岡山「RACCOS BURGER」20周年記念フェス『I SCREAM FESTA』にアジカン、SUPER BEAVER、ストレイテナーらが豪華集結する祝祭にーー主催・RACCO氏に開催直前インタビュー

インタビュー
音楽
2025.10.1

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岡山・岡山市にある人気ハンバーガーショップ「RACCOS BURGER」が開業20周年を記念し、ロックフェス『I SCREAM FESTA』を開催。10月4日(土)・5(日)日の2日間に、岡山・コンベックス岡山にて音楽の祝祭が繰り広げられる。

2005年10月に岡山・磨屋町で誕生した「RACCOS BURGER」は、県内外に複数の飲食店を展開。音楽フェスへの出店や災害支援など、食を通じた社会活動にも積極的に取り組んできた。同店のオーナー・RACCO氏はハードコア/ファストバンドのIdolPunchのボーカルとしても活動していることもあり、音楽&フェス好きなら、一度はハンバーガーを食べたり、ライブを見た人も多いだろう。そんな同店の開業20周年とあって、イベントにはバンド活動やフェス、災害支援などを通じて繋がったアーティストが数多く出演。

4日(土)にはSUPER BEAVER、9mm Parabellum Bullet、SIX LOUNGE、Hawaiian6、FOMARE、柳家睦&THE RATBONES、ldolPunch、COWCOWが。5日(日)にはASIAN KUNG-FU GENERATION、MONGOL800、ストレイテナー、Nothing’s Carved In Stone、THE BACK HORN、LOWIQ 01&THE RHYTHM MAKERS、四星球、片平里菜、秋山竜次(ロバート)が出演。

今回、SPICE編集部では「RACCOS BURGER」のオーナー・RACCO氏に取材を敢行。岡山を代表するバーガーショップが打ち出す音楽の祝宴とは? アーティストのラインナップはもちろん、気になる飲食ブースや今後の展開についても話を聞いてみた。

ーー「RACCOS BURGER」開業20周年、おめでとうございます! RACCOさんはIdolPunchのボーカルとしても活動されていますが、バンド活動と並行しながら、お店をオープンさせたキッカケは何だったんでしょうか?

元々は建築の仕事をしていたんですけど、30歳になった時に飲食店を始めたいなと思っていて。「全ての人には愛されないハンバーガーショップ」がやりたくて。

ーー“愛される”ではなく“愛されない”ですか!?

そう。好きな人が来ればいい、そんなお店がやりたくって……。ハンバーガーを食べながらお酒も飲める、小さいお店がいいなと思って作ったのが20年前です。

ーー20年前のオープン当初は、今以上にIdolPunchの活動が盛んでしたよね?

当時はバンド活動と並行しながら、建築の仕事を請け負っていたんですよ。職人さんが増えたりと、仕事に対する責任があまりにも大きくなりすぎてしまって、バンド活動の半年先の予定も立てられないような状況になってしまって。どうしようかなと思っていた矢先、元請の都合で半月ほど仕事がなくなりそうな時期が来たんですよ。その時に、キリの良い30歳でその仕事を辞めて、今のお店を開くことにしたんです。エンドユーザー、対顧客との仕事を選ぶことで、店を休んだ時には売上がない、そういう仕事がしたくて。

ーーハンバーガー店とバンド活動。自らのスケジュールで動ける仕事を選んだんですね。

ライブのスケジュールを組むのは簡単にはなりましたけど、建築の仕事をしていた頃と比べると、劇的に貧しくはなりましたけどね(苦笑)。

ーーとはいえ、「RACCOS BURGER」はこの岡山・磨屋町で創業して20年。『FUJI ROCK FESTIVAL』でのホスピタリティエリアでの出店や、さらに地元・岡山で開催されている『EIGHT BALL FESTIVAL』や『RUSH BALL』をはじめ、全国各地のフェスにも出店されています。創業当時から、フェスへの出店はイメージされていたんでしょうか?

そのイメージは全然なくって。新木場コーストで友達のバンドに呼ばれた時に出店したのが最初かな? ハンバーガー店をやっているのは知っているけど、岡山まで食べに行けないから、イベントで食べさせてよっていう感じでしたね。でも、出店といっても、やっぱり簡単なことではなくて。キッチンカーを購入して、東京の所轄の保健所に許認可手続きや営業許可証を取って。キッチンカーには、古いワーゲンバスを使っていたんですけど、帰りの高速道路で燃えました(笑)。

ーー故障ではなく、燃えたんですか!?

