DRUM TAO『百花繚乱 日本ドラム絵巻』の東京公演、初日囲みレポート

レポート
舞台
2015.7.20
 【写真提供/DRUM TAO】

【写真提供/DRUM TAO】

世界で650万人を動員し、結成から22年を迎えるDRUM TAO、そのO新作舞台『百花繚乱 日本ドラム絵巻』が、東京公演の初日を開けた。すでにこの公演は5月10日より佐賀市文化会館を皮切りに全国公演がスタートしていて、東京公演は天王洲 銀河劇場にて7月16日から26日まで、計16公演を行われる。
 
今回は初めて外部から演出家・宮本亜門を招いての新作舞台で、日本ツアーの後、来年2月にはNYオフブロードウェイでの公演が決定している。

初日に先立ち、16日の昼、舞台稽古の1部公開と囲みインタビューが行われた。
その後、構成・演出の宮本亜門、衣裳のコシノジュンコ、そしてDRUM TAOのメンバー、西 亜里沙、岸野央明、江良拓哉、麓 大輔が衣装で登壇した。
 
江良拓哉、西 亜里沙、宮本亜門、コシノジュンコ、岸野央明、麓 大輔 【写真提供/DRUM TAO】

江良拓哉、西 亜里沙、宮本亜門、コシノジュンコ、岸野央明、麓 大輔 【写真提供/DRUM TAO】

【囲みインタビュー】

──宮本亜門さん、初めてDRUM TAOの演出を手がけられましたが、ゲネプロをご覧になっていかがでしたか?
 
宮本 (5月の初日以降も)いろいろとメールで連絡をしたりして、修正をしているんですよね。すごくよくなっていると思いますし、今日TAOを観ていて、やっぱりこの人たちはもっと売れなければだめだ、と(笑)。そのくらい実力があると思っています。このエネルギー、潔さ、そして“気を入れる”というのでしょうか、今日観て本当に好きなカンパニーだと再確認しました。「地方再生」と言ってますが、TAOを観なければ日本はだめなんじゃないか、くらいに思います(笑)。東京のかたにはどうしても「地方からなの?」という意識があるかもしれないんですが、意識を変えていかないと、日本の本当にいいものがわかっていかないんじゃないか、と悔しいくらいで、今日観て、もっと広めたいと思う意識がますます高まりました。みなさん、宣伝よろしくお願いします(笑)!
 
──タイトルの“百花繚乱”という言葉はコシノさんのアイデアと伺っていますが、今回の衣装のポイントはどういったところでしょうか?
 
コシノ TAOの衣装をやって4年になるんですが、このグループを初めて観たときに、すごく強烈で、日本の文化をもっともっと強烈に変えていくなと最初に思いました。今回の宮本亜門さんとは、また新しくいい出会いで、松井るみさんの装置も加わって、私たち3人はブロードウェイでやった経験もあって最高のチームなんですが、元々の実力があるTAOですので、そこに新しいエネルギーが加わるともっともっとすごいので、これは日本のメッセージ性が高い、世界に自慢できるチームだと思います。とてもよくなっていると思います。私は衣装ですが、トータルに見せるということはすごく大事です。私は百花繚乱という日本の江戸がゴージャスだったあの時代が大好きなんです。想像の世界なんですけれども、あんな感じがまた再現できないかといつも思っています。思い切った、キッチュで、破裂しそうなすごさ、だけど品があって、かっこよくて、ということをやりたいんです。言葉ではうまく言えないんですけれども。とにかく観てくださることがいちばん大切です。いま日本は大切な時期です。オリンピックがあり、世界から注目されるいい時期です。ですから、今回TAOにはそういう要素が山ほどありますので、ぜひこれが将来的にも素晴らしいものになっていけばと思います。
 
──今日からの東京公演に向けて、TAOのメンバーの皆さんから一言ずつ意気込みをお願いします。
 
西 私は今回の作品は大好きです。亜門さんのやさしい演出と、ジュンコ先生のモダンでかっこいい衣装、そしてTAOの勢いのあるフルパワー、これが合わさったときに、どこにもない私たちにしかできない舞台になっていると思いますので、ぜひたくさんの人に観ていただきたいと思います。
 
江良 僕たちがやっていることは太鼓が中心ですが、あまり観たことのないジャンルだと思うんです。来てくれたお客様に、こういう日本人がいるんだな、ということを感じてもらいたいし、また明日からがんばろう、という少しでいいから支えになるように思ってもらえて、僕たちは僕たちでこの長い期間を使ってもっともっとチャレンジして、レベルアップして、進化させていきたいなと思っています。
 
