堂本光一「再出発できた」~3年ぶりに帰ってきた、ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』ゲネプロ&開幕記念会見レポート

11:00
レポート
舞台

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

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ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』東京公演が2026年4月7日(火)日生劇場で開幕した。

ロアルド・ダールの原作小説『チョコレート工場の秘密』は、1964年の出版以来、児童文学として長らく世界的なベストセラーとなっている。1971年と2005年に2度の映画化を果たし、後者はティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演の映画で、その独創的なビジュアルは高い評価を得た。小説を原作にしたミュージカル版は、2013年6月から英ウェストエンドのドルリー・レーン劇場で初演され、14年のローレンス・オリヴィエ賞で衣裳デザイン賞、照明デザイン賞を受賞。17年4月から米ブロードウェイのラント・フォンタン劇場で上演され、日本版は2023年に堂本光一主演として帝国劇場で初演された。今回は、その再演となる。

初日公演を前に、ゲネプロ(総通し舞台稽古)と開幕記念会見が行われた。その様子を写真とともにお伝えする(なお、出演を予定していたジョーじいちゃん役の小堺一機は怪我のため、当面の間の休演が発表されている。その間、同役を聖司朗が務め、ジェリー役を佐藤海斗が務める)。

ウィリー・ウォンカ役の堂本光一



ーーまずはご挨拶をお願いいたします。

堂本光一(以下、堂本):3年ぶりにミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』でウィリー・ウォンカの役を演じられることをとても嬉しく、光栄に思っております。この日生劇場は、私が初主演の舞台をやった劇場で、27年前なんですね。今回、27年ぶりに立たせていただきました。日生劇場の空気とか雰囲気だとか、いろいろ思い出すこともたくさんあるかなと思ったんですけども、何も思い出せませんでした(笑)。当時も目まぐるしかったし、ウィリー・ウォンカも目まぐるしい役なので、そんな余裕がなかったのかなという気もします。

そんな中で、小堺(一機)さんが怪我をされたということで……。本当に川越の公演ではすごく元気に一緒にやっていましたので、話を聞いたときはびっくりしましたけども、アンダーに入ってくださったみんながこの作品を支えてくれていて。今日を無事に迎えられること、皆さんと一緒にこの場所に立てること、嬉しく思っております。

バケット夫人役の観月ありさ

観月ありさ:3年ぶりということで、子役たちはみんな新しくなりまして。みんなしっかりしていて、逆に大人よりしっかりしているんじゃないかというぐらいに本当にしっかりしているので、これから最後まで一緒に乗り切っていきたいなと思います。

何よりですね、小堺さんが怪我をされたんですが、とても責任感の強い方なので、ご本人はすごく気落ちされているんじゃないかなと思います。治療にまずは専念して、一刻も早く帰ってきていただきたいなと思います。日生劇場をはじめとして、これからまた博多、そして大阪の方もこのカンパニーで参りますので、最後まで走り抜けたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

グループ夫人役の鈴木ほのか

鈴木ほのか:各家族の絆が、初演の時よりも100倍ぐらい絆が深くなっていて、光一さんのウォンカも美しく、より格好よくなって、本当にもう素晴らしい作品になっているなと思います。

小堺さんがちょっと残念なことだったんですけども、(ジョーじいちゃん役を務めた)聖司朗くんと(ジェリー役を務めた、佐藤)海斗くんが、今日デビューして。より絆を強めて、初日をやらせていただきたいと思います。どうぞどうぞ千秋楽まで皆様温かく見守ってくださいませ。よろしくお願いいたします。

ボーレガード氏役の芋洗坂係長

芋洗坂係長:とにかく小堺さんは舞台以外でもみんなにいつも楽しいお話をしてくださる方なので、これからちょっとの間に出られませんけれども、その間にちょっとネタを仕込んでおいていただいて(笑)、帰ってきたら楽しいお話を聞かせていただければと思います。その間に一生懸命にしてきた聖一朗くんとサニー(※佐藤さんの愛称)とこれから乗り切っていただきたい……いや、僕も一緒ですね(笑)。乗り切っていきましょう。これからもよろしくお願いします。

