インナージャーニーが濃密な7年の歳月を経て遂にメジャーデビュー、新たな旅の始まりに寄せて二人の本音を聞く

インタビュー
音楽
2026.5.22
インナージャーニー

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10代限定フェスで鮮烈に登場し、バイラルヒット「グッバイ来世でまた会おう」で注目を浴び、大型フェス出演やタイアップシングル制作など、濃密な7年の歳月を経て、インナージャーニーがキングレコードよりメジャーデビューする。作詞作曲を手掛けるカモシタサラ(Vo&G)の、まっすぐに心に届く誠実な歌声。アレンジと演奏で貢献する本多 秀(G)の、むきだしの情熱を端正な音に変える雄弁なギターサウンド。インナージャーニーは、懐かしくて新しい、今の音楽シーンに必要なバンドだ。5月20日、メジャーデビューシングル「Toi toi toi!」リリース。新たな旅の始まりに寄せて、二人の本音を聞いてみよう。

――若いながらも歴史あり。バンド結成の2019年から数えて7年、振り返ると変化はありましたか。

カモシタサラ:常に変わり続けている感じはあって、環境による変化もあり、メンバーがいなくなることで音も変わり、心も変わり、「この曲を書いていた時はこういうふうに思っていたな」というものが常に更新されていくので、バンドとともに人生が進んでいる感じがします。

――今、バンドは第何期ぐらいですか。

カモシタ:言ったら、3期ぐらいなのかな。初々しい気持ちで「バンドやるぞ!」というのが第1期で、初期メンバー4人でしばらく続けていたのが第2期で、メンバーが抜けたのが…あ、待って、第3期どころじゃないですね。メンバーが抜けて、サポートメンバーが増えて、今は第5期ぐらいかもしれない。でもバンド的にも今が一番いい状態で、メジャーに行けたのはとても嬉しいことですね。

――素敵なタイミングじゃないですか。

カモシタ:年下のバンドが先にメジャーに行って悔しい、みたいな気持ちもあったんですけど、見て見ぬふりをしたりして。でも、もっと早い時にデビューしてたら、自分の心がまだ不安定で、もっといろんなことに傷ついて、ボロボロになっていた気がするので、今は腹を括れているというか、完全に「やってやるぞ!」の気持ちになってます。

インナージャーニー

インナージャーニー

――頼もしい。本多くんはどうですか。ここまで7年間、どんな日々でしたか。

本多 秀: 楽曲であり、ライブであり、何かしらに常に追われ続けていた気がしますね。コロナで活動しなかった時期はありつつも、バンド的に止まった時期はなかったし、常に何かしらに、突き動かされていたような気がします。

――ドラムが抜け、ベースが抜け、二人になって。何があっても、突き動かす力の方が強かった。

カモシタ:ライブを止めるという考えはなかったですね。

本多:その都度「どうにかするか」「変わっていくのを楽しもう」みたいな気持ちでやっていたかも。

――その原動力の源って、何なんでしょうね。バンドを続ける意思はどこから来るのか。

カモシタ:本当に最初の最初は、ただ好きだから曲を作って、ただ好きだからバンドを始めて、「四つの音でこんなにかっこいいものが作れるのは最高!」という気持ちでやっていました。それこそ第1期、第2期の頃は、前のメンバーが引っ張ってくれていた部分もあって、ただ呑気に歌っていただけだったんですけど、ここに来てやっと、自分がなんで今バンドをやっていて、なんで歌っているのか?を、あらためて見つめ直す時間がありました。その中で私はバンドに救われたというか、現実でしんどいことがあっても「この音楽があるから大丈夫」みたいな、一種の逃避みたいなところがあって、そういうきっかけを与えてくれたバンドがいっぱいいます。

――はい。なるほど。

カモシタ:だからこれからは、「自分がその存在になるんだ」というふうに思い直して、それがめちゃめちゃ今の原動力になっています。誰かの憧れになれるんだと思ったら、ここで止まるわけにはいかないというか、そんなに素晴らしいことはないし、過去の自分を救うことにもなるし、そういう思いがありますね。

――そう思ったのって、最近ですか。

カモシタ:本当に最近かもしれないです。逆に今まで、なんでそんなに呑気に歌っていたんだ?って、自分を殴りたい気持ちになるんですけど(笑)。でもその状態で聴いてくれる人がいたから、その人たちにもちゃんと恩返ししたいし、「人のためになっているのが嬉しい、もっと聴いてほしい」という欲が、今の原動力です。

