Myuk、4年ぶりの撮り下ろし デビュー5周年アニバーサリーツアーを前にその本音に迫る

2026.2.5
インタビュー
音楽

Myuk

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それはシンガーソングライターとして活動していた一人の少女が、様々な人との出会いを経て、自分だけの歌を見つけてゆく物語。今年でデビュー5周年を迎えるMyukのセカンドアルバム『Celeste』は、バイラルヒット中の「雪唄-yukiuta」を筆頭に、「マリー」(アニメ『ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される』EDテーマ)、「グライド」(アニメ『終末ツーリング』EDテーマ)など既発ヒットに新曲を加えた全9曲。原点である民謡から最新型J-POPまで、様々なスタイルをミックスしたサウンドと、1曲が一つの物語として成立する歌詞を、語り部のように歌う圧倒的歌唱力は、ここで一つの完成形を迎えたと言っていいだろう。SPICEでは、およそ4年振りに撮り下ろし写真を含むMyukへのインタビュー取材を実施。第一章の集大成にして新たなストーリーの始まりを告げるアルバムについて、5年間の成長について、3月に控えるアニバーサリーツアーについて、Myukの本音を訊いてみた。

――2021年にMyukとしてデビューして、ちょうど5年。振り返って、どんな5年間ですか。

あっという間だったとは思わなくて、着実に、ちゃんと5年過ごしてきたなという実感はすごくありますね。濃密だったなと思いますし、変化もありながら、一つ一つすごく丁寧にやってきたなと思います。

――デビュー曲「魔法」(アニメ「約束のネバーランド」Season2 EDテーマ)や、「シオン」(アニメ「NIGHT HEAD 2041」EDテーマ)など、最初から大きな注目を集めました。

リリースもたくさんさせていただいて、タイアップもつけていただいて。すごく嬉しかったんですけど、でもその時は気持ちの面で、追いつけていない感じはしていました。Myukというものと自分とがかけ離れているような感じで、そこに追いつこうという焦りみたいなものは、すごくあった気がします。

――そうだったんですね。

ファーストアルバム『Arcana』(2024年)を出したタイミングで、Myukとは何か?ということを考えて、楽曲と自分自身が少しずつ結びついてきたんです。それで言うと、今回のセカンドアルバムは、ファーストアルバムよりもさらに楽曲と私自身の繋がりが強くなったというか、私が寄っていったのか、楽曲が私自身になってきたのかはわからないですけど、Myukという音楽と私自身が、すごく一体化してきた実感があります。

――そもそもMyukというのは、個人でもあり、チームでもあるのかな?と思っていて。その中で立ち位置を探す、みたいな時期だったんですかね。

そうですね。以前にスタッフさんが、素敵な例えをしてくださったことがあって。Myukというのは劇団で、アーティスト、クリエイター、いろんな方が物語を紡いで、私はそれを演じる演者で、一緒にステージを作っていくという意味で、お客さんも参加者で。そういう例えがすごくしっくりきたんです。そういう認識でいると、温かい気持ちで、みんなで一緒にやっていくものなんだと思えるので、いいなと思っています。

――秀逸な例えですね。そういう意識を持つと、一人で責任を背負い込むこともなくなるだろうし。

元々私は「一人でやらなきゃ」というタイプで、あんまり人に頼ることをしてこなかったんです。音楽を始めた時から、誰かと一緒にやることは自分にはできないなと思って、バンドというものを選ばなかったのもそうですし。誘われたこともあったんですけど、自分の表現したいものを人とうまく共有して、一緒に作る自信がなかったので、一人でシンガーソングライターがいいなと思っていたんですけど、でも本当に最近になって、やっぱり自分が思っていることは言わないと伝わらない、ということをすごく実感して、スタッフさんに「こういうものしたいんです」と伝えるようになったら、向こうも伝えてくれるようになったので。

――ああー。なるほど。

今回のセカンドアルバムも、いろんなアーティストさんに楽曲を作っていただいているんですけど、私がテーマを提案させてもらったり、「こういうことをしたい」と言ったりして、そこに寄り添ってもらった楽曲が、ファーストアルバムよりも多いですね。

――それは大きな進歩ですね。

今は、人に伝えること、人に頼ることは、すごく大事なことだなと思っています。創作は、やっぱり一人では何もできないので。

Myuk

――2年前のファーストアルバム『Arcana』を今聴くと、どんなことを思いますか。

その楽曲の世界観に寄り添って、自分の声でどういうことができるんだろう?という点で、まだまだ未知数なところがあったので、手探りで歌っていたような気がします。『Arcana』というタイトルは、方舟という意味で、声は物語を運ぶ方舟というか、入れ物みたいなもので、さっきの劇団の例えで言うと、私は物語を語る演者でもあり、語り部という役割なので。その世界観に寄り添って、自分の声で物語を語ることを大事にして、歌というものにすごく向き合えたことが、本当に大きかったですね。ファーストアルバムは「声の自己紹介」と言っていたんですけど、私の声の引き出しをすごく増やしてもらったアルバムだと思います。そのおかげで、じゃあ次はどういうことができるだろう?というものを考えて、できたのがこのセカンドアルバなので。今回は、引き出してもらったものをどう使うか、ということだったと思います。

