京都でTシャツ作って25年、『CAPITAL RADIO ONE 25周年 大感謝祭』10-FEET、ROTTENGRAFFTY、四星球が集結した初日をレポート

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『CAPITAL RADIO ONE 25周年 大感謝祭』2024.9.5(THU)京都・KBSホール

みなさん、バンドTシャツ、フェスTシャツは何枚ぐらい持っていますか? 

バンドTシャツならツアー毎に、フェスTシャツは年代ごとにデザインが異なり、好きなアーティストの数だけ増えていく。クローゼットには歴代のバンド&フェスTシャツが並んでいて、時折眺めては思い出に浸る……なんて人も少なくないはず。

そんなバンド、フェスTシャツのデザインを25年も手掛けているブランドこそがキャピタルこと「CAPITAL RADIO ONE」。京都を拠点に活動し、音楽をモチーフにしたデザインで数多くのアーティストTシャツのデザインを手掛けてきたブランドだ。

このレポートを読んでいるということは、四星球が好きで、ROTTENGRAFFTYが好きで、10-FEETが好き。そしてロックンロールが大好きな人たちのはず。先に名前を上げた3組のバンドTシャツもキャピタルが手掛けたものが数多くあって、特に有名なのが10-FEETの『京都大作戦』だろう。イベントアイコンでもある舞妓さんが楽器を持っているデザインはキャピタルがデザインしたもので、あのイラストを見るだけで『京都大作戦』なんだとすぐにわかる。

キャピタルが手掛けたバンドやフェスTシャツのデザインは日常使いしやすい、オシャレなデザインも多い。それと、遠くからでもはっきりとわかるのがいい。バンドやフェスTシャツを着た人に付いていけば、初めての会場でもほぼ100%辿り着けるし。

それはこの日も同じ。2024年9月5日(木)、京都・KBSホールにて、CAPITAL RADIO ONEの25周年を記念した『CAPITAL RADIO ONE 25周年 大感謝祭』の初日公演が開催された。会場最寄りの今出川駅はもちろん、京都や遠くは大阪駅でも四星球、ROTTENGRAFFTY、10-FEETのバンドやフェスTシャツを身に纏った人たちをたくさん見かけた。会場に到着すると、Tシャツ付きの特典や会場限定のTシャツを身に纏った人がずらりといて、それだけで気分も高まる。

と、ここからライブレポートへ進むのだけど、その前に……。この日のライブでは前説でイベンターの清水音泉・清水氏が登壇。イベント直前にアナウンスされた「モッシュ・ダイブ禁止」についての想いを丁寧に語ってくれた。この日の来場者はライブ猛者も多く、残念がる声も正直あった。でも、この日出演する3組はコロナ禍でとことん規制されたライブをいくつも経験してきたんだから、モッシュやダイブができなくたってライブは存分に楽しむことはできるはず。清水音泉の公式サイトには効能として「興奮、感動、癒し……様々な効能があります」とあるんだし。

公演前にイベントへの想いをしっかりと受け止めたところで、CAPITAL RADIO ONEの代表・梶氏が段ボール製のドラ●ンクエストのスライムを被って前説に登場(色々ツッコミどころいっぱいだったけど、それはお客さんだけの思い出ということで)。ブランド立ち上げや、25周年を機に7年ぶりの開催となった今回のイベント、そして出演者との出会いについて想いを語りつつ「最後まで楽しんでってくださ~い!」と、開幕を宣言。

四星球

トップバッターは四星球。Theピーズの「生きのばし」をSEに北島康雄(シンガー)がステージに登場するやいなや、「京都で四星球Tシャツ着たらアカン条例あるらしいです!」と自虐的にボヤく。この日は出演者だけでなく、主催者も京都に所縁のある面々ばかりだし、ライブ中のMCでも「パンツ一丁でライブ始めて、Tシャツ屋のイベントに出れると思わんかった……」と語っていたくらいだから、その気持ちも分からないでもない。

それでも「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」から観客と息ぴったりに歌い、踊り、騒ぎ、特典Tシャツのデザインやセキュリティスタッフだってイジりまくって、あっという間に観客を破顔一笑、幸せ絶頂へと導いていく。

「えぇことあった人もなかった人も、えぇことあったってことにしてください。歌声、笑い声、全部受け取りますんで!」と、観客の感情をまるっと受け止める北島の頼もしい言葉も印象的だった。

ステージ後半は今秋発表予定の新アルバム『音時計』から「ミッドナイトレインボーピーターパン」「僕らの絵描き歌★」でしっかりとバンドの最新型を見せつける4人。最後には恒例の小道具で作り上げるメッセージでキャピタルの周年を祝いつつ、続くROTTENGRAFFTYの周年も祝っちゃうあたりがさすが!

