レティクル東京座・赤星ユウインタビュー 次回公演&新劇団員加入への思いを語る

インタビュー
2016.1.21
レティクル東京座『昴のテルミニロード』チラシ画像 提供:レティクル東京座

レティクル東京座『昴のテルミニロード』チラシ画像 提供:レティクル東京座


エンタメ性の高いストーリ内容と、個性的なファンサービスやグッズ販売で、話題沸騰中の劇団「レティクル東京座」。3月から始まる次回公演『昴のテルミニロード』について、劇団主宰の赤星ユウに語ってもらった。また、昨年末ファンに衝撃を与えた新劇団員加入の裏側についても話を聞くことができた。

――3月から開幕する次回公演『昴のテルミニロード』、どんなお話になりそうでしょうか?

北欧神話が原案なんですが、舞台は徳隣(とくりん)という架空の年号の、日本國になっています。世界が東と西にわかれて戦争をしている世界のお話で、「ヤシロ=キセキ」と「ジン=オリト」という青年二人をメインにして話が進みます。二人とも東側の「日本國」で軍の學校に通っている設定です。大戦が続く中、西側の生物兵器「超狂犬特殊ウイルス」へ対抗するために東側が開発したワクチンによって、ヤシロが「生体兵器・ヴァンパイヤ」となってしまいます。それがきっかけで、同じ國で友情をはぐくんでいたはずのヤシロとジンが離れ離れになり…っていうところまでがアバン(プロローグ)です(笑)
北欧神話からは、3つの勢力にわかれているという構造を取り入れています。北欧神話って、巨人族VS神様、という話なんですよね。その神様の中でも、アース神族とヴァン神族っていうのに分かれています。最初、その二つの神族はお互いいがみ合っていたんですが、巨人族っていう新しい敵が出てきたことによって、結束を固めて巨人と戦っていく。というのが元のお話なのですが、こういった三勢力の構造を取り入れたりだとか、25人のキャストをそれぞれ神様や巨人にあてはめたりなどして、北欧神話を参考にしつつ「吸血鬼モノ」という新たな要素を絡め、レティクル東京座らしく大胆にアレンジしています。

――北欧神話を参考にしながら、舞台は「日本國」ということですが、舞台美術や衣裳のテイストはどのようなものになるのでしょうか?

どっちかっていうとSFみたいな感じです。和風の人もいるし、軍隊みたいな感じの人もいます。ただ、ゴシックではないですね。吸血鬼モノっていうとゴシック調だとよく勘違いされてしまうんですが…。前回公演『幕末緞帳イコノクラッシュ!』が結構ド派手で楽しげな感じだったんですけれど、今回は結構シリアスな感じです。いつも通りのレティクルの派手さみたいなものはあるんですけれど、方向性が結構違くなりますね。

――前回公演とはまた違った側面がみられるということですね。

全然、ガラッと変わりますね。フライヤーから今までとは違いますからね(笑) レティクル東京座のチラシっていままで原色の色をめっちゃバリバリ使って、パッと見の派手さでお客さんを引こうという感じだったんですけれど、今回は珍しく黒と白がテーマカラーで。結構フライヤーもシックな感じの仕上がりにしたんですよね。

全国の舞台公演チラシが見られるアプリ「チラシステージ」にて、『昴のテルミニロード』が人気順1位となった際の様子。

全国の舞台公演チラシが見られるアプリ「チラシステージ」にて、『昴のテルミニロード』が人気順1位となった際の様子。

――舞台公演のチラシを一覧できるアプリ「チラシステージ」では『昴のテルミニロード』のチラシが人気順1位を獲得しました。個性的なチラシができるまでの経緯を聞かせてください。

前回公演をやってる時から「こんなチラシを作りたい」みたいなイメージはありました。私が図を書いて、それを衣裳さんと写真撮影してくださる方とメイクさんとデザイナーさんとキャストに共通で伝えて、撮影に臨むみたいな感じでした。

――結構攻めた構図のチラシですが、イメージを伝えられたときのキャストさんの反応などはどうでしたか?

「ホモだね」と言われました(笑) 自分的には「ホモじゃないから!」って言っているんですけれど(笑) 

レティクル東京座主宰・赤星ユウ

レティクル東京座主宰・赤星ユウ

――2015年の年末に、レティクル東京座に第3期メンバー(雨宮慎太郎、シミズアスナ、中三川雄介)が加入しました。このタイミングでの新劇団員加入の意図やきっかけは?

