Bialystocks、OKAMOTO’S、w.o.d.らFM802が「今見てほしい、注目のアーティスト」が集結した『FM802 Rockin’Radio!』
『心斎橋PARCO presents FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-』
『心斎橋PARCO presents FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-』2025.6.28(SAT)大阪・大阪城音楽堂
6月28日(土)、『心斎橋 PARCO presents FM802 Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-』が大阪城音楽堂で開催された。OKAMOTO’S、w.o.d.、Bialystocks、MONO NO AWARE、luv、Laura day romance、そしてオープニングアクトにスーパー登山部が出演。2013年にスタートし、ニューフェイスや話題のアクトがしのぎを削ってきた、これからのライブシーンの予想図を見るような本イベントの模様をたっぷりレポートしよう。
FM802 DJ田中乃絵
FM802 DJ板東さえか
●スーパー登山部
スーパー登山部
「今日という日を待っていたかのように梅雨が明けました!」という、MCのFM802 DJ・田中乃絵の言葉どおり、この上ない晴天のもと始まった『Rockin’Radio!』。その幕開けは、田中が「澄んだ風を音色で届けてくれることでしょう!」といざなったスーパー登山部が担う。ショルダーキーボードを提げたHina(Vo)は、「風を辿る」から清廉な歌声で瞬く間に会場全体を包み込んでいく。
「このような機会をいただけて本当にうれしいです」(Hina)
「いつも山の上で演奏していたりするんですけど、下界はこんなに暑いんですね(笑)。今日は皆さんと一緒に楽しめたらと思います」(小田智之、Key.Vo)
スーパー登山部
そんな猛暑の大阪城音楽堂を、涼やかな高みへと変貌させたのは「頂き」だ。いしはまゆう(Gt.Vo)の爪弾くエモーションたっぷりの音色を道標に、梶祥太郎(Ba)も爽快なグルーヴを創出。ハンドマイクに持ち替え、軽やかに舞うHinaのボーカルは広大な野音の隅々にまで広がっていくようだ。悠々とした鍵盤の音色が鳴る「樹海」では、どこか神々しささえあるアンサンブルに、体中が心地良く侵食されていく感覚に。ラストは、エンディングテーマならぬ下山ソング「スーパー銭湯もある」だ。深谷雄一(Dr)の雄大なドラムを基盤に、5人の音や声がゆったり溶け合い、フロアは「ととのう」がごとくのトリップ状態に……。今年のリラクシンなムードを象徴するオープニングアクト、スーパー登山部の好演で『Rockin’Radio!』開幕です!
スーパー登山部
●luv
luv
luv
ここで、生放送を終えたばかりのFM802 DJ・板東さえかが舞台上で田中と合流。今年の『Rockin’Radio!』は、フードやドリンク類の充実もポイントの一つだが、場内に設けられた心斎橋PARCOの人気イベント『カレー大作戦』ブースでは、名店同士のコラボカレーが味わえるといった紹介を挟み、いよいよこの日のトップバッターを呼び込む!