ちゃんと新聞にも載りましたよ(笑)。

ーー岡山にはほかにも「RACCOS BAR OKYM」、東京・幡ヶ谷には「RACCOS BAR」を展開しています。RACCOさんが手掛けているお店はほかにもありますよね。

岡山・表町にある「ノラネコ食堂」とか、杜の街グレースにある「727 ISLANDS COFFEE BAR」とか。既存の岩手や東京の店舗以外にも来春にも東京でプロデュースするお店の話がありますね。

ーーRACCOさんは災害支援での炊き出しの活動などにも積極的に参加されていますよね。BRAHMAN・TOSHI-LOWさんやMAN WITH A MISSIONのトーキョータナカさんとの活動もSNSでよく目にします。

(トーキョー)タナカとの出会いはバンドでの繋がりではなく、一番初めに会ったのは岩手・大船渡での支援活動でしたね。瓦礫撤去の作業をするときに偶然出会って。出会うっていう言葉はよくないな……。その時に遭遇しましたね(笑)。

ーー災害支援活動からバンド同士の繋がりができることも多いのではないでしょうか。

ボランティアや災害支援活動とか、そういった現場で出会うバンドマンは自分のことをアピールする必要もなくって。そういったタイミングでお互いがその場所にいる。その場に行かせてもらえる人間関係が築けていたり、人徳を持っている。問わずもがな、言わずもがな。割とシンパシーが近いんだろうなって、すぐに仲良くなっちゃいますね。

ーーそこからIdolPunchでの対バンイベントも派生していくと。

ただ、そこで出会ったBRAHMANやMAN WITH A MISSIONをはじめ、ORANGE RANGEやTHE BACK HORNなんかはもちろん仲良くはしているけど、我々のバンドは基本的に大きな舞台で演奏するために作られてないんですよ。個人的にお酒を飲んだり、ずっと友達付き合いをしていますね。

ーー個人的な話ですが、私はIdolPunchとの出会いはアルバム『Idol Music』でした。当時お付き合いしていた人から「こういう音楽も聴いたほうが良いよ」と渡されて。

自分で(バンドを)やっておきながらですけど、その彼氏はヤバイですよ?

ーーハードコア/ファストコアバンドの中でも衝撃が大きかったのを覚えています。

ファストコアとかハードコアの様式にこだわっているわけではないんですけど、IdolPunchはちょっとだけその理論とは違うところがあって。余計なこと、不必要なことを削って曲を短く、早くするんじゃなくて、余計なものも全部圧縮して数十秒の中に入れちゃおうぜっていう曲の作り方で。

ーー1曲の終わるスピードの速さ、ライブで観るとより衝撃でしたね。

いま久しぶりにアルバムのレコーディングをやっていて。いつも同じスタジオでレコーディングをしているんですけど、スタジオが貼ってくれていたポスターを見ると、17年ぶりみたいです。本当は今年リリースしたかったんですけど、まだ作業が追い付いていなくて。

ーー続報を楽しみにしています! IdolPunchは今年開催される『I SCREAM FESTA』にも出演が決定していますが、今は年間でどのくらいの本数のライブ活動を展開していますか?

年間で10本かそこらくらいじゃないですかね。基本的には自分たちで計画を立てて動くようなバンドではないんで。毎年末に東京の下北沢・SHELTERでライブをするのが唯一、我々の企画ライブくらいですね。メンバーもみんな社会人で普通に仕事もしていますしね。

ーーメンバーのU.S.Gさんをはじめ、メンバーは他にバンド活動を展開するなか、毎年春に岡山で開催される『EIGHT BALL FESITIVAL』にIdoplPunchはトップバッターで出演しています。SPICE編集部でのライブレポートでも何度かステージを観ていますが、ハードコア/ファストコアというジャンルもあって、ライブがものすごい速さで展開されていくことに驚きました。

毎年トップバッターなのは何なんでしょうね? ライブが終わってバックヤードに帰ると、主催チームから「来年もお願いします!」って言われますし。

ーー出演依頼も早い! それだけ地元での信頼感があるということですよね。10月に開催される『I SCREAM FESTA』も会場がコンベックス岡山です。2015年に初めて開催された『I SCREAM FESTA』も同会場での開催。当時もライブレポートでイベントに参加したんですが……。失礼ながら、岡山でロックフェスが開催できるほどの規模の大きな会場があったことに驚きました。

当時の岡山では、フェスの開催はあまりなかったですからね。でも岡山って、中国地方はもちろん、四国や関西からも来やすい場所なんですよ。

ーー瀬戸大橋を渡ればすぐだし、関西からも山陽新幹線ですぐに来れる距離ですしね。

まぁ、コンベックス岡山の会場はちょっとアクセスが微妙なんですけどね(笑)。

ーーバスや自家用車でのアクセスが推奨されていますね。前回の『I SCREAM FESTA』も「RACCOS BURGER」の開業10周年を記念しての開催ですよね。

