くるり×マカロニえんぴつ 結成30周年を迎えるバンドの凄みとシーンの最前線で飛躍を遂げてきたバンドの勢いを見た『MUSIC SPLASH!!』2日目レポート
『Music Splash!! 』 くるり、マカロニえんぴつ 2026.5.12 SGC HALL ARIAKE
Music Splash!! くるり、マカロニえんぴつ
2026.5.12 SGC HALL ARIAKE
「音楽の飛沫を感じる新たな感動体験!」をキャッチフレーズにした対バンイベント『Music Splash!!』の第3弾が、今年3月に東京・有明にオープンしたSGCホール有明のオープニングシリーズの一つとして、5月11日(月)と12日(火)に開催された。このレポートでは、くるりとマカロニえんぴつによる対バンとなった2日目のライブの模様をお届けする。
くるり
最初にオンステージしたくるりは、レイドバックしたくるり流のラップナンバー「琥珀色の街、上海蟹の朝」でライブをスタート。2016年に発表した時はラップの導入がファンを驚かせたが、それから10年。今ではすっかり彼らの代表曲の一つになっている。メランコリックなメロディーに乗せ、《♪上海蟹食べたい》とマイク片手に歌う岸田繁(Vo,Gt)に応えるように観客が手を振る。
くるり
そこから一転、岸田のシャウトするような歌から演奏になだれこんだのはバラードの「街」。後述するようにマカロニえんぴつのはっとり(Vo, Gt)をはじめ、「まさか『街』を聴けるなんて!」と思った観客も少なくなかったようだ。激しい感情を迸らせる岸田の歌に応え、佐藤征史(Ba, Cho)がベースを唸らせる。
くるり
白熱する演奏に圧倒され、サポートメンバーを含むステージの5人に釘付けになっていた観客は曲が終わったとたん、ハジかれたように大きな拍手を送った。
くるり
そこからハードなギターリフを閃かせる「C’est la vie」、ともにフォーキーな魅力とタイトなバンドサウンドが交じり合う「The Veranda」「ばらの花」と繋げていったバンドが続いて演奏したのが今年2月にリリースした15thアルバム『儚くも美しき12の変奏曲』の最後を飾る「ワンダリング」だった。
くるり
岸田が「みなさんに歌っていただいてこそ成立する曲」と観客に呼びかけ、サビ《♪Hobo! Hobo! Wandering》のフレーズを観客にレクチャー。本番では冒頭から会場に歌声が広がり、「ばっちり!」と笑顔を見せた。
くるり
そこから観客の歓声とともになだれこんだフォークロックナンバー「ワンダーフォーゲル」、ファンキーかつグルービーな「WORLD’S END SUPERNOVA」とたたみかけ、観客を揺らしながらユーフォリックな熱気を作り上げる。
そのままさらに盛り上げるのかと思いきや、この日、バンドがラストナンバーに選んだのは、「潮風のアリア」。歪ませたギターの音色がオルタナフォークなんて言葉も連想させる7分近い長尺曲だ。ミッドテンポの演奏と歌に熱を込め、じわじわと観客を圧倒しながら、くるりは今年、結成30周年を迎えるバンドの凄みをダメ押しするように見せつけたのだった。
くるり
マカロニえんぴつ
対するマカロニえんぴつは、重厚なバンドサウンドとスペクタクルなライティングとともに音楽シーンの最前線で飛躍を遂げてきたバンドの勢いを見せつけていった。
マカロニえんぴつ
若いファンが多いせいか、観客の歓声も最初から元気いっぱいだ。そんな観客が早速、ハンドクラップで応えた1曲目は、はっとりが17年にSNSにアップした弾き語りを8年越しにバンドアレンジしたという「いつか何もない世界で」。そこから「レモンパイ」「愛のレンタル」とパワーポップナンバーを、曲間を空けずに繋げながら、「自由に歌って!」と観客にシンガロングを求めたはっとりは「もっと! もっと!」と観客を巻き込んでいく。
