「アニメミュージックは、新しいものを受け入れながら育ってきた」鈴木このみ×小島章敬が語る『ANIMAX MUSIX』17年とその先――

インタビュー
アニメ/ゲーム
12:00

画像を全て表示(5件)

「アニメミュージックの魅力を世界へ!」をコンセプトに、2009年5月にスタートした『ANIMAX MUSIX』。アーティストによるライブはもちろん、ファンから募ったリクエストをもとにしたカバーやコラボレーションなど、アーティストとファンが一緒に作り上げるステージを届けてきた。

その歴史を語るうえで欠かせない存在が鈴木このみだ。アニマックスが主催した『全日本アニソングランプリ』で優勝し、デビュー前、中学3年生にして『ANIMAX MUSIX』の横浜アリーナ公演へ出演して以来、幾度となくそのステージに立ってきた。2026年には「アニソン界のエースになる」「日本武道館に立つ」と自ら宣言し、長いキャリアを重ねた今もなお、新たな目標へ向かって歩みを進めている。

鈴木が『ANIMAX MUSIX』とともに歩みを重ねるなか、アニメミュージックを取り巻く環境も、この17年で大きく変わってきた。そこに関わるアーティストや音楽性が多様になるなか、『ANIMAX MUSIX』もまた、新しい形を模索している。2026年11月20日(金)・21日(土)は横浜アリーナで2DAYS開催。DAY1はバンドが次々とステージをつなぐフェススタイル、DAY2は「FAN SELECTION」をはじめとした『ANIMAX MUSIX』ならではのステージをお届けする。

今回は、『ANIMAX MUSIX』を長年手がけるプロデューサー・小島章敬氏と鈴木このみが対談。『ANIMAX MUSIX』17年目となる今年、新たなスタイルへ踏み出す理由や、ファンとともに育ててきたイベントの歩み、鈴木が感じるアニメミュージックシーンの変化と自身の役割、そしてこれからのアニソンフェスについて語ってもらった。

■『ANIMAX MUSIX』は「今」を切り取る場所

──2009年のスタートから、『ANIMAX MUSIX』も今年で17年になります。改めて、今の『ANIMAX MUSIX』が担っている役割を、小島さんはどのように捉えているのでしょうか?

小島:結構重めな質問から来ますね(笑)。いわゆるアニソンフェスには、3大フェスと呼ばれているものがあります。まず『Animelo Summer Live』(アニサマ)という大先輩がいて、その後に僕らが始まり、さらに『リスアニ!LIVE』が始まった、という流れですが……その中で、『ANIMAX MUSIXの役割』という、大それたことを考えたことはないんです。
歴史を振り返ると、『ANIMAX MUSIX』はもともと「アニメミュージックの魅力を世界へ」というところからスタートしました。当時、ソニー・ピクチャーズがアニメ専門チャンネル「アニマックス」を運営していて、海外にもアニマックスのチャンネルがあったので、イベントを開催することで、その模様を海外のアニマックスでも放送できるという流れがあり、アニメミュージックの魅力を海外に伝えることをコンセプトにしてイベントを開催してきました。今はアーティスト自身が海外でライブを頻繁に行うようになり、アニマックスとして海外に魅力を発信する役目も終えた今、アニメミュージックシーンの今を切り取り、「お客様の観たい!聴きたい!を実現するライブイベント」を提供し続けることが役目と思い、毎年頑張っています。

──鈴木さんは出演する側として、『ANIMAX MUSIX』をどんな場所だと感じているのでしょう?

鈴木:今、小島さんが「今を切り取る」とおっしゃっていましたけど、ここに来れば今が全部見られるというか。今、みんなが見たいものを見せてくれる場所だなと思っています。例えばですけど、初めてアニソンフェスに行ってみたいという人がいたときに、「絶対ここに来たらいいよ」と、出演者として胸を張って言える場所だなと、いつも思っています。
それと、私は「FAN SELECTION(ファンセレクション)※」に、『ANIMAX MUSIX』って、すべてが詰まっているんじゃないかなと思っているんです。お客さんの「見たい」が、必ず見られる場所なのではないかなと。

※「FAN SELECTION」…『ANIMAX MUSIX』ならではのアーティスト同士のコラボレーションや、ファンから寄せられたリクエストに応える企画

小島:それは嬉しいです!ただ、「FAN SELECTION」は、アーティストの皆さまに結構負担をかけてしまう企画でもあります。普段歌っていない楽曲のカバーやコラボレーションに応えていただくので、事前の準備やリハーサルも必要になりますから。