それまでも「フェスやってよ」って言われることがあったし、僕自身もそういうことをやってもいいのかなと思ったりもしてて。でも、いきなりやるんじゃなく、自分の中で納得するためにも「RACCOS BURGER」の10周年の記念に、大きいイベントを開催しようと思ったんです。

ーー当時の出演ラインナップもすごく豪快でしたね。

the HIATUSとMONOEYESが同日に出演したことはトピックスとしても大きかったですね。

ーー当時を振り返ってみて、いかがでしたか?

やっぱり面白かったですよ。でも、知らないことのほうが多かったですよね。僕自身もコンベックス岡山でライブをやったことがあるわけでもないし、他のアーティストが開催しているのも観たこともなかった。これでいいのかな?と、ちゃんと考える余裕もなかった。でも終わった後はやってよかったなと思いましたね。

ーー当時、お客さんにインタビューもしたんですけど、県内の人も「岡山でフェスができる場所があるんだ!」と、喜びの声も多かったですね。

これを機に、大がかりなイベントをまたやってもいいのかなと思いましたね。イベンター主催のイベントになると、どうしてもブッキングに偏りができてしまう。でも、自分が開催するのであれば、そういったアプローチのフェスがあっても良いなと思って。

ーー前回から10年を経て、今年10月4、5日には「RACCOS BURGER」の開業20周年を祝うイベント『I SCREAM FESTA』が開催されます。今回は2デイズの開催、出演者も豪華ラインナップが揃っています。

仲の良いアーティストももちろんたくさん出演しますし、FOMAREとかSUPER BEAVER、SIX LOUNGEとか最近知り合った若いバンドもいる。段々と、若い年齢層と我々世代のバンドの客層が乖離しているのを、いろんなフェスを観ているとなんとなく感じるんですよ。だから同じイベントで混在させたいなという気持ちもあって。イベントに長いこと飲食店として出店していると、コロナ禍の前後で客層がガラっと変わっているんですよね。若い世代に圧倒的な支持のあるバンドのお客さんと、我々と行動を共にしていたようなバンドのお客さんが交じり合うような景色が見受けられなかったりする。飯を売っていると、それがよく分かるんですよ。

ーーアーティストがフェスやライブハウスで直接お客さんと声や意見を交わすことはそう多くはないですが、飲食店としてお客さんとコミュニケーションを取る機会が多いRACCOさんだからこそ見える視点ですね。今回の『I SCREAM FESTA』では世代が混在した出演者が揃っているのも、そういった思いがあるからこそなんですね。

若いバンドがどんどん出すぎて、追い付かないのが現状ですけどね(笑)。出演者の中にもIdolPunchの存在は知っているけど、対バンはしたことないバンドも多いですし。僕はいつも夜11時頃から「RACCOS BAR OKYM」でも、カウンターに立っているんですよ。バンドの打ち上げにお店を使ってもらった時に、一緒にお酒を飲みながら話をしたり。そういう関係性の築き方をしているバンドも多いですね。

ーー出演者の中にはCOWCOWや秋山竜次(ロバート)さんといったお笑い芸人さんから、柳家睦&THE RATBONESといった、ロックフェスでは普段あまり観る機会のないアーティストもラインナップされています。

10年前に開催した『I SCREAM FESTA』のお笑い枠はIdolPunchだけでしたからね。

ーーIdolPunchは芸人ではなく、れっきとしたアーティストですよ(笑)。

いま発表しているのは大展示場という大きなステージに出演するアーティストだけですけど、中展示場にも「スーちゃんSTAGE」というステージを作って、ライブやトークイベントをしたり。色々と計画中しています。

ーーまだまだ楽しみが増えそうですね。

IdolPunchは初日の大ステージに出演しますけど、2日目は中展示場のステージで走り回っている可能性もありますしね。ほかにもスケートのランプを持ち込んだり、アーティストのグッズやフードコートなどもそこにぎゅっと詰め込もうかなと。復興や災害支援にまつわる活動写真の展示もいくつか出てもらう予定です。ライブはもちろん、社会貢献的な部分も観てもらえたらいいなと思っています。

ーーRACCOさんは東日本大震災の復興支援のほか、地元岡山の真備町で起きた水害の復興支援にも力を入れていますよね。

今回は、2015年に開催した『I SCREAM FESTA』から10年間の間に起きたこと。真備町での活動写真など、防災を意識したことにもお客さんに触れてもらえたらいいなと思っています。

ーーバンド主催のフェスや、地域それぞれのイベンターが主催するフェスとはまた違った内容になりそうですね。

そうですね。こんなちっちゃい店の誕生日をコンベックス岡山で開催するのは謎でしかないんですけどね。

ーーいやいや、地元が誇るべきお店ですよ!

