『石田組 結成10周年日本武道館公演』オフィシャルライブレポートが到着

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クラシック
2024.11.11

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2024年11月10日(日)、ヴァイオリニストの石田泰尚率いる「石田組」が日本武道館にて公演を開催した。本公演のオフィシャルレポートが到着した。


結成10周年を記念して、全国を巡り29公演が行われている弦楽合奏団・石田組のコンサートツアー「石田組 結成10周年ツアー」のハイライトとして11月10日に日本武道館公演が行われた

クラシックのコンサートが日本武道館で行われるのはイベントなどを除いては非常に稀であり、近年では清塚信也氏、角野隼斗氏など人気のピアニスト公演はあったものの、弦楽合奏団単体でのコンサートではおそらく初の快挙になるとのこと。

今回の公演は石田本人が数年前より 「有言実行」 の目標として口にしてきた念願のベンチマークであったが、今の石田組の勢いもあり早々にソールドアウト(入場者数 8300人)となり人気の一端を窺える結果となった

ステージ背面にはファンにはお馴染みとなっている、武田双雲氏の筆による「石田組」の毛筆ロゴが大々的にあしらわれ、ステージ左右には映像のビジョンが設えられている。ポップスやロックのファンには見慣れた光景かもしれないがこれがクラシックのコンサートであることを考えれば、今日が特別な公演であるという期待を否が応でもするであろう。

BGMが止まり、会場の客殿が落ちると青く暗転したステージ上に組員が板付く。ヴィオラのフレーズに先導される形でオープニング曲である「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」が始まる。ステージ上に眩い光が当てられる中、組長 石田の登場と共に金色に輝く「石田組」の名前に一瞬目を奪われる。続く石田からの合図によりメインのフレーズが奏でられたのをきっかけにステージは鮮やかに明転、今日のコンサートが鮮やかに切って落とされた。

布袋寅泰の手による映画「キル・ビル」のテーマとしてもお馴染みの「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」を皮切りに、クラシックロックの大名曲「天国への階段」「スターゲイザー」と続いていく。クラシックロックのカバーは石田組の大きな魅力の一つとなっているが中でも壮大な2曲は今日の晴れ舞台「日本武道館」への敬意の表れとも受け取れそうだ。

ここで短いMCを挟み、「亡き王女のためのパヴァーヌ」「火祭りの踊り」「ファランドール」といった彼らの真骨頂であるお馴染みのクラシック楽曲へと続いていく。

ここでメンバー紹介(メンバーが多いのでヴァイオリンのみ)を挟んだのち、再度ロック・クラシックの登場。このパートで演奏されたのはクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」と「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」。同じロックでもメロディックでポップな楽曲で観客の高揚感もアップしていく。自然と手拍子などもうまれ、盛り上がったところで前半パートは終了となった。

約20分の休憩を挟み後半がスタート。青一色の明かりの中舞台下からポップアップで石田氏が登場すると同時に美しいソロパートに導かれ組員がイン。バンド・ネオンで有名なアルゼンチン・タンゴの巨匠アストール・ピアソラの楽曲を続けて3曲披露した。
普段のコンサートでも必ず取り上げられるピアソラ曲だがこうして3曲続けて聴けるのは珍しい。哀愁感のある楽想は弦楽合奏との相性も非常によく、メリハリある演奏も相まって印象的なパートになった。

再度、メンバー紹介パートを挟み本編の最終コーナーへ。
石田組のコンサートでは実はこのメンバー紹介コーナーがファンの楽しみの一つとなっている。キーワードは「俺のファン!」

最終コーナーは美しいメロディが聴かせるゴッドファーザーメドレーから再びクラシック・ロックへの流れ。
本編最後の「紫の炎」ではクラシックらしからぬ「炎」の特効で客席からどよめきが起こりつつ、スリリングな劇団員のソロ回しなど見せ場も満載でまさに石田組の真骨頂と言えるパフォーマンスで、本日のハイライトとなった。

アンコールでは、メンバーもTシャツに着替えてだいぶリラックスした雰囲気の中4曲を披露。
中でも石田氏は曲ごとに「俺、最強」「ありがとう」「石田組長」と大きくプリントされたTシャツを着用して客席を和ませていた。決して雄弁なMCなどは披露しないのだが、こうした茶目っ気たっぷりの要素がファンに愛されている所以であることを物語っていた。
最後は「ホワットエヴァー」で大きな客席の手拍子も交えた大団円となった。