そういう意味ではご負担がかかる部分ではあるんですけど、それをアーティストの皆様に楽しんでやっていただけることは非常にありがたいですし、「FAN SELECTION」があることも含めて「このイベントに参加するのが楽しい!」と思っていただけたら、主催者側としては嬉しいことです。

鈴木:「FAN SELECTION」は、毎回すごく楽しみにしていますよ。自分では選ばないような楽曲が飛んでくることもあって。例えば、2013年には、奥華子さんの名曲「ガーネット」(アニメ映画『時をかける少女』主題歌)を、センターステージでアコースティックに歌わせていただいたのですが、すごく印象に残っていて。

小島:あの時の「ガーネット」、めちゃくちゃ覚えています!

鈴木:嬉しいです!曲に合わせて「じゃあ、セーラー服を着てみようかな」と考えたりもしました。普段の自分の楽曲だと、どうしても強い衣装を選びたくなるので(笑)。そういう意味でも、「FAN SELECTION」は自分の幅を広げてくれる企画だと思います。自分自身も新しいことにトライできますし、チームの皆さんにも「鈴木このみって、こういうものもいけるんだ」と思ってもらえる。だから毎回、「次はどんなボールが飛んでくるんだろう」って楽しみにしています(笑)。

小島:鈴木さんには、剛速球、超ストレートをいつも投げています(笑)。「ガーネット」の時はセンターステージで、少人数のアコースティック編成にして、原曲より少しメロウにアレンジして歌ってもらいました。さらに「鈴木さんならいけるだろう!」と、冒頭はアカペラでの歌唱をお願いしたんです。

鈴木:覚えています。そういう曲だからこそ見せられる歌の技術もあると思っていて。当時、うれしいことにアニメのオープニングテーマを担当させていただくことが続いていて、しっとりした曲を歌う機会があまりなかったんです。しかも、盛り盛りな楽曲をたくさんやっていた中で、究極の引き算のような構成で届けることも、自分にとってはひとつの挑戦でした。

ライブ後に「鈴木このみさんって、こういうふうにも歌うんだ」と知ってもらえたことは大きかったですね。普段とは違う自分を見せられたのも、『ANIMAX MUSIX』だからこそだったと思います。

小島:このみさんの歌唱力を信じて、ついハードルを上げてしまうんですよね(笑)。

──課題を課していくというか。でも、それは鈴木さんのことを信頼しているからこそできることですよね。

小島:もちろんそこがありきです。スキルだったり、人間性だったりも含めて、ちゃんと成立するだろうという信頼感がある。いちファンとしても鈴木さんのステージを楽しみにしています。

──普段はどのようにオーダーをされるのでしょう?

小島:僕自身は音楽ディレクターではないので、「このキーだったら歌える」といった細かいところまでは指定しておりません。ただ、アーティストに合った楽曲であること。それから、お客さんが「この人に歌ってもらいたい」と思っているリクエストもありますが、その楽曲を歌っていただくことに、ちゃんと意味があることは必要だと思っています。その作品に出演されていたり、アーティスト同士に交流があったりと、何らかの関係性があり、お客さんにも納得してもらえるようなカバーやコラボレーションを提案できるようにしています。

──いろいろな要素を総合的に考えていらっしゃると思うんですけど、その中には、小島さん自身が「これを見てみたい」という気持ちもありますか?

小島:それはありますね。いち音楽ファンとしてリクエストする部分も当然ありますし、イベント全体の演出的なバランスも考えています。でもやはりアーティストの方にも楽しんでいただけて、なおかつお客さんも反応して盛り上がってくださったら、イベントをやっている側として、プロデューサー冥利に尽きますね。歌い始めた瞬間に「わーっ!」と盛り上がるのを見るのは、すごく嬉しいです。

──「FAN SELECTION」のリクエスト自体は、時代とともに変わってきているのでしょうか?

小島:時代によって変化している部分はありますけど、大きくは変わっていないですね。アニメミュージックを取り巻く環境そのものは変わってきていますが、「このアーティストに、この曲を歌ってほしい!」という、お客さんがアーティストに求めるものの核は変わっていないと思います。

■『ANIMAX MUSIX』が大切にする「FAN SELECTION」

──アニメミュージックを取り巻く環境が変化する中で、『ANIMAX MUSIX』として大切にしていきたいことというのはどのようなことでしょう?