ソルト氏役の岸祐二

岸祐二:3年ぶりにこの世界に入って、この作品をお届けできることを本当に幸せに思っております。小堺さんがお怪我されたので悲しい限りですが、聖司朗と海斗が見事に務め上げて。僕もアンサンブルの出身として誇りも思います。みんなの絆をですね、もっと強めていきながら、千秋楽まで楽しく、元気よく皆様にお届けできたらいいなと思います。千秋楽まで応援よろしくお願いします。

ティービー夫人役の彩吹真央

彩吹真央:皆さんも仰ったように、小堺さんがお怪我されて、悲しいんですけれども、稽古場からずっといつもよもやま話をさせて楽しませていただいて。みんなで両手を広げてお待ちしていますので、早く元気になって帰っていただきたいなと思っています。

初演は帝国劇場で上演しましたが、日生劇場は場面によって電球のライトが変わっていて、私たちも自然にイマジネーションの世界に入り込めました。今回ウォーリーさんをはじめとしたスタッフの皆さんがこういう風に空間作りをしてくださったんだなと思うと、私たちも一段と楽しみながら、この『チャーリーとチョコレート工場』をお届けできる。その喜びを感じております。日生劇場でしか味わえない『チャーリーとチョコレート工場』も楽しんでいただきたいと思います。

チャーリー・バケット役(トリプルキャスト)の古正悠希也

チャーリー・バケット役(トリプルキャスト)の小金輝久

チャーリー・バケット役(トリプルキャスト)の瀧上颯太

古正悠希也:2年前か3年前かに日生劇場に立って。今、チャーリー・バケット役として日生劇場に立てて、本当に嬉しいです。よろしくお願いします。

小金輝久:やっぱり緊張します。悠希也は日生劇場に立ったことがあるというけど、いざ立ったらすごく(川越公演とは感覚が)違って。でも初日を迎えられてとても幸せです。千秋楽まで応援よろしくお願いします。

瀧上颯太:チャーリー・バケット役を務められます……あ、務めさせていただきます。私も今すごい緊張しているんですが、とりあえず言葉を間違えないように。でも、本当にやっぱり皆さんが仰る通り、小堺さん。すごく寂しくてお手紙を書いたんです。そのお手紙の中で肩叩き券を入れて、いつでも肩叩きできるようにしました。これから千秋楽まで何卒よろしくお願いします。

(左から)岸祐二、鈴木ほのか、小金輝久、瀧上颯太、古正悠希也、堂本光一、観月ありさ、芋洗坂係長、彩吹真央

ーー東京公演の後は福岡公演、大阪公演と続きますね。

堂本:はい。福岡や大阪の皆さんにももちろんこの『チャーリーとチョコレート工場』を楽しんでいただきたいですが、毎日ね、どんどん、どんどん進化してきていると思うんですよね。それは演出のウォーリーさんのリードで、稽古場から、なんだろうな、自分もなんかすごく再出発ができたというか。新しい発見をしながら稽古を積むことができた。その気持ちを忘れないように、博多にも大阪にも向かいたいと思います。

(左から)堂本光一、観月ありさ、芋洗坂係長、彩吹真央

(左から)岸祐二、鈴木ほのか、小金輝久、瀧上颯太、古正悠希也

ゲネプロ(総通し舞台稽古)を観た(この日はチャーリー・バケット:古正悠希也、オーガスタス・グループ:渡邉隼人、ベルーカ・ソルト:原ののか、バイオレット・ボーレガード:吉田璃杏、マイク・ティービー:小山新太が出演した)。

