヴが重なり、3人それぞれの世界観が一筋のストーリーとして完成されている。そんな新曲リリースを前にした竹内とVILLSHANAの2人に、制作秘話からプライベートまで、この2人だからこそのありのままを語ってもらった。
――竹内唯人さんとVILLSHANAさん、作品としては「YOZORA feat. VILLSHANA & $HOR1 WINBOY」が2021年10月にリリースされていますが、そもそもどんなきっかけから親交を深めていったのでしょうか。
竹内唯人(以下 竹内):YouTubeチャンネル『blackboard』で僕が$HOR1 WINBOYと一緒に「MIRAI (feat.$HOR1 WINBOY) blackboard version」を歌ったんですけど、ビルくん(VILLSHANA)と$HOR1 WINBOYの「caffè e llatte (feat. $HOR1 WINBOY) blackboard version」も同じ収録日だったんですよ。
VILLSHANA:2年前かな?
竹内:そうだね。で、そのあとわりとすぐに「YOZORA feat. VILLSHANA & $HOR1 WINBOY」をリリースすることになって。ビルくんと親密になるスピード、速かった気がする。
――波長が合うのでしょうか。
竹内:波長の話をしたら3日くらい語れますよ(笑)。ホントにね、波長が合う合わないってあって。いろいろなアーティストの方と出会ってきましたけど、僕にとってビルくんは身を預けられる先輩なんです。
VILLSHANA:そうなのか、嬉しいね。たぶんさ、歳が離れてるっていうのもあるんじゃない? 唯人は東京、僕は名古屋に住んでて距離も離れてるからたまにしか会えないけど……。
竹内:ビルくんとは頻繁に連絡を取り合うんですよ。もちろん僕はビルくんのことをアーティストとして知っていたわけですけど、実際に会ってみると、想像していたVILLSHANAより1000倍くらい優しくて明るくて(笑)。そのギャップにやられました。
VILLSHANA:いやわからんよ。こっから急に豹変するかもしれん(笑)。
竹内:まさかの(笑)。ビルくんって誰にでも優しいし、いったんは面倒を見る人ですよね。
VILLSHANA:初対面はそれ風には話すけど、2回目遊ぶか遊ばないかは分かれるよ? 僕的に、2人でご飯行けるか行けないか、だと思ってるんで。
――VILLSHANAさん的に、竹内さんは2人でご飯行ける人、行きたい人だったわけですね。
VILLSHANA:そうですね、うん。歳が5つも離れてるんで、もう……俺からしたら唯人は赤ちゃんですよ(笑)。
竹内:赤ちゃん(笑)。
VILLSHANA:日焼けしちゃったから赤ちゃん感が最近薄れてるけど、日焼けする前はほぼ赤ちゃんだった(笑)。
――愛おしくて面倒見たくなってしまうというか。
VILLSHANA:唯人ははっきりものを言うタイプだから、たぶん世間一般から見たら生意気に見えることもあると思うんですけど、僕からしたら生意気だと思う瞬間が全然ないし、ムカつくようなポイントがひとつもないんですよ。ただただいい奴だなって。
竹内:礼儀だけはちゃんとしようと心がけつつ、ほかは特に意識していないんですけど……そう思ってもらえてるのは嬉しいです(と言って、会議机中央の配線ボックス蓋に手を伸ばして突然パタンと閉める)。
VILLSHANA:蓋、気になっちゃったんだ。こういうとこなんですよ。5個下が出ちゃってる(笑)。
――わかる気がします(笑)。仲良くなってからわりとすぐに「YOZORA feat. VILLSHANA & $HOR1 WINBOY」の制作に向かったとのことですが、ただ仲良くなるだけでなく、一緒に作品を作ろうということになったのはどうしてだったのでしょうか。
竹内:「MIRAI (feat. $HOR1 WINBOY)」のあと、$HOR1 WINBOYと一緒にもう1曲出そうという話になって、せっかくだったら仲良くなったビルくんとも、っていう流れだったと思うんですけど……っていうか俺ら2人だけでは曲出してないんですよね。
VILLSHANA:うん、そうだよ。
竹内:出したいっすね、2人で。でも、ビルくんと曲を出してても出してなくても、そこは僕にとって重要じゃないんですよ。
VILLSHANA:だね。曲を一緒に作るのももちろん楽しかったけど、それ以前に曲を作ることによってレコーディングとかジャケット・MV撮影とかで会うじゃないですか。そうやって会う機会がたくさんできるのがいいよね、っていう。堂々と会える口実ができる(笑)。
――そうして会う機会が増え、制作の現場ではアーティスト同士として向き合う中で、意外な発見をしたり、この人のここはやっぱりすごい!と感じたりする瞬間もありましたか。