小島:『ANIMAX MUSIX』自体も、規模や形態は少しずつ変わっています。2009年に品川ステラボールからスタートして、その後は新木場STUDIO COAST、JCBホール(現Kanadevia Hall)を経て横浜アリーナへ。もともとは関東のみで開催していましたが、途中から関西でも開催するようになって、オリックス劇場などを経て大阪城ホールへと広がりました。海外でも台湾で2回、中国で1回開催しています。さらにコロナ禍を機に生配信も加わりましたし、イベントの形態自体はかなり変化してきたと思います。

一方で変わっていないのが、さっき鈴木さんが「FAN SELECTIONにすべてが詰まってる」とおっしゃってくださったところです。FAN SELECTIONを募集して、そのリクエストにお応えする。ファンと一緒に作り上げるということを大切にしているのは、17年間ずっと変わっていません。お客さんの「観たい」「聴きたい」を実現するイベントであり続けたいと想いは変わりません。

──その「見たい」をつかむためには、小島さんをはじめスタッフの皆さんも、常にアンテナを張っているわけですよね。

小島:そうですね。僕らも同じファン目線なんです。「このアーティストが出るんだったら、これを歌ってもらいたい!」「この人とこの人が出るなら、この曲を一緒に歌ってもらいたい!」と考えていて、実際にお客さんから届いたリクエストを見て、「そうだよね。じゃあ、これはお願いしよう!」となる。その循環ですね。
お客さんの中には、もう2026年の『ANIMAX MUSIX』のセットリストを最初から最後まで考えてくださっている方もいて(笑)。見てみると、「これは僕も考えていた」というものもあれば、「これは考えていなかったな(汗)」というものもあって、すごく面白いです。

──『ANIMAX MUSIX』は、「アニメミュージックの魅力を世界へ」をコンセプトに掲げていますが、実際この17年で、国内外のアニメミュージックを取り巻く環境も大きく変わりました。特に国内では、アニソン自体がより多彩になっています。

小島:いろいろな楽しみ方ができるようになって、多様性という意味ではすごくいい状況になってきていると思います。ここ数年は、これまでとは異なるJ-POPフィールドのアーティストの方々もアニメ作品に関わるようになりましたし、そこから作品を見る人も増えてきたと思います。それはアニメ作品にとってもすごくいいことだと思うんです。

──アニソンの定義も、ネット上などでよく議論されていますよね。「アニソンはジャンルというより、“アニメソング”というタグなんじゃないか」という意見もありますし。

鈴木:アニソンの定義って難しいですよね。人によって違うと思うんです。それでいいんじゃないかなという気がしますね。『ANIMAX MUSIX』って、会場もすごく大きいじゃないですか。それにもかかわらず、誰かに強制されたわけでもないのに、みんなが一緒の動きをして、一緒に盛り上がってくれる。それって不思議な引力だと思うんです。でも、一人ひとりに「あなたにとってアニメソングとは?」と聞いたら、きっと全然違う答えが返ってくる。それがすごく心地いい空間だと思うんですよね。

──鈴木さんは、長く『ANIMAX MUSIX』に出演されて、アニソンシーンの真ん中で歌い続けてきました。ご自身でも、この十数年でシーン自体が変わったと感じることはありますか?

鈴木:それこそ昔は、街を歩いていても声をかけられることはなくて。アニメショップに入ると声をかけられる、という感じだったんです(笑)。でも最近は、美容室で髪を切ってもらっているときに「『Re:ゼロ』の放送、めちゃくちゃ楽しみにしています!」と言ってもらったりして。アニメ以外にもいろいろなことに興味がありそうな方たちが、当たり前にアニメにも触れてくれているんだろうなということを、自分自身もすごく身近に感じています。そういう方が、もっと深くアニメソングの世界に入っていくときに、『ANIMAX MUSIX』のようなイベントにも来てくれるんだろうなと思います。

小島:それと、この17年の音楽を取り巻く環境を振り返ったときに大きいのは、サブスクですよね。音楽もアニメ作品自体も世界でほぼ同時に楽しめるようになった。日本で盛り上がっている音楽とアニメ作品が、大きなタイムラグなく世界でも盛り上がっていく。いろいろな人が、いろいろな形でアニメ作品に関われるようになっているので、どちら側からも広がっていく可能性がある。チャンスのある時代なんじゃないかなと感じます。

