福田悠太×高田翔『午前0時のラジオ局―満月のSAGA―』が開幕　幽霊役で「千穐楽には数ミリ浮いている可能性も」

福田悠太（ふぉ～ゆ～）と高田翔が出演する舞台『午前0時のラジオ局―満月のSAGA―』が、2025年5月29日（木）東京・博品館劇場が開幕した。開幕に先立ち行われたゲネプロと囲み取材会のオフィシャルレポートが到着したので紹介する。囲み取材会には、福田、高田、高柳明音、宮崎香蓮が登壇。意気込みを語った。

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本作は、NBC 長崎放送の現役アナウンサーである村山仁志が「深夜ラジオ番組」を題材に2014年に書き下ろした小説を原作にしたハートフルな幽霊ミステリーで、観る人の多くの心を温めた作品です。常に再演や続編へのご要望があった本作ですが、今回、舞台を長崎から佐賀のラジオ局に移し、続編として上演します。

上演台本・演出は、前作でも観客の心を動かすハートフルな作風で人々の心に寄り添った、霧島ロックが引き続き担当。幽霊ディレクター・蓮池陽一役を福田悠太が続投し、新たな登場人物として大学生・酒谷昇太役を高田翔、DJ 志望の清水杏慈英凛華（アンジェリカ）役を高柳明音、女子アナ志望の花音（カノン）役を宮崎香蓮が務めます。

佐賀駅前の小さなラジオ局で、深夜0時にだけ放送される謎の番組『ミッドナイト☆レディオステーション』。幽霊でありながらラジオ番組を作り続けていたディレクター・蓮池陽一とDJ志望のアンジェリカが過去と現在、夢と現実をつなぐ奇跡のラジオを放送していました。恋人を亡くした酒谷昇太は、ある夜、この番組と出会い、不思議な現象に巻き込まれていきます。

軽やかで余裕を感じさせる蓮池、ラジオDJらしくノリノリで常にテンションが高いアンジェリカ、花音のことを忘れられず、悲しみを抱える昇太が繰り広げるラジオ番組のシーンと、昇太と花音の楽しかった日常の回想シーンが交互に展開していく本作。3人の息のあった掛け合いが面白く、まさにラジオの生放送を見ている気分になります。昇太と花音のシーンも心を通わせているカップルのやりとりがかわいらしく、ほっこりした気持ちに。一方で、伏線があちこちに張られ、ラストに向かうにつれ見事に回収されるので、どのシーンも見逃せません。幕が降りたとき、大きな勇気をもらえると同時に、ラジオの力を感じられる物語になっています。

取材会で、福田は「ゲネプロでは予想以上に緊張したので、その疲労感とともに初日を迎えられるのはちょうどいいと思います。リラックスして本番を迎えられるのではないかなと思っています」とゲネプロを終えた感想を語りました。

本作は、2023年に上演された『午前0時のラジオ局』の続編になりますが、前作から蓮池を演じている福田は「この役を演じるに当たって一番苦労したのは役作りです。普段、役をいただいたときはその職業を経験してみたりもしますが、幽霊役ということで知ることができないので苦労しました。幽霊は少し浮いているのかとか、透けているのかなと考え、稽古場で3ミリ浮いてみようと努力はしたんですが、なかなか浮くことができなくて」と本気とも冗談ともつかない言葉で会場を笑わせました。続けて、「何が起こるか分からないのが演劇なんで、千穐楽には数ミリ浮いている可能性はゼロではない。前回の公演では浮くことができなかったので、今回はリベンジ戦です」と目標を掲げました。

また、本作に初参加の高田は「稽古場の空気はめちゃくちゃ良かったです。僕は皆さんと面識がありましたが、僕以外は初めましての方が多かったと思います。でも、（稽古が始まって）数日経ったらみんなでコミュニケーションを取れていて、良い意味で緩く、良い意味で締まった稽古場だったので、あっという間に時間が過ぎていく感覚がありました」と稽古を振り返りました。そして、「僕はほぼ全てのシーンに出ています。全てのことに意味があるので、些細なことでも物語が進むと『そういうことだったんだ』と分かることがある。作品全体を通して観て欲しいです」と呼びかけました。

アンジェリカ役の高柳は「私はテンションの高い役なのでずっとワタワタしていますが、いろいろと考えさせられる物語になっていると思います。元気にもなれるし、明日を頑張ろうという気持ちにさせてくれる作品です。来てくださる皆さんをラジオのリスナーさんとして大切にお迎えし、皆さんに大切な想いを持って帰っていただけたら」と力を込めます。さらに、開幕前のアナウンスにも言及。「舞台前の公演アナウンスを全員が担当しているんです。その日、誰のアナウンスが流れるか分からないので、ぜひ始まる前から楽しんでいただければと思います」とアピールしました。

花音役の宮崎は「雰囲気が良い稽古場でした。稽古を積み重ねてやっと今日、お客さまの前でできるので、あとはやるだけだなという感覚になりました。最後まで頑張りたいと思います」とコメント。見どころを「３人のラジオのシーンが大好きです。テンポが良くて、日々、面白くなっています。それから、昇太くんに花音ちゃんと一緒にいたいと思ってもらえる魅力的な女の子にしないといけないなと思っているので、生き生きと生き切れたらと思っていますし、そこを観ていただけたら嬉しいです」と語りました。

最後に福田は「この作品は皆さまがお持ちの想いを扱った作品でございます。その想いがあの世に行ったり、この世に行ったり、時には時間さえも超えて、縦横無尽に飛び交います。皆さまが持っている想いと舞台上で僕たちが作り出す想いを掛け合わせて何を思うのか。皆さまの反応がとても楽しみです。劇場でお会いしましょう」と話して取材会を締めくくりました。

レポート＝嶋田真己　撮影＝GEKKO