川平慈英、浦井健治らが描く“見る人も最強になる”ミュージカル『最強のふたり』 が開幕
ミュージカル『最強のふたり』
世界中で愛され、日本でも大ヒットを記録したフランス映画『最強のふたり』。実話を元にした温かい物語が、世界初演のオリジナルミュージカルとして日本で上演される。
立場や価値観、全てが正反対の二人の男がぶつかり合いながらお互いを理解し、かけがえのない友人になっていく物語に、脚本・作詞・演出/板垣恭一、音楽/桑原あいのタッグが挑む。W主演として、自由奔放な言動でいつも周りを笑顔にするドリス役に川平慈英、事故により首から下が麻痺した大富豪フィリップ役に浦井健治。さらに、紅ゆずる、宮原浩暢(LE VELVETS)、小野塚勇人ら、個性豊かな実力派が集結している。
開幕直前取材には、川平慈英、浦井健治、紅ゆずる、宮原浩暢、小野塚勇人が登壇した。
――意気込みをお願いします。
小野塚:初ミュージカル化ということで、このキャスト・スタッフさんでしか出来ない作品になりました。有名な映画がどんな世界観の舞台になっているか、存分に楽しんでいただけたらと思っています。
宮原:1ヶ月ほどの稽古期間、太陽のようなエネルギーの慈英さんに引っ張っていただき、本当に面白くて笑顔になり、涙もするいい作品になりました。
紅:稽古期間があっという間でした。でも、みなさんの心に何か温かいものを残せるだろうという自信があります。
浦井:今回、キャストは10人しかいません。でも役の数は倍以上なので、みんな出ずっぱりでわちゃわちゃ作っています。(演出の)板垣さんが原作へのリスペクトを込めて描いてくれて、作品の随所にメッセージが詰まっています。リスタートはいつだってできるんだという思いをみんなで紡いできました。とにかく弾けて、みんなで作ったものを誇りに思いながら、ホットスポットとしてこの場所を皆さんにご提示できたらと思います。
川平:ついに来ました。ワクワクドキドキしています。最強の作品、最強の戯曲、最強の音楽、最強のセットに照明、スタッフ、プロデューサー、そして最強のキャスト。あなたも最強になっちゃっていいんです! 健ちゃん(浦井)が言う通りホットスポットですし、ヒーリングスポットでもあります。ぜひこの舞台を見にきて癒され、元気になって、生きていることや絆の素晴らしさを改めていただけたら。パワーを送りますので、ぜひ足をお運びください。
――この作品で注目してほしいシーンを教えてください。
小野塚:見どころは全部になってしまうくらい、10名のキャストが個性を出し合っています。見に来なきゃわからない面白さもあります。僕も色々な役をやらせていただいているので、自分自身も楽しみつつ、皆さんをしっかり楽しませたいです。
宮原:ミュージカルでありながらライブのような感覚を味わえるシーンもあります。みなさんもぜひ参加して盛り上がっていただけたらと思います。
紅:お芝居で言うと、人と人の距離感がどんどん変わってくる。どこでどう変わったかも魅力ですし、心温まるポイントだと思います。
浦井:川平さんはダンスもタップも歌もなんでもできるんですが、今回はお芝居が深くて、毎回真実とみんなへの愛に溢れています。僕が演じるフィリップはみんなに支えられて生きているキャラクター。ずっと車椅子に座っている珍しい経験をしています。有能な車椅子を使わせていただいており、ありがたいなと思っています。
川平:勇人くんの芝居の落差と、なんといってものぶちゃん(宮原)のダンスですね(笑)。あとは、「こんなにふざけていいの?」というところとすごく悲しいところの落差。見る方はゲラゲラ笑ったり心を鷲掴みにされたり、ジェットコースターのような感情の起伏を楽しめるはずです。
――最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。
浦井:この劇場に入り、スタッフワークの凄まじさも感じています。皆さんと支え合って、そこにお客様が入って完成する。演出の板垣さんがトライしていることは「リスタート」がテーマの希望に満ちた作品とぴったりだと思っています。さっきも勇人がのぶ兄(宮原)に楽屋で「あのシーンどうしよう? 毎回トライしようかな?」って本気で悩みながら相談していて、純粋にみんなが楽しんでいる証だと思います。ハッピーオーラを皆さんにお届けしたいと思います。
川平:もう一つのテーマとして、「セカンドチャンス」があります。老いも若きも、性別もバックグラウンドも関係なく、必ず人にはもう一度立ち直るチャンスがくるというメッセージが力強く溢れています。疲れている方、元気になりたいと思っている方は、決して安くないですが、ぜひハッピーパワーをもらいに劇場に来てください。
ゲネプロレポート