ここ数年の大きな目標であった日本武道館公演を満員ソールドアウトという最高の形で終えた石田組。
今日見せてくれたクラッシックという固定観念を取り去ったエンターテインメント性で更なるステージへ飄々と進んでいくことであろう。
次はどんな景色を見せてくれるのか今後の石田組にますます期待がかかる。

撮影=西岡浩記

セットリスト

石田組 結成10周年ツアー 日本武道館

【東京】2024年11月10日(日) 開場16:00 開演17:00 日本武道館
1.布袋寅泰:BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY
2.レッド・ツェッペリン:天国への階段
3.レインボー:スターゲイザー
MC
4.ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
5.ファリャ:火祭りの踊り
6.ビゼー:ファランドール
MC
7.クイーン:ボヘミアン・ラプソディ
8.クイーン:ボーン・トゥ・ラブ・ユー
1部終了〜休憩
9.ピアソラ:アディオス・ノニーノ
10.ピアソラ:タンゲディアⅢ
11.ピアソラ:リベルタンゴ
MC
12.ニーノ・ロータ/コッポラ:ゴッドファーザーメドレー
13.U.K.:シーザーズ・パレス・ブルース
14.レッド・ツェッペリン:カシミール
MC
15.ディープ・パープル:紫の炎
En1.ラヴェンダーの咲く庭で
En2.タケカワユキヒデ:The Galaxy Express 999
En3.水野良樹:ありがとう
En4.オアシス:ホワットエヴァー
 
出演組員
石田泰尚 – Solo Violin (神奈川フィルハーモニー管弦楽団・京都市交響楽団)
佐久間聡一 – 1st Violin (フリー)
塩田脩 – 1st Violin (東京都交響楽団)
村井俊朗 – 1st Violin (フリー)
田村昭博 – 1st Violin (日本フィルハーモニー交響楽団)
双紙正哉 – 2nd Violin (東京都交響楽団)
大宮臨太郎 – 2nd Violin (NHK交響楽団)
ビルマン聡平 – 2nd Violin (新日本フィルハーモニー交響楽団)
丹羽洋輔 – 2nd Violin (NHK交響楽団)
中村洋乃理 – Viola (NHK交響楽団)
生野正樹 – Viola (フリー)
萩谷金太郎 – Viola (東京都交響楽団)
古屋聡見 – Viola (フリー)
辻本玲 – Cello (NHK交響楽団)
西谷牧人 – Cello (愛知県立芸術大学)
弘田徹 – Cello (新日本フィルハーモニー交響楽団)
大宮理人 – Cello (フリー)
米長幸一 – Contrabass (神奈川フィルハーモニー管弦楽団)
高山智仁– Contrabass (日本フィルハーモニー交響楽団)
市川哲郎– Contrabass (群馬交響楽団)
 
最新リリース
■石田組 結成10周年記念アルバム 『2024・春』
2024年4月10日(水)発売
品番:UPCH-20670 SHM-CD+DVD (2DISCS)
価格 ¥4,000(税込)
【収録内容】
〈SHM-CD〉
BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY(布袋寅泰)
紫の炎(ディープ・パープル)
天国への階段(レッド・ツェッペリン)
リベルタンゴ(ピアソラ)
ゴッドファーザー・メドレー(ロータ/コッポラ)
シンドラーのリスト(J.ウィリアムズ)
弦楽のための組曲(ラター)
二つの悲しき旋律(グリーグ)
津軽海峡・冬景色(三木たかし)
〈特典DVD〉
★BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY
★リベルタンゴ
★過ぎし春
★津軽海峡・冬景色
★Behind the Scene
石田組 (レコーディング・メンバー)
ヴァイオリン…石田泰尚 三上 亮 塩田 脩 ビルマン聡平 丹羽洋輔 山岸 努
ヴィオラ…須田祥子 萩谷金太郎 古屋聡見
チェロ…西谷牧人 森山涼介 大宮理人
コントラバス…米長幸一                                                                       
編曲:松岡あさひ (1,3,5,6,9) 、近藤和明(2,4)
録音:2024年1月30-31日 稲城市立iプラザ
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