LONGMAN、地元愛媛・松山でドラマーほりほり卒業ライブ開催ーー泣かしにではなくカマしにきた夜、それでも流れる涙に感動した第2章の始まりに

レポート
音楽
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LONGMAN ONEMAN LIVE 2025「ピザ~Good bye ほりほりピザパーティ~」2025.6.15(SUN)愛媛・WstudioRED

愛媛発のバンド・LONGMANから、ドラムのほりほりが卒業すると5月12日に発表された。ほりほりの卒業に伴い、6月12日に渋谷Spotify O-Crest、6月15日に松山WstudioREDにて開催されるはずだった「LONGMAN ONEMAN LIVE 2025ピザ」にサブタイトル「〜Good bye ほりほりピザパーティ〜」を追加することに。今後もLONGMANはさわ(Ba.Vo)、ひらい(Gt.Vo)の2人で歩みを進めていくという。

本当の卒業公演である松山でのライブレポートを担当することになり、急遽、関西から松山へ向かう。同じ四国出身のバンドでいうと、四星球を徳島で、古墳シスターズを香川で、それぞれのライブを地元で観た時、驚くくらいに普段のライブとは違う素晴らしさがあった。どの支店で食べても美味しいお店でも、やはり本店で食べると美味しさが違うとでも言おうか。そういう意味ではLONGMANを愛媛で観られるのは嬉しいことだが、3人のLONGMANを愛媛で観られるのは最初で最後。悲喜こもごもとは、まさしく、このことで何とも言えぬ気持になりながら、松山のホテルから松山・WstudioREDまで歩く。開場時間ちょうどに到着すると、とんでもなく長い行列が出来ている。筆者は初めて行くライブハウスであったが、遠目から観ても、この場所で間違いないことが一目瞭然。

開演時間になり、さわが舞台に走ってくると自然と手拍子が起きる。さわとひらいがドラムのほりほりと向かい合って、いよいよライブを始める。何気ない場面だし、当たり前なのだが、スリーピースバンドであり、この光景を観るのは最後だと噛みしめる。

「13年間、背負ってやらせていただきます」

言葉としては重たいが、軽やかに1曲目「Back Home」へ。ふたり交互に歌う中、初っ端から観客はダイブしている。飛ぶ方も支える方も信頼感があるからこその、観客全員による一体感は観ていて微笑ましくなった。始まったばかりなのに、もう誰かの脱げてしまった靴を高く掲げて、落とし主を探していたりもする。何が起きようと皆が笑顔で、今日という日を目一杯に楽しんでいる。

最初のMCパートで、ひらいが「珍しくほりほりコール起きてるやん!」なんて観客に振ると、観客は本当にほりほりコールを起こす。ひらいも言っていたが、始まったばかりなのにすでにクライマックスみたいだ。ほりほりがラストライブだということに、観客から「ふざけんな!」という愛ある野次が飛んで、ほりほりは「すまん!」と謝る。よくホームとかアウェイとか言うけど、これぞホーム。関西の色々なライブでは愛ある野次をよく観るが、こんな場面を関西以外で観るのは初めてかも知れない。それくらいに愛で包まれている。

「泣かしに来たんじゃなくてカマしにきたんで。世界一楽しい卒業式をしにきました!」

ひらいの言葉通り、明るくハッピーなパーティー。2ブロック目の「FEEL GOOD」では、1ブロック目の勢いに加えて、<朝焼けが染まる頃 僕たちはどんな風かな>という歌詞で、この日、初めての沁みる感覚になる。それでも決してセンチメンタルにさせることはなく、ほんまに卒業ライブなのかと思うほど、さくさくと気持ち良く進んでいく。