開演前から、パリの街並みを思わせる舞台セット、生演奏を担うバンドの音出しによってワクワクした気持ちが煽られる。ジャズセッションのような入りからキャスト陣のミサを思わせるコーラスになり、フィリップとドリスが登場すると警察官とカーチェイスを始め……と、冒頭だけでも展開が目まぐるしく変化していく。
原作は身体が不自由な富豪と貧困層の黒人青年、生まれ育ちも人種も年齢も、価値観も違う二人が親友になっていく物語。自由奔放なドリスと偏屈なフィリップの対比の面白さ、お互いに遠慮しないやりとりの爽快感は舞台でも健在だ。
川平が演じるドリスは、元受刑者で一児の父。原作と設定が変わっているが、それによって周囲の人々との関係や言葉にさらなる深みが加わったと感じた。グルーヴ感のある歌とダンス、周りを巻き込むパワフルな姿、父としての愛や苦悩など、様々な表情を見せ、物語を大きく動かしていく。ところどころでアドリブを挟み、客席を笑わせたりキャスト陣に無茶振りをしたりと、余裕たっぷりに舞台を楽しむ様子もドリスのヤンチャなキャラクターにぴったりだ。
浦井は事故によって全身麻痺となり首から下が動かせない大富豪・フィリップ役。舞台において身体を動かせないことは大きな制限に感じるが、浦井は歌声や表情、醸し出す空気で見事にフィリップの心情を表現。他のキャラクターに注目していても、ふと「フィリップは今どんな気持ちでいるだろう」と目を向けてしまう。また、彼が味わってきた苦しみや悲しみ、ドリスを気に入った経緯が伝わるからこそ、フィリップの笑顔を見るとこちらまで嬉しくなる。
二人を取り巻く人々も皆個性豊かだ。フィリップの秘書・イヴォンヌ(紅ゆずる)は、真面目で有能な一面と、恋する乙女な一面をコミカルに表現。フィリップのいとこ・アントニー(宮原浩暢)との微妙な距離感も可愛らしい。宮原は、フィリップを心配しつつ対立もする、身内ならではの複雑な立場を繊細に見せていた。
また、ドリスの息子・アダマ(小野塚勇人)は父に反発し、人生に迷う少年らしい心の揺れや不安を、フィリップの義娘・エリザ(菊池愛)は裕福な家で甘やかされて育った少女の変化をイキイキと描きだしている。
フィリップの文通相手であるエレノア(福田えり)の品の良さ、フィリップ家で働く人々(加賀谷真聡、宮野怜雄奈、元榮菜摘)のチャーミングさも物語に彩りを添えているほか、キャスト陣が兼ね役で演じる人物のキャラの濃さも楽しい。
作中に登場する人々は、大人も子供も何かに悩み、周囲とぶつかりながらも支えられて生きている。スーパーヒーローのような完璧に存在はいないが、誰もが誰かの救いになり、影響を与えあっているという関係性に心が温かくなった。
ブラックジョークやコミカルなやりとりに笑い、心躍る楽曲にワクワクし、登場人物たちが一歩踏み出す姿に胸を打たれる、ミュージカルならではの魅力に満ちた本作。原作映画を好きな方も、初めて『最強のふたり』に触れる方も新鮮に楽しめるのではないだろうか。
本作は2026年5月1日(金)~5月10日(日)まで東京・ヒューリックホール東京で上演。5月14日(木)~17日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、5月21日(木)に名古屋・御園座でも公演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈
公演情報
Based on the Film “INTOUCHABLES” written and directed by Eric Toledano and Olivier Nakache
“INTOUCHABLES” © 2011 Studiocanal - Gaumont - TF1 Films Production – All Rights Reserved
A QUAD, GAUMONT, TF1 FILMS PRODUCTION, TEN FILMS, CHAOCORP coproduction
And by Special Arrangement with GAUMONT and STUDIOCANAL
福田えり 加賀谷真聡 宮野怜雄奈 元榮菜摘 菊池愛
Cello:飯島奏人 Reed:近藤淳也【東京・名古屋公演】 / 小西稔大【大阪公演】
<日程・会場>
【東京公演】 2026年5月1日(金)~10日(日) 全13公演 ヒューリックホール 東京
※本公演の
<大阪公演>キョードーインフォメーション 0570-200-888(12:00~17:00 ※土日祝休み)
<名古屋公演>中京テレビクリエイション 052-588-4477(平日11:00~17:00)
【企画・制作】NHKエンタープライズ
【主催】<東京・大阪公演>NHKエンタープライズ/サンライズプロモーション/ニッポン放送 <名古屋公演>中京テレビクリエイション