KALA、世界的強豪eスポーツチーム所属とジャンルに囚われない音楽で注目を集める"GAMExMUSIC"の看板を背負う超新星の素顔とは

2026.2.17
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KALA

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KALAという人物を知っている読者は現時点においてはまだ少ないはずだが、彼が注目に値する存在であることは、去る2月4日にリリースされた1st EP『SEKAI//DIVIDE』を聴けば誰の目、いや、誰の耳にも明らかだろう。さまざまな刺激的音楽のミクスチャーとしてのユニークさはもちろんのこと、英語と日本語が混在するメッセージ性に富んだ歌詞も、まさに今という時代に求められるべきものだといえるし、彼がこの音楽を日本の仲間たちと作り上げているという現実にも興味深いものがある。しかも彼はeスポーツの世界においてはすでに実績のある人物でもあり、カナダ出身で近年まではロサンゼルス在住だったものの、今現在は東京に居を構えている。そんな彼にとって初となる東名阪ツアーも今まさに行なわれている最中で、この2月22日には東京での最終公演が控えているが、今回はそれを前にして、まだまだ謎の多いこの人物に接触を試みてみた。

――記念すべき初のEPがついにリリースされましたね。今はどんな気分ですか?

とても嬉しいけど、変な気持ちでもあるんだ。こうして長い時間をかけて作り続けてきたけれど、それが世に出る時の感覚は、これまで制作に費やしてきた時間に見合うものにはなり得ないという気持ちがどこかにある。だから嬉しさと同時に悲しみに似た感情があるんだ。もちろん悪い意味での悲しみじゃないんだけど、何かが死んでしまったような感覚でもあるし、同時に何かが生まれてきたかのような感覚でもある。真逆の気持ちが表裏一体になっているんだ。積み重ねてきたものが終わり、新しい何かが生まれる瞬間を迎えているわけだからね。だけど実際、制作の過程はとても楽しかったよ。

――このEPを作る際に、あなたが最も重要視していたことは何でしたか?

自分にとって新しい音を探求することだね。俺は北米出身だけど、今回一緒に仕事をしたプロデューサーやミュージシャンはみんな日本人だった。だから北米のサウンドと日本のサウンドが真の意味で融合したものになっている。そのこと自体がとてもエキサイティングだったし、この感覚をこの先もずっと維持していきたいと思っているよ。このEPには『SEKAI//DIVIDE』というタイトルを付けたけど、各曲の歌詞は、今、世界がどれほど分裂しているかということについて書いている。そのトピックに焦点を絞りながら、分裂、分断といったもののさまざまな側面について歌っているんだ。

KALA

――確かに今、さまざまな分断が深刻な問題になっていますよね。

世界中で起きているよね。もちろんどこかの大統領を罵倒するような直接的なことは書いていないけど(笑)さまざまな分断が起きているのは間違いない。人類がこれほど多くのネガティヴな体験をしたことは、過去にはなかったんじゃないかな。たとえば戦争というのは、それが起きている地域に住んでいなければ影響を受けない、ある意味とても限定的なものでもあった。ところが今では携帯電話の電源を入れると、50もの戦争や紛争の情報が目に飛び込んでくる。情報社会であるがゆえに、人々は歴史上かつてなかったほど多くのネガティヴな出来事や憎しみ、悪といったものに日々触れることになるんだ。この作品でもそうしたことについて強く訴えているよ。

――不思議なものでネガティヴな情報はポジティヴなものより速く拡散されていきますよね。

圧倒的に速いよね。本当に狂ってる。悪いニュースが500件あって、良いニュースが1件あったとしても、500件の悪いニュースの直後だから、その良さが伝わってこず、良いものが意味をなさなくなってしまうんだ。

――確かに。あなたは、音楽にはそうした状況を変える力があると考えていますか?

何かを変えていくための唯一の方法は、初期段階から始めることだと思うんだ。つまり俺が君と話すこと。そして次はそれを2人、3人に伝えていく。そうやって積み重ねていくしかないと思っている。だから俺は、音楽には変化を促していく力があると思っている。歴史的に見ても、音楽は長年にわたり多くの人々の心を支えてきた。俺自身ももちろん例外じゃない。実際、とても厳しい家庭環境に育ったんだけど、音楽は俺にとっての支えになってくれた。そうした経験から、世界中で起きている問題、家庭やコミュニティ内の問題に直面する人々を助ける力が、今日においても音楽にはあるはずだと信じている。状況を変える効力があるはずだと確信しているんだ。

KALA

――あなたの歌詞は英語と日本語のユニークなミクスチャーになっていますよね。英語を介さない日本のリスナーにも伝えたいことがあるからこその選択だったんでしょうか?