竹内:ビルくんは韻の踏み方がホントにすごくて、メロディ、フロウの流れの中で自然に韻を踏みまくるんですよ。僕は今から韻を踏むよ、ってわかりやすくなっちゃうのが好きじゃないし、自分で書く場合はそのわかりやすさを極力削るように頑張るんですけど、どうしてもわかりやすさが残ってしまって。それもそれでいいときはあったりするものの、やっぱり苦手意識があるんですよ。でも、ビルくんの場合は今韻踏んでたんだ、ってあとから気づくことが多い。僕の知る限り、それができるアーティストってなかなかいないので。
――確かに、VILLSHANAさんの韻の踏み方はしなやかで流れるようで……。
竹内:でも結構踏んでるじゃないですか。ヤバいんですよ、自分でわかります?(隣のVILLSHANAに問いかける)
VILLSHANA:いや、自分では考えたことはないけど……。
竹内:いやいや、エグいですよ。
VILLSHANA:そっか。俺は逆に韻を踏まないができない(笑)。ずっとヒップホップ界隈でやってきてシンガーの友達があんまりいない僕からすると、唯人はめっちゃ新鮮ですよ。歌ウマくんだし。しかも、歌ウマくん2年前と比べるとますます歌がウマくなってる。
竹内:ホントですか。ビルくんに言ってもらえるの嬉しいな。
VILLSHANA:あとさ、見た目も大人になったよね。爽やか系からちょっとずつワイルド系に寄っていって。
竹内:うん、変わりましたね。環境も変わったし、敢えて変えたところもあるし、関わる人が変わることで聴く音楽や考え方も変わってきて。
――もっとシンプルに生きたい、正直に生きたい、という想いがそこにはあったりするのでしょうか。
竹内:それはありますね。人に気を遣って、人に合わせて生きるのをやめよう、って思って。ファッションや話し方にしても、今はホントに素の状態。
VILLSHANA:いいことだよ。僕は唯人より5年多く生きてるから、もうそのターンは済ませていて。人に左右されないひとりの時間を楽しめてる。でもね、そこに至るまでには第2波があるから。
竹内:俺が今のビルさんの年齢になるまでに、もう1波あるんだ。
VILLSHANA:うん。自分にもっと時間とお金を使うようになるから。
竹内:今の時点でそうなりつつあるけど……。
VILLSHANA:もっとそうなるよ。
――経験者は語る、ですね。人生の先輩でもあるVILLSHANAさんに、竹内さんがなにか相談することもあるのでしょうか。
竹内:相談っていうか報告はしましたよね、最近。
VILLSHANA:3か月前くらいだっけ?
竹内:うん。自分的になかなか大きな出来事があって、そのときはビルくんに電話しました。友人の中で2人目か3人目くらいに。
VILLSHANA:自分は相談されることが多くて地元では“相談役”って呼ばれてるんだけど(笑)、唯人に大事な報告をしてもらえて嬉しかったですよ。
竹内唯人 - 「YOZORA」 feat. VILLSHANA & $HOR1 WINBOY
――そんな素敵な関係性のお2人とAile The Shotaさん、3人が生み出した「ゼロセンチfeat. VILLSHANA & Aile The Shota」が10月25日にリリースされましたが、そこに至るまでにはどんなドラマがあったのでしょうか。
竹内:3人または4人の男でバトンリレーみたいな曲を作りたいと思って、まずビルくんに電話したら「やる」ってすぐに言ってくれて。「ほかに誰がいいですかね」ってビルくんと話していく中で辿り着いたのがShotaくんで、Shotaくんに連絡してみたら彼も快諾してくれたんですよ。
――Aile The Shotaさんとは、竹内さんもVILLSHANAさんも面識があったわけですか。
竹内:僕は去年、Shotaくんと同じイベントに出てそこで初めて会ったんですけど、僕のバックDJとShotaくんが同じ大学の先輩後輩の関係だったこともあって、すごく話が盛り上がって。
VILLSHANA:そうだったんだ。僕はもちろんShotaくんの存在は知ってましたけど、会ったことはなくて。3人で初めて同時通話したのがはじめましてでした。
竹内:でも、この3人だったらいいものができるだろうな、ってすぐに思えたよね。
VILLSHANA:うんうん。
――そこから、曲作りはどのように進めたのでしょうか。
竹内:まずは僕が曲をトラックメーカーのKay Clackerと一緒に作って……あ、そのときはビルくんに相談して、どういう曲にしようか意見交換しましたね。で、僕がまずビルくんに投げたら、ビルくん自分のパートめっちゃ速く仕上げたよね。
VILLSHANA:うん、すぐだった。