luv
luv
結成わずか2年、現役大学生というフレッシュなプロフィールを自ら蹴散らすように、ド頭の「Fuwa Fuwa」から圧倒的存在感で野音の視線を独り占めにするluv。「Lee Un Vile」では極太のビートを刻むZum(Ba)に、スリリングな鍵盤さばきで魅せるRosa(Key)、高速ドラムソロをぶっ放すSho(Dr)、そしてOfeen(DJ)のスクラッチでアゲにアゲるなど、鮮烈な個性が溶け合ったサウンドデザインを見せつけていく。そんな4人の個性を、フロントマンのHiyn(Vo.Gt)は無二のアーシーな声質をもって巧みに統率。続くアンセム「柔軟剤DOPE」でもカリスマティックなアイコンぶりにほれぼれさせつつ、改めて『Rockin’Radio!』出演の喜びを語ってくれた。
luv
「暑いですね!こちらは日陰なので申し訳ない気持ちですが、今日は楽しんで帰ってください!」と、先ほどの堂々たるたたずまいとは一転して、人懐っこい笑顔を見せるHiyn。たくさんの手拍子が湧き上がった「Gum i」や、機関銃さながらの言葉の応酬で畳み掛けた「Ozone」と、一度音が鳴り始めればオートマチックに体が揺れる。ジャジーでソウルフル、しかし根底に流れる彼らのポピュラリティに、宴は加速度的に熱量を上げていく。多幸感でいっぱいの「好人紀行」を経て、残すところあと2曲。甘酸っぱいギターリフをかき鳴らす「Send To You」や新曲「Rear」では野外の爽快感を味方につけ、全員で声を合わせるハピネスに誰もが破顔! 洒脱な音楽性とは裏腹に、徹底して客席との一体感を追求したパフォーマンスで、大阪城音楽堂に集う全ての人がluvのトリコとなったことは言うまでもない。
luv
●Laura day romance
Laura day romance
続いてその姿を現したのはLaura day romanceだ。後ろ手にじっと観客を見据える井上花月(Vo)。期待感でいっぱいの会場へ、まずは「プラットフォーム」を投下。白昼夢に似た独特の浮遊感と一さじのメランコリーで、あっという間に心をわしづかみにされてしまう。続いての「透明」では、どこか破滅的な言葉の連なりにも井上のウィスパーボイスは優しく響き、それゆえにどこか残酷だ。シームレスに「sweet vertigo」へとつなげ、鈴木迅(Gt)が織り成す甘いメロディの洪水にズブズブと沈みゆく心地に。一度でもローラズを知れば、もうその世界から抜け出せはしない。
Laura day romance
Laura day romance
去る4月26日にはここ、大阪城音楽堂でのワンマンを成功させたばかりの彼ら。
「ワンマン以来の野音。すごく晴れてて、とてもうれしいです」とほほ笑む井上に、同じ景色を知るファンも拍手を送る。どこか牧歌的な「heart」では、井上のタンバリンも相まってピースな空気が漂う一方、シューゲイズ感のあるソリッドな「Young life」では、礒本雄太(Dr)が先導する強靭なビートでバンドが持つタフな一面も見せつけていく。井上の切実な歌唱に全身を支配されるような「brighter brighter」を経て、開放的でじわじわとせり上がるサウンドメイクの「渚で会いましょう」でいよいよラストへ。
Laura day romance
どの音もどの言葉も強いエンパシーを呼ぶのは、井上の何ものにも染まらず、真っすぐに心を打つ高潔な歌声のためか。聴けば聴くほどその魅力にとらわれるLaura day romanceのパフォーマンスで、『Rockin’Radio!』は折り返し地点へと突入した。
Laura day romance
●w.o.d.
w.o.d.
再び壇上に登場した板東が「一緒に拳を突き上げて楽しみましょうか!」と呼び込んだのは、サウンドチェックの段階から満場の喝采を集めたw.o.d.だ。ピースサインを掲げて入場した3人のゴキゲンな様子とは打って変わって、1曲目「STARS」からサイトウタクヤ(Vo.Gt)の鮮烈なリフで、一気に場の空気を掌握していく。無敵のキラーチューン「馬鹿と虎馬」ではフロアから間欠泉のごとく歓声が湧き、ソリッドな「あばく」から続けた哀愁たっぷりの「喜劇」では、気持ち良さそうにプレイするKen Mackay(Ba)の姿が何とも印象的だ。
w.o.d.
w.o.d.
MCでは「距離感が分からず、ふら〜っとしてたらマイクがあったのでしゃべってみました」(サイトウ、以下同)なんてトボけたムードも醸しつつ、「気楽にやりましょう!」と続けては「Take It Easy」へ。ひときわブライトな音像の中、サイトウはステージの前っ面でギターを弾き倒して観客をあおり、Kenは跳ねながら全身でリズムを体現。中島元良(Dr)の軽快なドラミングにクラップの密度は増す一方で、バンドとオーディエンスの美しき相互関係がそこに広がっているようだ。
w.o.d.