そうだね。なにしろ俺は幼いうちから日本の文化に影響を受けてきたんだ。3歳の頃からゲームに夢中になっていたし、日本のアニメを見て、日本の音楽を聴いて育ってきた。だからこそお金を貯めて日本に行きたいという気持ちが当時からあったし、2011年に初めてこっちに来て以来、もう15~16回くらい来ているんだ。しかも今では、この国に住んでいる。だからメッセージを英語でだけ発信するんじゃなく、できるだけ日本語でも共有したかったし、そうすることが俺にとってとても重要だったんだ。

――実際のところ、東京での日常生活は気に入っていますか?

マジで最高!(笑)本当に心から日本を愛しているんだ。

――カリフォルニアでの生活が恋しくなったりすることは?

いや、全然。正直な話、俺にとってカリフォルニアは住みにくい場所だった。経済的な理由とかじゃなく、主に文化的な意味でね。アメリカの社会的なシステムは、俺にとっては心地好いものじゃないんだ。日本では電車で移動できるし、ちゃんと健康にいい食事ができる。銭湯もあるし、医療制度も整っているし、そういうものが日本には全部揃っている。それに俺、カリフォルニア住まいではあったけれど、カナダ人なんだ。カナダと日本はよく似ていると思う。アメリカはすごく個人主義的なところがあって、すべてにおいて「俺、俺、俺!」という感じ。だからアメリカでの生活は本当にキツかったんだ。それに日本には平和がある。たとえば深夜3時にコンビニに買い物に行っても、誰かに撃たれたり刺されたりはしない(笑)。国や地域によってはそれが現実だったりするからね。とにかく俺にとって日本はとても居心地がいいんだ。

KALA

――あなたはすでにeスポーツの世界で実績を持っていますよね。そこから音楽の世界へと飛び込んだ動機はどこにあったんでしょうか?

実はeスポーツも音楽も、ほぼ同時に始めたんだ。最初のバンドを組んだのは2016年のことで、ちょうど同じ頃にeスポーツにも嵌まり始めていたんだ。だから最初から両方が同時進行してきたようなものだね。ただ、俺が所属していたeスポーツの競技リーグが、2018年にスポンサーからの資金援助を打ち切られてしまってね。たった一通のメールでそれが通達され、一夜のうちにそのリーグの全チームが職を失ってしまったんだ。それ以降、俺はeスポーツのマネージメント業務にも携わるようになったんだけど、それだけでは満足できなかったから、音楽制作にも本格的に取り組むようになったんだ。それが2019年のことだった。

――パンデミックが起きる前のことですね。せっかく音楽活動を始めたというのに身動きが取れない状況になってしまった。地下に籠って曲作りをすることはできたでしょうが。

まさにそうしていたよ。まずカナダに引っ越して、地下室にスタジオを作り、ひたすら音楽制作に没頭していたんだ。そして妻がiPhoneでその様子を撮影し、YouTubeに動画を上げたり、Twitchでライヴ配信をしたりするようになった。実は日本のチームが俺を見つけたのは、コロナ禍のカナダでアップしたのソーシャルメディア動画が切っ掛けだったんだ。

――面白い話ですね。今、あなたは日本のミュージシャンたちと活動を共にしているわけですが、固定的なバンドではないですよね。バンドを組もうとは思わなかったんですか?

確かに以前はバンドを組んでいたけれど、カナダでもアメリカでも、自分のやりたいことを一緒にやりたいと思えるミュージシャンとは出会えなかった。もちろん仲間はいたしメンバーもいたんだよ。だけどツアーを少しばかり廻ると「やっぱり俺、医者の道を目指すわ」とか「他のことをやりたくなった」とか言い出すんだ(笑)。結局、自分の身のまわりで音楽を本気で続けようとしていたのは俺だけだったんだ。

KALA

――今回、作曲面ではcoldrainのSugiさんも関わっていますよね

うん。Sugiはマジで最高だよ。彼のことが大好きなんだ。彼はとても親切だし、冷静沈着で聡明だ。しかも俺がやっていることをとても尊重してくれる。この活動そのものをね。俺にとってはすごく意味のあることだ。俺にとってはまだまだ難しいことも多いけど、そういう話をすると彼は「君は俺たちの国に来て音楽をやっている。これを続けていくことはすごく尊敬に値する」と言ってくれるんだ。「こんな大変なことをやっている人にこれまで出会ったことがない」とね。俺は、素晴らしい音楽を作り、素晴らしいライヴを届けるだけじゃなく、自分のことを完全には理解できない人たちの心をも掴まなければならないんだ。彼は俺がそれを目指していることを理解し、そのことをリスペクトしてくれている。俺がこれまでに積み重ねてきた努力についてもね。なにしろ俺はこのチームに出会うまでは、ギターもドラムも全部自分で演奏して、音源のプロデュースまでやらなきゃならなかった。そうやってすべてを独力でこなしてきたんだ。