竹内:そうくるかっていう意外性があったけど、僕がよく知ってる界隈の感じじゃないのがすごくいいなって思いつつ。そこからShotaくんに投げました。
――まさにバトンリレーですね。同じ時代を生きる男同士のリアルな友情や恋愛観が描かれることになったのは……。
竹内:僕の人生的に大きな出来事があったからです。あ、それがさっきお話ししたビルくんに報告したことなんですけど。「それは書こうよ」ってビルくんが言ってくれたんです。
――きっと人生の転機にもなるような出来事だったのでしょうね。
竹内:だいぶ転機だと思います。当時は辛かったりもしたけど、その後いろんなことがいい方向に向いているな、って感じていたりもするし。そういう僕が書いた歌詞のニュアンスを汲み取りながら、ビルくんもShotaくんもそれぞれに“らしい”リリックを書いてくれたな、と思います。
VILLSHANA:僕のターンは、ほぼ自分の話。寝るのがだいた朝の6時で……。
――だから<おやすみ 朝の6時>なんですね。
VILLSHANA:そう(笑)。だいたいの人と真逆の生活だから、誰かと付き合っても相手が寝るころに自分が起きて、相手が起きるころに自分が寝るみたいな。あと、最近Goyardの財布にしたから……。
――<Goyard 中身ありったけ 使うぜ君に首ったけ>なんですね。<会いづらいけど会いに行く 愛知から飛ばしてくぜ>は、竹内さんに向けた想い、言葉だったりもして?
VILLSHANA:確かに、そうともとれますよね(笑)。
竹内:俺も東京から飛ばしていきますからね!(笑)
――お互いにそう思えるなんて、やはり素敵な関係性。また、竹内さんの書いた<何もかも違うのに惹かれ合う>とか<甘いチューインガムみたい 繰り返していたい>はじめ、聴く人それぞれの恋愛関係や友人関係に重ねて共感できるであろうフレーズがそれぞれのパートにあるなと。
竹内:男女の恋愛だと、まず性別が違うしわかり合えない部分って絶対あるし、生まれた場所や家庭環境もそれぞれ。そこをどれだけストレスフリーにしてあげられるか、その役目は男の役目だと僕は思っているし、大切に想う人と<0cmの距離>になりたい、なれたらいいな、っていう願いがそこにはあります。<甘いチューインガムみたい 繰り返していたい>は……気になる女の子から香水とかじゃなくてフワっと甘い匂いがするとき、あるじゃないですか。
VILLSHANA:うん、わかるよ。
竹内:それを書こうかなって。
――Aile The Shotaさんも含め、楽曲とリリックを共作する中で生まれた、3人だからこその化学変化もありましたか。
VILLSHANA:唯人と僕だけだったら全部メロディでいったと思うんですけど、Shotaが入るならちょっと違う感じでいくか、っていうのはあったよね。
竹内:確かに。
VILLSHANA:全員メロディだと一辺倒になっちゃうだろうけど……。
竹内:「ゼロセンチ」は最初から最後までしんどくないもんね。
――それぞれの個性が際立ちつつも1本芯が通っているし、何度も聴きたくなる心地よさがあります。
竹内:Kay Clackerと一緒に初めてこういう雰囲気のトラックを作ったんですけど、ホント全員違う色が出てるのに1曲としてまとまりがあって。3人で曲を作ると、普通もっとごちゃごちゃするんですよ。
VILLSHANA:だよね。
竹内:そういうごちゃっとした感じも嫌いじゃないしそれが魅力になったりもするんだけど、「ゼロセンチ」は作ってても聴いてても、言ってもらった心地よさがある。
VILLSHANA:3人それぞれ個性強いのに、ケンカしてないもんね。
竹内:そうそう。
VILLSHANA:自分やShotaが俺もかますぞ!ってやってたらガチャガチャしてたと思うんですけど(笑)……。
竹内:後輩を想ってくれる先輩方ありがたい(笑)。
VILLSHANA:あと、シンガーってあんまり韻を踏まないから僕らからすると違和感を覚えることもあるんですけど、今回の「ゼロセンチ」の唯人の歌は特にきれいにスっと入ってきたというか。やっぱり歌ウマだな、ってあらためて思いましたよ。
竹内:なんか今日、嬉しいな(笑)。
竹内唯人 -「ゼロセンチ」feat. VILLSHANA & Aile The Shota
――ちなみに、竹内さんとVILLSHANAさんの場合、<正反対な僕ら>を感じる瞬間はあったりするのでしょうか。
竹内:(VILLSHANAは)落ち着きがある、(自分は)落ち着きがない(笑)。
VILLSHANA:(自分は)身長が低い、(竹内は)身長が高い(笑)。
竹内:でも、マイナスな意味での正反対なところはないんじゃないかな。
――お互いを受け容れてリスペクトし合える仲でもあるから、なのでしょうね。価値観が似ていたりもしますか?
