3年ぶりの新作公演 劇団朱雀『OMIAKASHI』早乙女太一・早乙女友貴・浜中文一・喜矢武 豊インタビュー
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(左から)喜矢武 豊、早乙女友貴、早乙女太一、浜中文一
大衆演劇という枠を超え、幅広いジャンルを網羅した演劇で魅せてくれる劇団朱雀の3年ぶりの新作公演『OMIAKASHI』がいよいよ始動! ここでは絶賛稽古中の座組より、早乙女太一、早乙女友貴、浜中文一、喜矢武 豊が集結。2026年4月の本番に向けた思いと、劇団朱雀の魅力について語り合ってもらった。
ーー劇団朱雀、前回公演からは3年ぶりとなる新作です。この期間というのはあらかじめ計画されていたのでしょうか?
太一:みんな、公演が終わると身体がもうボロボロになってしまって灰のようになってしまい、そこから復活するのにはちょっと時間がかかるので、前回の公演終わりからコツコツと、ちょっとずつ焚き火ぐらいの感じから燃やし直していくと(笑)、どうしても3年くらいはかかってしまうのですが3年空いたからこそ、良いものが出来るのではないかなと思います。しっかりとした準備もそうですし、今回はこのタイミングだからこそ、喜矢武さん(喜矢武 豊)、文ちゃん(浜中文一)、健ちゃん(須賀健太)も一気に集結することができたわけですし。
友貴:3年ぶりの朱雀、そうですねぇ…また大変なことが始まるなって(笑)。いや、ホントに毎回ものすごく大変なので、そういった意味でもとても気が引き締まる思いがしています。心強いゲストの方もいらっしゃるので、みなさんが朱雀でどういった色になっていくのか、また、僕たちもそれを受けてどうなっていくのかが自分でもすごく楽しみです。最終的には「朱雀に出て楽しかった」って言ってもらえるようになれたらいいかなと。
ーー喜矢武さんは日替わりゲストでの参加は経験されていますが、今回はいよいよフル参加に。
喜矢武:今からすごい楽しみにしてますよ~。ゲストで出たときも、朱雀って熱量がすごいので、やっぱ楽しいんですよ! その時に「もっとしっかり参加してみたいな」とは思っていたので、今回レギュラーで出られるのはすごく嬉しい。あとは実際にどこまで耐えられるかですね、僕が。まあ、大阪中旬ぐらいまでは何とか頑張れるような気がしますけど……。その間にちょっと何となく代役は探しておきます。
太一・友貴・浜中:(笑)
(左から)喜矢武 豊、早乙女友貴、早乙女太一、浜中文一
ーー喜矢武さんは普段の活動も結構ハードなことをされている印象はあります。
喜矢武:でも、やってることは全然違いますからね。こっちのほうがいろんなことに頭を使わなきゃいけないし、覚えることもたくさんある。うちは覚えることはほとんどないんですよ(笑)。朱雀はもうめちゃめちゃ色んなことやらされるのでどちらかというと「修行」の気持ち。ひたすらその人を追い込もうとしてる気がしていますね。とりあえずできないことをやらせようとしてるんじゃないかって。
太一:やってもらいたいことはもうだいたい定まっています(笑)。
喜矢武:それもね、出る側としての朱雀の楽しみ方でもあるので、嬉しくもあり、プレッシャーでもあり、不安でもあり、というところです。
ーー浜中さんは今回が劇団朱雀初参加。舞台経験も豊富な浜中さんですが、大衆演劇の世界はまた新たな挑戦になるのでは?