――今は歌とパフォーマンスに集中できているわけで、その差は大きいですよね。

そうだね。とはいえ今でも自分であれこれやってはいるんだ。今回のEPで言うと、たとえば“CRY A LITTLE MORE”と“AEON BREAK”については、どちらも俺が最初にギター・パートを作ったんだ。だから自分でギターを弾いている曲もあるし、今でもデモ制作はすべて自力でやっていたりする。曲によってはruiがすごくシンプルな状態のデモを送ってきて、それを俺が構築していくケースもある。俺がそこにヴォーカルを載せてお送り返し、今度はそこにSugiがギターを足していく。それをruiが作り込んでいって、さらに俺が手を加えていく。このEPはそんなやりとりを繰り返しながら作ってきたんだ。

――制作過程において、言葉の壁が問題になったりはしませんか?

全然。Sugiは彼自身が思っているよりもずっと英語が上手いし、ruiは完全に流暢だし。だから俺、日本語ができなくても支障はないんだけど、日本語を習得したいという気持ちが強いんだ。毎週先生のところに通って習っているし、スマホでも勉強してる。ただ、だいぶ理解できるようにはなってきたけど、まだ喋りのほうは難しい。今年中にはちゃんと日本語で会話できるようになれるといいな、と思っているんだ。

KALA

――日本語でインタビューできる日を楽しみにしていますよ。ところであなたの音楽はさまざまなモダンなロックのミクスチャーといえそうですが、日本ではラウド・ロックという言葉が定着していて、あなたもそのシーンの中にいるといえます。あなた自身が自分の音楽にカテゴリー名を付けるとすれば、どんな言葉で呼びたいですが?

今はラウド・ロックと呼んでいるよ。現時点においてはそれが最善の選択肢だと思う。実際、本当にいろいろなものがミックスされているから、カテゴライズするのは本当に難しいんだ。ラウド・ロックという枠に限定されてしまうのは本意ではないけど、言ってみればラウド・ロックとモダン・ポップ、オルタナティヴの融合みたいな感じかな。

――本来、カテゴライズは不要ですよね。音楽同士を分断(=divide)する必要はないわけで。

まさにそのとおり!

――実際、どんなアーティストからの影響を自覚していますか?

北米で言うところのポスト・ハードコア系の音楽からの影響が大きいかな。なかでもSECRET WHISPERやSAOSINは特にそうだね。他にもっと有名なバンドもたくさんいるけど、俺にとって彼らの存在はとても大きいし、あの独特のサウンドが大好きなんだ。他にもポップ・パンクやニュー・メタル、いわゆるポップなものからも影響を受けてきた。少年期にはLINKIN PARKやBLINK-182、GREEN DAYをよく聴いていたな。もちろんラップもよく聴いてきたし、俺の音楽にはそうしたさまざまな要素が入り混じっているんだ。

――ところであなたの指には「1959」という刺青が入っていますが、その数字は何を意味しているんですか?

これは父が生まれた年なんだ。父は10年ほど前に亡くなってしまった。それ以降、家族の一員を突然失うトラウマについて、たくさん歌詞を書いてきた。この刺青はその父に捧げたものだよ。

――なるほど。あなたの、ミュージシャンとしての究極の目標は何でしょうか?

何よりも、どんどん大きなステージでプレイできるようになっていくことだね。富や名声のためだけじゃなく、より多くの人々に自分の音楽を届け、より多くの人々を鼓舞していきたい。音楽に向き合う上で、俺は常にそれを目指してきたし、歌詞においても人間の本質的な問題について書き続けてきた。そして俺は、ゼロの状態からスタートし、それから今現在に至るまでの経験を実際に生き抜いてきた。人々にインスピレーションをもたらすことができる存在になりたいし、夢を追い続けるのが可能なこと、やりたいことを実現できるか否かは自分次第だということを、みんなに伝えていきたいんだ。要するに企業のためのロボットみたいになる必要なんてないってことだ。世の中が押し付けてくる「こうあるべき」という像に縛られる必要はないんだ。より大きな会場でプレイできるということは、より多くの人々に届けられるということだし、世界に対してより大きな影響力を発揮できるということを意味する。さっきも言ったように、成長過程において音楽は俺にとって救いだったし、辛い子供時代を過ごしてきた中で、ゲームと音楽だけが救いだった。俺は今の若い世代にとっての、そんな存在になりたいんだ。

KALA

――この先、より大きなステージを目指して行くうえでも今回の東名阪ツアーは意味の大きなものになりそうですね。もう準備は整っていますか?