本多:自分はカモシタみたいに、音楽で救われたタイプの人間ではなくて。大学も卒業してないし、就職もせずに年齢を重ねてしまって、背水の陣みたい感じで、「ここまで来たらやるしかない」という感じですね。元々バイオリンをやっていて、もっと気楽にできる楽器をやりたくてギターを始めたので、なんとなくここまで来ちゃったな、というところもありつつ、「メジャーデビューするからちゃんとやらなきゃ」みたいな感じです。

カモシタサラ(Vo/G)

カモシタサラ(Vo/G)

――そもそも、インナージャーニーって、どんなふうに始まったバンドでしたっけ。

カモシタ:元々は、高校の時のロック研究部という部活にいた先輩後輩で、その時は仲良くなかったんですけど(笑)、大学へ行って、私がソロで活動し始めてーー。

本多:ちょっと、一個戻っていい? 高校の時のカモシタのバンドは、最初は全員女の子で、「ガールズバンドにならないために僕を呼んだ」みたいなことを、ちらっと聞いた気がするんだけど。

カモシタ:本多くんとは、高校の時に一緒にロックンロールバンドをやっていたんですけど、そういう理由で呼んだのかは覚えてない(笑)。でも一緒にやっていて、当時からこんな感じで、全員に対して同じ距離感で、ふにゃふにゃしながらずっと漂ってる人間みたいな(笑)。それが面白いなと思ったんですよね。そのバンドは結局空中分解して、大学に行って私がソロで音楽をやり始めて、「バンドの音でやりたい」となった時に、また呼ばれたのが本多秀で、そこからインナージャーニーになりました。

――音楽的な共通点は?

カモシタ:高校時代の、ロックンロールバンドをやっていた時の共通点は、GLIM SPANKYとかですね。私のルーツはTHE BAWDIESですけど、本多くんが好んで聴いていたかはちょっと知らない。

本多:THE BAWDIESもGLIM SPANKYも通ってない、というか、高校の時はあまり音楽を聴いてなかった気がする。オアシスとか、流行ってるものは聴いてたけど、深堀りはせず、結構ミーハーなタイプだったし、今もそうかもしれない。

カモシタ:秀の面白いところは、今サポートでギターを弾いてるfhánaとか、アニメ系のものも好んで聴いているのに、インナージャーニーのプレイにはその要素はあまり出さずに、ロックンロールの“いなたさ”を出して弾いてくれるから、インプット/アウトプットの出方が違うのが面白いなと思います。謎多き男です。

本多:思い出した。高校の時は、残響系を聴いてました。ハイスイノナサとか。

カモシタ:あまり音楽を聴いてない、という人が選ぶものじゃない気がするけど(笑)。

本多:インターネット音楽は好きだったかもしれない。当時流行っていた、インドア系ならトラックメーカーとか、ずっと聴いてた。

――サラさんはandymoriに影響を受けたって、何かのインタビューで読みました。

カモシタ:andymoriは、大きかったです。高2ぐらいで知ったんですけど、曲も歌詞も「なにこれ!」みたいな、鋭さがあって、生き様そのものが現れているというか、生死をさまよっている感じというか、時に寄り添ってくれるし、全部がやばいバンドだと思って、インナージャーニーというバンド名も、前のメンバーと一緒に「andymoriの曲名から取ろう」ってなりました。ライブはちょうど解散している時で見たことがないんですけど、影響はかなり受けています。

本多秀(G)

本多秀(G)

――先走って言っちゃうと、新曲「Toi toi toi!」を聴いて、andymoriっぽさ、あるなと思ったんですよね。軽快なリズムの感じとか、ざくざくしたギターサウンドの感じとか。

カモシタ:インナージャーニーを始めた初期は、andymoriへの憧れを持ちつつ、でも自分のやりたいことをそのままやろうみたいな気持ちで、完全に熱だけで走ってましたが、そこから色々バンドの体制が変わって、曲を書く上で考えることが増えたのでーー今回の「Toi toi toi!」はそういうものを全部取っ払って、「誰かを助けるような音楽を作りたい」という初期衝動に立ち返りました。だから、そう聴こえるのかもしれない。でも当時のままと、今やるものは別物になっていて、紆余曲折した時間は絶対にこの曲に組み込まれていると思います。

――ほかに、サラさんが影響を受けたアーティストというと?