――その例えも、すごくわかりやすいです。ちょっと話が横道にそれますけど、話している声と歌う時の声が、だいぶ違いますね。こんなに清楚で、静かにしゃべる人が、なんであんなにすごい声が出せるんだろう?とか思うんですけど。

自分では、あんまりわかんないです(照笑)。

――歌う時は、まったく意識が違いますか。

全然違いますね。最近気づいたのは、日常生活で怒ることが少ないので、そういうエネルギーみたいなものが曲作りとか歌に向かって、感情のデトックスみたいな意味で音楽をやってきたのかな?とか思うんです。だから情熱的な曲が好きですし、そこで発散する、という言い方はおかしいかもしれないですけど、そうやって自分を保ってきたみたいなところは、あるかもしれないです。

――なるほど。自己分析すると、そんな感じなんですね。

友達とかにも、結構言われます。普段は結構ぼーってしている感じなので、「ステージのみゆと普段のみゆは、別人だと思ってる」って(笑)。

――歌があって良かった。もしも歌っていなかったら、何をやっていたんだろう。

何でしょうね? 動物が好きなので、動物園で働くとか。あんまり考えたことがないので、わかんないです。でも絵を描いたり、物語を書いたり、ちっちゃい時からしていたので、そういうものかもしれない。あと、アニメーターさんに憧れた時もありました。

――じゃあ、アニメの曲を歌ったりとか、ぴったりじゃないですか。

そうなんです。ありがたい限りです。

――話を元に戻して、この2年間に出した曲に新曲を加えて、9曲を収録したのがセカンドアルバム『Celeste』。全体として、どんなイメージのアルバムになったと思いますか。

1曲1曲、本当に色が違っていて、情熱的な曲たちが揃ったなと思っています。かっこよくて情熱的、という感じですね。

――「セレステ」は、ラテン語、スペイン語、ポルトガル語で「天空」「青空」「空色」を意味する言葉、だそうですね。

空色、空(くう)、空っぽとか。ゼロであり、無限であり、空みたいな、そんな感じです。

――そこに、どんなイメージを託したんですか。

ここに収録されている全曲の中には、どこか空っぽな心を持った主人公がいて、主人公がどういう心境の変化があって前向きに生きていくのか?みたいな、そういうことが描かれている曲が多いなと思うんです。私自身も、何者にもなれないなみたいな、無力さを感じることがあるんですけど、空っぽだからこそ欲が湧いたり、望みが生まれたり、願いが生まれたりすると思うので。空っぽは始まりでもあり、果てしないものでもあるという、両極端な意味があって、すごく惹かれる言葉だったんです。

――何もないけど、何でもある。

自分は何もないな、ということ知る強さはすごく大きいなと思っていて。それは謙虚さに繋がるかもしれないし、誰かに寄り添えることかもしれないし、「こういうものを伝えたい」ということの始まりかもしれない。空っぽであることを知れたからこそ、何かに向かいたい気持ちが芽生えると思うので、空っぽもそう悪くない、と思うんです。

Myuk

――素敵なメッセージだと思います。

と思っていたら、楽曲提供をたくさんしていただいてるGuianoさんが、同じ時期にアルバムをリリースされるんですけど、『the sky』というタイトルなんです。半年前ぐらいに一緒にご飯に行った時に、「空っていいよね」「私もそういう意味のアルバムを出すんだけど」みたいな話をして、それは結構びっくりしました。

――響き合うところがあるんでしょうね。同じ時代に、同じような場所にいると。Guianoさんをはじめ、この9曲も、それぞれのクリエイターとお話しながら作っていったんですか。

そうですね。例えば「Blacksheep」は「はぐれ者」をテーマにして、私が洋楽を聴いて育ってきたこともあって、ちょっとEDMっぽい、2010年代前半ぐらいのアメリカのポップソングの世界観を表現したいみたいとか、そういうところまで話しました。