マカロニえんぴつ
「いつか何もない世界で」でギューンと鳴った田辺由明(Gt, Cho)のギターと「レモンパイ」でリフを奏でた長谷川大喜(Key, Cho)のピアノ。はっとりが作る捻りのきいたポップソングはもちろんだが、大音量の演奏の中で、曲ごとに二つのリード楽器を使い分けるバンドアンサンブルもマカロニえんぴつの大きな魅力だ。「愛のレンタル」では長谷川のキーボードがチェンバロ、ジャズピアノ、シンセと次々に音色を変え、演奏に彩りを加える。
マカロニえんぴつ
「新しいホールに立たせてもらってます。しかも、大好きなくるりと!」
最初のMCで開口一番に言ったはっとりは、くるりの『図鑑』というアルバムを聴き、くるりの存在を知ったことに加え、その『図鑑』の中でも特に好きな「街」を、まさか聴けるとは思っていなかったと語ると、「絶対俺のためにやってくれたと思う」と付け加える。そして、「ビシバシと先輩の圧と刺激を感じながら、でも、俺たちはみんなと一緒に楽しく歌いながら、今日という日がくるりと俺たちだけの思い出ではなくて、あなたと作った、今日ここでしか味わえなかった1日だったというふうにお互いに感じられたらいいなと思ってます」とライブに臨む気持ちを改めて観客に伝えた。
マカロニえんぴつ
ノスタルジックなポップソングが高野賢也(Ba, Cho)が奏でるベースリフをきっかけにブギになる「poole」からの後半戦は、ダンスナンバーをフリーキーなアンサンブルに落とし込んだ「NEVERMIND」、マカえん流のパワーポップをシンフォニックかつラウドにスケールアップしたなんて言ってみたい「カーペット夜想曲」も交え、観客を圧倒してみせた。
マカロニえんぴつ
そこからタイトなロックンロールナンバー「忘レナ唄」、サビのメロディーが胸を打つ「星が泳ぐ」に繋げながら、クライマックスに向け、今一度熱狂を作ると、最後はストリングスの音色をシンセで鳴らしながら、「hope」を披露。はっとりのタイトルコールに客席から沸いた大歓声が一際高いこの曲の人気を物語る。アンセミックな曲調もさることながら、《♪手を繋いでいたい》というリフレインが耳に残るこのラブソングは、ライブで披露するうちにいつしかバンドとファンの絆を象徴する曲に変わっていったのかもしれないなんて、聴きながらちょっと想像したりもした。
マカロニえんぴつ
アンコール
この曲を演奏する前に「ご褒美のような日」とはっとりは語ったが、アンコールではくるりの岸田と佐藤を迎えたセッションが実現してしまったのだから、観客にとってもご褒美のような日になったはず。演奏したのは、マカロニえんぴつの「恋人ごっこ」とくるりの「ロックンロール」。はっとりの歌に岸田がハーモニーを重ねた「恋人ごっこ」では、マカえんの高野がドラムをプレイ。演奏し終えたとき、岸田が言った「(今日演奏するために)何回も聴いた。ええ曲やな」という一言は、はっとりにとってまさに値千金だっただろう。
アンコール
アンコール
一方、高野と佐藤がベースをプレイした「ロックンロール」は、岸田とはっとりが歌い継ぎ、一緒にサビを歌った。そして、岸田がハイテンションでギターソロを弾き、エンディングを迎えると、観客の拍手喝采の中、はっとりが快哉を叫んだのだった。
「凄い日でした!」
本番前のバックステージにて
取材・文=山口智男 撮影=岸田哲平
くるり情報
マカロニえんぴつ出演イベント情報
会場:国立代々木競技場 第一体育館
年齢制限:3歳以上
枚数制限:お一人様 4枚まで(車椅子席は2枚制限)
・SCRAMBLE STAGE / BOIL STAGE の観覧エリアが、収容人数の上限に達した際は、入場規制がかかる場合がございます。