いや、まだだな。EPリリースの場合と同じで、期待というのは頭の中で際限なく膨らんでいくものだし、たいがい結果はそれには追い付かない。だから今は両極端な想いを抱えているよ。100%準備万端でありながら、0%の状態にあるような感覚なんだ。だから何も具体的なことは期待していないけど、とにかく俺としては、観客が5人だろうと500人だろうと5,000人だろうと、心を込めてステージに立ち、全力を尽くして最高の時間をみんなと共有することしか考えていない。すごくワクワクしているよ。ヘヴィで、エモーショナルで、ビューティフルで、しかも高揚感のあるライヴになるはずだ。

――今回のツアーは単独公演ではなく、各公演で親交の深い日本のバンドがいくつか出演することになっていますね。こうした選択はあなたにとって自然なものなんでしょうか?

とても自然だし、今回のツアーに参加してくれるバンドたちは俺にとって特別な存在ばかりなんだ。どのバンドも俺の心の中で特別な位置を占めていて、個人的にもそれぞれ違った形で俺のことを支えてくれている。だから今回のツアーをこうした形でやれることが本当に嬉しいし、すごく幸運なことだと思っている。なにしろ俺よりずっとビッグなバンドたちが手を貸してくれるんだからね(笑)。それはある意味、彼らが俺に対して「こいつはすごいことをやっている。もっと押し上げていこう」と思ってくれている証拠でもあると思う。だから参加してくれるすべてのバンドに感謝の気持ちを伝えたいね。

――それこそeスポーツの世界でのあなたを知っていて今回のツアーを観に来る人たちもいるでしょうし、逆にこの音楽の作り手であるあなたを知ることでeスポーツに興味を持つようになる人たちも出てきそうですよね。

そうなることを願っているよ。eスポーツの世界と音楽の世界には結構似ているところがあると思うんだ。本当に好きで応援したくなるチームを見つけて、その浮き沈みを追い駆けたり、ゲームで競い合う舞台に真剣に臨む姿を目の当たりにすることもできる。それはお気に入りのバンドに対してみんながすることと同じだよね。そして俺は、近い将来、この国でeスポーツの人気が爆発的に上昇することを確信しているんだ。実際、ここ数年で着実に拡大してきたのを俺自身がこの目で見てきた。日本は、変化が起きるのに時間のかかる国でもあるようだけど、5年後、10年後にこの国でeスポーツがどうなっているかを考えると、楽しみでならないよ。きっとすごいことになるはずさ。

――このインタビューは、おそらく東京公演の少し前に読者の目に届くことになります。最後に、会場に足を運ぶつもりでいる読者へのメッセージをいただけますか?

俺はここ1年半ほど、いや、かれこれもう2年近く日本で活動してきた。これまでのライヴを観に来てくれたすべての人たちに心から感謝しているし、今回の東京公演ではみんなで楽しい時間を共有できたらと思っている。なにしろ今ではここが俺のホームタウンだし、本当に東京が大好きなんだ。みんなと同じ空間でエネルギーを共有し、素晴らしい音楽とヴァイブスに満ちた最高の夜を過ごせることを楽しみにしている。俺自身、その瞬間を待ちきれないよ。

 

取材・文=増田勇一 撮影=菊池貴裕

KALA

KALA - 『DEFIANCE』(Official Music Video)

ツアー情報

KALA 1st JAPAN TOUR「SEKAI//DIVIDE」
2月11日(水) JAMMIN’
OPEN 16:45 / START 17:30
ACT:KALA / CVLTE / NOISEMAKER / Prompts
 
2月13日(金) Yogibo METAVALLEY
OPEN 17:45 / START 18:30
ACT:KALA / CVLTE / HIKAGE / SPARK!!SOUND!!SHOW!!
 
2月22日(日) Spotify O-WEST
OPEN 16:45 / START 17:30
ACT:KALA / CVLTE / DEXCORE / Good Grief
 
[TICKET]
PRICE:¥4,500 (+1drink)

リリース情報

『SEKAI//DIVIDE』
2026年2月4日(水)配信リリース
1.DEFIANCE
2.KINGSBLOOD
3.LOCK IN
4.AEON BREAK
5.GET UP
6.CRY A LITTLE MORE
 
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