浜中:いい出会いだなぁと思っています。僕は以前太一くんの舞台『-TAICHI SAOTOME 30TH ANNIVERSARY STAGE-「OTOGI」』の芝居に出させてもらいました。その後、「TOKYO INSIDE CLUB」を拝見しました。いわゆるショーというものをそのとき初めて拝見して、それがもう、とても良くて! 僕、舞台とかを観ても仕事モードになりがちなので感動するってことがなかなかないんですけど、でもやっぱりね、シンプルに良くて、感動して、もう色んな人に「とても良かったって」って言い回ったくらいでしたよ。素直に褒めまくりました。なので今回の出演が決まった時も、朱雀でのお芝居のほうはなんとなく想像ついたのですが、その素晴らしいショーに僕が入ることでクオリティダウンさせてはいけない、あの熱量を邪魔してはいけないぞっていう気持ちが一番最初に出てきて。これからの稽古ではそこをちゃんとやりたい。お客さまに僕が入ったことでよりパワーアップしたねって言ってもらえるよう頑張りたい。そういういい力添えがね、できたらなと思います。
太一:嬉しいです。いや、もう、そもそも僕がお声がけをする時点で、みなさんがちゃんとこの座組に向き合って、自分に向き合って、お客さまに向き合ってくれる人であると思えているから…。喜矢武さんは、僕らとは全然種類は違うけども本当に色々な手法で色んなことを表現しながら、とにかく目の前にいるお客さまに楽しんでもらうということずっとやってきた人ですよね。文ちゃんは文ちゃんでこれまでもいろんなジャンルの表現方法を経験しているマルチな人。劇団朱雀が普通の舞台とちょっと違うのは「作品を観に来る」というよりも、どちらかというと「そこにいる役者を見に来る」ような感覚のほうが大きいところだと思うんです。ただお芝居の役で出るだけじゃなくて、浜中文一だったら浜中文一としてもその舞台の上に立つ瞬間があるというか。だから、どういうふうにそこに臨んでいるのかという役者の背景までもがお客さまにも透けて見える。そうなるとやっぱり「そこに立てる人」を探すのは難しくて。
ーー劇団朱雀にはちゃんとそこを託せる人たちが毎回集うわけですね。
太一:僕はそう思っています。だから今回もゲストのみなさん、あと僕たち自身もそうですけども、本当に自分たちが今できることを全て出し切るようなつもりで立って、ちゃんとお客さまに楽しんでもらえたらいいですね。なのでみんなには何でもやってもらいたいです。
ーー本日は欠席ですが、須賀健太さんもすでに準劇団員という感じの関係性ができている方。
太一:健ちゃんは、もうだいぶ馴染みが出てますね。
友貴:(頷く)。それこそ朱雀は本当に色々なことをやらないといけないので、出る側もものすごく柔軟性というものが必要になってくるんですけども、今回ゲストで出てくださるお二方とも柔軟性に長けてらっしゃるので、もう何も心配することはないというか、僕も信頼していますので、ここで存分に朱雀の舞台を楽しんでもらえたらいいかなと思います。そしてそれをお客さまにも大いに楽しんでもらいたいです。
(左から)喜矢武 豊、早乙女友貴、早乙女太一、浜中文一
ーーお芝居パートは中島かずきさん書き下ろしとなる、人気の軽業一座をめぐる人情悲喜劇の『大江戸早業稼業』。こちらで演じるキャラクターについても少しお話いただけますか?
太一:いつもかずきさんに劇団朱雀のお芝居を書いてもらうときに共通している構造が、「実は何々」っていうひっくり返し。今回もそのようにひっくり返しがあるお芝居になっていて、僕の演じるキャラクターも、友貴の演じるキャラクターも、お互いに表の顔と裏の顔がある役どころ。そういった時代劇ならではの、どんでん返しみたいなものも、楽しみどころじゃないかと。
ーーどの役にも「その正体は……」というものが隠されているとのことで。
太一:あとは時代劇を知っている人、あるいは歌舞伎を知っている人だったらわかるすごく有名なよく聞く名前があったりとか、名作の内容をモジっていたりとか、なるほどと思ってもらえるところもちょこちょことありますし、もちろんそういうことを知らなくても同じように物語を楽しめるお芝居になっていると思います。
友貴:僕の演じる役は今言っていたように二面性がある役どころなので、そこをどう使い分けるか。その中でも、意外と真面目寄りの役どころだったりもするので、その中でも遊びの部分だったり、ちょっとオモシロな部分を入れて、バランス取りながらやっていけたらなと思います。
太一:明確な当て書きとまではいかないですが、かずきさんも役者のことをイメージしながらキャラクターを作ってくださったみたいですね。ただ文ちゃんに関して僕はもう最初から変な役をやってもらいたいというふうにお願いをしていたので、しっかりそういった役を書いてもらったんですけど。
ーー浜中さん・喜矢武さんも役柄もかなり濃いキャラです。
浜中:そうですね。今稽古も始まっているんですけど——
喜矢武:かなり変態に仕上がってます。
浜中:(笑)
ーーそれは内から出るものですか? それともえんしゅ…
浜中:演出ですっ!
