ニュウニュウ「20年のキャリアの中で最も特別な時間になる」 人生の感情と旅路を表現する『Lifetime』への思い

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2024.9.27

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2024年10月13日(日)・14日(月・祝)二日間、ピアニスト・ニュウニュウが浜離宮朝日ホールにて最新アルバム『Lifetime』を冠したリサイタルを行う。それぞれゲストにCocomi(フルート)と上野耕平(サックス)を迎え、全世界15名の作曲家によるポピュラーな曲目を演奏し、人生の機微や旅路を表現する。

最新アルバムを引っ提げてのツアーは、すでに日本を含め数か国で行われているが、アルバム全曲プログラムは今回が初めて。コンサートにかける思いをきいた。

ニュウニュウ

ニュウニュウ

――2024年10月13日&14日のプログラムでは、曲目の多くを昨年2023年にリリースしたアルバム『Lifetime』から取り上げています。

今回の二日間の特別なリサイタルで、私のアルバム『Lifetime』の全曲を日本で初めて演奏することとなります。お客さまは、世界中の15人の作曲家による15曲の小品と、私のオリジナル作品《即興曲第2番「Miss」》を聴くことになります。このプログラムを通して、私たちの人生における16種類の異なる感情や旅路を表現したいと思います。

『Lifetime』の収録曲のほか、前作『Fate & Hope』に収録したベートーヴェンの「Fate」(運命)交響曲と私が作曲した《即興曲第1番「Hope」》も、『Lifetime』のコンセプトと関係していると思い、プログラムの最後に入れています。”Lifetime”(生涯)において、私たちは運命を予測、あるいはコントロールすることは不可能かもしれませんが、希望は常に私たちにより良い明日をもたらしてくれます。

――アルバム『Lifetime』の制作についても教えてください。

アルバム『Lifetime』のアイデアは、パンデミック中に人生におけるさまざまな感情や旅路を経験し、見たときに、インスピレーションを得て、それを音楽を通して表現したいと制作しました。

例えば、自作曲「Miss」は、幼い頃から私を気遣ってくれていた人生の先輩が突然亡くなったことを追悼して2021年に作曲したもので、今回のリサイタルが日本初演となります。この曲を通して、【SORROW】(哀れ)という感情を表現するだけでなく、人生に満ちる無常というか、聴いてくださった方が、今このときに愛する人をもっと大事にすることを願っています。

――プログラムには、1曲1曲に感情などを表わすタイトルがつけられています。

これらの副題は、中国で有名な四字熟語「喜怒哀楽」「生老病死」(編集注:仏教用語で、避けることのできないこの世での人間の4つ苦悩を表す)などからインスピレーションを得ました。最初にこのアイデアをユニバーサルミュージックのドイツ人A&Rと相談し始めたとき、これらの感情や旅路は全世界のバックグラウンドが異なる人々にとって同じものだと言っていました。『Lifetime』のコンセプトを表現するだけでなく、ポピュラーな楽曲を選びたかったので、約70曲の候補の中から選び始め、半年以上をかけて最終的に17曲に決定しました。

――バッハ=ジロティの《プレリュード》に、ニュウニュウさんは【AGING】とのテーマをつけていますね。”前奏曲”すなわち始まりのイメージを持つものとは、一見すると反対のようにも感じられますが。

私たちは、生まれたら人生の終わりに向かって始まりますよね。何か宿命的に感じられますが、それが現実です。

――曲を弾き進めることによって、一つの旅ができるのですね。曲目を見ていると、ロシア音楽が多く取り上げられています。ロシア音楽はお好きなのですか。

はい。特に、ラフマニノフは私の大好きな作曲家の1人です。彼の音楽は、ロマンティシズムに満ちあふれています。ここ数年、ラフマニノフとショパンの音楽に魅せられています。ベートーヴェンもそうですね。ロマンティックなメロディのある作品が好きです。私も作曲の際、メロディを大切にしています。

――ロマンティックと言えば、シューベルト=リストの《セレナーデ》も演奏します。ニュウニュウさんにとって、【PATHOS】(パトス)を表わす作品なのですね。

シューベルトのこの作品は、最も複雑な感情を含んでいます。彼が書いた最後の作品の一つですよね。パトスは単なる悲しさにとどまりません。シューベルトの作品には彼の短い人生のさまざまな思いや感慨が融合されているのです。

>自身で編曲も手掛けるニュウニュウ。アレンジで心掛けていることとは?

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