青島節炸裂!モーツァルトからスター・ウォーズまで!老若男女が楽しめる「世界まるごとクラシック」に迫る
撮影=平田 貴章
「世界まるごとクラシック」に隠された青島広志のエッセンス
作曲家、指揮者、ピアニスト、プロデューサー、イラストレーター、作家、司会者などマルチな才能で人気を博している青島広志による「世界まるごとクラシック」。このコンサートでは、多才な青島が旺盛なサービス精神からできることは何でも取り入れようと八面六臂の活躍を繰り広げる。指揮、司会、解説、編曲、照明演出、イラスト、聴衆参加の歌声、音楽世界旅行などなどである。
撮影=平田 貴章
子供からお年寄りまでに親しまれている「世界まるごとクラシック」。この1月11日の公演も、ファミリー層から高齢の方々まで、5000席におよぶ東京国際フォーラムホールAが満員となった。そして、今年10周年を迎えるシアターオーケストラトーキョーのメンバーが入場する。男性は燕尾服、女性はカラフルな衣裳。新春にふさわしい華やかな雰囲気だ。コンサートマスターは岩村聡弘が務める。
今年は、スッペの喜歌劇「軽騎兵」序曲から始まった。ウィーンの作曲家スッペの代表作。ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートでも演奏されたことのある名曲である。舞台を映すスクリーンが舞台の両サイドにあり、指揮者やオーケストラのメンバーの一人ひとりの表情が映し出される。「お気に入りの奏者を見つけるとコンサートが楽しくなります」と青島は言う。演奏中に映される作曲家のイラスト肖像画は青島によるもの。曲目解説の字幕も入る。
撮影=平田 貴章
ショパンの「華麗なる大円舞曲」はもともとがピアノ曲であるが、青島自らがオーケストラ用に編曲したものが演奏された。この作品のなかにはいくつかのワルツが盛り込まれているが、それらが一つ変わる毎に照明も変わる演出が施された。日本の正月の定番である宮城道雄の「春の海」も青島の編曲。フルートが尺八の音色を模倣し、ハープが琴を真似る。日本のメロディがフル・オーケストラで繊細に表現されていた。
撮影=平田 貴章
まるごと版「モーツァルト・メドレー」はこの日が初演だった。青島は「一番好きな作曲家はモーツァルト」という。青島は、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、「ディヴェルティメントK.334」、「ドン・ジョヴァンニ」序曲、「フィガロの結婚」序曲、「魔笛」序曲、「交響曲第40、41番」をつなぎ、弦楽合奏曲の「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」に管楽器と打楽器を加え、交響曲第40番にも金管楽器や打楽器を付け加えるなどのアレンジを施した。編曲家としての青島の実力を知る充実のメドレー。この日のコンサートでの最大の聴きものであったといえるだろう。
撮影=平田 貴章
前半の最後は、今年が生誕140年、没後70年となるファリャの「恋は魔術師」から“火祭りの踊り”が演奏された。青島はスペインのイスラム、闘牛、フラメンコなどの文化を解説。
撮影=平田 貴章
後半は、「年の始めのためしとて」で始まるおなじみの唱歌「1月1日」をみんなで2番まで歌って始まった。そして、ジョン・ウィリアムズ作曲の映画「スター・ウォーズ」より“メイン・タイトル”。「スター・ウォーズ」は、先月新作が公開されたばかり。勇壮なトランペットのファンファーレだけでなく、大オーケストラの迫力が満喫できた。次はアンダーソンの「タイプライター」。アメリカ音楽が続く。セミ・クラシックを代表する作曲家アンダーソンの残した親しみやすい小品の一つ。舞台上にはタイプライターも登場。タイプライターの音を打楽器などが模倣した。
撮影=平田 貴章
今年が没後310年にあたるパッヘルベルは、代表作である「カノン」。普段2つに分かれるヴァイオリン・パートが3つに分けられ、旋律を順番に演奏(カノン)していく。弦楽合奏の美しさを味わうことができた。
撮影=平田 貴章
今年のみんなで歌うコーナーは、「サウンド・オブ・ミュージック」より“ドレミの歌”。青島が振り付きで聴衆をリードし、みんなで歌う。そして最後は、前半からのスペインつながりで、ビゼーの歌劇「カルメン」から、前奏曲、アラゴネーズ、ハバネラ、ジプシーの踊りが演奏された。本来、オペラであり、歌手が歌う部分は楽器で代用。ハバネラではトランペットが活躍した。
新年の始まりを祝うコンサートのアンコールはウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートと同じくヨハン・シュトラウス1世の「ラデツキー行進曲」。青島は舞台を降り、客席まで入って、手拍子を指揮した。
撮影=平田 貴章
2時間を超えるボリューム満点のプログラム。世界の名曲を並べた選曲はバラエティに富む。青島のユーモアを交えた早口の解説も情報満載。まさに青島広志のエッセンスが惜しみなく注ぎ込まれたコンサートであった。
撮影=平田 貴章
なお、今年は初めてオリジナル限定グッズを販売。
2015年の大阪公演ライブ録音のCDや、
青島が描いた作曲家のイラストの缶バッチのガチャガチャや、オリジナルマグカップ、
今治のハンドタオルなどが販売され、こちらを買い求める客で大盛況。
青島は開演前、休憩中、終了後も物販横スペースで笑顔でサインに応じ、来場者との交流を楽しんでいた。
撮影=平田貴章
次は昨年、初上陸で完売した大阪、名古屋、そして初の広島、札幌へと続く!
文=山田治生 撮影=平田貴章
日時:2016年2月11日(木)【大阪】
2016年2月13日(土)【愛知】
2016年3月16日(水)【北海道】
2016年3月23日(水)【広島】
会場:フェスティバルホール 【大阪】
愛知県芸術劇場大ホール【愛知】
ニトリ文化ホール(さっぽろ芸術文化の館)【北海道】
広島国際会議場 フェニックスホール【広島】
出演者:青島広志(指揮/お話)
シアター オーケストラ トーキョー(管弦楽)
公式HP: http://www.sekai-marugoto.com/