4ブロック構成だが、早くも3ブロック目。ほりほりがLONGMANに加入して初めての現場が「Offside」のMV撮影地である地元愛媛の重信川だったと振り返られる。ほりほりは当時大学1年生。ひらいは先輩に当たるため、ほりほりは敬語も使っていたという。宣伝のビラ配りをしたこと、地元のCD屋「DUKE SHOP」でコーナーを作ってもらったこと、松山WstudioREDオープンに際する関係者招待ライブのこと、この場所でメジャーデビュー発表したことなど、想い出は尽きない。そこで昔やっていたというほりほりの相談コーナーを突如やることに。

ほりほりが観客の相談に全て逆質問する埒あかない愉快な状態の中、何故か、ひらいとほりほりで漫才をする流れに。実際に行なったのはショートコントであったが(そんなイヤな関西人特有の重箱隅つつきは置いといて)、冗談抜きで、あぁ、この人たちは本当に13年間やってきたんだなというネタであった。上手いとか下手とか、そんなことではなくて、ふたりにしか出せないグルーヴがあった。それはバンドも同じことで、このショートコントを観た時に、3人でしか出せないLONGMANのグルーヴが最後であることを、より感じてしまった。もちろん、その場は湿っぽさゼロで、とてもウケて、とても沸いていた。レア曲3曲のショートバージョンメドレーでは、ほりほりイチ押しナンバーも3曲目に披露された。

いよいよラストブロック。相変わらず野太い野次が飛ぶ愛あるカオスな空間。ひらいは自身を凄く考える人、ほりほりを何も考えない人、さわを変な人と位置づけ、週2で喧嘩もしていたと明かす。バンド史上最大のピンチを解散や活動停止という悲しき選択をせず、ひらいは「続ける覚悟をしました」と語る。

「下向く理由にしたくない。上向く理由にしたい。再出発の夜にしたい」

そういう新曲を作ったと、5月にリリースされたばかりの「I’M YOUR BAND」へ。諦めずに戦うという覚悟しか感じない決意表明の歌。続く「Sunset」では、さわの歌う<悲しみを乗り越えたら 寂しさを乗り越えたら>という歌詞が、ほりほりのドカドカ鳴らされるドラムで届けられる。この流れからミディアムテンポの「spiral」も歌われるが、ラストブロックでの緩急の付け方、メリハリの付け方は終わりに向かっている事を感じさせられた。でも、やはり湿っぽさは必要ない。

「あと3曲だ。もっとひとつになりたい。もっとすごいことになりたい。理性とか吹き飛ばして、普通じゃ無くなりたい」

ひらいの言葉の通り、ラスト3曲はブッ飛ばされていく。「1919」でのダイブの嵐は、大盛り上がりに対して美しいという表現を初めて使うくらいに、最後まで大盛り上がりを決して止めない美学を、LONGMANと観客たちから感じ取れた。ラストナンバーは「WALKING」。サークルモッシュも起きて、ひらいも曲中に思わず「楽しかったか!? またやろうぜー!」と叫ぶ。

アンコール。ほりほりは事務所、四国の担当イベンター・DUKE、ひらいとさわに感謝を述べていく。自分を拾ってくれて、わがままに付き合ってくれて、LONGMANは大きな財産というほりほりに、ひらいも泣き真似をしていたが、とうとう泣いてしまう。

「2人の人生に片足を突っ込むつもりでやっていたし……」

この言葉はリアルすぎた……。大学生がプロフェッショナルなっていくのは薔薇の道であり、それは茨の道でもある。ほりほりにバンドをかき回されたことを素直に話しながらも、それでもドラムを聴いたらチャラになると話す。これぞバンドマジックである。

「一緒に夢を追ってくれてありがとうございます」

運命共同体だったのだなと胸が締め付けられる中、ほりほりが良かれと思って、「湿っぽい終わり方をしたくないので、今後の展望を!」と仕切り出し、「誰が言うとんねん(笑)」とつい思ってしまったが、こんな感じで3人は喜怒哀楽全てを共有して、13年間やってきたのだなとしみじみしてしまう。