爽快な「バニラ・スカイ」、ドライブするギターに高揚感を引き出される「1994」と、ワンマンライブかと錯覚するほどの熱気の中、あっという間のラストチューン「オレンジ」へ。「知ってる人は歌ってください」との言葉に応えるべく、たくさんのシンガロングが生まれる光景はこの上なくキラキラとまばゆい。古き良きロックバンドのアティチュードをにじませつつ、w.o.d.ならではのみずみずしい表現に魅せられた一幕となった。
w.o.d.
●MONO NO AWARE
MONO NO AWARE
玉置周啓(Vo.Gt)が「あっち~」と深いリバーブをかけてサウンドチェックするほど(笑)、もう夕方と言える時間になっても30℃を優に超える大阪城音楽堂。だが不思議なことに、いざ歌い出せばそよぐ風とともに清涼感を感じる。そんなMONO NO AWAREのマジックフィーリングを感じさせた1曲目の「もうけもん」から、「この状況はどう考えても普通じゃないと思うんで給水を……とみんなMCで言ってるかもだけど、それぐらい暑いんだもん(笑)。MONO NO AWAREと申します、どうぞよろしく!」と玉置が一声掛ければ、その言葉と音に連れられ、みるみる体が動き出す。
MONO NO AWARE
MONO NO AWARE
早口言葉調の「かむかもしかもにどもかも!」ではBPMをさらに高速化し(かまずに歌えるのすごい)、摩訶不思議なMONO NO AWAREワールドにあっという間に引きずりこんでしまう。柳澤豊(Dr.Cho)のドラムロールから加藤成順(Gt.Cho)のカッティングが合流していくさまが心地良い「井戸育ち」では、縦横無尽×緩急自在に駆け巡る竹田綾子(Ba.Cho)のベースラインも抜群に機能し、持ち味のサイケでアシッドなグルーヴを存分に味わわせてくれた。
MONO NO AWARE
MONO NO AWARE
「唐突かもしれないですけど、ホント大阪万博に行きたくて。でもスケジュールがきれいに合わなくて(笑)。大事なのは予定を先にブックしておくこと」と流れるように秋のワンマンツアーの告知をする玉置のトークスキルに感心しながら、後半戦はエキゾチックで壮大なコーラスワークから急降下するような「同釜」がもたらすエクスタシーにいきなり悶絶。一転、緩やかな疾走感とノスタルジーに心がうずいた「風の向きが変わって」、軽快なサンバのごとき「東京」ではフレーズの一部を「大阪」に変え、きっちり沸かせるライブ巧者ぶり。曲前には「大阪最高放送局FM802、MONO NO AWAREを呼んでくれてありがとうございました!」と感謝を述べた玉置だったが、彼らを目撃した観客もきっと同じ気持ちだったことだろう。
MONO NO AWARE
●OKAMOTO' S
OKAMOTO' S
出番前に鳴らした音がすでにドライヴしていたOKAMOTO’Sは、「大阪~!」とオカモトショウ(Vo)が叫べば、見渡す限りが一気に総立ち。「青い天国」から手は上がるやらジャンプするやら熱量は急上昇。「火照った大阪に火をつけに来たぜ!」(オカモトショウ、以下同)と、「Cheep Hero」でもずしりと重たいバンドサウンドを響かせれば、宣言通りの熱狂が大阪城音楽堂に生まれる。コール&レスポンスから「俺たちと踊りまくる準備はいいか!?」となだれ込んだ「Dance With You」でも、一挙手一投足にワードチョイス、全ての言動がアガるようにチューンナップされたフロントマン・オカモトショウを中心に、軽々と野音をフックアップしていく恐るべしOKAMOTO’S!
OKAMOTO' S
OKAMOTO' S
その後も、「今日来てくれたみんなにこの曲を」と今改めて飾らない思いを真っすぐに描いたミドルナンバー「ありがとう」を届けたかと思えば、お次は全編英語詞でまくし立てる「Lagoon」と、バンドのレンジの広さと深さを提示。オカモトコウキ(Gt)のエモーショナルなギターソロ、それと対峙するハマ・オカモト(Ba)のベースソロと代わる代わる見せ場がスイッチしていく壮絶なパフォーマンスを、オカモトレイジ(Dr)のすさまじいドラミングと共に支えるサポートキーボード/ギターのブライアン新世界……何よりも楽曲でライブバンドのすごみとアイデンティティを見せつけた光景は、まさに圧巻の一言!