鈴木:うんうん。

──土壌が豊かになってきているというか。その一方で、いわゆる王道の、作品タイトルが入っているようなアニソンを聴いて「やっぱりいいな」と改めて思う瞬間もあって。新しいものも昔からあるものも一緒に楽しめるのも、『ANIMAX MUSIX』らしさなのかなと思います。

小島:選曲を考えるときには、そこも意識しています。会場に来てくださるお客様は20代後半が一番のボリュームゾーンなんですけど、40代、50代の方もいらっしゃいます。先ほど「今を切り取る」とお話ししましたが、今の楽曲だけではなく、少し上の世代の方にも楽しんでいただけるような曲や、ちょっと前の楽曲も入れたいと思っています。

例えば、鈴木さんには今年の大阪公演でGRANRODEOさんとのコラボレーションにて、福山芳樹さんの「真赤な誓い」を歌っていただきましたけど、ああいう曲は長くアニメミュージックを聴いてきた方にも楽しんでいただけますよね。そういう選曲も入れるように心がけています。

鈴木:「真赤な誓い」を歌わせてもらったときにも思ったんですけど……名曲って、最初から名曲なわけじゃないじゃないですか。ずっと歌われて、誰かが歌い継いでいくことで名曲になったり、レジェンドになっていったりする。誰もが最初から「名曲」や「レジェンド」だったわけではないと思うんです。

それって、アーティストが一人でワンマンライブをずっと続けていくだけで、そうなれるものでもないような気がしていて。一緒に育ててくれるイベントがあるから、アニメソングはこうやってずっと続いてきたんだろうなという歴史を、『ANIMAX MUSIX』に出るたびに感じています。

自分がそういう名曲を歌わせていただくこともそうですし、自分の曲でも、例えば発売した当初に歌った「This game」より、今「This game」を歌ったときのほうが、みんなが一緒に盛り上がってくれる。それは、この曲をみんなと一緒に育ててきたからだよね、ということをすごく感じるんですよね。

■その人自身の生き様、魂を感じるものがステージに出ているとき、見ている側は胸を打たれる

──いいお話です。さきほど年齢層について小島さんが言及されていましたが、ファンの年齢層は、実はそれほど変わっていないそうですね。

小島:そうなんです。17年間やっていれば、そのままお客さんの年齢も上がって、イベント全体の年齢層も高くなっていくのかなと思っていたのですが、20代後半がボリュームゾーンというところはずっと変わっておりません。

それはイベントとしてすごく喜ばしいことであり一方で、長く来てくださっていた方たちが離れてしまっているとしたら、それは少し寂しさもあります。だから出演者のラインナップについても、若い方や今まさに活躍している方だけでなく、長くアニメミュージックを支えてきたベテランの方にも出演していただける機会を、ちゃんと作っていくべきだと思っています。

──長く通っている方を大切にしながら、新しいお客さんにも来てもらう。そのバランスなんですね。海外から来られるお客さんも、かなり増えているのではないでしょうか?

小島:そうですね。ロビーや場外で番組用のインタビューを収録しているんですけど、その撮影チームには「海外から来ているお客さんがいたら、ぜひインタビューしてね」とよく言っています。実際、日本在住の海外の方も含めて、いろいろな国の方が来てくださるようになりました。今後は海外の方がもっとを買いやすい仕組みも導入していかなければいけないなと思っています。

──鈴木さんご自身も、ライブに来てくださる海外のファンが増えたと感じることはありますか?

鈴木:海外のお客さんは、私のライブにも必ずいらっしゃいますね。私自身、毎年アジアツアーをやっているんですけど、その規模も少しずつ大きくなっているのを感じています。

──話が少し変わりますが、こうやってお話を聞いていると、『ANIMAX MUSIX』と鈴木さんの間にある信頼関係がすごく伝わってきます。鈴木さんにとって思い入れの深いイベントだと思いますが、逆に小島さんから見て、鈴木さんは『ANIMAX MUSIX』にとってどんな存在なのでしょう? デビュー前からずっと見てこられたわけですよね。

小島:本人を前にして言うのは、結構恥ずかしいんですけど(笑)。まさに『ANIMAX MUSIX』の顔であり、歴史そのものです。

鈴木:おお……!

