作曲者の個性が光る、ダブルソングライターを擁するバンド・水平線がEP「希望の匂い」で迎えた新たなフェーズ

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フォーキーであたたかなサウンドに乗せて「ゆるやかな希望」を歌い続ける、京都発の4人組ロックバンド・水平線が、5曲入りの4th EP「希望の匂い」をリリースした。今作はプロデューサーに岩本岳士(ex.QUATTRO)を迎え、音の細部までこだわり尽くした意欲作。昨年2月に3rd EP「Howling」をリリースし、『SUMMER SONIC 2025』と『SWEET LOVE SHOWER 2025』に立て続けに出演。この経験が、彼らの曲作りの意識に変化をもたらした。その上で改めて気が付いた水平線の強み。SPICEでは今回も、バンドのソングライティングを担う安東瑞登(Vo.Gt)と田嶋太一(Vo.Gt)に、今作の制作について話を訊いた。ぜひ、より人間味を増した楽曲表現から香り立つ「希望の匂い」を聴いて、この春を迎えてほしい。

田嶋太一(Vo.Gt)、安東瑞登(Vo.Gt)

田嶋太一(Vo.Gt)、安東瑞登(Vo.Gt)

2025年夏の体験がもたらした変化

ーー2025年は2月にEP「Howling」、7月に「たまらないね!」、10月に「エンドレスサマー」と2枚のシングルをリリースされて、夏には『SUMMER SONIC 2025』と『SWEET LOVE SHOWER 2025』に出演されました。夏フェスに出演したことで意識が外に向いてきたそうですが、秋冬はどういう感じで過ごされていたんですか?

安東​:夏に色々経験してオープンな感覚を学んでから、秋冬はずっと今作「希望の匂い」の収録曲も含めて、楽曲制作をしていましたね。「シングルの曲作り」というか、わかりやすい楽曲に自分たちらしさも入れ込みつつ、うまい混ぜ方を4人で模索してる感じでした。

田嶋:夏フェスで、ビッグアーティストが誰もが知ってる曲を持っていたり、ファン以外の人も巻き込んでる姿を見て外向きの意識が強まったんですけど、自分らは11月に大阪・梅田シャングリラで自主企画ライブ『潮の目-なな-』を開催したので、同時にそこに向けてどういうライブができるかを考えていました。結果として、『潮の目-なな-』では昔からの水平線の良さ……良い意味でのいなたさやガツンとしたロックも出せて、今までとは違うエンターテインメント性を高めたライブができました。12月は「希望の匂い」のレコーディングでライブがほぼなかったので、『潮の目-なな-』で今の自分らを出せたのが、去年の秋冬の印象ですかね。

安東​:だから頭の中は結構ぐちゃぐちゃだったというか。「希望の匂い」はまとまった作品なので、曲においての新しさも探さないとダメだし、ライブのこともめちゃくちゃ考えなあかん。どっちも全力を注いでやってた感じです。

ーーいつも、ライブのことも考えて音源を作っていかれるんですか?

安東​:去年の経験を経て考えるようになったかな。これまではライブで演奏するイメージを持たずに曲を作って、ライブでどうするかはその時に考えるという流れやったけど、今回は「ライブでやったらどんな感じになるかな」と考えながら作りました。多分田嶋もそうだと思う。

田嶋:ちょっとした意識ですけど、色々変わった気がします。

ーー意識が変わったことで、曲作りがやりやすくなったとか難しくなったとか、変わらないとかありますか?

安東​:僕はそんなに変わらない感じではあります。

ーー安東さんは鼻歌から、田嶋さんはテーマとワードがある中でアレンジ、メロディー、歌詞という順で曲を作られるそうですが、おふたりともそれは変わらずですか?

安東​:変わらずです。

田嶋:僕も作り方は変わってないです。でも意識は結構変わりましたね。ライブでやってるイメージをしながら「じゃあここはこうした方がいいかな」みたいな観点を、前は持とうとしてなかった。今も絶賛デモを作っていて、全部が全部そうとは限らないけど、どこで盛り上がりたいのかという、曲の抑揚を考える曲もできましたね。

ソングライター2人の武器と個性を出しながら、まとまりのある作品を

ーー今作「希望の匂い」は全曲新曲なんですよね。シングルを作るような気持ちで1曲ずつ作っていかれたんですか?

