『MINAMI WHEEL 2024』をFM802 DJ 田中麻希が振り返るーーカネヨリマサル、Re:name、muque、bokula.らのライブで802とのストーリーを実感【2日目編】
FM802 DJ 田中麻希
『Eggs presents FM802 35th Anniversary “Be FUNKY!!” MINAMI WHEEL 2024』2024.10.13(SUN)大阪ミナミエリア一帯ライブハウス
10月12日(土)・13日(日)・14日(月・祝)の3日間、大阪ミナミエリアで行われた、FM802主催、日本最大級のライブショーケースフェスティバル『MINAMI WHEEL 2024(以下、ミナホ)』。3連休のど真ん中、大勢の人々でにぎわうミナミの街。2日目と3日目の『ミナホ』にはタイの三輪自動車「トゥクトゥク」がアメリカ村を回遊する「トゥクホイール」が登場し、ハロウィン仕様のBIGSTEP前ではアーティストによる恒例のビラ配りも盛んで、秋のお祭りムードが満載に。SPICEでは、FM802 DJ陣に今年の『ミナホ』を振り返ってもらう企画を実施。2日目の13日の模様を振り返るのは田中麻希だ。
初日はSUNHALLトリのBillyrromまでしっかりと堪能し(BIGSTEP大階段でのMCなども担当しつつ)、迎えた2日目は朝3時に起きて802に入り、担当番組の『WEEKEND PLUS(毎週土〜日曜5:00〜7:00)』のオンエアを終え、一度帰宅して『ミナホ』体制を整えてから臨んだという田中。リスナーからは初日の『ミナホ』の興奮冷めやらぬままの熱いメッセージとリクエストがたくさん届き、「皆もめちゃくちゃ『ミナホ』で熱くなってくれてる。一緒に音楽体感してるんやなって感じられた2日目の始まりでした」と嬉しそうに目を細めた。
『ミナホ』の回り方は人によってさまざまだが、田中は番組でお世話になったアーティストプラス、今『ミナホ』で体感したいアーティストを軸にホイール。持ち時間の35分でどんな展開を見せるかも含めて楽しみたかったということで、最初から最後までフルでライブを観たアーティストが多かった。一体どんなドラマが繰り広げられたのか。振り返りスタート!
【13:00】sanetii(ANIMA)
2日目の『ミナホ』の幕開けに田中が選んだのは、LiveHouse ANIMAに出演したsanetii。「元々好きな楽曲があって番組でもお届けしていたのですが、2000年代風味を感じるロックサウンドとボカロの融合をどうライブで表現するんだろうと気になって。新曲の「寵愛族がリリースされたばかりなので、このタイミングで拝見したいと思いました」と声を弾ませる。「あまり顔出しされてないので、サングラス姿で登場して。哀愁もありつつバチバチのロックで会場を一気に熱狂に持ち込むフィジカルの強さは、今拝見しておいて良かったです。ANIMAのミラーボールやカラフルな照明もぴったり! 「拳を上げて皆でこの空気を体感しようよ」という雰囲気もあって、楽曲の印象だけではわからなかった一面を知れたライブでした。私も一緒に拳上げてました。めちゃめちゃ楽しかった!」と興奮した様子だった。
【14:00】A夏目(ANIMA)、Re:name(SUNHALL)
続いての時間帯は、ANIMAのA夏目とSUNHALLのRe:nameをハシゴ。「A夏目さんは昨年の『ミナホ』も拝見していたんです。今年リリースされたアルバム『Gum』のリードトラックで、結構ダークだけどアガるファンクチューン「Bubble gum」が1曲目だったんですけど、音楽がグッと広まった感覚を受けました。1年前はどちらかというとチルくて穏やかで、皆で身体をゆらりと揺らす雰囲気だったけど、今年は一回り大きくなった姿を拝見できて。新しい扉が開いてる感覚がすごくありました。「Bubble gum」の次が「Stay true」という緩やかな曲で、その対比もすごく美しかったです」とうっとり。
Re:name
Re:nameは「prettyfine :)」が2023年3月度邦楽ヘビーローテーションになるなど、802とのストーリーが深いバンド。「彼らは『ミナホ』4年目で、どんどんライブハウスのキャパも大きくなって、今年はSUNHALLでどんなライブを見せてくれるか楽しみで、絶対拝見したいと思っていました。英詞と日本語詞が混ざる中で、縦長のSUNHALLの後方まで轟くような、滾るロックをガンとかき鳴らしてくれて。若い子も初めての方も巻き込むパワーで、改めてロックに対する初期衝動を感じましたね。入った瞬間から「うわ熱狂!」とわかるほど熱く盛り上がっていて圧倒されました。さらに大きいステージが予感できる、パワフルでダイナミックな景色を見せてくれました」と想いひとしおだった。