小島:もともとアニマックスが主催していた『全日本アニソングランプリ』で優勝されて、そのあとすぐに横浜アリーナの『ANIMAX MUSIX』のステージに立って。つまり、デビュー前にして、1万人の前で歌っているんですよね。そこから数えきれないくらいご一緒させていただいて。『ANIMAX MUSIX』が成長していくのと、鈴木さんが成長していくのを、本当に一緒に歩ませてもらってきた感覚があります。

それと、これはなかなか説明するのが難しいんですけど、アーティストの方の中に、その人がステージに立つと「『ANIMAX MUSIX』の空気になる」と僕が勝手に感じている方が何人かいらっしゃるんです。長くご一緒している方にそう感じることが多いんですけど、鈴木さんもまさその一人で。鈴木さんがステージに出てくると、「今日も『ANIMAX MUSIX』をやっているな」と感じられる。イベントにとって、すごく安心感のある、ありがたい存在です。

──ここまでステージングのお話も出てきましたが、鈴木さんにとって「いいステージ」とはどんなステージでしょう?

鈴木:言葉にするのは難しいですね。でも、歌が上手いとか下手とかは、もうあまり関係ないような気がしていて。もちろん上手く届けるために日々トレーニングはしますけど、お客さんの心に残るものって、それだけではないと思うんです。自分が今、世の中に伝えたいことがお客さんに届いたら、それはもう「いいステージ」なんじゃないかな。
だから最近は、MCもあまり決めずにしゃべるようにしています。お客さんの目を見て、そのとき思ったことを必ず言う。それがどんなに拙い言葉でも、お客さんが受け取ってくれるものはあると思うので、そこを信じてやるようにしています。小島さんは「いいステージ」ってどんなものだと思います?

小島:イベントとして「いい空間」にするためには、縦軸と横軸の両方を考える必要があると思っています。アーティストとそれを受け取るお客さんの関係が縦軸。そこから、お客さんが盛り上がりお客さん同士に伝播して盛り上がりが広がっていくのが横軸。この両方がないと、イベントは盛り上がっていかない。その出発点になるのはやっぱりアーティストとお客さんの縦の関係で。ただ、いろいろなライブを見てきて思うのは、ステージでその人自身を表せているかどうかが大きいと思います。

その人自身の生き様、魂を感じるものがステージに出ているとき、見ている側は胸を打たれる。何もかも忘れてライブに集中してしまうような瞬間が生まれたとき、「いいステージ」になるんだと思います。そういうライブを見ていると……変な言い方ですけど、いい意味で、自分も魂が抜けていくような感覚になりますね(笑)。何もかも忘れてステージに集中するというか……。

鈴木:確かに……。今のお話を聞いていて、さっき小島さんが「宣言をするようになってからステージングが変わった」と言ってくださったことともつながるなと思いました。「自分はここに向かっていく」というものが決まったことで、もしかしたらパフォーマンスも変わったのかもしれないですね。

小島:「アニソン界のエース宣言」を聞いたときに、「背負う覚悟を決めた」、「引っ張れる立場、その位置まで高見を目指す」ことを目標にされたと思いびっくりしたんですよ。エースを目指すという気概を感じました。

鈴木:私自身、「アニソン界のエース」の次は何に変わっていこうかな、と思いながら活動しているので(笑)。そういうものが自然とステージに出れば、それがいいステージなのかもしれないなと、今お話ししながら思いました。

──そうした宣言をするに至った背景には、『ANIMAX MUSIX』でさまざまなアーティストからバトンを受け取ってきたことも大きかったのでしょうか。

鈴木:大きいと思います。アーティストって、基本的には自分と向き合う時間がすごく長いと思うんです。でも、こういうイベントに出演することでほかのアーティストとのつながりができる。『ANIMAX MUSIX』はバックヤードも本当に楽しいんですよ。ゲームが置いてある年もあったし、お祭りみたいに屋台が出ていたりして。アーティストも一緒に楽しんでいるうちに、自然と交流が生まれるんです。

そこで話をして、「この人はこういうことを思いながら歌っているんだな」と知って、それを吸収しながら、自分のスタイルをより確立していく。

だから、「バトンを渡し合っている」という感覚を持つようになったことにも、『ANIMAX MUSIX』の存在はすごく大きかったと思います。

──ところで、『ANIMAX MUSIX』は、ステージだけでなくバックヤードも充実している印象があります。パンフレットなどでも、アーティストの皆さんがごはんや楽屋での出来事についてよくお話しされていますよね。特に「ご飯がすごい」という声も多くて(笑)。