安東​:そうです。2人とも「全曲シングルで出しても、水平線の曲ですよと言える曲たちを作ろう」という気持ちで作って、それをまとめた作品なので、本当にどの曲も強いなと思います。

ーージャケットはカラフルな油絵で、抽象度が高いですね。

田嶋:抽象度をめちゃくちゃ意識したわけではないんです。これまでのジャケットは青、緑、白が多かったんですけど、5曲のデモが揃った時に「今回は暖色のイメージかもな」って。曲のテーマも2人で示し合わせたわけじゃないけど、今までよりも人間味や人のあたたかさが出たので、ジャケットをどう選ぶかとなった時に、油絵やアクリル絵といった手書きのニュアンスは出したいなと思って、作家さんの作品から雰囲気に合いそうなものを選びました。

ーー見ようによっては緑が木に、赤が太陽に見えたり、いろんな捉え方ができそうですね。

田嶋:全体としては暖色のイメージやけど、5曲のキャラクターもカラフルで結構違ったので、曲がリンクしたりしなかったりもするかな。そこは特に意図を持たせたわけではないですけど。

ーー他にも候補があった中で、この5曲の収録が決まったんですか?

安東​:そうですね。今回サウンドプロデューサーという形で岩本岳士さんと一緒に作品を作ったんですけど、自分たちが持ってるデモを一旦全部岩本さんにも聴いてもらって、自分たちから「この曲がいいんじゃないか」と案を出したのと、岩本さんやスタッフさんサイドの「この曲いいんじゃないか」が重なったところを選びつつ、曲のバランスを見ながらこの選曲に落ち着いた感じです。

ーー資料に「これからどこへ向かいたいかというテーマの中で、自分たちの個性を発揮できた」とありますが、テーマを念頭に置きながら、岩本さんの意見も聞きながら選んでいった?

田嶋:そうですね。今作を作る前に、「「Howling」の前に出したフルアルバム『NEW HORIZON』(2024年3月)に水平線の良さが詰まってるな」と改めて話していて。もちろん「Howling」も地続きでありながら、『NEW HORIZON』の良さを再認識して、次に昇華できたらなというのが今作の目標でした。具体的に言うと、水平線にはソングライターが2人いるのが武器やし、2人の曲の個性が違うのも魅力。それってシングルだとなかなか表現しきれない。EPだからこそ、曲が並んだ時に2人の違いが出るのも狙いたかった。ただ、そこのバランス感は自分らがずっと向き合っている課題なんです。2人の個性はバックグラウンドが違うのも含めて結構ちぐはぐというか、バラバラになりかねない時があったりもする。だからこのEPで向かいたいところは、個性を出しつつ、大幅なアレンジよりも音の統一感の部分で岩本さんに関わっていただき、水平線としてのまとまりを出せたらなという感じでしたね。それで収録曲も、キャラが出て、且つまとまりそうな曲のタネをみんなで選びました。

生々しくて、新しい音に。岩本岳士のプロデュース術

ーー岩本さんにプロデューサーをお願いした経緯や理由は?

安東​:岩本さんのことは、僕が好きなLaura day romanceやNo Busesと一緒に制作をされていることをキッカケに知ったんです。岩本さんがどのぐらいバンドに関わっているかわからなかったけど、バンドの個性を活かしつつ、現代の音楽として成り立つアプローチをされている感覚はあったのでお願いしました。お会いしてお話ししてみたら、「元々の曲の良さは残しつつ、もっと研磨してより良いものにする方向で手伝うのがモットーです」とおっしゃっていて。実際の制作でもアレンジを大きく変えるのではなく、気付くか気付かないかぐらいのちょっとしたスパイスを入れて曲に深みを出すことをすごくやってくださった。そういう面でも新しい音になったと思います。