カモシタ:弾き語りの延長でバンドになったから、シンプルな曲が好きだったんですけど、たぶん私の中での第3期ぐらい、ドラムのKaitoが抜けた後ぐらいに、もっと華やかにきらびやかにやるのがかっこいいと思って、グラムロックが好きになった時期がありました。THE YELLOW MONKEYの吉井和哉さん、ドレスコーズの志磨遼平さんがめっちゃ好きで、でもそういう存在になるには、自分の立ち方が日常すぎると思っていて。でもメジャーに行ったことによって、「誰かの憧れになりたい」という決意がふつふつと心の中に燃えているので、これからもっと可能性が色々出てくると思います。いろんな要素を入れ込みながらも、「自分自身の表現がもっとある気がする」というのは、ずっと模索しています。

――かっこいいと思います。で、ここまでほとんど女性アーティストが出てこないのが、面白いなと思うんですね。

カモシタ:確かにそうですね。ゴリゴリしたものが好きなのかな。でも高校の時には、スージー・クアトロとか、GLIM SPANKYの松尾レミさんとか、そういう人に憧れました。女性アーティストの中でもパンチがあるタイプというか、基本は怒りというか、殴ってくれるような存在であってほしいのかもしれないです。私にとって音楽は。

――はい。なるほど。

カモシタ:自分の立ち位置も、最初は「優しく寄り添えます」みたいな感じで、今もそんなふうに、誰かのお守りであり続けたいとは思うけど、でも聴いてくれる人の心の闇の部分とか、ムカついてることとかを一緒に殴りたいという気持ち、パンク精神がたぶん心の中に眠っていて、今後はそれをもっと出していきたいと思っています。

――それは「Toi toi toi!」にすでににじみ出ていると思います。曲調は明るいけれど、歌詞をよく聴くと、“叫べ怒りを”とか、“わかられてたまるか!”とか歌っているし。

カモシタ:キレてますね。メジャー一発目でキレてみました(笑)。

本多:最近録った、他の曲もわりとキレてるよね。どこかしらに、キレてる要素がある気がする。

インナージャーニー

インナージャーニー

――あらためて、メジャーデビューシングル「Toi toi toi!」を紹介しましょう。これは、さっきのお話のように、初期衝動に立ち返って作った曲だと。

カモシタ:そうですね。「誰かのお守りになってほしい」という一心で、自分が影響を受けたバンドたちになろうと思って、完全にまっさらな状態で、衝動で作りました。そこに至るまでは色々あったんですけど、いざ作るぞとなったのが誕生日の前日から当日にかけてスタジオに籠ってガーってやったら、できました。

――サラさんの誕生日は2月14日、バレンタインデー。

カモシタ:追い詰められて、今しかないと思って、自分の誕生日に新しいものを誕生させちゃいました。(笑)

――「Toi toi toi!」って、おまじないの言葉でしたっけ。ドイツ語の。

カモシタ:そうです。たぶん最初は、Eテレ0655で、デーモン閣下が歌ってる曲があって、そこで知ったと思います。他にもいろんなところで聞いていたフレーズで、「きっと大丈夫」「きっとうまくいく」というおまじないの言葉なんですけど、根拠はないけど、それを言ったことによって大丈夫になるみたいな、そのぐらいの軽さがあるほうが楽しいと思って、使いました。

――アップテンポ、ラフな感じで、生々しくて、ちょっと尖ったところもあるギターロックで、聴き手を励ますようなメッセージソング。歌詞としては、あんまりなかったタイプの曲な気がします。

カモシタ:インナージャーニーは今まで散々、悲しみと絶望を歌いつつ、それでもなんとかやっていこう、みたいな感じで終わる曲が多かったんですけど、もうそのフェーズは終わりというかーー終わったわけではないですけど、逆に今は世の中がそのムードというか、暗くなっているじゃないですか。そんな時にそういうことを言うんじゃなくて、逆にまっさらな希望を歌いたいと思って、「私があなたの希望になります」という志も含めての「Toi toi toi!」です。

――自分に向けてのおまじないでもあり、聴き手への励ましであり、世の中にもの申したいという気迫もあり。「今これを歌わなきゃ」という、理由がある曲だなと思います。本多くんの、この曲の聴きどころは?