小島:約6時間にわたる長いイベントなので、出演者の皆さんには朝から夜までいていただくことになります。まずは、その時間をなるべく退屈せず、楽しく過ごしてもらいたいという考えがあるんです。夏祭りのような屋台を出したり、食事もちゃんと美味しいものを用意したり。僕自身も『ANIMAX MUSIX』の最中はずっと動いているので、お弁当ひとつをゆっくり食べる時間もなかなかないんですよね。だから、小さなおにぎりやバナナのように、パッと食べられて、なおかつ美味しいものがあるといいなと。胃袋で掴むじゃないですけども(笑)、アーティストの皆さんにも、合間にエネルギーを補給してもらえたらと思っています。

それから、出演者の皆さんは本番があるのでお酒は飲めないんですけど、音楽とお酒って相性がいいじゃないですか。ビールを楽しめる場所があったり、日本酒があったり、その横には協賛いただいているファミリーマートさんの唐揚げがあったり(笑)。そういうフェスらしい楽しさも含めて、バックヤードを作っています。

鈴木:本当にずっと楽しいですよ。演者として、ここまでいろいろ用意してもらえると、「うれしいな。今日もこのイベントのために頑張ろう」って思えるんです。

小島:僕自身、これまでいろいろな音楽フェスに関わったり、お邪魔したりしてきたので、そこで感じたフェスの良さを、少しでも『ANIMAX MUSIX』に持ち込めたらと思っていて。バックヤードもあまり手を抜かず、「このイベントに出てよかった!」と思っていただける場所にしたいですね。

鈴木:実は自分が主催する『鈴フェス』を開催するときも、『ANIMAX MUSIX』と同じ規模まではできなくても、自分にできる最大限のことはしたいと思って。正直、すごく参考にしています。ケータリングを充実させようと、何週間も前から「何がいいかな」と差し入れを探していました(笑)。

──今年も楽しみですね。では今年の『ANIMAX MUSIX』についても伺わせてください。今年は2DAYSでの開催になりますが、どんな2日間になりそうでしょうか?

小島:今年は2DAYSということで、DAY1はこれまでとは少し違うフェススタイルでお送りします。DAY2は通常の『ANIMAX MUSIX』として、アーティストのオリジナル楽曲に加えて、カバーやコラボレーションといった企画コーナーがありますが、DAY1は1アーティストの持ち時間を長くして、さらにバンド演奏にて次々とステージをつないでいくスタイルです。『ANIMAX MUSIX』でも過去に一度だけ近い形で開催したことはあるんですが、今回は久しぶりにこのスタイルに挑戦します。お客さんがどう楽しんでくださるのか、僕自身も楽しみですね。

またいつも『ANIMAX MUSIX』のオープニングでは「明日のことは考えず、今日はとにかくはしゃぎまくれ!」と言っているんですけど、DAY1でそれを言ったらDAY2はどうするんだ、という問題もありまして。

鈴木:確かに!(笑)。

小島:でも、言います(笑)。2日間とも、声を出して、ジャンプして、汗をかいて、思いっきり楽しんでもらえるような内容にしたいです。

──両日参加して、違いを体感したくなりますね。

小島:ぜひ2日間を比べてもらって、自分はどちらのスタイルが好みなのかも楽しんでいただけたらと思います。

──鈴木さんは、今年の『ANIMAX MUSIX』で楽しみにしていることはありますか?

鈴木:まず、2DAYSで開催して、しかも「この日はバンドスタイルでやるんだ!」ということ自体、発表されたときにすごく驚きました。『ANIMAX MUSIX』って、まだ挑戦していくんだと思って。長く続いているイベントなのに、まだ新しいことをやってくれるんだというワクワクを、自分自身も感じています。

それから個人的なところでは、さっきもちょうど「今年のMUSIXはどうする?」という戦略会議をしていたんですけど(笑)、今年も『ANIMAX MUSIX』でしか見られないステージをお届けすると思います。ぜひ見逃さず、見届けていただけたらうれしいです。

──今回、ある意味では実験的な2DAYSになる部分もありますよね。このタイミングで新しい形に挑戦しようと思った理由はどのようなものなのでしょう?