立てていた予定では、本当は第3期メンバーは今のタイミングよりももっと後に入れようと思っていました。でも、ありがたいことに自分が立てた予定が先倒しで実現していったために、このタイミングでの加入となりました。

そもそも劇団を強くしようっていうのが新劇団員加入の主眼にはあって。ちょっと昔の話になりますが、第2期メンバーをいれたのは2014年。その頃は演劇界では、劇団制度は時代の流れに逆らっているという意識があったんですよね。当時は、公演のたびにフリーの俳優を集めて、ユニット制で演劇をやるというのが主流でした。ただ、ユニット制だと今回出演したキャストに次も出演してもらえるという確約がとれなかったりして、結構難しいんです。自分は「ユニット制も崩壊しているんだから、劇団制で強くなっていったやつしか勝てないだろう」と感じていました。なので、第3期メンバー加入は以前から構想はしていたことなんです。

ただ、予定ではこの『昴のテルミニロード』までは1期2期メンバーだけでやっていこうと思っていたんです。ですが、このあとのレティクル東京座の本公演がおそらく2017年の2月とかになってしまって、ちょっと時間が空くんですよ。なので、本公演の代わりに今年はどこかでファンイベントなどをやろうかと思っています。そういうこともあって、今3期メンバーをいれてファンイベントも新劇団員が参加した形で行い、2017年に繋げた方がいいだろうということになりました。

――2017年の公演は王子小劇場で行うのですか?

いえ、王子はもう卒業します。もう少し大きい劇場に行きます。きっと近々発表出来ると思うので、お楽しみに!

レティクル東京座劇団員。左より吉澤清貴、古俣晨、星秀美、青海アキ、シミズアスナ、中三川雄介、山本沙和、雨宮慎太郎 提供:レティクル東京座

レティクル東京座劇団員。左より吉澤清貴、古俣晨、星秀美、青海アキ、シミズアスナ、中三川雄介、山本沙和、雨宮慎太郎 提供:レティクル東京座

――新劇団員の3名様のことを教えてください。

3人ともvol.6の『學園使徒ノクト』がレティクル初参加で、それぞれ3人ともオーディションで来てくれました。

まず、雨宮慎太郎くん。「ニキ」ってあだ名で呼ばれています。すごくパワフルで、すごく明るい人です。正直、レティクルの1期2期メンバーって、暗いやつばかりなんですけれど(笑) 暗いっていうか…そんなに表立って「いえーい!」ってする感じではなくて、おっとりタイプなんですよね。なので、その中ですごく異質な感じの「いえーいこんにちはー!」みたいな感じの元気な方です。彼をいれることで、レティクル東京座も新しい流れができればなと。

シミズアスナさんは3期メンバーでは唯一女の子なんですけれど、本当にすごい。多分、彼女を舞台上で見て、嫌いになるひとは絶対いないし、むしろ好きになる。加えて、本当に演劇が好きで、とにかく舞台のために頑張れる子でもあります。それが重圧とかで頑張るんじゃなくて、好きだからのびのびと頑張るみたいな。まだ若くて、この間成人になったばかりなのに演技力もすごいし、「この後数年経ったらどうなっちゃうの!?ここで捕まえておかないとすぐ誰かにヒョイと引き抜かれてしまう!」って思っていました。それで、アスナさんもレティクルが好きだと言ってくれたので、晴れて劇団員に加入となりました。いろんなところに客演で出演していて、その度にファンを掴んでくる。本当にすごい子だなあと思いますね。これからレティクルで頑張ってほしいなって思いますね。

中三川雄介くんは、レティクルのファンの方からは、3期メンバーの中で一番加入が意外だったと言われています。早稲田大学の「くるめるシアター」っていう劇団の子です。一応W所属となるんですけれど、くるめるシアターはあと1年で引退するので、その後はこっちに本所属となります。すごくサブカルって感じの子で(笑) 丸眼鏡とタバコがすごく似合う、今までのレティクルにはいないタイプでした。加えて、演技にもすごく真摯に取り組んでいるし、にじみ出る素朴さみたいなのがすごくいいなって思っていました。どっちかというとレティクルって、居るだけで華やかっていう感じの人がすごく多いんですが、その中でも中三川くんは純朴というか、そういう雰囲気を出すのがすごくうまい子です。3期生はどの方もすごく優秀で、どの方も主演をはれる方だなと思います。今は1期2期メンバーで主演を回しているんですけれど、いずれは3期メンバーが主演という風にもなっていくんじゃないかなと思います。

――今回、佐藤佐吉ユース演劇祭期間限定で作られるイベントスペース「池亀家」(※1)でのアフターイベントが6ステージ予定されています。今回のアフターイベントで注目してほしいポイントは?

