大阪で開催中『生誕150年記念 上村松園』展示構成を紹介、音声ガイドを担当する木村多江「「母」を描いた作品に惹かれたことが発見」
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『生誕150年記念 上村松園』
6月1日(日)まで大阪中之島美術館にて、展覧会『生誕150年記念 上村松園』が開催中だ。初期から晩年まで、松園の画業をたどる100件以上を展示し、これらの作品群によって松園の画業を振り返る。同展の展示構成を紹介する。
第1章 人生を描く
上村松園 「四季美人図」1892年頃 光ミュージアム 【通期展示】
日本の女性がそれぞれの年代を迎える姿を、松園は近世風俗画や浮世絵などを研究し、髪型や着物などを細やかに描き分けて表現した。若い頃から松園は女性の一生を、季節の巡りになぞらえて描き、その生き方、あり方に着目していた。本章では、母性をテーマとする代表的作品「母子」や、春夏秋冬の季節を表す4人の女性の年齢に応じた髪型や装いの描き分けに注目したい「四季美人図」などから、女性の人生を見つめる松園の眼差しを作品から読み解く。
第2章 季節を描く
上村松園 「春」1938年 田渕ホールディングス株式会社 【通期展示】
四季折々に生きる女性の姿を松園は生涯にわたり描いた。柱の直線によって女性の曲線美が協調されている「待月」や、晩春の華やいだ光景を描いた「春」などの作品は、松園ならではの品格と愛らしさに満ちて、広く親しまれている。本章では、春夏秋冬と巡りくる四季の風趣のなかに息づく女性たちを描いた作品を取り上げ、松園が注ぐ温かく懐古的な眼差しを見ることができる。
第3章 古典を描く
上村松園「汐くみ」1935年頃 大阪中之島美術館 【通期展示】
松園は修業時代から古画の図案を研究し、伝統芸能、古典文学を画題に取り上げていた。大正期前半には人物の内面表現を追求し、叙情性を打ち出すが、次第に内なる感情を凝縮し、気品高い古典の本質へ到達する。本章では、画題を伝統に求めた松園が画中の女性像を表現する手法に着目しながら名作の数々を紹介。日本舞踊の演目のひとつで恋人を想いながら踊る海女の姿を描いた「汐くみ」、能を舞い優美な所作のなかにも意志が感じられる「序の舞」、小野小町が草子を洗い流して潔白を証明した瞬間を描いた「草紙洗小町」などが展示される。
第4章 暮らしを描く
上村松園 「舞仕度」1914年 京都国立近代美術館 【前期展示】
松園は人々の日常のひとこまを数多く描いた。明治期の作品は同時代の風俗にも目を向けたが、昭和期の作品は、近代化する世の中から失われゆく風俗を懐かしむ気持ちが込められていく。出番を待つ緊張した様子の舞い手の娘と、談笑する3人の囃子手の女性を対照的に描いた大正期の秀作「舞仕度」、振袖姿の娘が小鼓を打とうとしている瞬間を描く「鼓の音」、障子の破れを繕う若い女性のさりげない姿が清々しい晩年の名作「晩秋」を展示。行事を楽しみ、化粧を施し、家事に勤しむ女性たちの暮らす姿が松園の絵筆によって凛として甦る。
音声ガイドナビゲーターは俳優の木村多江が務める。あわせてオフィシャルインタビューも紹介する。
木村多江コメント
ーー音声ガイド収録の感想を教えてください
上村松園が大好きなので、今回お話をいただきとても嬉しいです。以前より松園の作品が好きだったのですが、今回、音声ガイドの収録をさせていただいて、上村松園という「人」にもフォーカスして接することができ、ますますその魅力を感じることができました。
ーー音声ガイドで紹介した中で、特に気になる作品はありますか?
20代の頃は、若い女性を描いた作品にとても惹かれていました。でも、今回の音声ガイド収録にあたり、上村松園が生きていた時代背景や、お母様への思慕が作品につながっていることを知ると、「青眉」や「母子」など「母」を描いた作品に惹かれました。
私自身も母であること、そして母がいることが、どこか作品と重なるような部分もあり、心を掴まれるような気持ちになったのが、今回のお仕事での新しい発見だったなと思います。
イベント情報
会 期:2025年3月29日(土)~6月1日(日)前期:3月29日~5月11日 後期:5月13日~6月1日
休 館 日 :月曜日、5月7日(水) ※4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館
開場時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
会 場:大阪中之島美術館 4階展示室
※税込価格。
※障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は当日料金の半額(要証明)。ご来館当日、2階の
※本展は、大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要です。
※事前予約制ではありません。展示室内が混雑した場合は、入場を規制する場合があります。
※災害などにより臨時休館する場合があります。
主 催:大阪中之島美術館、日本経済新聞社、テレビ大阪、京都新聞、神戸新聞社
特別協力:公益財団法人 松伯美術館
協 賛:DNP大日本印刷
展覧会公式サイト:https://art.nikkei.com/shoen/
美術館公式ホームページ: https://nakka-art.jp/exhibition-post/shoen-2025/
お問い合わせ: 06-4301-7285 大阪市総合コールセンター(なにわコール)
※受付時間 8:00~21:00(年中無休)