――曲のあらすじというか、テーマをまず提出して。

そんなに細かく決めたものばかりではなくて、託したものも多いんですけど、なぜか私の中で、このセカンドアルバムの楽曲たちは、私の内から出た感じがすごくあるんです。ファーストアルバムは、楽曲の世界観に私が寄り添うような感じだったんですけど、セカンドアルバムは、自分が書いた言葉ではないけれども、自分の内から出ている楽曲たちだなということを、すごく感じています。何がどう違うのか、うまく言語化できないんですけど。

――例えば、センチミリメンタルの温詞さんが書いた「じゅもんをとなえる」。生と死を取り扱った、ある意味とても重い曲ですよね。逆に言うと温詞さんも、この人ならこの歌詞を歌えるって、託したんだろうと思います。すごくいい歌ですね。

私も大好きです。楽曲をいただいてから、レコーディングまでに半年ぐらい期間があったんですけど、その間ずっと「この曲は私が歌っていいものだろうか」と考えていました。私が知っている「苦しい」みたいな感情よりも、さらに深く潜り込んだ曲だなと思ったので、どういうふうに表現したらいいんだろう?と考えていたんですけど、レコーディングの少し前ぐらいに、一人旅をしたんです。そこでの出来事が、この曲を歌えたきっかけになったというか、そういう出会いがあったんです。

Myuk

――差支えなければ、その話、聞きたいです。

宮城県の東松島市に行ったんですけど、それは「雪唄-yukiuta」を作るためで、「雪唄-yukiuta」の中に民謡っぽい歌い方があるので、民謡の父と言われている人の銅像を見に行ったんです。後藤桃水という方で、その方の歌に対する考え方がすごい好きで、そこに行ったら「雪唄-yukiuta」を完成させられるヒントがあるかな?と思ったので。そしたら地元の方が、桃水さんに興味を持って来てくれるなんて嬉しい、みたいな感じで、車を出してくださったり、案内してくださったりして、すごくあったかく接してくれたんですよ。初対面なのに。それにもう感動しちゃって。

――嬉しいですよね。旅先でそんなことに出会うと。

いろんな方に会ってお話もしたんですけど、みなさん震災の被害を受けられていて、ご家族を亡くされた方も多いんです。それなのにとても明るく接してくださってーーなんでここまでしてくれるんだろう?と思った時に、ハッと気づいたんです。あれから14,5年経った今でも、今日こうやってみんなで過ごしているのは、もしかしたら最後かもしれないと思っているというかーーそれで、見ず知らずの人にもこんなに温かくしてくださるのかな?って、言葉で何か言われたわけじゃないんですけど、人の雰囲気とかで感じたんですね。すごく大変な時があって、でも前を向いてここまで来られたんだろうな、ということをすごく感じたんです。私は熊本の小学生だったので、直接の震災の記憶はないんですけど、人の温もりからそういうものを感じ取れた、その数日後にこの「じゅもんをとなえる」のレコーディングだったので。

――それは、気持ちが入りますね。

ご縁があったのかな、と感じています。その出会いがなかったら、歌詞を声でなぞるだけというか、うわべだけで歌ってしまっていたかもしれない、と思うので。この曲はすごく、歌えて良かったかなと思います。

――この曲から、特別に深い思いが伝わってくる理由が、わかったような気がします。

『Arcana』でも、物語を紡ぐことがMyukの表現ですと言って、おとぎ話、物語、ファンタジーをモチーフにしてきたんですけど、それが自分の物語ではなかったとしても、歌だったら表現できるなと思ったので。民謡も、元々は祈りの歌でもあるので、物語や祈りを語り継ぐことが歌の本質なんだろうなって、「歌うって何だろう?」と考えた時に、結局そういうところに行きついたところはありした。

――「雪唄-yukiuta」がこれだけたくさんの人に届いた理由も、そこにあるかもしれない。

「雪唄-yukiuta」は、最初はインスタにアップして、ありがたいことに反応をいただいて、リリースに繋がったという、特殊な作り方をした曲ではあるんですけど。シングルとして、私が作詞作曲どっちも携わったのはMyukとして初めてで、それが目標でもあったので、それを叶えてもらって嬉しいという気持ちがあります。この曲ができたのも、「Arcana」という曲での「民謡っぽい歌い方をしてみたらどうだろう?」というスタッフさんの提案から始まって、「花はかぐや」もそういう歌い方にして、アップテンポなものと民謡って相性がいいんだなとか、そういう発見がMyukの活動の中であったことで、Myukはどういうアーティストなのか?をわかりやすく提示できる楽曲が欲しいと思った時に、やっぱり私の原点は民謡だと気づかされたからなんですね。

Myuk - 雪唄 - yukiuta (Music Video)