人数が増えたことによって女子と男子でわかれた企画をやるっていうことが初めてできました。レティクルは男女混合でアイドル売りをしている珍しい形態なんですが、男性のファンも女性のファンもついてくださっています。なのでいままでのイベントでは、男のファンの方も女のファンの方も、みんな楽しめる企画を行っていました。ですが、今回は初めて女子組・男子組にわかれて、いわゆる限定的なイベントというか…女子組のイベント時は男性のお客さんに向けた企画にして、逆に男子組のイベントでは女性向けの企画にしてみました。もちろん、性別関係なく来てくださっていいんですけれど、企画的には初めてそういう感じの企画をしたなあというのはあります。やっぱり、男子しかいない華やかさ、女子しかいない華やかさがあると思うので、それはすごくいいなと。いずれ、レティクル★ライヴの中で、男女に完全に分かれて行うパフォーマンスもやってみたいですね。ちなみに、アフターイベントに関しては、私は企画の方向性を伝えて最終判断をしただけで、内容はその組の人に任せているんですよ。男子組の企画は「だれと」「だれが」「○○をする」というくじを引いて、くじで指定された内容を俳優が実行する、というものなのですけれど、その「○○をする」の候補に腕相撲とか指相撲とかが入っていて。これは私では思いつかなかったですね。いわゆる壁ドンやキスだけではなく、男子目線での内容も盛り込まれていて、なかなか面白いなと思いました。

――レティクル東京座の特徴でもある、「おひとり様公演チケット」。(※2) 前回公演の30万円から一気に100万円に値段が上がりました。この値上げの意図はなんなのでしょうか?

いろいろな理由があったんですが…これから劇団がよりキャパの大きい会場で公演をするとなった時にも、おひとり様チケットはやろうと思っているんです。で、そうなった時にはおひとり様チケットは確実に30万円では収まらないので、ファンの方にその額に慣れてもらうというか、だいたいこのぐらいの額になりますよというのを提示しておこうかなというのがありました。あと、おひとり様チケットに特典をつけたいという思いがあって。前回公演の30万円のおひとり様チケットでは特典がつけられなかったのですが、100万円だったら特典をだす余裕が出ますので。特典もつけたいしプレミア感もあるし、キリがいいということで100万円になりました。100万円チケットは公募のパトロン集めだなって自分では思っています。パトロンって、作られるシステムがないじゃないですか普通は。ただ、これは完全に公募制のパトロンですからね。公募パトロン制としての100万円チケットを押していきたいです。

――もし、実際に100万円チケットが買われたとしたららどうでしょうか?

みんなめちゃくちゃ変なテンションになるでしょうね(笑) でも実は、今後も100万円チケットは続けていくと公言しているので、ファンの方がお金を貯めだしたりしてくれているんですよ。いつか10年後でもいいから、という感じで。そういうのがあると、劇団続けないとなって思います。劇団員をいれて劇団として継続していくというのを言っているので、ファンの方は結構長い目でみてくれているようです。ありがたいことに、劇団としての軌跡をみていきたいっていう方がすごく多いので頑張りたいなと思います。

――最後に、レティクル東京座に関心を持たれた方にメッセージを。

レティクル東京座、約2週間ロングラン公演をやらせていただいていまして、歌ったり踊ったりもするエンターテインメント芝居です。北欧神話原案なんですが、神話を知っている人も知らない人も楽しめて、1回見ても複数回見ても楽しいと思っていただけるお芝居をやっていますので、ぜひぜひご来場ください。また、物販のレティクル★くじにもご注目ください。1回500円でA~E賞のどれかが必ず当たる楽しいくじです。レティクル東京座には、レティクマっていうマスコットキャラクタァがいるんですが、これが結構人気で。劇団特製の缶バッチなどを販売しているんですが、レティクマグッズの人気が一番高いんですよ(笑) このレティクマ、今回遂にアクリルキーホルダー化されまして。レティクル★くじの、C賞がレティクマアクキーになっています。前回公演のメインキャラクタァ(坂本リョウマ、高杉シンサク、桂コゴロウ)のそれぞれの服を着たレティクマ3種&今作のヤシロ=キセキとジン=オリトの恰好をしたレティクマの、全5種類です。C賞があたったら5種類の中から、どれか好きなものを選べるようになってます。後々サンプル画像とかがホームページに上がると思うので、ぜひぜひ見ていただければなと思います!