OKAMOTO' S
OKAMOTO' S
「マジで全員で歌いたい」と執着した爆アゲの「BROTHER」を経由し、「改めて今日みたいに最高なイベントをやっているFM802が大好きです、愛してるぜ大阪!」と、ラストは「90'S TOKYO BOYS」でフィナーレへ。大阪野音すら小さく見えるOKAMOTO’Sの圧倒的7曲で、強烈な余韻というバトンをBialystocksへ手渡した。
OKAMOTO' S
●Bialystocks
Bialystocks
先ほどまでの暑さもいつの間にか和らぎ、イベントもいよいよ終盤へ。初出演にして今年の大トリを担ったのは、甫木元空(Vo)と菊池剛(Key)によるBialystocksだ。冒頭の「日々の手触り」から、甫木元の伸びやかな歌声と菊池の奏でるピアノの音色が、野音の大空にどこまでも広がっていく……。彼らが素晴らしいポップソングを世に生み出し続けてきたのはディスコグラフィをたどれば明白だが、この日もギター、ベース、ドラム、コーラス/キーボードを加えたゴージャスな6人編成で、プログレッシブな風味をピリリと利かせた「灯台」に、優しいメロディとハーモニーに酔いしれた至福の「差し色」、ラジオフレンドリーでありながら遊び心も随所に忍ばせた「Over Now」と、色とりどりに魅せていく。
Bialystocks
Bialystocks
メロウでディープなミドルチューン「憧れの人生」は、夕暮れ時のタイムゾーンとも相まって、深紅の照明もろとも切々と胸に染みわたっていく。情念漂うギターソロに絡み合う甫木元のシャウトもクールで、めくるめくピアノにいざなわれた「I Don't Have a Pen」で見せた一筋縄ではいかないダイナミズムといい、良質なタイアップ曲には定評がある彼らだが、こういったバンドの奥行きやバックボーンが伝わる楽曲群が楽しめるのは、まさにライブならでは。Bialystocksの底知れぬ才能と嗜好が見え隠れするセットリストの最後は、静から動へドラマチックに躍動していく「雨宿り」。トリにふさわしい文句なしのスケールとクオリティで締めくくる。
Bialystocks
オーディエンスの大歓声と拍手に呼び戻されたアンコールでは、「最後まで残ってくださって、楽しんでくださってありがとうございます! お言葉に甘えて一曲だけやります」と甫木元が告げ、「Upon You」を。Bialystocksとリスナーが見事に作り上げた、何とも多幸感に満ちた『Rockin’ Radio!』のエンドロールとなった。
Bialystocks
約7時間にもわたる熱いステージが終わり、クロージングMCとして現れた田中乃絵と板東さえか。板東が「今までにない『Rockin’ Radio!』のトリの空気感だった」と言えば、「ご褒美みたいな時間だった」とは田中。
FM802 DJ田中乃絵、板東さえか
そして2人は、「本当に素晴らしいアーティストにご出演いただいて、いい音楽、いいライブを皆さんにしっかりお届けできた実感があります」と声をそろえ、音楽も天気も最高の一日を振り返った。なお、この日のライブ音源はFM802各番組内にてオンエアされるとのこと。ぜひリクエストを!
取材・文=後藤愛(スーパー登山部、luv、Laura day romance、w.o.d.)
奥“ボウイ”昌史(MONO NO AWARE、OKAMOTO' S、Bialystocks)
写真提供=FM802(渡邉一生/浜村晴奈)
イベント情報
●日程=2025年6月28日(土)
●出演=OKAMOTO’S/w.o.d./Bialystocks/MONO NO AWARE/luv/Laura day romance/スーパー登山部
(OA)
●会場=大阪城音楽堂
●MC=田中乃絵・板東さえか(FM802 DJ)
●イベント HP=https://funky802.com/rockin/
●お問い合わせ=FM802 リスナーセンター:http://funky802.com/i/lc/ (平日 11:00-17:00)
GREENS:06-6882-1224 (平日 12:00〜18:00)
●主催=FM802
●企画制作=FM802/GREENS