“ひらめき”に満ちた冒険の幕開け! 『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロレポート
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『ビットワールド THE STAGE』取材会より
『ビットワールド』はNHK Eテレで2007年から放送、前身となる『天才ビットくん』を含めると今年度で実に25周年を迎える人気子ども番組だ。そんな『ビットワールド』が25年の歴史で初めて『ビットワールド THE STAGE』として舞台化され、7月4日(金)に東京・サンシャイン劇場にて初日を迎えた。ひらめきと創造力に満ちた『ビットワールド』の世界で、笑いあり涙ありの冒険が繰り広げられた本作のゲネプロ及び開幕直前取材の様子をお届けする。
ビットワールドが目の前に! “ひらめき”とともに動き出す冒険
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
視聴者参加型番組として長く愛されてきた『ビットワールド』及び『天才ビットくん』。子どもたちが番組に寄せるひらめきは、まさに無限の可能性の卵。そんなひらめきをおなじみのキャラクターたちがときに面白く、ときに鋭く調理していくという番組の魅力が、生の空間で繰り広げられる舞台と見事にマッチ。画面の中で見ていた生放送がリアルタイムに目の前で展開されているような高揚感と、舞台ならではのドラマ性が、観客の心に眠る冒険心を目覚めさせてくれる1時間50分となった。
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
幕が開けてすぐスクリーンに映し出されたのは、視聴者にとってはおなじみのミスティータウン。これから始まる舞台が、『ビットワールド』と地続きなのだと改めて感じさせてくれる。マスター(声:いとうせいこう)やソーイ(声:中田あすみ)がいつものように過ごしていると、突如怪しいボタンが……。ボタンを押してしまった2人は謎の空間に吸い込まれ、マスターはビットワールド創設者セイコーの姿に、ソーイは海賊のジャーク族アスミンの姿になってしまう。
さらに、ミラレタ(金子貴俊)、ヨコヤマン(横山だいすけ)、ゾース(ソーズビー・キャメロン)と番組キャラクターたちが続々と登場。仮想空間総合研究所なる場所からやってきたダイゴ(上田堪大)とスミレ(小山百代)とユタカ(高橋怜也)も合流し、ビットラン(大和悠河)なる人物が生み出した「ニュービットワールド」から脱出するための冒険が始まる。
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
主軸となるストーリーは、困難からの脱出という子どもも楽しめる王道なもの。初めて会ったビットワールドの住人と仮想空間総合研究所のメンバーが、初対面の悪印象や反りのあわなさを乗り越えて、次第に友情や絆を育んでいく姿は、眩しく心に沁みる。子ども番組から生まれた舞台らしい明瞭な展開は、舞台観劇に慣れていないという人も存分に楽しめるだろう。
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
ただ、そこで終わらないのがビットワールド流。番組出演者チームは長年培ってきたあうんの呼吸で、これでもかとアドリブを挟んでくる。ゲネプロ向けのネタも放り込み、しっかりと笑いをさらっていた。シーンとシーンの合間のちょっとしたアドリブもあれば、ビットワールドらしさ満点の視聴者からの投稿という名の瞬発力を試されるシーンもある。ミラレタ役の金子の奮闘っぷりや、セイコー役のいとうの名MCっぷり、さらにはヨコヤマン役の横山の美声を活かしたコール&レスポンス、中田のキュートなシーンと、見どころは尽きない。
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
投稿内容に関しては、キャスト陣もなにが出てくるのかわからないそう。ゲネプロでも十分に笑いが起きていたが、回によってはさらに奇跡的な笑いが生まれる可能性も。そういった舞台のライブ感を、ビットワールドの世界観に落とし込んでいる点は、脚本・総合演出を手掛けた川尻恵太(SUGARBOY)の見事な手腕といえよう。例えビットワールドに詳しくなくとも気づけばクスッと笑ってしまう、高水準のコメディ作品に仕上がっていた。
オリジナルキャラも躍動! 子どもから大人まで刺さる王道ドラマ
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
本作のドラマパートを、より見応えのあるものにしているのが舞台オリジナルキャラクターの面々。上田のダイゴはリーダー然とした包容力が漂い実にスマート。内に秘めたものが溢れ出す終盤での変貌っぷりにも注目を。小山演じるスミレは可憐な立ち居振る舞いが魅力的。胸中を歌に乗せて語るシーンは胸にこみ上げるものがあった。同じく女性キャラクターのアスミンが海賊で男勝りな分、スミレとの対比も印象的だ。
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
