テノール・高島健一郎が語る、藤川有樹とのデュオ・リサイタル『NEUE』~大阪公演が決定

インタビュー
クラシック
2025.6.20


2024年末から本場ドイツのオペレッタ・ツアー『メリー・ウィドウ』44公演に参加し、リーダーを務めるヴォーカルグループ=リアル・トラウムのオーチャード・ガラをソールドアウト、そのままミュージカル『タリ―タウン』に突入し、『KYOTOガラ』そして福岡『プリンス・ガラ+』、さらに2025年5月30日(金)のウィーン・ヨハン・シュトラウス・ヴィルトオーゾとのヨハン・シュトラウス2世生誕200周年記念公演まで駆け抜けたテノール・高島健一郎。

9月15日(月)に予定されている藤川有樹とのデュオ・リサイタル『NEUE』は、東京公演が先行受付ですでに残席もわずかとなる中、待望の大阪公演も発表となった。昨年の集大成リサイタルを経て今年は『NEUE(新しいもの)』というタイトルを掲げ、文字通りクラシック音楽、そして声楽の新たな世界を魅せるコンサートとなるようだ。改めて、大阪公演発表の今、高島本人から話を聞いた。

――高島さん、年末から今日まで休みなく活動されているように見えますが、そのあたりご本人はどう乗り越えてらっしゃるんですか?

二役をほぼ毎日歌い続けたドイツのオペレッタ公演は体調管理を含めとても大変でしたが、乗り越えられたことが自分にとって大きな自信と財産になりましたし、リアル・トラウムのオーチャードホール公演は僕がドイツにいたぶんメンバーがしっかりと3人で準備をしてくれたので大変助かりました。

――『タリ―タウン』も満席公演が続いて、初演の時以上に盛り上がったようにお見受けしましたが?

そうですね。公演を重ねる度に評判を聞いた方々が次々にを買ってくださり、東京公演の終盤はほぼ完売となりました。有名ではない作品が舞台を観た方の口コミでが売れていくのは演者としてとても嬉しかったですね。 

――ウィーン・ヨハン・シュトラウス・ヴィルトオーゾの皆さんとの初共演はいかがでしたか?

ヨハン・シュトラウス2世の生誕200年の節目に、ウィーンのオーケストラとヨハン・シュトラウス2世のワルツ・ポルカをはじめ、レハールなどウィーンの音楽を日本の皆さんに聴いていただけたのは本当に嬉しかったです。僕がウィーンで専門的に学びヨーロッパでプロとして舞台活動していたオペレッタというジャンルを本場のオーケストラと日本で演奏出来たことは感慨深かったですね。向こうで活動していた頃は正直こんな日が来るとは夢にも思っていなかったです(笑)。

とりわけオペレッタ「ジプシー男爵」は僕がはじめてドイツで主役を歌った作品なので、バリンカイのアリアを日本で、あんなに素晴らしいホールでウィーンのオーケストラと歌えたことは自分が今までやってきたことが報われたような気がして特別な想いを感じながら歌いました。

――楽団のみなさんが、演奏しながらコーラスをされたのが、驚きましたけど、とても楽しい瞬間でしたね。あれはウィーン・スタイルなんですか?

あのリラックスした空気感はウィーンらしいですよね。Xにも懐かしくなって昔の映像をアップしましたが、自分がウィーンの学生時代にあの曲を歌ったときに、楽屋裏にいた先生たちがひょっこり顔を出して、合唱パートを歌ってくれたことを思い出しました。オペレッタにも流れる、ウィーン流のユーモア、ウィットとも言えるかもしれません。9月の東京・大阪リサイタルでも、あの時のようなウィーンのリラックスした空気感の中で皆様に音楽を楽しんで頂きたいです。ちなみにヴィルトオーゾの皆さんはコンサートが終わられたら、そのまま車に乗って成田へ移動され、飛行機で上海へ。計9都市で公演されるそうです。ブラジル公演の後に日本で3公演したあとにそれですからね。彼らも僕らとのジョイント・コンサートをとても楽しんでくれたようで、また一緒にやろうと言い合い見送りました。