【15:00】カネヨリマサル(BIGCAT)
カネヨリマサル
大阪出身のカネヨリマサルは、1番大きなBIGCATを入場規制にした。彼女たちの成長には、9月に行われた初の大阪城野音でのワンマンライブがあったに違いないと田中は語る。「野音を経たバンドの成長をすごく感じるステージでした。さらに強くなったというか、説得力が増し増しになっていて、3ピースだからこその感情やエネルギーの爆発を感じました。MCで「『ミナホ』はすごく信じられるイベントだ」「この時間を信じてくれてありがとう」とおっしゃっていて、オーディエンスとの関係性も802との関係性も大切にしながら、しっかりパフォーマンスをしている印象が強かったです。リリックにも嘘がないし、芯の部分が全然変わらない。心の底から湧き上がってくる言葉をロックに乗せて表現する力のあるアーティストだなって。地元大阪の野音ワンマンをひとつのストーリーとして、さらに広く見られるバンドになったと思います」と確かな成長を実感し、未来にも期待した。
【15:30】大橋ちっぽけ(JANUS)
大橋ちっぽけ
カネヨリマサルの勇姿を最後まで見届けて次に向かったのは、JANUSの大橋ちっぽけ。「朗らかな空気感で音楽を奏でられる方で、その空気感を存分に味わえました。哀愁漂うメロディーも力強い楽曲もありながら、喜怒哀楽じゃ表すことができないところを表現される方で、じっくり拝見したいアーティストなんです。心の奥底の部分や人間味が溢れるリリックも堪能できました。今までもJANUSでライブをされているからか、きっとすごく安心してライブをされてたと思います。「誰かのとなり」という新曲も披露してくださって。『ミナホ』では、リリースしたばかりや「これからリリースします」という新曲を披露してくれることがよく起こるので、そういうところもいいですよね」とほっこりとその時間を回顧した。
【17:00】コロブチカ(Pangea)
コロブチカ
今年からの『ミナホ』の新企画、初の学生オーディションで出演権を獲得したアーティストが出演する「MINAMI WHEEL 2024 -New Age-」はやはり外せない。2日目の枠に登場したのは、くるりやおとぼけビ〜バーらを輩出した京都・立命館大学の軽音サークル「Rock Commune」出身のコロブチカ。田中はオーディションの時から彼らの歩みを見守り、本番当日はステージMCをつとめた。『ミナホ』出演前から関係性を築いてきた思い入れの強さは相当なもの。
「審査の段階から、感性のみずみずしさと、本当に音楽が好きでその衝動を「共有しようよ」と提示する強さを感じましたね。特に最終審査はBIGCATのトリで「ジャンルなんて飛び越えてやる」という気概と魂を2人から感じて「これは」と思いました。当日は「ついに『ミナホ』のステージだね!」という感じで、802と一緒に歩んできたストーリーは始まる前からぐっときました。彼らは既にPangeaで自主企画もしていて、大阪のホーム的なライブハウス。当日も印象は全く変わらず、真正面からギターロックをかき鳴らして、自分たちのやりたいことを貫く姿がすごくカッコ良かった。次の『ミナホ』も絶対出てほしいな。ずっと一緒に歩んでいきたいバンドです」と、感動を溢れさせながら語ってくれた。
【18:00】chilldspot(SUNHALL)
『ミナホ』パスを見せると特典が受けられる「PASS得WHEEL」を使ってタコせんを食べ、腹ごしらえをした後は、chilldspotを観にSUNHALLへ。「chilldspotの曲は本当に多彩で、憂いを帯びた曲から「これで踊らせてやるぜ」というロックもあるんですけど、この日はめっちゃアグレッシブでした。オーディエンスのボルテージがどんどん上昇してすごかったんですよね。グルーヴィーで、自然と身体を動かさずにはいられない。比喩根ちゃんの感性のセンサーがすごく豊かなので、ライブになるとそこもより体感できてしまう。変幻自在で、憂いも熱も丸ごとひっくるめて表現して、うごめく感じをお客さんと共有している、すごいステージでした。ライブ後にお話したら「『ミナホ』だから攻め攻めセットリストにしました」と言ってました」と熱のこもった口ぶりから、最高のライブだったことが伝わってきた。
【19:00】muque(BIGCAT)
muque