ーーちょっとのスパイスで、統一感はやはり変わってくるんですか。

田嶋:研磨的な意味で言うと、リズムや歌に対しての絶妙なアプローチで曲が垢抜ける部分もありつつ。スパイスとしては、デモをやり取りしてる間に岩本さんが「楽器としては聴こえないけど、後ろで鳴ってる音をサンプラーとして打ち込むのが得意」と言っておられて、そういうサウンドエフェクトが統一感のスパイスかなと思います。あとは「どういう音で録るか」のビジョンを岩本さんが持ってくださって、実際のレコーディングに臨む形だったので、今まで自分らではやったことのないぐらい、同じ曲の中のフレーズでも細かくつまみをいじったり、エフェクターを色々試したりしました。そういうことも統一感を目指す上でのスパイスとして効いたんじゃないかな。自分らだけではそこまで細かい音作りは正直気にしていなかったので、客観的な視点を持ってそういう作業をしてくれる人がいたのは、統一感の要やったなと思います。

安東​:僕らに音への探求心やこだわりがないわけじゃないんですけど、岩本さんは今まで僕らの目に見えてこなかった世界にいる人だった。「そんなちょっとのつまみのいじりで音は変わるんやな」と今回すごく感じたし、フレーズごとにつまみを変えるのも全然今までやってこなかったので「適材適所の音があるんだな」とすごく感じました。

ーーご自分にとっても勉強になったり、引き出しが増えた感覚ですか?

安東​:そうですね。あとは録音のテイクも、上手に弾けているテイクじゃなくて、人間っぽいというか生々しい、ちょっと変な音が入っているテイクが採用されていて。打ち込みだと綺麗な音が出せるけど、人間が弾くから雑音も入る。「今ちょっと変な音入っちゃったかも」と思った時、「そっちの方がライブ感もあるし、水平線っぽいよね」という話をしました。今までは録り直していたものをそのままでいくというのは、新しかったですね。

安東が内面をさらけ出したリード曲「三日月」

水平線「三日月」(Official Music Video)

ーー今回は安東さんの楽曲が「三日月」「マジックアワー」の2曲で、田嶋さんが「忘年」「鋼の太陽」「フライトレスマン」の3曲です。リード曲「三日月」は、マイナス5度の中で撮ったMVが話題ですね。

安東​:はい(笑)。

田嶋:半端なかったな(笑)。

ーー撮影お疲れ様でした。楽曲はコーラス始まりで、いきなり壮大な幕開けになっています。

安東​:それこそ今までやってこなかったイントロだし、和声と言いつつメンバー4人全員が同じ音程を歌ってるのも意外と初めてなんです。それぞれが出す声の多少の違いで音がバッと広がっているし、EPの始まりの曲にすごくふさわしいなと自分では思ってます。

ーーコーラスは元々安東さんのデモにあったんですか?

安東​:デモの段階から入れていたんですけど、最初はもっと複雑な和声にしていて、荘厳な感じだったんです。でも岩本さんとやり取りしていく中で、それこそ「もっと生々しくて綺麗すぎない方がいいんじゃない?」となって、音程をぎゅっと削ぎ落として。1個だけ別の音程が入っているんですけど、あとはみんな同じ音にしました。結果、心から叫んでいる感が出せたなと思ってます。

ーー新しい水平線のアプローチを意識しながらデモを作ったんですか?

安東​:ライブの意識の話にも繋がってくるんですけど、全員で<ウォー>というコーラスで始まると、ライブ会場でもみんなで歌えたり叫んでくれたりするかもしれない。一体感が生まれたらいいなと思って「全員で歌えそうなものを入れよう」というところから、このイントロになりました。

ーー歌詞としては自己受容がテーマなんですよね。

安東​:そうです。いつも僕は鼻歌とバンド演奏が入ったデモが完成してから、曲から受ける印象を起点に歌詞を書き始めるんですけど、ほんまに最初に鼻歌を作ったぐらいの時、夜空に浮かぶ三日月を見て「綺麗やな」と思って色々考えたこととリンクさせてます。三日月の「欠けてるのに美しい」ところがいいなと思って。