チャーリー・バケットは心優しい男の子。愛にあふれる働き者の母親やジョーじいちゃんたちと、手を取り合いながらささやかに暮らしている。唯一の楽しみは年に一度、「ウォンカのとびきり最高めちゃうまチョコ」を自分の誕生日に買ってもらうことだ。一方、人間不信に陥り、世間から身を隠し、自らのチョコレート工場に閉じこもり続けているウィリー・ウォンカ、またの名をキャンディー・マン。彼はある計画を進めていた……。

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

ある日、驚くニュースが世界中を駆け巡る。あのウォンカのチョコレート工場が公開されるというのだ。しかも案内役はウォンカ自身。5枚のゴールデンをチョコレートに忍ばせて、それを引き当てた者が工場見学に参加できるという。そのニュースにチャーリーも跳び上がらんばかりに喜ぶが、チョコレートを買うお金はどこにもない。しかしニュースでは、次々とコンテストの当選者が発表されていき、とうとう残りの一枚となってしまう。諦めかけたそのとき、チャーリーに奇跡の瞬間が訪れてーーというストーリー。

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

まず目を引くのは、細部まで作り込まれた舞台美術や衣装・メイク、作品のイマジネーションを深める照明や映像といったクリエイティブなスタッフワークだ。ポップでキュートでカラフルで、しかしどこか毒っ気も感じられる世界観が始まりから終わりまで崩れない。美術や衣装など、本作のビジュアル面を統括するアートディレクションを、日本のカワイイ文化を代表するアーティストとして世界的に評価され、個性豊かでカラフルな東京を作品で体現する増田セバスチャンが担ったことも影響しているのだろう。現実とイマジネーションの世界の境界がいい意味で曖昧になり、観客を作品の世界へ心地よく、楽しく、驚きをもって誘ってくれた。ああ、これは生でしか味わえない。そう思う瞬間が多々あった。

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

キャストについても触れておきたい。堂本光一のウィリー・ウォンカは、謎の多いミステリアスさがベースにありながら、コロコロと表情を変えて、時に冗談を交えるチャーミングさもあり、時に冷たい視線を投げかける冷酷な一面もあり。

2月の製作発表会見で、演出のウォーリー木下が「ウォンカって本当に謎な人物で。いわゆる文脈が全くない主人公ってとっても稀有で、それを演じることの難しさみたいなことをずっと思っていました。無色透明にも見えるし、ちょっと顔の向きを変えてみると悪魔にも天使も見えるみたいな、そういう多面性のある人物を、(堂本さんは)自分勝手に作るというよりかは、『お客さんにある程度委ねよう』『ここから先の解釈は、僕はこうだと思うけど、それを押し付けたくない』みたいなことも仰っていて」と話していたが、まさにその通り。

掴みどころがないと言えばないウォンカなのだが、それこそがウォンカらしいというか、その「秘密」に満ちた感じがまたいい。堂本ウォンカは、ミステリアスさと軽やかさを見事に体現し、そして心の奥底で何を考えているのかと想像力をこれまた掻き立てる作りだった。初演から堂本の当たり役と言われているが、確かにこのウォンカ像は堂本だけができる、唯一無二なウォンカなのかも、と感じた。

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

この日、チャーリーを演じた古正悠希也。子役としてスキルも経験も積んできた古正だが、ピュアで健気で、ウォンカが心を動かされた理由がなんとなく分かるチャーリーを熱演。歌も安定感があった。会見でのやり取りを見ていても、他の2人のチャーリーもまた違う個性やタレントを持っていると思う。それぞれのチャーリーを見てみたくなった。

観月ありさのバケット夫人も、聖司朗のジョーじいちゃんも、貧しいながらもひたむきに、そして何よりチャーリーのことを思いながら生きている様子に心打たれる。観客としてはゴールデンがチャーリーの手に渡るのだろうということは想像できる(察している)のだが、やっぱり実際に手にしたときは「よかったね〜〜〜」と共感したくなるのは、おそらくそれまでのバケット家の温かさや思いの強さが観客にも伝わっているからだろう。