新たな物語、新章として、新体制として初の全国ワンマンツアー『KEEP ON LONGMAN」の開催も発表された。初日10月5日(日)は、再び地元・愛媛の松山・WstudioRED。さわは「泣きそう……」と言いながら、みなさんのお力を借りれたらと訴えかける。そんな中、ほりほりがツアー発表を呑気に「聞いてない!」と言っていたのも御愛嬌であったし、そんなアンコール1曲目は、ほりほりが骨折してやらかしたことから生まれた「KOSSETSU!」。ほりほりは、何をやらかしても絵になる男だったのだなと改めて思う。

アンコール2曲目は先程の話題にもあがった「Offside」。そして、アンコールラストナンバーは「Just A Boy」。静かな歌い出しから始まり、後は転がっていくようにメロディックに突っ走って行く軽快なナンバー。泣きながらも笑顔で進んでいくような力強さに溢れている。

「これが日本のパンクロックだ!」

ひらいは確かに、こう叫んだ。キャリアを積み重ねてきたからこそ言える言葉。日本のパンクロックを背負うなんてたいそうなことだ。でも、そんなたいそうなことを言ってでも、それも2人になった今、そう叫ぶひらいが僕は大好きであった。みなさんも大好きだったに違いない。それとほりほりのドラムが凄い深みある音を鳴らしていて、最後の最後まで更新を止めない姿は、まさにバンドマンだった。

サプライズで「仰げば尊し」が流れる。ひらいが卒業証書を読み上げ、さわが花束を贈る。最後は、「せーの! ほりほり!」を合図に会場全員で記念撮影。3人は去っても、観客は名残惜しそうに、その場を去らない。名残惜しそうではあるが、やっぱり湿っぽさはない。気付くと、ほりほりは物販に立っている。

余談中の余談だが、終演後、会場内で関係者と行なわれた簡単な打ち上げでは、ツアータイトル通りピザが用意されていた。最後の最後までパーティーだなんて、本当に良い3人組だったのだ。そして、2人組のLONGMANがここから始まる。乞うご期待! 追伸・ほりほり良い第二の人生を!!

取材・文=鈴木淳史 写真=オフィシャル提供(撮影:武井勇紀)

セットリスト

LONGMAN ONEMAN LIVE 2025
「ピザ~Good bye ほりほりピザパーティ~」

6月15日(日)【愛媛】WstudioRED
 
<セットリスト>
  1. OPENING
  2. Back Home
  3. Will
  4. Mind Of Past
  5. Silence
  6. I KNOW
  7. FEEL GOOD
  8. Take Your Time
  9. Excuse
  10. Better days
  11. BEER!
  12. Nothing On My Back(ワンコーラス)
  13. Nostalgia(ワンコーラス)
  14. Weakly(ワンコーラス)
  15. ライラ
  16. IN THIS WAY
  17. I‘M YOUR BAND
  18. Sunset
  19. spiral
  20. So Man
  21. 1919
  22. WALKING
EN1 KOSSETSU!
EN2 Offside
EN3 Just A Boy

公式サイト:https://longman.jp/

ツアー情報

『KEEP ON LONGMAN” ONE-MAN TOUR 2025』
10月5日(日)愛媛 松山 WstudioRED 
10月7日(火)香川 高松 DIME
10月15日(水)宮城 仙台 ROCKATERIA
10月17日(金)北海道 札幌 BESSIE HALL
10月30日(木)福岡 OP's
10月31日(金)広島 Live space Reed
11月6日(木)新潟 CLUB RIVERST
11月19日(水)神奈川 F.A.D YOKOHAMA
11月21日(金)愛知 名古屋 CLUB UPSET
12月1日(月)大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
12月2日(火)京都 KYOTO MUSE
12月12日(金)東京 Spotify O-WEST


スタンディング ¥4,300、学割¥3,300
※1ドリンク代 別途必要
※『学割』をご購入の方は入場時に学生証を確認いたします。
 ご持参いただけない場合は、通常との差額をお支払いいただきます。
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