北村一輝・明日海りおが「ぜひご期待ください」と太鼓判 ミュージカル『王様と私』囲み取材&ゲネプロレポート

レポート
舞台
2024.4.9
ミュージカル『王様と私』囲み取材より

ミュージカル『王様と私』囲み取材より

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リチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン二世の代表作である『王様と私』。1952年に第6回トニー賞作品賞、主演女優賞を含む5部門を受賞するなど高い評価を得て、世代を越えて世界中で愛されている。日生劇場での公演は1965年の日本初演翌年に行った1996年9月以来28年ぶり。国内外のミュージカルやコンサートを数多く手がける小林香による新演出で、現代にふさわしい『王様と私』を上演する。

欧米列強の干渉から国を守り、独立自尊と発展を目指す王様役は、ミュージカル初出演の北村一輝。イギリスからやってきた家庭教師のアンナを明日海りおが演じる。W主演の二人に加え、プリンシパルキャストには朝月希和、竹内將人、木村花代、中河内雅貴、今拓哉、小西遼生といった実力派が集結した。

ーー初日に向けて、意気込みを教えてください。

北村:ミュージカルはやることがいろいろあるので、できるかなという不安はありますが、それも含めてまずは楽しもうと思っています。

明日海:明日が初日だということがまだ信じられません。幕が開いたらお客様に素晴らしい音楽や世界観を楽しんでいただけるよう、心を込めて頑張りたいと思います。

朝月:私が演じるのは新しい時代の女性の役。ルンタとの命懸けの愛の大きさ・強さをお伝えできるよう、精一杯務めたいです。

竹内:不朽の名作に参加できるのがとても嬉しいです。二幕でタプティムと一緒に名曲を歌うので、命を懸けてタプティムを愛し抜きたいと思います。

木村:初日が楽しみですし、私としても初めての挑戦ができるような役です。王国と王を支える役をしっかり演じたいです。

中河内:僕が初めて自分のお金でを買って観に行った作品が『王様と私』でした。出番は少ないし見せ場も全然ないんですが(笑)、この作品に出られるだけで幸せです!

:僕も出番は少ないです(笑)。北村さんは不安でいっぱいと言っていましたが、視界良好だと思います。お客様と一緒に無事な航行を祈っています。

小西:僕は王様の右腕役。精一杯王様の助けとなるよう演じていきたいと思います。

ーー稽古を重ねてきて、手応えはいかがでしょう。

北村:やれるだけのことはやってきたので、あとは気負わずやりたいです。話の素晴らしさ、歌やダンスなど見せ場が多いので、ちゃんと届けるのが一番かなと思っています。普段出演している映像作品とは勝手が違うことも多く、大変さもありました。

明日海:「(北村は)本当にミュージカル初挑戦なのかな?」と思うくらい声の張りが素晴らしかったです。そこから稽古を重ねていらしているので、私はすごく楽しみです。お客様が入った時にどうなるのかなって。王様のナンバーはとても聞き応えがあるのでご期待ください!

北村:皆さんの歌、すごいんですよ。いろいろなところで宣伝をした時点ではあまり聞けていなかったので「僕も歌については自信がある」と言いましたが、レベルが違いすぎて。本当にすごいのでぜひ楽しみにしてください。

明日海:お稽古の中で自分なりのアンナ先生を作ってきて、少しずつ手応えを感じ始めました。アンサンブルさんによる劇中劇はスペクタクルな作りになっていて、最終確認の段階です。ゲネプロを通して、本番ではもっといいものをお見せしたいと思います。

ーー楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

明日海:演出の小林香さんのもと、子役のみんなを含むキャストの皆さん、スタッフの皆さんが一丸となり、いい空気で、愛情を持って作品を育ててきました。心に灯る熱いものをお客様にお伝えできるよう、楽しんでいただけるよう頑張りたいと思います。

北村:僕が言いたいこと全部(明日海が)言いますからね(笑)。いつもこういう感じなんです。僕はミュージカル初挑戦で、学ぶこともいろいろありました。お客様に対して、まずは楽しんでいただきたいという気持ちがあります。原作には面白くてわかりやすい部分もあって、ミュージカルを見たことがない方、映画を知らない方、お子さんも笑えるようなところがたくさんあります。ぜひ楽しみにしていただけたら。皆さん歌もダンスもびっくりするくらい素晴らしいので、生で見てほしいですね。
 

ゲネプロレポート

続いて、ゲネプロの様子をお届けしよう。魅力的な音楽と普遍的な物語で構成されている本作。文化や時代の違いを感じさせるキーワードも多々登場するものの、小林の新演出によって古さを感じさせない作品に仕上がっていると感じた。

