横山拓也の戯曲『エダニク』、中国の上海戯劇学院の学生たちによって中国公演が決定 対談イベントも開催
横山拓也
iakuの横山拓也の戯曲『エダニク』が、国際交流基金(JF)の戯曲翻訳出版事業で中国語版が出版され、その本をもとに、中国の上海戯劇学院にて上演が決定した。また、横山と本作品演出の李旻原(リ・ミンユェン)による対談イベントが同学院主催で開催される。
国際交流基金(JF)は海外での活躍が期待される5名の劇作家(市原佐都子、桑原裕子、前川知大、前田司郎、横山拓也)による戯曲を、複数言語(英語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語)で翻訳し、海外の出版社と共同出版している。この枠組みで翻訳出版された戯曲を用い、今回は上海の才能あふれる演劇専攻の学生たちが、2009年の初演以降再演が続く横山拓也の代表作『エダニク』の上演に挑戦する。
今回の上演や対談イベントを通じて、双方の想像力や価値観を探求すると同時に、演劇の持つ力によるさらなる文化交流の発展を目指す。
アーティストプロフィール
■横山拓也
1977年1月21日生まれ。大阪府吹田市出身。劇作家、演出家。大阪芸術大学同級生を中心に結成した「売込隊ビーム」を経て、2012年に演劇ユニットiaku(いあく)を立ち上げる。緻密な会話が螺旋階段を上がるようにじっくりと層を重ね、いつの間にか登場人物たちの葛藤に立ち会っているような感覚に陥る対話中心の劇を発表している。繰り返しの上演が望まれる作品づくり、また、大人の鑑賞に耐え得るエンタテインメントとしての作品づくりを意識して活動中。
【受賞歴】第15回日本劇作家協会新人戯曲賞『エダニク』、第1回せんだい短編戯曲賞『人の気も知らないで』、第72回文化庁芸術祭賞新人賞〈関西〉、平成30年度大阪市咲くやこの花賞、第27回鶴屋南北戯曲賞「モモンバのくくり罠」他。
■李旻原(リ・ミンユェン)
上海戯劇学院副教授、修士学生指導教員、フランス・リヨン第二大学文学芸術博士。台湾の教育機関より海外留学奨学金を取得し、フランス「ル・モンド」紙の芸術・文学編集長Bernadette Bost氏の指導の下、優秀な成績で博士号を取得。演出作品では、演者の発声方法、台詞、動き、演技、体の各関節における自然な振付と、舞台の様々な要素との連携を重視し、劇場空間全体を一つの調和した芸術作品としていくこと、分野横断的なパフォーミングアーツとすることを意識している。学術研究分野は、演劇学、パフォーミングアーツ、異文化論、演劇教育など。
喜劇『THE OPEN COUPLE(原題:開放夫婦)』の脚色・演出は、2017年上海静安戯谷演劇祭において、壹演劇大賞の最優秀人気賞にノミネートされ、自作自演の喜劇『女房学校批判』は、2022年の第16回中仏文化祭(Festival Croisements)に招待された。
■上海戯劇学院
上海戯劇学院(STA)は、中国の舞台芸術の才能を養成する名門芸術大学。前身は1945年12月1日に設立された上海市立実験演劇学校であった。1956年に正式に上海戯劇学院と改称。2002年、STAは演劇、中国伝統戯曲、舞踊、映画、テレビなどの分野を擁する総合芸術大学となり、その教育範囲は中等専門学校、学士課程、修士課程、博士課程にまで及んでいる。数千人ものアーティストや各専門分野のアートマネジメント人材を育成しており、多くの卒業生が舞台芸術分野における専門家やプロとなり、演劇、映画、テレビ、舞踊、美術の分野で国内外から高い評価を得ている。また彼らは数々の大賞を受賞し、国内外で高い評価と影響力を誇っている。
公演情報
(30日は公演前に対談イベント実施)
会場:ジャスミン・シアター(中国・上海)
作 :横山拓也
翻訳:郑世凤
演出:李旻原
出演:上海戯劇学院学生
協力:国際交流基金北京日本文化センター