高橋はノリがよく気分屋なユタカ像を立ち上げ、作品に軽快なテンポを生み出す。ミラレタやゾースとのやりとりも面白く、会話劇的としての魅力を作品に付加していたように思う。ちょっぴり不憫な役どころというのも、刺さる人には刺さるのではないだろうか。
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
3人は番組視聴者にとって、いわば代弁者の立場で物語を進めていく。彼らが終盤で吐露する本音は、いま番組を楽しんでいるファン、そして子どもの頃に番組に参加していた大人たちにも刺さるものだろう。観客は彼らの思いや、彼らの選択を通して、今一度、自分にとって『ビットワールド』や『天才ビットくん』がもたらしてくれたものを再確認できるはずだ。
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
そして圧巻の存在感を放っていたのが、特別出演の大和悠河。元宝塚歌劇団宙組トップスターだった彼女のスキルを存分に楽しめるナンバーも用意されており、その時間はニュービットワールドからまた別の時空に飛ばされたのかと思ったほど。大和が演じるビットランが、視聴者の投稿にコミカルなリアクションをする場面も。ゲネプロでは“取調室で母親手作りのカツ丼を出されて涙ぐむ人”というミニコントを披露してくれた。セイコーとのコントなやりとりを楽しむチャーミングな大和を観られるのも本作ならではだろう。
『ビットワールド THE STAGE』ゲネプロ
囚えられたセイコーたちは無事、もとの世界に戻れるのか。ワクワクドキドキの冒険が大団円を迎えると、ラストはビットワールドのキャラクターたちともっと近づける客席降りありのエンディングへ。メディアの垣根を超えて、ビットワールドの住人たちが会いに来てくれた。そんな感動を覚えた瞬間だ。
本編終演後は、日替わりコーナーも用意されている。番組おなじみのコーナーの舞台版や座談会が日替わりで楽しめる。ゲストも交えて繰り広げられる、アットホームかつ何が起こるかわからない日替わりコーナーも見逃せない。ゲネプロでは浅川梨奈が日替わりゲストとして登場。このほか、升野英知、マキタスポーツ、古坂大魔王、増子敦貴(GENIC)の出演が予定されている。
人生はシナリオ通りにはいかないし、ときには冒険も必要だ。『ビットワールド THE STAGE』は数々の奇想天外なひらめきとともに、そんな気持ちを取り戻すきっかけを与えてくれた。この夏、ちょっと冒険してみたい。そんな人はぜひ『ビットワールド THE STAGE』の世界に旅立ってみてほしい。本作は7月4日(金)から7月13日(日)まで、東京・サンシャイン劇場にて上演。
開幕直前取材コメント
ゲネプロ上演前には、開幕直前取材が実施された。メインキャスト及び初日ゲストの浅川梨奈が登壇。それぞれの挨拶を紹介する。
浅川梨奈:ゲストなのに最初に挨拶するのは恐縮なんですが……。ゲストとして完成されたものの中に入って大丈夫なのかなと思っていたのですが、いつものビットワールドの空気で安心しました。私自身も作品を楽しみにしていますし、ゲストとして楽しみたいと思っています。
浅川梨奈
ソーズビー・キャメロン:(ゾースとして)笑いあり、涙あり、危機ばかり。大変だぞ。10分くらいで『舞台化ってこういう感じね』って見慣れるんだよ。見慣れて、余裕持ったら、大変だぞ。いろんなことが起きるからな、気をつけろ!
ソーズビー・キャメロン
横山だいすけ:ではゾースに倣って……。(ヨコヤマンとして歌いながら)『ビットワールド THE STAGE』来たらわかる~よ、最高だ~よ。以上です、ありがとうございました。
横山だいすけ
中田あすみ:稽古ではみんなで部活のように一丸となって頑張ってきました。どっぷりビットワールドの世界にはまっていただければと思います。
中田あすみ
金子貴俊:まさか私も宇宙人の役で出るとは思っていませんでした。長年テレビの方でやってきていますが、舞台の中でも本当にアドリブや無茶振りの場面が多くて、めちゃくちゃです(笑)。ただただ楽しんで笑っていただけたらと思います。
金子貴俊
大和悠河:こんなに濃いビットワールドの皆さんと敵対するビットランという役を演じさせていただきます。25年も愛されている番組の舞台化に出させていただいて、本当に光栄です。皆さんに負けないよう、思いっきり敵対してガンガンいきたいと思います。
大和悠河
上田堪大:主に舞台で活動しているオリジナルキャラクター組がビットワールドの皆さんにどう溶け込んでいけばいいのかと思っていたのですが、せいこうさんをケアすることによって距離が縮まりました(笑)。本番もしっかりせいこうさんをケアしつつ、この舞台ならではの楽しみ方を存分に味わっていただけるよう、僕自身も楽しんでやっていきたいと思います。
上田堪大
小山百代:オリジナルキャラクターでの出演なので、ぜひ観ていただいて楽しんでいただければと思います。日替わりでいろんな場面が変わっていくので、ぜひ何回も劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。
小山百代