小島:いろいろな要因があって、この形にたどり着きました。最初は2日間とも通常の『ANIMAX MUSIX』のスタイルで、金曜日は2時間半くらいに凝縮して開催することも考えていたんです。でも、オリジナル曲があって、企画コーナーがあって、という『ANIMAX MUSIX』らしさを2時間半に詰め込むと、どうしても慌ただしくなってしまう。

一方で、アニメタイアップ曲を持っていても、これまでアニメミュージックフェスには出演したことがないバンドやアーティストの方々もいます。そういう方に、いきなりカバーやコラボレーションまでお願いする通常のスタイルは、少しハードルが高いかもしれない。だったら、まずはフェススタイルでご一緒するところから始めてみようと思いました。

これまでアニメミュージックフェスに積極的には出演してこなかった方々にも参加していただきながら、『ANIMAX MUSIX』も少しずつ形を変えていく。先ほどから話している「多様性」を表現できるイベントにしていけたらと思っています。

──最後にもう少し未来の話をおうかがいさせてください。アニメミュージックを取り巻く環境がこれだけ多様になっている中で、これからアニソンフェスはどう変わっていくと思いますか。『ANIMAX MUSIX』としては、これからどんな場でありたいでしょうか?

小島:アニメミュージックが多様になっていること自体、シーンが豊かになっている証拠だと思うので、すごく喜ばしいことですよね。ソロアーティストや声優アーティスト、バンド、作品発のユニット、さらに匿名性を持ったアーティストも増えてきて、それぞれ違った魅力があり、ファンへのアプローチも違う。アーティストとお客さんがお互いに刺激し合うことで、シーン自体がさらに広がっていくと思います。

『ANIMAX MUSIX』がやるべきことは、その年、その瞬間のアニメミュージックシーンを切り取って、それをひとつのお祭りにすることだと思っています。シーンが広がるのであれば、『ANIMAX MUSIX』もそれに合わせて広がっていかなければいけないなと。今年の2DAYSも、そのひとつの形としてどう受け入れていただけるのか見ていきたいですね。

ひょっとしたら、新しい人たちが入ってくることに戸惑う方もいるかもしれません。でも、その多様性は祝福すべきものだと思っていて。一緒に盛り上がれる場所こそ、これからのアニメミュージックフェスの姿なのではないかと思います。
そして根本にあるのは……さっき「タグ」という話がありましたけど、やはり「アニメ作品への愛」なんですよね。作品があり、そこへの愛があって、主題歌や挿入歌といったアニメミュージックがある。いい作品が生まれて、いい音楽がそこから外へ広がっていく。その流れがこれからも続いていくことを楽しみにしています。

鈴木:小島さんがおっしゃったことに、私もすごく共感します。先ほど、初めて『ANIMAX MUSIX』に出演したときの話題がありましたが、デビュー前にあのステージへ出た瞬間のことは、今でもよく覚えています。まだ中学3年生で、いきなりピンクのフリフリの衣装を着て大きなステージに出ていった私を、誰一人嫌な顔をせず受け入れてくれて、すごくうれしかったんですよね。アニソンって、そうやって新しいものを受け入れながら、その時代、その時代のアニソンを作ってきたんだろうなと改めて思います。

例えば、TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』4th seasonの主題歌「Recollect」は、これまでの自分とはまた少し違う文脈で、海外アーティストのAshnikkoさんを迎えて、ボーカロイド畑で活躍されてきたGigaさん、TeddyLoidさんと一緒に作ることができました。これも今の時代だからこそ実現できたことだと思います。しかも、そういった新しいチャレンジをした曲をアニソンフェスで歌っても、みんながアニメソングとして受け入れて、一緒に楽しんでくれる。従来の盛り上がり方に、新しい音楽の楽しみ方が加わって、そこからまた広がっていく。そうやって音楽そのものがもっと楽しくなっていく未来を、私はすごく楽しみにしています。その中で自分の個性は失わずに貫きながら、興味を持ったものはどんどん吸収して、自分の世界を広げていきたいです。それが自分のやるべきことなのかなと。これからも『ANIMAX MUSIX』と一緒に、私自身ももっと進化していけたらと思っています。

