⾼⽥翔と⼿塚⽇南⼈による⼆⼈芝居『Fallait pas le dire 〜 それを⾔っちゃお終い』ゲネプロレポートが到着

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10:13

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フランス発のウィットに富んだ二人芝居『Fallait pas le dire ~ それを言っちゃお終い』が2025年3月2日(日)まで、六本木トリコロールシアター(東京都港区)で上演中だ。

2022年12月に同劇場で日本初上演された『それを言っちゃお終い』。これまでドラマ・リーティングやストレートプレイなどさまざまな形で上演されてきたが、記念すべき10回目の上演となる今回は、数々の舞台に出演して実力をつけている高田翔と、活動を始めたばかりではあるが大きな注目を集める手塚日南人の2人が出演。全15景からなる本作で12 景を抜粋し、「彼」役と「彼女」役を場面ごとに入れ替わりで演じる。

初日直前の2月20日(木)に行われたゲネプロ(総通し舞台稽古)を観劇した。

会場は六本木トリコロールシアター。日比谷線六本木駅から芋洗坂を下って徒歩3、4 分のところにある。1階はホワイエで、2階がキャパシティ200席の小劇場となっている。「こんな都会の真ん中に劇場が?」と思うが、その真っ白な外壁であったり、ホワイエに置かれているアンティーク家具であったり、独特な存在感があり、どこかクラシカルな雰囲気が、今回のようなフランス発の戯曲とよく馴染む気がする。

本作のプロデュースと演出を務める白樹栞氏が挨拶をして、客席の電気が落ちる。舞台上には3脚の椅子やハンガーラックなどがあるほか、舞台下手側(客席から見て舞台左側)にはその場面のタイトルフリップが用意されている。ピアノの生演奏(!)はあれど、高田翔と手塚日南人のたった2人による会話劇がおよそ75分(予定)に渡って繰り広げられる――。

会話劇と言っても、それぞれの場面(物語)は10分足らず。彼の母親のケーキがパサパサしていると言ってしまった“彼女”と、それを口にするのは間違いだという“彼”による「ケーキ」や、ネットの検索履歴を消した“彼女”と、履歴を消したのはやましいことがあるからではと疑う“彼”による「履歴」、やってきた配管工は男か女か議論する「男-女」など、日常のささやかな出来事の中での「それを言っちゃお終い」なことが描かれる。

「男は~」「女は~」とやや主語が大きくなったり、「代理母」や「中絶」など社会的な問題が絡めてあったり、フランス流のウィットやユーモアに富んだ戯曲。最後まで観終えたら、もう一度頭から観直して、諸々の答え合わせがしたくなるはずだ。

場面を牽引したのは高田。かなりのセリフ量だったと思うが(しかも覚えづらいセリフだったと思うが)、それぞれの場面のツボを心得ていて、緩急ある芝居で魅せた。男女の区別だけでなく、それぞれのキャラクターに個性を持たせるのがうまく、「いるいる、こういう人」と何度も思った。一方の手塚は全体を通してやや緊張気味だったが、良くも悪くも等身大の演技。芝居もキャラクターもニュートラルで、それゆえの可笑しみがあった。

公演は3月2日(日)まで。

取材・文・撮影=五月女菜穂

公演情報

Fallait pas le dire『それを言っちゃお終い』Ⅹ.
 
作:Salomé Lelouch
翻訳・脚本:岩切正一郎
演出:白樹栞
出演:高田翔 手塚日南人
公演日程・劇場:2025年2月21日(金)~3月2日(日) 六本木トリコロールシアタ
(税込・未就学児入場不可):¥8,800(前売)/当日券は¥500up
公式サイト:http://tricolore-theater.com
主催:一般社団法人Société Le Théâtre Elysée
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