市川團十郎が4役を勤め、古典の名作に「裏」を加えた『双仮名手本三升』が開幕 舞台写真が公開
『双仮名手本三升』昼の部より
2025年1月3日(金)、新橋演舞場1月公演にて、十三代目市川團十郎白猿が4役を勤める『双仮名手本三升』が初日を迎え、舞台写真が公開された。
團十郎が新橋演舞場の正月公演に出演するのはこの度で15回目となる。團十郎が挑む新たな忠臣蔵への期待感に開場前から多くの観客が長蛇の列を作る賑わいのある初日となった。
『双仮名手本三升』昼の部より
『双仮名手本三升』昼の部より
『双仮名手本三升』昼の部より
歌舞伎の三大名作の一つと呼ばれる『仮名手本忠臣蔵』。元禄十四年に起こった赤穂藩藩主・浅野内匠頭が吉良上野介に対して起こした刃傷事件を題材にした作品は、1748年(寛永元年)に人形浄瑠璃として初演された後、歌舞伎にも移入され、瞬く間にその人気が広まり、屈指の歌舞伎を代表する人気演目となった。そして、江戸後期を代表する俳優・七世市川團十郎が、1833 年(天保四年)に『仮名手本忠臣蔵』を「表」として、新たに「裏」のエピソードを創作して『裏表忠臣蔵』として人気を博した。
『双仮名手本三升』昼の部より
『双仮名手本三升』昼の部より
『双仮名手本三升』昼の部より
今回の『双仮名手本三升 裏表忠臣蔵』は、その七世團十郎の精神を受け継ぎ、古典の名作に現代に合わせた形の「裏」を加え、わかりやすく楽しめる作品となっている。
『双仮名手本三升』夜の部より
『双仮名手本三升』夜の部より
『双仮名手本三升』夜の部より
團十郎が大星由良之助を初役で勤め、早野勘平、斧定九郎、高師直の4役を早替りで演じ、夜の部では宙乗りも披露するなどケレン味も魅力の一つとなる本作。その一方で『仮名手本忠臣蔵』では省略されている部分も丁寧に描くことで、登場人物たちの心情にフォーカスした物語に仕上がった。斧定九郎が随所に登場して様々な人物と関わり、物語を繋いでいくストーリーテラー的な役割も担うなどこれまでの「忠臣蔵」にはなかった視点も。さらに勘平を失い残されたおかるの前に幻想のおかると勘平が現れ舞い踊る幻想的な場面が加わるなど、新たな創作場面も散りばめられ目が離せない。まさに「忠臣蔵」の決定版とも言える本作がついに初日を迎え、初春を寿ぐ観客で大入りの中、賑々しく熱気溢れる公演となった。
『双仮名手本三升』夜の部より
『双仮名手本三升』夜の部より
『双仮名手本三升』夜の部より
『双仮名手本三升』夜の部より
討ち入りを果たした四十七士が集い、由良之助の掛け声で志士たちが勝どきの声をあげる花水橋のクライマックスの場面では、大迫力の雪が降りおりる圧巻のシーンとなり、場内からは割れんばかりの大きな拍手で幕を閉じた。
『双仮名手本三升』夜の部より
『双仮名手本三升』夜の部より
『双仮名手本三升』夜の部より
『双仮名手本三升』夜の部より
『双仮名手本三升』は1月26日(日)まで新橋演舞場にて上演される。
『双仮名手本三升』夜の部より
市川團十郎 初日コメント
新年おめでとうございます。
皆で一丸となり稽古を重ね、本日無事『双仮名手本三升 裏表忠臣蔵』の初日を迎えることができました。
新橋演舞場のお正月公演への出演は本年で 15 回目となりますが、毎回が「新たな挑戦」となっております。
今回は古典歌舞伎の名作『仮名手本忠臣蔵』を「表」、現代に合わせた形の新たな場面を「裏」としてつけ、「裏表忠臣蔵」を初演した七代目團十郎の精神を受け継ぎながら、登場人物の物語がよりはっきりと描き出される、現代に合わせた「裏表忠臣蔵」となるよう稽古を重ねてきました。通常では大変上演時間が長い「忠臣蔵」ですが、今回は、物語はしっかりと描きながらも上演時間は短くテンポを上げ、「忠臣蔵」をご存じの方も、まだご覧になったことがない方も、皆様にお楽しみいただける作品に作り上げました。
この機会にぜひ新橋演舞場にて「忠臣蔵」の世界に触れていただき、物語の根底に流れる日本人が大切にしてきた心を感じていただき、お楽しみいただければ幸いです。
本年は若手も多く出演しており、様々な出演者により生まれる舞台上のエネルギーもご堪能いただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。