ーー落ちサビの<美しさを“うつくしさ” と思えたなら>が好きです。

安東​:良い歌詞ですよね(笑)。そこは「美しさにも色々あるな」と思って書きました。たとえば「若気の至り」を思い出すと、「やってたな〜」という痛い思い出だけど、後から振り返ると「尖ってたし、キラキラもしてる。あれはあれで良かったよな」と思える。それもすごく大事やなと。それがここの歌詞の意図ですね。

ーー全部を認めるというか。

安東​:それもですし、現状の自分の至らなさや不満足さも受け入れることで、ちょっと強くなれたりもするよなって。元々僕がそう思いながら生きてきたので。僕は「今この状態が100%だ」というのが自己肯定やと思ってるんです。ただ、僕の中ではそれを消化しきれへん部分があって。自己受容の方が自分の肯定感の根っこに近いなと思って、それを三日月と重ねながら歌詞にしようとなって書きましたね。

ーー<変わらないまま変わり続けて 僕もそうありたいんだ>というのは水平線のバンドのスタンスとも重なるなと思いました。

安東​:もう、ほんまに僕の曲です(笑)。自分自身の内面をさらけ出す曲はあまり作ってこなくて、どこかフィクションみたいな曲をずっと作ってたんですけど、今回はフィクションを混ぜると嘘っぽくなるなと思って、ありのままで書きました。ほんまにおっしゃる通り、<変わらないまま変わり続ける>のは僕のバンドとしての理想の在り方です。僕はそう思ってるし、そうありたいなと思ってこの歌詞を入れました。

「周りと比べている暇はない」田嶋が「鋼の太陽」に込めた想い

ーー今作で作曲者の内面が出ているのは、田嶋さんにも当てはまりますね。

田嶋:そうですね。今の話を聞いて「三日月」は「確かにそうやな」と思いました。今まで安東くんが内面を出すことはあまりなかったもんね。逆に僕はパターンとして結構そっちが多いというか、今までも今回も、書くのは割と自分ごと始まりの個人的な曲なんです。

ーーでは、いつもの感覚で書いた感じでしょうか。

田嶋:気持ちとしてはそうですね。

ーー「鋼の太陽」に関しては、noteで「良い曲ができた。特に歌詞がお気に入り」と書いておられましたが、どこが特にお気に入りですか?

田嶋:全体的にええ感じで書けました。<見たところで変わらん天気予報>とかいいっすよね。

安東​:俺も好きやわ。すげえ心当たりある(笑)。

田嶋:自分だけじゃなくて、みんなあるかな。

ーーありますね。

田嶋:周りと比べてしまうことが多い時代で、1個芯を持っていたいなと思って。元々この曲を作り始めたキッカケは、だいぶ前のツアーの時にドラムの(川島)無限が来れなくなって、急遽サポートのドラマーを何人も入れてライブをしたこと。そこから曲を書き始めて、リリースするまでに時間があったので歌詞を書き換えたんです。それこそ<天気予報>は最初に歌詞を書いた時からあったけど、サビの<ぶち壊せ>は今回のタイミングで変わった部分でして。

ーーどう変わったんですか?

田嶋:前の歌詞が何だったか覚えてないんですけど、サビでパンチのきいた言葉を入れたいなというので色々探して。邦楽の曲であまり聞いたことのない、<ぶち壊せ引きずんな>というフレーズ。確かに変なんですけど、気持ち的にはそのぐらいの勢いで言ってもいいかなという。元々ドラムが欠けた日の話から始まった曲だけど、去年は個人的に悲しいことがあったのもあって、今に至るまで4人でやり続けられている奇跡とありがたさを強く感じて。だから<ぶち壊せ引きずんな あの日の太陽>は、「周りと比べてる暇はない」という想い。これが誰かに響いたらいいなというので書きました。

安東​:僕、田嶋がこの歌詞を書いて「できたな」と自分で思ったタイミング、覚えてます。多分レコーディング中の宿だったと思うんやけど、すげえニヤッとしながらこっちを見て、「ええ感じです」って(笑)。