続いては、昨年が初『ミナホ』で初大阪だったmuqueの元へ。昨年のBEYONDから一気にBIGCATまでステージを駆け上った彼らはこの1年間ほぼ毎月来阪。10回目の『ミナホ』だったそう。「初来局の時にインタビューさせていただいてからずっとライブに行っていて。毎月1回は大阪に来てくれたので、1年で積み上げたものが詰まったステージでした。去年は本当に新人のポジションだったけど、1年でこんなに大きくなって。BIGCATの大きさもあるけど、muque自体ライブの見せ方も変わってきたし、遊び心もあるステージで、1年前とは全然違った魅力を放ってましたね。ロックが前面に出る楽曲もある中で響くエアリーな歌声。佇まいが本当に素敵。1stアルバム『Dungeon』がリリースされて数日なのに、リード曲「feelin’」では皆が左右に手を振って一体となって楽しめて。キャッチボールがすごく増えて、お客さんのノリ方もそれに追随して変わってきた。去年からの変化は本人たちも感じてるみたいです。本当にどんどん変容しているし、これからどうなっていくんだろう。11月のワンマンもイベントライブもありそうだから、年内もまだまだ楽しみです」と期待を寄せた。
【19:30】tonun(JANUS)
tonun
tonunは2023年2月度の邦楽ヘビーローテーションに「Friday Night」が選出されたり、『レディクレ』に出演したり、MCも一緒につとめたりした、802ゆかりのアーティスト。「JANUSでも何度かライブをされていますけど、ダンスホールかと思ったり、夜の街を闊歩してるような感覚になったり、表現がとにかく豊かで、ライブハウスということを忘れるほど。tonunさんの空気で満ちたJANUSで、グルーヴィーで自由に身体を揺らして浸れる自由なステージでしたね。19時半のこの時間もまた良いんですよね。1日歩き回った中で解放させてくれる、すごく豊かな時間でした」と、すっかり疲れを癒してパワーチャージしたようだった。
【20:00】拍謝少年 Sorry Youth from Kaohsiung(高雄)&Taichung(台中)(Pangea)
昨年から新たな試みとしてスタートした、アジアからの来日アーティストが出演した「ASIAN WAVES」も見逃せない。海を越えてPangeaに降り立ったのは、台湾からやってきたSorry Youthだ。「現地ではイベントの大トリを飾るほどのバンドだけど、それをこの距離感で楽しめるのも『ミナホ』ならでは。縛りがない自由なロックサウンドを轟かせてくれて、音楽は国境を越えるなとすごく感じましたね。MCで「好きやねん」と言ってくれて親しみを感じましたし、「音楽に語ってもらいましょう」というMCもすごく良かったです。3人のハーモニーも美しくて、ぶっといサウンドに力強い歌があって、皆「おおーっ」と楽しんでました。歌詞で何を言っているかすぐにはわからなくても、不思議と胸に突き刺さる空気感がありました。「日本で今の自分の音楽を鳴らすんだ」という気概も感じましたし、お客さんも「それを受け取りにいくぞ」という前のめりな姿勢で、本当に味わい深いステージでしたね」と、貴重なライブを全身で浴びたようだった。
【21:00】bokula.(BIGCAT)
bokula.
そして田中の2日目の『ミナホ』を締め括ったのはbokula.。「今年の『レディクレ』にも出演してくれますし、ここからのストーリーもありつつ、2日目のラストはどんなステージなんだろうと楽しみに行ったら、バンドとオーディエンスとの距離の近さをめちゃくちゃ感じて。それは彼らが積み上げてきたものだと思うんですけど、生々しいバンドサウンドが轟く中で皆が拳を上げてシンガロングする一体感、パワーアップした姿を拝見できるステージでした。フロアが激しく揺れていて、最後は「『ミナホ』ラスト、もう全部出すぞ!」という空気もありましたね」と清々しい眼差しで回顧した。
「802を信頼してくれて、バンドのストーリーも802とのストーリーもあり、その中で「今日はどんなライブをしよう、こういうセットリストでいこうか」とどのアーティストも考えてくれて。想いを強く感じました」と語ってくれた。
田中は「新たな「好き」に出会えるのが『ミナホ』の魅力。まだ見ぬ出会いや不意打ちの出会いで、自分の好きセンサーにビビッとくるアーティストをどんどん見つけてほしいです。ふらっと入ったライブハウスで「あ、好きじゃん」みたいなところからワンマン行ってみようかなとか、ラジオにリクエスト送ろうとか、「好き」の入り口になってほしい」と大切そうに『ミナホ』への想いを語り、「朝からリスナーの『ミナホ』熱を受け取りながらの2日目で、現地でも「このアーティストも気になるね、行ってみようよ」「このライブハウス初めて入るわ」みたいなリスナーの声が聞こえてきて、すごく嬉しかったです。音楽や好奇心、来てくれた人の熱を感じられた2日目でしたね」と満足そうな表情を浮かべていた。
取材・文=久保田瑛理 写真=FM802 提供
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