太一:早いなぁ〜(笑)
友貴・喜矢武:(笑)
浜中:あくまでも演出ですけど、楽しいです(笑)。そこはちゃんとしっかりとやりたいと思います。
ーー喜矢武さんの役どころはエリートなイメージですね。
喜矢武:台本を読んで僕も意外だったんですけど、すごく真面目な役。これまで朱雀ではいつもふざけていた気がするというか…ふざけさせられたというかね。なので今度もそっち寄りかなと思っていたらめちゃめちゃ真面目。びっくり。仕事熱心な人だと思うので、なんでしょう…そういう立ち位置の役は今までそんなやったことないので、自分もしっかりしなきゃなっていう気持ちです。逆プレッシャーです(笑)。
(左から)喜矢武 豊、早乙女友貴、早乙女太一、浜中文一
ーー演出面での大きなテーマはありますか?
太一:今回はですね、“華やかさ”をお芝居に取り入れたくて。というのも、いつもは3部構成で、だいたい女形のショーから華やかな雰囲気で始まるんですけど、今回はお芝居からのスタート。なので、お芝居にもそういったショー的要素というか、華やかな演出を加えられたらいいなというイメージで脚本もお願いしたんです。とはいえ稽古も始まったばかりなんで、僕もまだ探り探りではありますが、一応土台は作れたと思うのでここからさらにどう遊べるかっていうところをやっていくつもり。今のところは面白くなりそうだなと思ってます。
友貴:どう打ち出すかはもう全てもうお任せ、兄が描いているものを体現するのが僕たちの仕事なのでね。いかに自分たちで突き詰めて、そういう華やかさというか、みんながちゃんと華を持って、賑やかに、お祭り騒ぎでやれたらいいのかな、と。
太一:うんうん。
喜矢武:稽古は僕もまだ探り探りやっている状態なので…結局は幕が開いたときにどれだけ遊べるか、というところになってくると思うんですが、今は僕の中の軸みたいなものを探しているところですね。全然、まだまだこれからってところです。
浜中:僕も喜矢武さんと一緒でそこまで何かをやろうみたいなことはまだ考えてなくて…この朱雀という場所で、お客さんも含めてみんなでガッと集中できる公演になれるよう、一生懸命やるだけかなっていう感じです。
ーー劇団朱雀は大衆演劇というスタイルを継承しつつ、新たな表現にも挑戦し続けている劇団です。「大衆演劇」へのこだわり、打ち出したい魅力といったところへの思いと言うと?
太一:「大衆演劇」という言葉、ジャンルはここにあるけれど、実際、「大衆演劇」は“今の大衆の演劇”ではないんですよ。大正、昭和…そのころの時代だったらたぶん、人々の一番身近な娯楽としての「大衆演劇」というものがありましたけど、そこからテレビができたり、今では、携帯で持ち運べるエンタメがあるくらいですから、僕らのこれを大衆演劇と呼ぶのはもうちょっと違うのかもしれないです。それこそ今で言ったら劇団☆新感線とかは時代劇であっても、本当に誰がどう見ても、普通にみんなが楽しめるというところでは、一番大衆演劇的な感じもします。なので、僕ら劇団朱雀は大衆演劇の大事にしたいところはもちろん残してはいきますが、そうじゃないところもたくさんやってきていて、それは型を作ったり、型を壊したり、また作ったり、と言う繰り返しでもあり…本当にエンターテインメントのいろんな要素が詰まってるのが大衆演劇だと僕は思っています。だからとにかく手を変え品を変え役者が色々なことをして、今日来てくれた人たちに楽しんでもらう。歌ったり、踊ったり、お芝居をしたり、殺陣をしたり、そのとき流行っているもの何でも取り入れて、とにかくお客さまに喜んでもらうというところが一番大事なところなんだと考えています。
ーー進化し続ける大衆に適応してこその「大衆演劇」。
太一:今だからこそ僕たちができる大衆演劇、エンターテインメントとはどういうことなのか、を追求する。それと同時にやっぱり日本の文化としての日舞であったり、様式美であったり、日本にしかないカッコよさっていうものは残し続けたいです。僕も若い頃はそうでしたけど、今の若い子たちだけではなく、どうしても海外文化に影響されるほうが大きいじゃないですか。わかりやすくカッコいいし、憧れを持てるし。でも日本にも結構カッコいいことがあるんだよということを、こういった僕らの舞台で知ってもらえたら嬉しいですよね。
