大どろぼうの“盗品”が語る人物像とは――ロダン作品や谷川俊太郎の詩から正体に迫る異色展覧会『大どろぼうの家』
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大どろぼうの家 2026.4.11(SAT)~6.14(SUN) 京都市京セラ美術館
大どろぼうの家に飾ってある盗品を“鑑賞”する――。子どもから大人まで好奇心がくすぐられるような展覧会『大どろぼうの家』が4月11日(土)〜6月14日(日)まで、京都市京セラ美術館にて開催されている。
これまで東京、福井で開催されてきた同展。コンセプトは、「最後の盗みに出た、かの有名な『大どろぼう』の家に来場者がこっそり忍び込む」というもの。展示室は、回廊、応接間、隠し部屋など8つの部屋に分けられ、大どろぼうがこれまで手に入れてきた美術品や書物、レアなグッズなどを楽しむことができる。また、京都展オリジナルの“盗品展示”も行われている。
●ロダンの彫刻「アダム」と「紫式部乾漆像」が同じ空間に
オーギュスト・ロダンの彫刻「アダム」の背景には、古今東西の大どろぼうの肖像画が
同展の特徴は、来場者が大どろぼうの正体を自分なりにイメージしながら盗品を鑑賞してまわるところ。同展では、大どろぼうの正体を断定できるように描いておらず、来場者は、盗品の中身やそれらの飾り方などから素性を推理していく構成となっている。
京都文化博物館から”盗んだ”とされる「紫式部乾漆像」も
たとえば、最初の部屋「緑の回廊」ではオーギュスト・ロダンの彫刻「アダム」が来場者を迎えるが、同作はかつて京都市京セラ美術館の玄関に展示され、来場者を迎えていたという背景がある。2020年5月に同館がリニューアルオープンして以来、玄関から姿を消していたが「もしかすると大どろぼうに盗まれていたから……?」と思わず想像してしまう。さらにそのそばには、京都市文化博物館より盗んできたという「紫式部乾漆像」が置かれている。「アダム」と「紫式部乾漆像」が同じ空間に並ぶ光景は、まさに同展ならではといえる。
石川五右衛門の木版
ちなみに「緑の回廊」には、天下の大泥棒・石川五右衛門、名作絵本『すてきな三にんぐみ』、“映画泥棒”のCMでおなじみ「カメラ男」など、大どうぼうがリスペクトする古今東西の伝説的どろぼうたちの肖像画が壁にかかっている。その肖像画の目線の低さにも注目してほしい。
竹中工務店歴史所蔵庫から盗んできた大工道具
「青の応接間」には、部屋や建物に忍び込む際に求められる身体能力を磨き上げるための蔵書や変装道具が並ぶ。竹中工務店歴史所蔵庫から盗んできた大工道具も、変装に使われたと思われる。
コレクションがずらりと並ぶ「赤の隠し部屋」
「赤の隠し部屋」には、大どろぼう、その息子と孫の三世代によって集められたコレクションがずらり。泥棒関連の映画のパンフレットやポスター、漫画、レコードなども見られる。岩下志麻主演の映画『寝言泥棒』(1964年)のポスターなどもあり、文化・芸能好きは長居したくなる部屋となっている。それぞれのアイテムから、三世代のそれぞれの年齢も推理できる。
●靴下が片方だけなくなる現象……ユニークな“盗品”の数々
谷川俊太郎の詩の朗読と音で混成するインスタレーション
谷川俊太郎愛用のカリンバ
「銀の庭」はそれまでとは打って変わって、心が整う感覚が得られる内容となっている。2024年にこの世を去った詩人・谷川俊太郎の、宇宙や星をめぐる15の詩が飾られている。さらに詩を盗んだ際、大どろぼうは自宅の模様も撮影した上、生前演奏していたカリンバも持ち出してきた様子。それらも大切に展示している。大どろぼうはロマンチストで、宇宙に憧れを抱き、なにより谷川さんの作品を愛していたことが伝わってくる。
ゴヤ、ルノワールの秘蔵コレクションも展示
「白の小部屋」は人気作家の作品に囲まれた一室。2018年に逝去した漫画家・さくらももこによる、『ちびまる子ちゃん』のセルフパロディ漫画『ちびしかくちゃん』の原画、加藤久仁生のアニメーション作品、さらに京都展オリジナルとしてフランシスコ・デ・ゴヤ、ピエール=オーギュスト・ルノワールなどの秘蔵コレクションも堪能できる。
よく見ると、靴下でできている「黒の壁」
ヨシタケシンスケの絵本の原画や制作資料も展示
誰もが経験する(?)靴下の片方がなくなった現象の謎が解ける「黒の壁」や、自分の後継者を育てるための絵本を作るために絵本作家・ヨシタケシンスケ本人を盗むという大胆な行動に出た「トリコロールの廊下」を経て、お笑い芸人「野性爆弾」のくっきー!のパペット、とにかく明るい安村の海水パンツ、ZAZYのネタフリップといった小道具などがある「光の蔵」でエンディング。
さらに出口には、スパイ映画で定番の赤外線のくぐり抜けが用意されている。大どろぼうの家から脱出すると、オリジナルのTシャツ、靴下、キーホルダーなどが販売されているグッズ売り場が待っている。
赤外線が張り巡らされた出口
オリジナルグッズも盛りだくさん
同展の企画を担当したブルーシープの水野沙希子氏は「どろぼうは、アニメ、映画などのキャラクターとして様々な場面で登場します。(どろぼうは)犯罪なのに、なぜファンを魅了するのか。そこから企画がスタートしました」と解説。「部屋に住むどろぼうがどういう人なのか、想像をめぐらせながら楽しめる内容になっています」と見どころを語ってくれた。
ヨシタケシンスケのフォトスポットやプロップスも
京都の繁華街・河原町にある丸善京都本店には、『大どろぼうの家』コーナーもお目見え。京都の町ぐるみで展覧会を応援する空気も、訪れる人をわくわくさせる。
丸善京都本店にお目見えした『大どろぼうの家』コーナー
取材・文=田辺ユウキ 撮影=Nagao.M(SPICE編集部)
イベント情報
開催期間:2026年4月11日(土)〜6月14日(日)
会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊2階
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124(岡崎公園内)
開館時間:10:00〜18:00 ※最終入場は17:30
休館日:月曜日 ※2026年5月4日(月・祝)は開館
主催:関西テレビ放送、京都新聞、京都市
企画協力:ブルーシープ
公式サイト:https://www.ktv.jp/event/oodoroboukyoto/
当日券:一般1900円、大学・高校生1200円、小・中学生700円
※未就学児は入場無料。
※団体は20名以上。
※障がい者手帳等を提示する場合、本人及び介助者それぞれ1名まで無料(要証明)。
※学生料金で入場の人は学生証を提示が必要。