田畑智子、舞台『だいこん役者』で朝ドラぶりに藤山直美と共演「18年の成長を見てもらいたい」
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田畑智子 撮影=髙村直希
前川 清演じる座長の川上恋次郎と、藤山直美演じる恋次郎の女房・唄子ら旅一座が昭和初期の和歌山・白浜を舞台に巻き起こすドタバタ奮闘劇の『だいこん役者』が大阪・新歌舞伎座にて6月1日(土)より幕を開ける。
公演に先駆けて前川、藤山、田畑智子、山田まりや、米原幸佑、そして岸本加世子が登壇しての制作発表取材会が行われた。一膳飯屋のおかみ、百合絵を演じる田畑は、「関西弁でお芝居ができることも楽しみです。稽古場ではたくさん笑って、ほっこりして、その雰囲気がお客様にも伝わるように頑張ります」と意気込んだ。
続く個別インタビューでは、田畑に藤山との共演エピソードなどを聞いた。
田畑智子
——藤山直美さんとは2006年放送の連続テレビ小説『芋たこなんきん』(NHK)で初共演されました。その時はお姉さんのように慕っていたそうですね。
直美さんは大先輩なので、最初は「何か粗相をして怒られたらどうしよう」と思っていたのですが、本読みの時から、「私の方が緊張してるし、なんかあったらお願いね。迷惑かけたらごめんな」と声をかけてくださって、本当にお姉さんのようでした。両親も直美さんのことが大好きで、同じ京都の方ですので、近いお話もいっぱいできました。
『芋たこなんきん』では、直美さん演じるヒロインの義理の妹役だったので、いろんなシーンを撮りました。ケンカのシーンもありましたが、その時にすごく褒められたことを思い出します。撮影中は、なかなかご飯をご一緒できなかったのですが、一度だけ、直美さんと國村隼さん、火野正平さんと私の四人で行ったことがありました。大先輩に囲まれて、いろんなお話をして、すごく楽しかった記憶があります。
当時私は25歳でしたが、直美さんは後輩に接するというより、戦友というふうに見てもらえているのかなと思うこともありました。「ちょっと助けてな」とか、先輩から言われると嬉しい気持ちになって。私も直美さんに「ここどう思いますか?」とアドバイスを求めたら、「いや、もう気にせんとやりよし」と背中を押してもらいました。何でも相談に乗ってもらえて、直美さんからも「どう思う?」と聞いてくださって。その信頼もすごく嬉しかったです。
——この作品に限らず、お稽古や本番で、田畑さんは先輩のどういうところを見ていらっしゃるのでしょうか?
いやぁ、すごい先輩方ばっかりなので……。一つ心がけていることは、一人の人間を演じるときに一種類の声色にならないことです。人は、話しているときにいろんな声を出していると思うんです。だから、いろんな声色がある方がお客様も楽しめるだろうなと思って。先日出演させていただいた『リア王』では、段田安則さんや浅野和之さん、高橋克実さんたちと共演させていただきました。意識されているかどうかはわかりませんが、皆さん、いろんな声色を巧みに使われていました。だからこそ役がすごく広がっていて。役柄を大きな舞台空間で活かしたいなと思ったときに、そうやって声色をいろいろ使ってみたりしています。客席からステージまで遠いと、なかなか俳優の表情が見られないじゃないですか。だから声で表現しようというのは、常に思っていることでもあります。
田畑智子
――18年ぶりの藤山さんとの共演において、楽しみにされていることを教えてください。
今日も(制作発表の前に)楽屋でメイクしていたら「いや~、田畑さ~ん」と直美さんが入って来られて、「温泉行ってきて、お土産持ってきたがな~」と言ってハンドクリームをくださいました。そういうところも変わってへんなと思って、この舞台も大丈夫! と確信しました。直美さんは「舞台の方」というイメージがずっとあるので、今回はドラマの撮影とはちょっと違う一面が見られるのではないかと期待しています。私も勉強になるし、直美さんに「全然できてへんやん」とか思われへんように、あれから成長しているかどうかわかりませんが、18年ぶりに演技を見てもらって、また一緒にご飯も食べに行けたらいいなと思っています。
取材・文=岩本和子 撮影=髙村直希