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

肥満児オーガスタスの母親のグループ夫人(鈴木ほのか)にしても、なんでも一番でないと気が済まないバイオレットの父親のボーレガード氏(芋洗坂係長)にしても、ロシアの富豪のわがまま娘・ベルーカの父親のソルト氏(岸祐二)にしても、コンピューターオタクで引きこもりのマイクの母・ティービー夫人(彩吹真央)にしても、登場するキャラクターはどれも強烈な個性を放つ。

冷静に考えれば、ほとんどのキャラクターが設定上デフォルメされている部分があるが、それも良しとされ、むしろそういうものだと妙に納得感が生まれてしまうのは、作品の力か、役者の力量か、それともミュージカルだからかーー。それぞれの親子で“見せ場”の楽曲や場面があるので、ぜひともショー的に楽しんでほしい(ちなみに、“本役”とはなっていないが、野菜を売っているグリーン夫人や、ジョゼフィーンおばあちゃん、ジョージーおばあちゃん、ジョージおじいちゃんは誰が演じているのか探すのも楽しいはずだ)。

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の舞台の様子

好きな場面や好きな楽曲、好きなセリフがきっと人によって違う、おもちゃ箱のような作品。上演時間は1幕70分、25分の休憩を挟み、2幕80分(予定)。ぜひお見逃しなく!


取材・文・撮影(会見写真)=五月女菜穂

公演情報

ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』
 
日程・会場:
2026年3月27日(金)~31日(火) 埼玉・ウェスタ川越 ≪オープニング公演≫
2026年4月7日(火)~29日(水・祝) 東京・日生劇場
2026年5月6日(水・振休)~28日(木)福岡・博多座
2026年6月5日(金)~6月12日(金)大阪・フェスティバルホール
 
Cast
ウィリー・ウォンカ 堂本光一
バケット夫人 観月ありさ
グループ夫人 鈴木ほのか
ボーレガード氏 芋洗坂係長
ソルト氏 岸祐二
ティービー夫人 彩吹真央
ジョーじいちゃん 小堺一機
チャーリー・バケット(トリプルキャスト) 小金輝久/瀧上颯太/古正悠希也
オーガスタス・グループ(ダブルキャスト) 有澤奏/渡邉隼人
ベルーカ・ソルト(ダブルキャスト) 寺田美蘭/原ののか
バイオレット・ボーレガード(ダブルキャスト) 木村律花/吉田璃杏
マイク・ティービー(ダブルキャスト) 大園尭楽/小山新太
 
Amane AYUBO 梅津大輝
おいら 大久保胡桃 小宮海里
佐藤志有 佐藤マリン 鈴木昌実
聖司朗 茶谷健太 津覇菜々
鶴岡政希 西口晴乃亮 西田健二
花陽みく 馬場礼可 樋口祥久
船﨑晴花 細田和花
隈元梨乃(SWING) 佐渡海斗(SWING)

CreativeStaff
脚本:デイヴィッド・グレイグ
音楽:マーク・シェイマン
歌詞:スコット・ウィットマン/マーク・シェイマン
原作:ロアルド・ダール
映画版楽曲レスリー・ブリカッス/アンソニー・ニューリー
日本版翻訳・演出:ウォーリー木下
訳詞:森雪之丞
振付:YOSHIE・松田尚子
アートディレクション:増田セバスチャン
音楽監督:塩田明弘
美術:石原敬
照明:藤井逸平
映像:鈴木岳人
音響:山本浩一
衣裳:小西翔
ヘアメイク&ウィッグ:SAKIE歌唱指導:亜久里夏代
稽古ピアノ:宇賀村直佳/若林優美
オーケストラ:東宝ミュージック/ダット・ミュージック
演出助手:平戸麻衣
舞台監督:三宅崇司
プロデューサー:齋藤安彦/松本宜子
製作:東宝
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