だと良いですけどね。ほかにも、初めて観る地元のバンドにも出演してもらうことも考えてて。ライトな感じで楽しんでもらいたいですね。

ーー「RACCOS BURGER」が主催となると、“フェス飯”にも期待が高まります。

イベントの2日間は「RACCOS BURGER」も「「RACCOS BAR OKYM」、「ノラネコ食堂」もお休みさせていただいて、お客さんのために尽力するつもりです。フードもハンバーガーには石川・能登の支援で繋がった人からの協力を得て、能登豚を使ったメニューを作ったり、中華そばの中には岡山・真備町の食材を使ったり。オフィシャルグッズには、石川県の九谷焼の豆皿にお店のキャラクター・すーちゃんをデザインしたものや、老舗和菓子店の「森八」からは和三盆を使った落雁をすーちゃんデザインで作ってもらったり。普段、瀬戸内ではあまり触れる機会のないものも、グッズとして取り入れています。

ーーイベントを楽しみつつ、支援活動にも繋がることは素敵ですね。

こういった支援活動を行う時に重ね重ね言っているんですけど……。ボランティアに行くヤツが偉いわけじゃあないんですよね。

ーー“知る”ことがまず大事、ですね。改めて、今回開催される『I SCREAM FESTA』は「RACCOS BURGER」の開業20周年を祝うイベントです。10年、20年と区切りとなる年に開催されていますが、次回は……。

……30年ですかね?? 面白ければまたやりたいなと思っていますけど、やっぱり制作は大変なんでね。でも10年前や、今回のイベントでも実現できなかったものがまだあって…。世界で一番デカいハンバーガーを作ってギネスに認定してもらって、それをお客さんに食べてもらいたいんですよ。

ーー世界一大きなハンバーガー! それは見てみたいです!

クレーン車とか重機をそろえたり、実現は可能なんですけど……。それをやっちゃうと、僕はイベント中のステージ周りとか、一切手をつけることができなくなっちゃうんで(笑)。

ーー主催であるRACCOさんが巨大ハンバーガーに付きっきりなのは問題になりそうです(笑)。

バカっぽくて良いなと思ったんですよね。成功しようが失敗しようがみんなに爆笑してもらえる、そういう感覚を持っているのは、たぶんウチのお店ぐらいしかないのかなと強く思っております! 魅力的なコンテンツはまた次回にでも挑戦したいですね。

ーーすべてをエンタメに昇華するRACCOさんの発想力。10月の『I SCREAM FESTA』はもちろん、次なる仕掛けにも期待が高まります!

取材・文=黒田奈保子 写真=SPICE編集部(大西健斗)

イベント情報

『RACCOS BURGER 20th Anniversary
 I SCREAM FESTA 2025』

日時:2025年10月4日(土)・5日(日)
会場:CONVEX岡山
時間;11:30開場 / 12:00開演
※開場/開演/終演時間は変更になる場合がございます。時間変更に伴うの払戻は行いませんので予めご了承ください。

出演:
<10/4公演>
SUPER BEAVER、9mm Parabellum Bullet、COWCOW、SIX LOUNGE、Hawaiian6、FOMARE、柳家睦&THE RATBONES、IdolPunch

<10/5公演>
ASIAN KUNG-FU GENERATION、MONGOL800、秋山竜次(ロバート)、ストレイテナー、Nothing’s Carved In Stone、THE BACK HORN、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS、四星球、片平里菜
 
 
券種・料金(税込):
・10/4土)1日券 >> ¥8,500
・10/5(日)1日券 >> ¥8,500
・2日通し券 >> ¥15,000 ※2日通し券はお一人様に限り有効
※小学生以上有料/小学生未満はをお持ちの保護者同伴に限り入場無料。
入場時に年齢を確認させていただく事がありますので、保護者の方はお子様の生年月日が分かる公的な書類(健康保険証等)をお持ちください。

問合せ:I SCREAM FESTA 2025オフィシャルウェブサイト https://raccosburger.com/iscreamfesta/
YUMEBANCHI(岡山) 086-231-3531 [平日12:00~17:00]

■主催・企画:RACCOS BURGER
■制作:YUMEBANCHI
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