本多:「Toi toi toi !」をギターだけで評価すると、聴きどころは無いかもしれない、、、(笑)。僕がアレンジを作る時は、ギターだけでできることは多くないので、どの楽器をどう配置しようかな?とか、どうサビに繋げるのか?など、常に全体のバランスを考えています。音作りで言うと、最近は、面白い音でギターを弾くものが多いじゃないですか。コーラス(エフェクター)をめっちゃかけてみるとか。確かにインパクトは強いけど、ラーメンにめちゃくちゃトッピングしてるみたいで、トッピングがないほうが絶対に曲の素の良さが伝わるだろうということは、意識してるかもしれない。コーラスをかけてギターを録った曲もあるけど、そういう時はフレーズをシンプルにするとか。当たり前のことを当たり前にやって、なるべく素の音で行きたい、みたいなことは意識しています。

――それは、このバンドのサウンド的な強みですね。エフェクトの強い音楽が多い中で、そのほうが新しく聴こえると思います。

本多:だから「Toi toi toi!」は、ギターだけで評価すると、聴きどころはないんですよ。これは本当に、全体を見て作ったアレンジだから。

カモシタ:でも、ギターソロがこんな長い曲も、最近あんまりない気がするけど。

本多:確かに。でも、ギターソロもあるけど、あくまでバンドサウンド全体で「オラァァ!」って言ってるじゃん? 決して派手なフレーズは弾いていない気がする。バンド全体を聴いてほしいです。聴きどころにしたかったら、もうちょっと派手なギターソロにしていたと思うし、「Toi toi toi!」は、なるべくギターは控えめにした方がバランスがいいかもってなった気がする。

カモシタ:そうなのか。ライブでやった時に、間奏で「ギター!」とか叫んだんですけど、聴きどころじゃなかったみたいです(笑)。

インナージャーニー

インナージャーニー

――この曲、メジャーデビューを発表した、4月9日の渋谷WWWのライブで歌ったんでしたっけ。

カモシタ:アンコールで、初披露しました。本当に楽しかったーーという感想で片付けるものではないかもしれないけど、メジャーを発表して、最後に「Toi toi toi !」を披露して終わったんですけど、これを歌っている時は「今からメジャーに行くんだ!」という、覚悟みたいなものを感じていました。

本多:知らなかった。そういう感じだったんだ。

――音源には、子供のコーラス隊が入ってますよね。

カモシタ:キングレコードのディレクターさん紹介で、子供たちの合唱団に来ていただいて、歌ってもらいました。子供の声を入れたいと思ったのは、自分が大人になってから忘れちゃった感情を思い出させてくれる存在として、入れたかったというのと、歌のピッチとかにとらわれない、感情むきだしで歌ってくれる存在がほしいと思って、「それって子供だよな」というのがあったので。それで歌ってもらったんですけど、うますぎましたね(笑)。とてもありがたかったです。

――「Toi toi toi!」がリリースされる、5月20日はメジャー記念日。ここから始まる、インナージャーニーの新しい旅。どんな旅にしたいですか。バンドの未来予想図は?

カモシタ:バンドの未来はーー大きく言うと、世界平和を目指しているんですけど、そのためにいっぱい歌を出して、いろんな人がハッピーになって、どんどんファンが増えて、会場が大きくなって、ということをやっていきたいです。その一個の目標として、武道館でやりたいというのがあります。そして、いずれ世界に行きたいです。

本多:曲が残ってほしいです。曲がいろんな人に聴かれて、長く残ってもらえればいいですね。それが世界平和とか、武道館とかに繋がっていくと思うし、とにかく残ってほしいです。

――いろんな年齢層に届く音楽だと思うんですね。年上層にはノスタルジックなロックに聴こえるかもしれないし、若い世代には新しく響くかもしれない。どんな人たちにアピールしたいとか、この世代を狙いたいとか、そういうプランはありますか。

カモシタ:狙うべきかな?と思った時もあったんですけど、なぜこの人たちが聴いてくれるのかとか、あんまりわからないんですよね。だから、狙うとかじゃなくて、自分たちがかっこいいと思ったものをやり続けたら、きっとみんなに響くんじゃないかと思って、やり続けていこうと思います。あと、世の中の流れとして、今はいろんな音を詰め込んだ、情報量が多い音楽が多いじゃないですか。そんな中で、私たちみたいなバンドがメジャーシーンに出て行くという、そういう波が絶対に来る気がしているので、その筆頭になりたいです。


取材・文=宮本英夫 撮影=大塚秀美

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「Toi toi toi !」Music Video

リリース情報

Major Debut Single「Toi toi toi !」
2026年5月20日(水)リリース
 

ライブ情報

インナージャーニーPre.「Message in a Bottle」
2026年8月6日(木)Shibuya Milkyway
ゲスト:Czecho No Republic
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