(左から)喜矢武 豊、早乙女友貴、早乙女太一、浜中文一
ーー女形の舞踊はまさにそのカッコよさの筆頭。リズムやビートに乗せたダンスではなく、歌詞や歌全体が持つドラマや感情に沿った振りで舞う姿からしか得られない抒情があります。
太一:そうですね。劇団朱雀は本当に日本の大衆娯楽がひとつに集まった舞台、色々なジャンルの表現が集まった舞台にしたいな、というふうには思ってます。
友貴:僕たちは大衆演劇出身なのでそこから色々な経験をさせてもらって、成長させてもらって、そして今、こういった形で、自分たちの朱雀というところで大衆演劇をやらせてもらっているんですけど、本当に今兄が言ったみたいに昔の大衆演劇とはちょっと違うというか…。でもその歴史があったからこそ今がある、その感謝の気持ちは持ちつつ、そういう僕たちだからこそやれる“今の大衆演劇”というものに挑戦しています。そしてそんな僕らの経験を通して、今まで大衆演劇とは全く縁がなかったような方々も朱雀に力を貸してくれて、こういった公演がやれるということにもものすごく感謝ですし、そういった意味で、また新たな大衆演劇ができるんじゃないかなって感じています。それこそ「劇団朱雀」というジャンルができたらいいなって。
喜矢武:僕は大衆演劇というものをほとんど知らないですし、きっと朱雀も普通の大衆演劇とは違うと思うんですけど、本当に朱雀を初めて観たときはびっくりしました。「すごいエンタメが詰まっている集団だな」って。踊りもそうですし、芝居もあって、殺陣もあって、真面目なかっこいい部分と笑いの部分もある。僕も一応エンタメをかじってる人間ではあるので、ここまでエンタメに特化するってすごいことだとわかりますし、ありとあらゆるジャンルの詰め込みですからね! お客さまとしてもですけど、そこはやる側という見え方からもとても感動しました。でね、その時一緒にいた知人が、もう1部の踊りから泣いていたんで…僕は泣かなかったですけどね。
太一・友貴・浜中:(笑)。
喜矢武:(笑)。でもびっくりしたんです、「わ、泣くのか」と思って。それぐらいいろんな人に刺さるポイントが無数にあるこのエンタメはすごいなって。
浜中:わかります!
喜矢武:もちろん太一くんたちには僕らにはない技術も存分にあるわけですから、もう見どころが満載すぎて、本当にこれは朱雀っていうジャンルだなとは僕も思いますし、まだまだこの朱雀さんは広い世界へと羽ばたいていけるんじゃないかなと。だから…そうですね、今回は僕もその朱雀のね、足の爪ぐらいになれたらいいなぁ。
浜中:僕も大衆演劇というのは全く何も知らないしわからないんですけど、でもね、このチラシのビジュアルを見てもすごく楽しそうというか、お祭りみたいな感じですよね。で、そういうイメージで実際に足を運んだら、もうホントにその通りというか、期待は絶対に裏切らないし、それを超える楽しさがあるんですよ!
劇団朱雀『OMIAKASHI』
ーー「看板に偽りなし」と。
浜中:ないですないです! むしろ、想像を軽々と超えていきますからね。もう僕らに任せてくださいよ! ただ…特に2部のショーはまだお稽古全くしてないんで、そこらへんのことはちょっと自分がまだ想像できないので正直何とも言えないのですが(笑)、でもとにかくみなさんに楽しんでもらえるものをお出しするのは間違いないです。頑張りたいです。
ーーボロボロの灰になるまで燃え上がる劇団朱雀、楽しみにしています。
太一:この僕らでどこにもない舞台を…いや、舞台なのか、ライブなのか、ショーなのか。とにかく、そんなエンタメの要素が全部詰まった作品をお届けしますので、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです。
(左から)喜矢武 豊、早乙女友貴、早乙女太一、浜中文一
ヘアメイク:Aya Iwasawa(早乙女太一)、杉野未香(早乙女友貴、喜矢武 豊)、小林実果(浜中文一)
スタイリスト:TAKAFUMI YAO(早乙女太一)
宮内梨那(浜中文一)
・ジャケット ¥49,500
・パンツ ¥37,400 共に(CULLNI/CULLNI FLAGSHIP STORE)
その他スタイリスト私物
取材・文=横澤由香 撮影=山崎ユミ