明日海演じるアンナは、凛としたしっかり者。未知の文化に戸惑いながらも誠実に向き合い、シャムの人々に好かれる家庭教師になっていく。王様に対しても物怖じしない堂々とした態度が気持ち良い。

北村が演じる王様は、国内において絶大な力を持っているが、少年のように無邪気な雰囲気がある。頑固だが国をより良いものにしたいという思いも持っており、尊大なのにお茶目なところが魅力的。 真逆だが似ている二人が衝突しながらもお互いを理解し、徐々に心を通わせていく様子が美しい。

ミュージカル『王様と私』舞台写真

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異国の人々ともうまく付き合う方法を心得ているオルトン船長(今拓哉)、王に寄り添い支えるクララホム首相(小西遼生)、王妃のチャン夫人(木村花代)と比べると、王様とアンナの意地の張り合いは子どもの喧嘩のよう。だが、子どもであるチュラロンコン王子とルイスは喧嘩をしてもすぐに仲直りし、自分の中での常識を覆す知識に反発することがあっても柔軟に吸収していく。子どもたちの素直さ、しなやかさが微笑ましく、眩しくもある。

王様がシャムを進歩させようと奮闘していること、子どもたちにレベルの高い教育を受けさせようという思いがあることから聡明さや愛情が伝わるぶん、隣国から献上されたタプティム(朝月希和)とその恋人ルンタ(竹内將人)の扱い、価値観の違いに困惑し、憤るアンナの気持ちも理解できた。明るくコミカルなシーンも多いポジティブな物語だが、時代の過渡期における希望と悲劇のコントラストも効いている。

ミュージカル『王様と私』舞台写真

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ミュージカル『王様と私』舞台写真

ミュージカル『王様と私』舞台写真

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物語を彩る楽曲も魅力的だ。王様のナンバーは彼の苦悩や迷いが切実だがコミカルに描かれていて、会見で明日海が語っていた通り聞き応え十分。タプティムとルンタは切ない恋をしっとり歌い上げている。本作を知らない人も聞いたことがあるだろう「Shall We Dance?」では、明日海の軽やかなステップと歌声、それにつられるように笑顔になっていく王様の姿があたたかさに満ちている。

煌びやかな王宮や衣装、イギリスからの特使であるラムゼイ卿(中河内雅貴)をもてなす宴で披露される演劇などのエキゾチックな美しさも印象的。アンサンブルキャストの息のあったダンスや歌で紡がれる劇中劇は見どころたっぷり。時折頷きながら見ているラムゼイ卿と、彼がどんな反応をするか気になるようで時々様子を伺う王様も可愛らしい。

ミュージカル『王様と私』舞台写真

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ミュージカル『王様と私』舞台写真

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新演出で生まれ変わった不朽の名作を、ぜひ劇場で見届けてほしい。本作は2024年4月9日(火)~30日(火)まで東京・ 日生劇場、5月4日(土)~8日(水)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。
 

取材・文・撮影=吉田沙奈

公演情報

ミュージカル『王様と私』
 
【東京公演】
日程:2024年4月9日(火)~4月30日(火)
会場:日生劇場
 
【大阪公演】
日程:2024年5月4日(土)~5月8日(水)
会場:梅田芸術劇場メインホール
 
【音楽】リチャード・ロジャース
【脚本・歌詞】オスカー・ハマースタイン二世
【演出】小林香
【出演】
北村一輝 明日海りお
朝月希和 竹内將人 木村花代 中河内雅貴 今 拓哉 小西遼生
 
井口大地 伊藤かの子 風間無限 笠行眞綺
金子桃子 河野駿介 黒田 陸 酒井 航
島田 彩 鈴木遼太 聖司朗 西尾真由子
福満美帆 松田未莉亜 丸山泰右 宮河愛一郎
村上貴亮 村上すず子 矢野友実 吉田玲菜
 
植木達也 油井杏奈(スウィング)
 
立石麟太郎 前田武蔵
木村亜有夢 田中誠人
 
(Wキャスト 日替わり出演)
有澤 奏 井澤美遥 猪股怜生 大久保実生
川田玲那 木村日鞠 木村律花 杉山穂乃果
 
髙橋玲香 戸張 柚 中西 縁 萩沢結夢
古正悠希也 森田みなも 若井愛夏 若杉葉奈
 
【公式作品ホームページ】https://www.thekingandi.jp
【製作】東宝
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