バンドリーマーたちを踊りに踊らせた“反逆の音波”がここに!RAISE A SUILEN「REBEL SOUNDWAVE」ライブレポート
撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project
■2025.06.14 RAISE A SUILEN「REBEL SOUNDWAVE」@東京・有明アリーナ
(C)BanG Dream! Project
6月14日、ブシロードのメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』(バンドリ!)の一角を担う“リアルバンド”・RAISE A SUILENがワンマンライブ「REBEL SOUNDWAVE」を東京・有明アリーナで開催した。
RAISE A SUILEN(以後RAS)が単独公演を行うのは、昨年末から今年頭にかけて実施されたZEPP TOUR『PANDEMONIUM』以来、有明アリーナでの公演はPoppin'Partyとのツーマンライブ「GALAXY to GALAXY」以来のこと。当日、会場にはアリーナ、スタンドとも満員のバンドリ!ファン・通称バンドリーマーが詰めかけた。
撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project
この日のオープニングアクトは2組。まずステージに登場したのは、近畿大学附属高等学校の同好会・E.S.S.S.。バンドリ!が全面的にコラボレーションする全国高校軽音楽部大会『we are SNEAKER AGES』第4回大会のチャンピオンだ。トリプルキーボード、ダンサー4人を有する12人という大所帯ながら、彼らが達者なアンサンブルを見せると、続いてRASの後輩バンド・夢限大みゅーたいぷが登場する。
ステージに現れた仲町あられ(Vo.)、宮永ののか(Gt.)、峰月律(Gt.)、藤都子(Key.)、千石ユノ(DJ&Mp.)は和テイストあふれるメロディと上モノとボトムヘヴィな四つ打ちサウンドが耳に残る「コミュ着火Fire!」で自身のステージをスタート。そして「(RASのライブで)もっともっとアチアチになっていくと思うんですけど、私たちもその火をくべられたら思います!」「有明アリーナのみなさん、どんどんアチアチになってもっともっと楽しみましょう!」という仲町の言葉どおりのステージを展開する。宮永ののかをモチーフにしたというパーティチューン「✞animaるパーティ✞開催中✞」では彼女のリードでバンドとバンドリーマーがコール&レスポンス。「夢現妄想世界」では千石がステージ上手から伸びたランウェイ突端に、仲町が下手ランウェイの突端に陣取ってバンドリーマーたちを挑発するなど、文字どおり“アチアチ”なライブを繰り広げた。
撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project
この日のRASのライブのオープニングを飾ったのは「A DECLARATION OF ×××」。煽り映像を背にステージに現れた、Raychell(Ba.&Vo.・レイヤ役)、小原莉子(Gt.・ロック役)、夏芽(Dr.・マスキング役)、倉知玲鳳(Key.・パレオ役)、紡木吏佐(DJ・チュチュ役)は、重心をうしろに置いたヘヴィなミドルテンポからグルーヴィな横ノリ、さらには高速ツービートへと目まぐるしくリズムパターンが変化し続け、また小原と倉知のソロバトルで魅せるこの曲でいきなりバンドリーマーをロック。〈3, 2, 1, JUMP!〉の声に合わせて会場中が息の合ったジャンプを見せ、またRaychellが「さあ、会場全員で頭回そうか!」と煽ればヘッドバンギング大会が繰り広げられるなど、幕開け早々、有明アリーナは熱狂の渦に包み込まれた。
その後、RASは一気呵成に攻めまくる。夏芽の小気味よい8ビートに乗せて小原と倉知が軽快なツーステップを踏み、紡木がバンドリーマーたちとタオルを振り回す「Invincible Fighter」、そのイントロ、紡木がパッドシンセを使って声ネタを叩きつつ、スクラッチノイズを加えるインプロビゼーションとRaychellの「有明アリーナ、地獄の底までいこうか」のひと言だけで割れんばかりの大歓声を集めた「HELL! or HELL?」、さらに「-N-E-M-E-S-I-S-」、とことんヘヴィながらもダンサブルなミクスチュアロックチューン「SOUL SOLDIER」を続けるセットリストを構成する。
撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project
また、小原のノイジーなギターと倉知のオルガンやアナログライクなリードシンセが絡み合う「BATTLE CRY」で会場の温度をさらに一段押し上げるとともに、自身がエレクトリーモを軸足に多彩なディスコグラフィを抱えるバンドであることを、実演をもって証明してみせた。
幕間、トランス、ダブステップ、ガバ/シュランツ、ハンドバッグ/ハードバッグにお色直しされたRAS楽曲のメガミックスバージョンがSEとして流れたのちに投下されたのは「Apocalypse」。楽器隊が繰り出すド派手なループに乗せて、ハンドマイクを手にしてステージ上手・下手を闊歩しながら速射砲のように言葉を畳みかける紡木のユーモアをたたえたテクニカルなラップと、Raychellのどこかセクシーながらもシリアスなボーカルのリレーが聴く者を踊らせる“人力ヒップホップ”ナンバーだ。
そのアウトロ、ミディアムテンポへと大胆に変速したバンドは、倉知、小原、紡木、Raychell、夏芽の順にソロを回し合うジャムセッションを行ったかと思えば、ライブ3日前にリリースされたSingleの表題曲「HOWLING AMBITION」をプレイする。彼女たちが12本の火柱が上がる中、複雑ながらもリズミカルなブレイクやキメを多投するAメロ、Bメロからヌケ感あふれるサビへと突入するこの曲をプレイすると、バンドリーマーたちはビビッドに反応。初披露の最新ナンバーながらRaychellのコールにノリよくレスポンスを返していた。