田嶋:宿で決まりきってない歌詞を考えてて、多分それを見られてたんやと思う(笑)。「<ぶち壊せ引きずんな>なんて、聞いたことない」って盛り上がったな(笑)。

ーー聴いた人それぞれの記憶と結びつくような一節ですよね。力強くてノスタルジックで男らしい曲です。

田嶋:ありがとうございます。「もしかしたら聴き手がこう感じるかもしれない」みたいな外向きの意識と繋がってくるかもですね。確かに以前より「他の人が聴いた時にどう感じるかな?色々感じてくれたらいいな」と思うことが増えた気がします。

ーーイントロとアウトロのギターソロもいい感じです。

安東​:結構弾きましたね。

田嶋:ガッツとパッションでいきました(笑)。

自分ごととして書きながら、誰にとっても感じられる瞬間がある

ーー続く「忘年」も田嶋さんの楽曲で、ささやかな日々の幸せを感じる楽曲です。これは長尺の5分47秒ですね。

田嶋:自分はただ長いというより、「色々やりたくて長くなった」曲は結構好きなんですよ。これもデモの時点ではわかりやすいサビもなく、ただ長くて重い感じやったんですけど、「これでいこう」となってからアレンジを変えて。長いけどキャッチーな部分もあり、良い塩梅でできました。

ーーライブで聴いたら泣けそうな気がします。

田嶋:今ライブアレンジも考えてるんですけど、かなり不可避かなと思います。泣かせます。

ーーどんな想いを込めて書かれた歌詞なのでしょうか?

田嶋:この曲は実体験というか。「忘年」と言ってるぐらいなので、去年の年末に歌詞を書いたんですけど、年末を走りながら感じていることと、年明けに感じそうなことを想像して書きました。去年父親が急に亡くなって、一方でバンドとしては夏フェスに出られるようになったり、すごい起伏の1年で止まってる暇もないというか。色々あったけど、走り続けて迎えた2025年末のレコーディングだったので、その時の気持ちを出し切るつもりで作りましたね。これも自分ごととして書きながら、誰にとっても感じられる瞬間があるんじゃないかなと思います。

ーーそして「フライトレスマン」。ロックな楽曲で、水平線の野心が表れている曲ですね。

田嶋:これがEPの中で最後に決まった曲なんです。他の曲はミドルからスローテンポが多かったので、1個ぐらいアッパーな曲があってほしいなと。4つ打ちのビート感のある曲を今まであまり作ってこなかったけど、どこかで作りたいなとずっと思ってて。ノレるような曲の上に歌詞をつけたんですけど、曲だけだとポップになるので、そこに泥臭い歌詞やギターソロを乗せて。安東くんと最後はどういうギターソロにするかも結構悩んで。オクターブみたいなわかりやすいギターソロも候補に出つつ「それやと曲全体が流れてしまう」と。「ザ・J-ROCK」みたいになりかねなかったので、安東が「チャック・ベリーみたいなロックンロールがいいんじゃないか。そこで崩した方がいいんじゃないか」と提案してくれてギターソロは決まりました。全体的にポップだけど、どこか泥臭い感じを出したかった1曲ですね。

安東​:うん。泥ポップやね。

田嶋:まあでも、あまり深く考えて作ってないです。歌詞は勢いで書きました。

4月からは初の全国ツアーへ。ハク。、えんぷていと対バンも

ーー最後は、安東さん作のあたたかで優しい「マジックアワー」でEPが締め括られます。この曲は「言葉遊びとあたたかさの掛け合わせ」だとSNSで呟いておられましたね。

安東​:この曲は、家族や趣味、家の風景を思い浮かべながら書いた曲です。家のあたたかさも出しつつ、それだけだと今まで自分が書いてきた曲の印象と変わらなかったので、歌詞でちょっと遊ぼうと思って、韻を考えつつ、意味が通るようにちぐはぐにならないように歌詞を考えていきました。