取材・文:逆井マリ

配信リリース情報

鈴木このみ DIGITAL SINGLE「強気MAX宣言」
TVアニメ『弱気MAX令嬢なのに、辣腕婚約者様の賭けに乗ってしまった』オープニングテーマ

2026年10月5日(月)0時より順次配信開始
作詞:烏屋茶房 作曲:金崎真士 編曲:鎌田瑞輝

 
鈴木このみ オフィシャルサイト・ファンクラブサイト:https://www.konomi-suzuki.net/
鈴木このみ オフィシャルX :https://x.com/Suzuki_Konomin
鈴木このみ オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/konomin_official/
鈴木このみ オフィシャルYouTube:https://www.youtube.com/channel/UCuDILZhkm3kZHownsx_wH3A
鈴木このみ オフィシャルTikTok:https://www.tiktok.com/@konomin_official

イベント情報

『東武鉄道 presents ANIMAX MUSIX 2026 supported by Lemino DAY 1』

■開催日:2026年11月20日(金) 開場 17:00/開演 18:30
※開演時間は変更になる場合がございます。
■会場:横浜アリーナ(神奈川県横浜市港北区新横浜3-10)
■DAY1出演アーティスト(敬称略・五十音順):
岸田教団&THE 明星ロケッツ、GRANRODEO、MYTH & ROID、宮川大聖(初出演)、Mori Calliope(初出演)、Reol(初出演)
DJ:DJ和
■:
・東武鉄道 スペシャルシート 21,000円(税込23,100円/特典グッズ付き)
・ふるさと納税限定 スペシャルシート(ふるさと納税限定 メインステージ最前列シート/ふるさと納税限定S席エリア) ※先着順
・[SOLD OUT]ドコモ MAXスペシャルシート 18,000円(税込19,800円/特典グッズ付き)
・S席 13,000円(税込14,300円)
・指定席 9,000円(税込9,900円)
・車椅子席 9,000円(税込9,900円)

 

『東武鉄道 presents ANIMAX MUSIX 2026 supported by Lemino DAY 2』

■開催日:2026年11月21日(土) 開場 13:00/開演 14:30
※開演時間は変更になる場合がございます。
■会場:横浜アリーナ(神奈川県横浜市港北区新横浜3-10)
■DAY2出演アーティスト(敬称略・五十音順):
藍井エイル、いきづらい部!(初出演)、伊藤美来、ウタヒメドリーム オールスターズ、ウマ娘 プリティーダービー、オーイシマサヨシ、大西亜玖璃、奥井雅美 田中有紀(初出演)、小倉 唯、sajou no hana、七人のカリスマ声優(初出演)、JELEE(初出演)、鈴木このみ、茅原実里、天空のシラバス(初出演)、東山奈央、南條愛乃、Heart2Hearts(初出演)、HoneyWorks feat.ハコニワリリィ、fripSide、前島亜美(初出演)、MADKID
司会:吉田尚記(アナウンサー)
■:
・
[SOLD OUT]東武鉄道 スペシャルシート 25,000円(税込27,500円/特典グッズ付き)
・
[SOLD OUT]ふるさと納税限定 スペシャルシート(ふるさと納税限定 メインステージ最前列シート/ふるさと納税限定S席エリア/ふるさと納税限定 指定席エリア最前列シート)
・
[SOLD OUT]ドコモMAXスペシャルシート 22,000円(税込24,200円/特典グッズ付き)
・
[SOLD OUT]VIP 席 22,000円(税込24,200円/特典グッズ付き)
・S席 17,000円(税込18,700円)
・指定席 11,000円(税込12,100円)
・車椅子席 11,000円(税込12,100円)
■販売情報(両公演共通)
2次プレオーダー:https://eplus.jp/animaxmusix2026/
受付期間:9月18日(金)12:00~9月24日(木)23:59
MUSIX最終先着先行
受付期間:10/1(木)12:00 ~ 10/12(月祝)23:59
・枚数制限:お一人様4枚まで/車椅子席:お一人様2枚まで
・受取方法:お近くのファミリーマートで発券、もしくはスマートフォンにダウンロード
・発券/DL 開始日:公演日3日前15:00~
ふるさとチョイス特設ページ:
https://www.furusato-tax.jp/feature/a/animax_musix2026
・寄付受付開始:2026年7月10日(金)9:00~

【主催・制作】主催:株式会社NTT ドコモ、株式会社アニマックスブロードキャスト・ジャパン
冠協賛:東武鉄道株式会社
制作:株式会社ハンズオン・エンタテインメント

 
シェア / 保存先を選択