パトライトのように回る真っ赤な照明とサイレンの音から始まった、オールドスクールなJ-POPライクな「Sacred world」と幕間のSEに続いて、ライブ終盤戦の1曲目は、3月にスマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』に実装されたばかりの「第六感」のカバーバージョンだ。RASの面々は、軽快かつコンテンポラリーなダンスサウンドが耳に残る原曲のその質感や構成・展開はそのままに、しかし大胆に翻案。夏芽によるストレンジな16ビートに原曲よりも明らかに凶暴でノイジーなサウンドを重ねることで見事“RASの曲”へと仕立て上げていた。
撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project
そしてギターリフのループに乗せて紡木が声ネタを叩き、ターンテーブルをスクラッチするやまたも大歓声が巻き起こり、Raychellの「有明、アガれ!」の言葉どおり、会場中がブチアガった「EXPOSE ‘Burn out!!!’」、高速四つ打ちダンスロック「Bad Kids All Bet」と2つのキラーチューンを畳みかけたのちには、Single『HOWLING AMBITION』のカップリング曲「VIVID FIRST TIME」をパフォーマンス。正統派ハードロックとエレクトリックサウンドの融合という、まさにRASの一側面を象徴するようなこの曲でライブ本編を締めくくった。
熱い声援に応えてステージにカムバックした5人は、アンコール1曲目にパーティチューン「V.I.P MONSTER」をセレクト。8ビットサウンドを思わせる倉知のシンセが印象的なこの曲で、紡木が自身の「ブレイクダウン!」の声を即座にルーパーに噛ませてパッドでリズミカルに叩いてみせたかと思えば、Raychellもそれまでのハードでシリアスなムードはどこへやら。〈ベロベロばぁ! ベロベロばぁ!〉の歌詞になぞらえて笑顔であっかんべえをしてみせるなど〈歌えや踊れや〉〈死に物狂いで さあ楽しもうぜ〉のリリックどおりの空間を現出してみせた。
この日“初めて”のMCでRaychellはライブタイトル「REBEL SOUNDWAVE」に込められた裏テーマを紹介。“反逆の音波”を意味するこの言葉には「世界をRASの音楽で切り拓いて暴れていく」という意味が込められており、「音楽の力で反逆していく」ことを宣言する。そしてメンバーがそれぞれライブを振り返ったのちには「アンコールではもっともっと自分を開放して、RASの音を全力で浴びてください」「ラストまで大いに暴れていきましょうか」と、まさに“反逆”者、アウトサイダーのための高速メタルコアナンバー「OUTSIDER RODEO」をドロップした。
さらにRaychellが「みんなのおかげで本当に最高の1日になりました」「みんな自身に大きな拍手をお願いします」とバンドリーマーたちに感謝を捧げると、5人は彼女の「全力で暴れなさい」の声とともに、RASの始まりの曲であり、“暴動”の曲である「R•I•O•T」をプレイ。文字どおり会場を揺らせに揺らして約半年ぶりのワンマンライブを締めくくった。
夢限大みゅーたいぷ 撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project
RAISE A SUILEN 撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project
「REBEL SOUNDWAVE」はまさにRASの矜持を感じさせる公演だった。1時間半にわたって言葉でのコミュニケーションに一切頼らず、キレのいいダンスチューンを畳みかけることでクラウドを熱狂させるその態度は、まさにクラブミュージック的、DJ的といえるだろう。この日のRASのありようは紛れもなくダンスロックバンドそのもの。それだけに11月、12月のライブでは我々をどう踊らせてくれるのか? そのプレイに圧倒されると同時に、そんな期待感を抱かせてくれた一夜だった。
取材・文:成松 哲 撮影:ハタサトシ、関口佳代
セットリスト
2025.06.14RAISE A SUILEN「REBEL SOUNDWAVE」@東京・有明アリーナ
【単日視聴
価格:5,500円(税込)
販売期間:~2025年6月21日(土) 21:00まで
配信期間:~2025年6月21日(土) 23:59まで
【2DAYS通し視聴
お得な価格で、6月15日(日)開催のRoselia「Sei stark」を含む2公演いずれも視聴いただける
価格:9,900円(税込)
販売期間:~2025年6月21日(土) 21:00まで
配信期間:各公演視聴
※近畿大学附属高等学校 E.S.S.S.(第4回全国高校軽音楽部大会「we are SNEAKER AGES」優勝校)の配信はございません。予めご了承ください。
国内配信 受付URL:https://eplus.jp/ras-roselia061415/st/
◆各公演の詳細はこちら:https://bang-dream.com/raiseasuilen-roselia2025
【夢限大みゅーたいぷ】
01. コミュ着火Fire!
02. ✞animaるパーティ✞開催中✞
03. 夢現妄想世界
01. A DECLARATION OF ×××
02. Invincible Fighter
03. HELL! or HELL?
04. -N-E-M-E-S-I-S-
05. SOUL SOLDIER
06. BATTLE CRY
07. Apocalypse
08. HOWLING AMBITION
09. Sacred world
10. 第六感
11. EXPOSE ‘Burn out!!!’
12. Bad Kids All Bet
13. VIVID FIRST TIME
<アンコール>
14. V.I.P MONSTER
15. OUTSIDER RODEO
16. R•I•O•T
「BanG Dream!(バンドリ!)」公式X:https://x.com/bang_dream_info
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(C)BanG Dream! Project