――はい。なるほど。

「熊川みゆ」として活動していた時は、あまり民謡というものを出さずに、洋楽の要素が強かったんですけど、あらためて民謡の存在価値というか、受け継がれてきたもののかっこよさを今は感じているので。民謡の歌い方をしながら、日本らしい古語とかを使って、それが民謡を知らない世代の人や、海外の人にも届いたらいいなという気持ちです。私は祖父に勧められて民謡を始めたんですけど、その世代がいなくなったら、民謡を歌える人がどんどん減ってしまって、それはすごく寂しいことだなと思うので、民謡を知ってもらうきっかけに、私がなれたらいいなという気持ちもあります。

――それをポピュラーミュージックとして届けるということですね。

はい。古いものと新しいものを融合させるのは、すごく素敵なことだなと思うので。それはアレンジャーさんだったり、「雪唄-yukiuta」を一緒に作ってくださった竹縄航太さんも、スタッフさんも、タイトルを考えてくれたファンの方も、みんなのおかげだと思っています。

――みんなが求めていたということだと思います。民謡的なもの、日本人の心の原点みたいなものを、歌の中に。

たどっていったら、そういう血が流れているんですよね。

――例えば、近年のボカロ系の曲を作る人って、和風なメロディをよく使う印象があるんですね。どこか先祖返りしたような。

私もそれは、すごく思っています。ボカロの和風曲みたいなものから、たぶん何かしらインスピレーションを受けていると思います。「雪唄-yukiuta」は。

――「雪唄-yukiuta」は、1月にリリースされた、knoakさんのリミックスバージョンもかっこいいので、そっちもチェックしてほしいです。そしてライブがありますね。「Myuk Anniversary Concert Tour 2026」として、3月21日に名古屋、22日に大阪、29日に東京で。どんなライブにしたいですか。

5年続けて来られたのは本当にありがたいことなので、支えてくださったファンの方と、新たに出会ってくださった方に、最高の音楽体験を届けたいという感謝の気持ちがあります。私の今の思いが伝わればいいなということと、ライブに来てもらって、また家に帰って日常が続く時に、この時間が日常の糧になるような時間になったらいいなと思っています。

――季節はちょうど、桜の花が開くころ。楽しみです。

いつもコンセプチュアルな感じで物語を作っていただいて、それに沿って演奏したり、セリフを入れたりしているので、このアニバーサリーコンサートツアーも、物語の中で音楽を楽しんでもらう、没入型の空間になると思います。そして、ファンの方がいつも素敵な空間を作ってくださるので、それをどんどん広げて、もっと大きい空間でライブができたら、とても素敵な景色になると思うので、この先はそれを見たいなと思っています。


取材・文=宮本英夫 撮影=神藤剛

Myuk

リリース情報

2ndアルバム『Celeste』
2026年2月4日(水)CD&デジタルリリース

【収録曲(通常盤 / 完全盤 / 配信 共通)】
M1. 雪唄 – yukiuta (Prod by Myuk)新曲
M2. まるまる (Prod by 大橋ちっぽけ)新曲
M3. Sakura (Prod by 山口寛雄)
M4. BlackSheep (Prod by Guiano)
M5. マリー (Prod by Guiano)
M6. じゅもんを唱える (Prod by センチミリメンタル)新曲
M7. 花はかぐや (Prod by ナツノセ)
M8. グライド (Prod by knoak)
M9. Celeste (Prod by Suiet)新曲
 
▼通常盤
¥3,500 (税込)
CD only
デジパック初回仕様
 
▼完全生産限定盤
¥7,000 (税込)
CD+BD
三方背デジパック仕様
BDにて 「Myuk Live Tour 2025 Message from “Marie”」
2025.6.7(Sat)@東京 Shibuya WWW X ライブ映像 を収録

特設サイト:https://www.myuk-celeste.com/
トレイラー映像:https://youtu.be/m_vz97c8X0s

ライブ情報

Myuk Anniversary Concert Tour 2026
3月21日(土)名古屋 DIAMOND HALL
OPEN 17:30|START 18:00
全席指定 ¥5,500-(税込/ドリンク代別)
 
3月22日(日)大阪 なんばHatch
OPEN 17:00|START 17:30
1F指定席 ¥5,500-(税込/ドリンク代別)
2F着席指定席 ¥5,500-(税込/ドリンク代別)
 
3月29日(日)東京 Zepp DiverCity
OPEN 16:45|START 17:30
1F指定席 ¥5,500-(税込/ドリンク代別)
2F着席指定席 ¥5,500-(税込/ドリンク代別)

Myuk Anniversary Concert Tour 2026~Extra Edition~   
5月18日(月) 福岡 INSA
OPEN 18:30|START 19:00 
 
5月23日(土) 北海道 札幌近松
OPEN 18:00|START 18:30 
 
【席種・料金】
全自由 ¥5,500-(税込/D代別)
 
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