竹内:人生において大事にしたいもの、僕にとっては家族、友達、あとお金ですね。
VILLSHANA:それは大事だよね。唯人と価値観違うな、って感じたことないな。違うのは女の子のタイプくらいじゃない?
竹内:それだ。全然違うよね。(自分の目の前に置かれているミネラルウォーターとVILLSHANAの目の前に置かれているお茶のペットボトルを見て)同じ水やお茶で銘柄の好みが違うとかじゃなくて、俺が水が好きなら、ビルくんはお茶が好き。そのくらい違います(笑)。
VILLSHANA:そこだけは完全に<正反対な僕ら>。でも、っていうことは女の子を取り合ってケンカしないっていうことだもんね(笑)。
――もし仮に、なんですが……同じ人を好きになってしまったらどうしますか。
VILLSHANA:仮にそうなった場合は、僕はサーっと引くと思います。
竹内:俺もいったん引くかな。ま、でも俺とビルくんが同じ人を好きになるってまずあり得ないので心配ご無用です(笑)。
――よかったです(笑)。なお、3人が並ぶジャケット写真や、夜のみなとみらい、湘南の海辺で撮影されたMVはそれぞれのかっこよさ、3人の心地よい距離感が伝わってくるものとなっていますが、撮影時のエピソードはなにかありますか?
竹内:MV撮影は全然工程通りに進まなくてかなり時間がかかったんですけど(苦笑)……おかげで僕たち3人めっちゃ仲良くなりましたよね。
VILLSHANA:うん。早朝から始まり深夜までかかって、時間がとにかくあったからね。体力的にはキツかったけど(苦笑)、3人の仲はだいぶ深まりました。
――結果よければ、ですね。「2人だけで曲を出したい」という話も出ましたが、今後一緒にやってみたいこと、きっといろいろあるのではないでしょうか。
VILLSHANA:2人だけでもし曲を出すなら、ちょっと僕寄りな曲にしてみるのも面白いかな、って思いますね。
竹内:やってみたいな、それ。リリースするしないは別として、とりあず。あと、「ゼロセンチ」を一緒にステージで歌ってみたい。
VILLSHANA:ステージで映えそうな曲だしね。
――楽しみにしております。2人で取材を受けるのはこれが初とのことでしたが……。
竹内:そうなんですよ。ここにきて初の同席取材。
VILLSHANA:なんか不思議な感じだよね。謎にShotaがいないし(笑)。
竹内:今回の取材はね、残念ながらShotaくんが参加できなかったんですけど。Shotaくんこの記事読んでくれるかな、一緒にご飯行きましょう!(笑)
VILLSHANA:そうだね。Shotaともご飯一緒に行かないと。
竹内:近いうちにね。しかし、まさかビルくんとお互いにアーティストとして一緒に取材を受けるとはね。とりあえず、これからも赤ちゃんな僕を公私ともによろしくお願いします(笑)。
VILLSHANA:こちらこそ。たくさん会える口実がまたできたらいいな、って思ってる(笑)。
取材・文=杉江優花
竹内唯人