岸野 今回はみなさんにご協力いただいて、融合して本当に素晴らしい舞台に仕上がっていると自信があるので、まだまだ和太鼓は浸透していないものだと思っていますので、観ていただいたお客様には、和太鼓かっこいい、宮本さんの演出もコシノさんの衣装もかっこいいね、と言ってもらえるように精一杯がんばりたいと思います。
 
 僕はまだ入団して2年目の新人なんですが、少年の役をやらせていただいています。TAOのメンバーの1人でもあるし、宮本亜門さんの演出の中の少年でもあり、いろいろ考えて、どんどん進化していただける自分がいるのかなと、これからが楽しみです。お客様に観ていただくのも楽しみですので、ぜひ劇場に足を運んでいただいて、感動を分かち合いたいです。
 
【写真提供/DRUM TAO】

【写真提供/DRUM TAO】


──この舞台は、来年NYのオフブロードウェイでの公演が決まっていますけれども、そちらに向けて一言ずつお願いします。
 
宮本 NYは大変厳しいところです。それがまたかえってやる気にさせてくれるところなので、世界でも観たことがないようなドラムとドラマという新たな挑戦ができることがとても楽しみだし、きちんと観てくれるところなので、僕は評判はいいと思います。自分の感覚では、これは絶対受けるという確信をもっています。新たな旋風を巻き起こしてほしいと、僕は思っています。
 
コシノ ブロードウェイの経験がありますけれども、いいものはいい、悪いものは悪い、というメリハリがありますから、初日にぱっと決まると思います。大変怖いところです。ですから来年までもう一歩鍛えて、日本のかっこよさ、日本に行きたいなと思われるような、大きな感性をメッセージできるようなトータルなものをやりたいと思っています。今回はブロードウェイは大丈夫かな、という感性でつくりました。そのへんのチャンネルはしっかりありますので、たぶん狂ってはいないと思いますが(笑)。こういう最高に楽しい仕事をしていますので、日本は優雅で楽しくてかっこよくて、という前向きのものを出したいと思います。とにかくビジョンがあると空気が違いますよね。オリンピックもそうですが、なにかビジョンがあって、ものをつくるというのはものすごく気持ちが締まると思います。ものをつくっていくのは素敵なことだと思うし、いま東京のこの環境は恵まれていて、感謝しています。
 
宮本 僕がなぜNYでこれがいけるかと思っているかというと、実力がある人しかNYは認めないんですよ。日本では実力がなくてもやっていけるところもありますが、NYではバッサリです。そこに関しては、TAOの人たちは自分の身を削って、血を流してやってきているから、それは絶対に舞台に出るし、だから僕はNYの結果が楽しみでしょうがないです。がんばってほしいと思います。
 
西 亜門さんからもNYはこてんぱんにやられるよ、といっぱい聞いてきました。みんなで必死になってこの作品をつくりあげてきたので、ちょっと不安もありますけど、ものすごく楽しみです。何回かの公演がありますが、きっとはじめの頃と最後のほうではちがったステージが仕上がっているのではないかと思います。すごく楽しみです。
──宮本亜門さんは今回、太鼓のリズムに感情をのせていくという演出で、新たな魅力につながるような試みをされていますが、いかがでしたか?
宮本 僕は稽古場が本当に面白かったんです。最初に稽古場に行ったとき、“演技ですか?”というみんなのドン引き具合がすごくて(笑)。そこからスタートしました(笑)。彼らが、震災のときにつくった作品の話をよくしていて、太鼓を叩くことで人が勇気づけられる現実が本当にあった、と。そうか、太鼓は根源的に生なんだ、と思って、それは表面の演技ではなく、感情と鼓動みたいなものを入れこんだら、演技なんかいくらでも越えられてしまう。表面ではない、本質的なものを観客に感じてほしいし、彼らもその音やリズムにのって出してほしいと思いました。こまかい演技の指導ではなく、こういうときにどう思うのか、ということをやっていきました。一緒に阿蘇の噴火しそうな煙を見ながら、マグマ感じながらやれたのは楽しかったです。ネットの時代ですが、生の感覚を、どうしても足を運んで感じてほしいと思います。
 
公演情報
DRUM TAO東京公演『百花繚乱 日本ドラム絵巻』

構成・演出:宮本亜門
衣装:コシノジュンコ
総指揮:フランコ ドラオ
出演:DRUM TAO

期間:7/16~26
会場:天王洲 銀河劇場
問合せ:銀河劇場センター 03-5769-0011
    東京音協 03-5774-3030(平日10:00~17:30)
公式HP: www.drum-tao.com

※ニューヨーク公演
2016年2/11~14 Skirball Center for the Performing Arts

 
 
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