ROTTENGRAFFTY

ROTTENGRAFFTYは「声、ジャンプ、アクションの3つで大いに祝って、ぶっ飛んでくれ! かかってこい! クソガキ!!」と、盛大な煽りで「金色グラフティー」からフルスイングのパフォーマンスをぶちかましていく。いつもなら1曲目からフロアはモッシュ・ダイブでしっちゃかめっちゃかになっているはずだけど、今日は誰もが集中力高く、食い入るようにステージに見入っている。

「ムカついたし、初めから禁止なら出てない!」とモッシュ・ダイブ禁止の措置に声を荒げつつ、観客へ配慮の言葉をかける。「ロットンとオマエらはライブハウスのプロでしょ? 大事な仲間がケガすることはない、それが25年やってきた証。それでもこの日のステージに立つ意義は(モッシュ・ダイブがなくとも)やっぱりカッコイイって言われたいから。モヤモヤを溜め込んで、次はオレらとヤろーぜ!」と、10月に京都で開催される、バンドの25周年を総括するワンマンライブへと想いを繋げようと言葉を懸ける。そこからの「秋桜」「THIS WORLD」の流れは圧巻で、ジャンピングでフロアが揺れ、ヘドバンで人の影が波打つように踊っていた。

「観たことないロットン見せます!」と、「アイオイ」「e for 20」と続けざまにタフなサウンドを連投。メンバーが放つ音、声、言葉を受け止めんとオーディエンスは前へ前へと詰めかけていく。ラスト「暁アイデンティティ」が終わる頃には、バンドTシャツがじっとり汗ばんでいた。それこそがライブを存分に楽しんだ証。

10-FEET

この日のトリは10-FEET。この日はフロアの最後方からステージを望んでいたのだけど、『京都大作戦』のフェスTシャツを着用している人の多さにとにかく驚かされた。しかも年代も見事にバラバラ。しかも中には台風で中止となった幻の2007年、しかも”裏方”(大作戦ではスタッフの名称は”裏方”)Tシャツを着用している人の姿まであって、バンドが、イベントが、そしてTシャツが長年愛されてきたことを想って、ひとり胸熱状態になってしまった……。

いつものようにフロアいっぱいにバンドタオルが掲げられるなか、1曲目にセレクトしたのは名曲「蜃気楼」。寂しさと優しさが交錯する歌詞はいつ聴いても胸がぎゅっと締め付けられる。その気持ちは観客も同じで、Tシャツの裾やタオルで涙を拭う人の姿も多い。昂った感情を抑えようと、首元をぎゅっと握りしめている人の姿もある。この日のライブTシャツは汗が染みこんでいるだけじゃない。喜怒哀楽の涙も拳もしっかりと受け止めてくれたから、より思い出深い1枚になっただろう。

この日の10-FEETのライブは”えぇとこどり”な楽曲陣が続く。しかも共演が地元の盟友とくれば、ROTTENGRAFFTYとのコラボも当然ありつつ、3人はよりタフさを増したサウンドで観客と真っ向勝負でぶつかっていく。

ライブは言わずもがな、どの曲も最高。でも、この日のTAKUMA(Vo.Gt)の言葉はいつも以上に胸に深く届いた。モッシュ・ダイブ禁止の措置に触れつつ、清水音泉が掲げる願い、そしてキャピタルの梶氏への感謝の想いを語る。「みんな笑顔で、一生の思い出になるようにと思ってる。一緒にカッコつけたい。顔(表情)でダイブせーー! 最後までぎゅーっといこうぜ!」。この言葉に誘われ、満面の笑みで共に歌い、飛び跳ね、拳を突き上げる観客たちの姿はとにかく愛おしいったらない。

「2006年に梶さんと出会って舞妓Tシャツを作ってもらって、みんなに気に入ってもらってここまで来れた」と、キャピタルへの感謝を告げる。そして盟友、ROTTENGRAFFTYと四星球へ、ライブへ、モッシュ・ダイブへ、たくさんの気持ちを叫ぶ。最後には「幸せで帰って欲しい! 絶対! 幸せで帰って欲しい!」「ずっとみんなが幸せになれる空間が待ってるはず。乗り越えたら今よりいい未来待ってる。そんな想い届けたい!」、ノーマイクで叫んだあとに披露したのは「風」。未来にはきっと良い風が吹く、誰しもがそう願ったに違いない。

最後にしんみりと終わるわけもなく、もうひと組のコラボ相手、四星球が登場すればやっぱり「時間ない時のRIVER」! しかも時間がないって言いつつも、わちゃわちゃとボケツッコミしまくりのアットホームな締め方となるのが彼ららしい。

ロックバンドとバンドTシャツ。切っても切れない縁を感じられた『CAPITAL RADIO ONE 25周年 大感謝祭』初日公演。9月14日(土)に開催された2日目の公演には怒髪天、ピーズ、フラワーカンパニーズ、SKYが出演。こちらのライブレポートはライター・兵庫慎司さんが担当しているので、ぜひともそちらもチェックしてほしい。

取材・文=黒田奈保子 撮影=松本いづみ、桃子

イベント情報

『CAPITAL RADIO ONE 25周年 大感謝祭』
日程:2024年9月5日(木)
会場:京都・KBSホール
出演:四星球、10-FEET、ROTTENGRAFFTY

・CAPITAL RADIO ONE 公式サイト
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