――前置きが長くなりましたが、9月にはいよいよご自身のソロ・リサイタルです。リアル・トラウムの活動と平行して、藤川さんと共に新たなクラシック音楽の魅力を伝える公演になるとうかがいましたが。

はい。去年の集大成リサイタルでは、僕と藤川くんがこれまで日本で演奏してきた楽曲を中心に聴いて頂きました。今年はプログラムを一新し、新たなレパートリーの開拓を目指してNEUE(新しいもの)というタイトルを掲げました。

そしてこのタイトルは楽曲だけではなく、日本におけるクラシック音楽、声楽への新たなアプローチをしたいという想いも込めています。先ほどお話ししたウィーンの空気感にも通じることですが、肩肘をはらずに純粋に音楽を楽しんで頂きたいのです。

ウィーンでオペレッタを観に行くと公演中にお客さんが爆笑したり、セリフの中でツッコミを入れたり、耳馴染みのあるメロディは一緒に鼻歌を口ずさんだりして、クラシック音楽という敷居の高さをまったく感じさせません。そして終演後には公演を楽しんだお客様がみんな笑顔になって帰って行くんです。その光景を見た時に僕はこのジャンルの素晴らしさを改めて実感したし、こういった文化が日本でも育っていって欲しいとずっと思っていました。

――なるほど。私もドイツで『メリー・ウィドウ』を観た時にあの有名なワルツをお客さんが一緒に口ずさんでいて感動しました。具体的に今回のリサイタルはどんな歌が聞けるのでしょうか?

もちろん僕と藤川くんのルーツであるウィーンの音楽が中心となります。ヨハン・シュトラウス、レハールといったオペレッタの王道から、レハール以後のオペレッタも聴いて頂きたいと思っています。オペレッタは後期になるとアメリカへと渡りジャズの影響を受け、それが後のミュージカルへと繋がっていきます。今回のリサイタルではパウル・アブラハムという日本ではほぼ知られていないオペレッタの作曲家を取り上げたいと思っています。僕は彼のオペレッタをウィーン市立音大時代に勉強しレハール音楽祭でも歌いましたが、こういった日本で知られていない作曲家を紹介することは一つの使命だと思っています。彼の作品はシュトラウスやレハールにはないリズム感の中に哀愁のあるメロディが漂い独特の魅力があります。リサイタル前に藤川くんと録音しYouTube等にアップしたいと思っているので楽しみにして頂きたいです。あとはやはり先日日本でお披露目したジプシー男爵のバリンカイのアリア、こちらは是非合唱パートをお客様に歌って頂きたいですね。歌詞はラララでいいので(笑)。

――新たなレパートリーと客席参加型の新たな声楽リサイタルですね。大阪公演はお二人の念願だとお聞きしました。

大阪でのリサイタルは2年ぶりになります。藤川くんの地元でもありますし、ファンの皆様にも待望して頂きようやく実現することが出来ます。ずっと大阪でもやりたいと藤川くんと話していて、今回ついに日程と会場がうまく決まりました。高槻という土地に行くのもはじめてなので楽しみですね。ぜひ関西方面の皆様にも僕の歌と藤川くんのピアノを聴いて頂きたいと思っております。

文責=神山薫

公演情報

『高島健一郎×藤川有樹 テノール&ピアノリサイタル NEUE~新たなる挑戦~』
 
[開催日・会場]
2025年9月15日(月・祝)13:00 開演 第一生命ホール (東京都)
2025年9月28日(日)13:30 開演 高槻城公園芸術文化劇場 北館 中ホール (大阪府)
 
[出演者]
高島健一郎 / 藤川有樹
 
[予定曲目]
ヨハン・シュトラウス2世:
オペレッタ<ジプシー男爵>より「バリンカイのアリア」
オペレッタ<ヴェネツィアの一夜>より「ニナナ」
レハール:
オペレッタ<微笑みの国>より「君は我が心のすべて」
オペレッタ<メリーウィドウ>よりメドレー
パウル・アブラハム・オペレッタ<ヴィクトリアの軽騎兵>より「Good Night」
 
大阪公演 最速先行受付 / 東京公演 最終先行受付 :6/21(土)12:00 ~ 6/29(日) 23:59 ※先着順
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