高橋怜也:稽古中はすごく試行錯誤しながら作ってきましたが、やっぱり最後はお客様のひらめきでこの舞台は完成すると思っています。ぜひ一緒に作り上げて、最高に面白い作品にできたらと思います。
高橋怜也
いとうせいこう:上田くんが言ってくれたように、決められた場所に立ってセリフを言うということができないもんですから(苦笑)。周りからは“介護”と言われていますが(笑)、本番中に僕に小声で立ち位置を教えてくれている人がいても気にしないでください。僕はそのハラハラ感も含めて楽しくて、毎回違う解釈が出てくる舞台になっていると思います。
いとうせいこう
最後にいとうが「1回と言わず2回、3回観ていただいて、面白かったらぜひ周りの方にも宣伝してくれたらなと思っています。どうぞよろしくお願いします」と締めくくり、短い時間ではあったが、カンパニーの結束感じられる会見となった。
取材・文・撮影=双海しお
公演情報
【日程・会場】2025年7月4日(金)~13日(日)東京・サンシャイン劇場
【脚本・総合演出】川尻恵太(SUGARBOY)【演出】白鳥雄介(ストスパ)
【出演】
上田堪大 小山百代 高橋怜也 / 大和悠河(特別出演)
金子貴俊 中田あすみ 横山だいすけ ソーズビー・キャメロン
升野英知(映像出演)
いとうせいこう
日替わりコーナーゲスト出演者:浅川梨奈 升野英知 マキタスポーツ 古坂大魔王 増子敦貴(GENIC)(出演順)
【料金】特典付SS席16,000円、一般S席9,500円、U18席5,000円(税込)
【特典付SS席 特典内容】
■舞台参加・ハガキ職人セット(「ビットワールドTHE STAGE」オリジナルペン付き)
・開演10分前までに劇場内に設置された専用箱に投函してください。舞台本編中ランダムで読まれるかも!?
■複製サイン入りブロマイド10枚セット
・対象キャスト:上田堪大、小山百代、高橋怜也、大和悠河、
金子貴俊、中田あすみ、横山だいすけ、ソーズビー・キャメロン、升野英知、いとうせいこう
■「ビットワールドTHE STAGE」専用クリアポーチ
■「ビットワールドTHE STAGE」ステッカーセット
公式HP:bitworld-stage.com
公式X:@bitworld_st
企画・制作:ディレクションズ
主催:『ビットワールド THE STAGE』製作委員会
日替わりコーナ―
内容/出演者:
ゴースタグラマーナーナ on STAGE
出演:浅川梨奈
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)浅川梨奈、金子貴俊、横山だいすけ、ソーズビー・キャメロン
内容/出演者:
ダイゴ、スミレ、ユタカによるSTAGE
出演:上田堪大、小山百代、高橋怜也
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)上田堪大、小山百代、高橋怜也、中田あすみ
内容/出演者:
ダイゴ、スミレ、ユタカによるSTAGE
出演:上田堪大、小山百代、高橋怜也
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)上田堪大、小山百代、高橋怜也、ソーズビー・キャメロン
内容/出演者:
覆面座談会 in ビッステ
出演:いとうせいこう、横山だいすけ、金子貴俊、上田堪大、小山百代、大和悠河
タンゴリラッパー
(出演)横山だいすけ、金子貴俊、中田あすみ、小山百代
内容/出演者:
ねず on STAGE
出演:升野英知(マス沢)、金子貴俊(カネ川)
タンゴリラッパー
出演:升野英知、ソーズビー・キャメロン、上田堪大、高橋怜也
内容/出演者:
ダジャッカルズ
出演:マキタスポーツ、ソーズビー・キャメロン、中田あすみ、高橋怜也
内容:
(出演)マキタスポーツ、横山だいすけ、小山百代、高橋怜也
内容/出演者:
ミューチューブ
出演:古坂大魔王(コサキャッツ)、増子敦貴(ましキャッツ)
内容:
(出演)古坂大魔王、増子敦貴、大和悠河、中田あすみ
内容/出演者:
しめきりですよ!
出演:升野英知、いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)升野英知、金子貴俊、上田堪大、小山百代
内容/出演者:
しめきりですよ!
出演:升野英知、いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)升野英知、中田あすみ、大和悠河、高橋怜也
内容/出演者:
ダイゴ、スミレ、ユタカによるSTAGE
出演:上田堪大、小山百代、高橋怜也
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)上田堪大、小山百代、高橋怜也、金子貴俊
内容/出演者:
ダイゴ、スミレ、ユタカによるSTAGE
出演:上田堪大、小山百代、高橋怜也
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)大和悠河、上田堪大、小山百代、高橋怜也
内容/出演者:
SPaiCE on STAGE
出演:浅川梨奈、中田あすみ
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)浅川梨奈、横山だいすけ
上田堪大、高橋怜也