 
レティクマ 昴のテルミニロードバージョン 提供:レティクル東京座

レティクマ 昴のテルミニロードバージョン 提供:レティクル東京座

 
変わらないエンタメ性はそのままに、あえてシリアスを意識した作品となる今作。新劇団員の加入を経て、一層バリエーション豊かに変貌した「レティクルイズム」を感じられる公演となるはずだ。「レティクル東京座、気にはなっていたんだよな…」というあなたにこそ、今作はおすすめしたい。ぜひ、思い切って、足を運んでみてはいかがだろうか。
 
※1:「池亀家」とは、佐藤佐吉ユース演劇祭期間中、劇場裏口エレベーター前に建てられた、王子小劇場職員・ぬいぐるみハンター主宰の池亀三太さんの家。レティクル東京座では回によって特殊なアフターイベントを開催する他、物販の場として池亀家を開放。
※2:「おひとり様公演チケット」とは、ある特定の回の公演チケットを、『おひとり様のみ』100万円で販売するレティクル東京座独自のチケット制度。『昴のテルミニロード』では3/14(月)14:00~の回を販売。
 
公演情報
佐藤佐吉ユース演劇祭参加作品 
レティクル東京座 vol.8『昴のテルミニロード』
■日時:3/11(金)~3/21(月)
会場:王子小劇場
脚本/演出 赤星ユウ
原案:北欧神話
出演:古俣晨、吉澤清貴、星秀美、シミズアスナ、青海アキ、中三川雄介、雨宮慎太朗(以上、レティクル東京座)
末安陸、榊原美鳳、篠原正明(ナカゴー)、小林進吾(護送撃団方式)、末永全、やないさき(白米少女)、コイズミショウタ(コジョ)、庄條龍馬、金渕琴音、山田燎平、安部昂希、藤波想平、仲村弥生、松沢実織(演劇集団ところで/劇団森)、竹澤亜矢子、大友沙季(劇団アニマル王子)、星亜沙美、横畑洋輝  
<あらすじ>
徳隣(とくりん)二十八年、
東に位置する大國アミリシアと西に位置するシュライヤ共和國の永年の確執の爆発がきっかけとなり、
世界は真っ二つに別れ、大戦の火蓋が切られた。
日本國の軍事高等専門スクールに通う二人の青年、
ヤシロ=キセキとジン=オリトは、
先のみえない不安を抱きながらもお互い励ましあいながら、青春時代を謳歌した。
やがてスクール卒業の実地訓練として
戦地・蔵西(ツァンシー)へ派遣されることになったヤシロだったが、
従軍聖職者の家系であったジンは圧力により兵役を公的に免除され、
二人はしばしの別れを味わう。
東軍同盟に属する日本國は当初戦力的にかなり有利とされていたが、
西軍は生物兵器『超狂犬特殊ウイルス』を開発、戦場に違法に散布。
それにより数多の人々が不治の病・超狂犬病を発症し、その生命を散らした。
圧倒的不利となった戦況でヤシロもまた、超狂犬病にその身体を蝕まれていた。
そんな時、一人の天才従軍科学者により『超狂犬特異ワクチン』が開発され兵士たちに投与される。
しかしそのワクチンは生命を救う代償に、
病の性質を残したまま兵士たちを異形の化け物へと変質させたのであった!
―――その名を、伝承より…“ヴァンパイヤ”と謂ふ。
ヴァンパイヤとなったヤシロや兵士たちは
圧倒的パワーにより西軍全てを虐殺し東軍を逆転勝利に導いたがしかし、
ジンのように國に残り“病に感染していない人々”にとって異形の化け物ヴァンパイヤは、
その存在を到底受け入れられるものではなかった。
二人の青年の運命は新世界の下で交叉する!
血で血を洗う「お前を絶対に許さない」復讐トラジェディ!

レティクル東京座
帝京大学ヴィクセンズシアターを引退後、2012年に赤星ユウが立ち上げた劇団。
主に東京都内で活動中。ハイスピードな台詞廻しと独特のテンポ、そして大爆音×大閃光×華美衣装×耽美化粧によって成り立つ「毒にも薬にもなる、生き急ぐ喜劇」を根本のテーマとした歌って×踊って×叫んで×演じる唯一無二のアンリミテッド★『絶対極星』エンターテイメント! 2015年9月に王子小劇場で上演した『幕末緞帳イコノクラッシュ!』にて動員数1177名を記録。
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