ーー自分的に「これはうまく言えた」というリリックはありますか。

安東​:アホやなと思われるかもしれないですけど、全編です(笑)。ずっと韻を踏み続けていて。

ーー<ただいま><ただ今>とか、そうですね。

安東​:<ただいま>も同じような母音で3回出てくるんですけど、全部意味は違う。個人的には<ただ幸せがあって ただし支えあって>が結構「いいぞ」と思いました。浮かんだ時「これだけは絶対に使おう」って。どこで入れるか悩んでたけど、転調してトランペットも入るラスサビに入れられたのはすごく大きかったなと思います。

ーー曲の1番最後の<そんなこと思って眠りましょう>の<う>で、想像していた音と違う音がきたんですよ。何かこだわりがおありなのかなと。

安東​:曲の流れのままでいくと、ポンと終わっちゃう感じもあって。最後は歌とギターだけになるし、少しだけメロディーを変えたいなと思って変えました。<眠りましょう>という歌詞になったので、眠っていくというか、落ちていく感じも表現できたらなと思って音程を落としました。

ーーとても心に残りました。

安東​:良かったです。

ーー「希望の匂い」、バンド的にはどんな1枚になりましたか。

安東​:前々からずっと感じていた、水平線の作曲者それぞれの個性が過去イチ出てるなと思っていて。僕たちは全然ルーツが違うし、作曲する時の考え方も結構違うので、バラけるっちゃバラけるんですけど、それをひとつの作品として出すにあたり、どう水平線の音楽としてまとめるかにすごく向き合えた作品になりました。

ーー渾身の1枚ですね。

安東​:ほんまに。ここまで振り切れたこともなかったので、水平線として一歩フェーズが進んだ気はします。

田嶋:今作が完成して、お互いに今までより身近なものをテーマにしてるとわかって。別に2人で決めていたわけじゃないけど、それぞれの身近なものを普遍的な感情に広げていけた作品になってると思います。いろんな人にとって、良い意味での新しい共感としてスッと入ってくるような。水平線は「普遍的でエバーグリーンなものを目指したい」とずっと言っているので、狙い通りです。そういった意味でも、バンドとしてステップアップしつつ、自分らの個性も良い感じに昇華できた気がします。岩本さんに入ってもらったり、挑戦したことも多かったので、今後に繋がる1枚になったと思ってます。

ーーそれを提げて、4月から初の全国ツアー『旅するロックンロールツアー』で全国6都市を回られます。仙台と福岡はハク。、名古屋はえんぷていを迎えたツーマン、京都と東名阪はワンマンですね。

田嶋:仙台と福岡は初めてなので不安もありつつ、今までライブを観たくても観れなかった人もいるかもしれないので、そういう人と会えるのはすごく楽しみです。対バンは昔から何回か対バンをしてるけど、最近はやりあってなくて。お互いのフィールドで研鑽を積んでる中で、今のタイミングでやり合えるのは楽しみです。ハク。もえんぷていも、個性はありつつロック魂が根底にある気がしているので、シビアにバチバチにやり合いたいなと思ってます。

ーーワンマンの意気込みはいかがですか?

安東​:今の水平線を見せます。僕らは普段の30〜40分のライブじゃどうしても見せきれない魅力がある。2人ボーカルがいるし、時間内で伝える努力はしてるんですけど、ワンマンは時間がたっぷりあるからこそ見せられる姿もあるので、それを楽しみにしてきてもらえたらなと思います。

取材・文=久保田瑛理 撮影=浜村晴奈

リリース情報

『旅するロックンロールツアー2026』
2026年4月3日(金)@ 京都・Live House nano  ※ONEMAN SOLD OUT!
2026年4月12日(日)@仙台・LIVE HOUSE enn 2nd w/ハク。
2026年4月18日(土)@ 名古屋・CLUB UPSET w/えんぷてい
2026年4月25日(土)@ 福岡・OP’s w/ハク。
2026年5月8日(金)@東京・渋谷WWW ※ONEMAN
2026年5月15日(金)@大阪・梅田シャングリラ ※ONEMAN
◾︎HP / SNS

リリース情報

EP「希望の匂い」
2026.02.25 RELEASE
 
【収録曲】
M1.三日月
M2.鋼の太陽
M3.忘年
M4.フライトレスマン
M5.マジックアワー
 
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