BIGYUKI「ツアーのために最高の仲間をNYから連れてきました」 ステージから迫る音像、メロディ、ビートの熱がフロアを幸福で満たす
BIGYUKI
『YAMASTE JAPAN TOUR 2026』2026.05.15(fri) 東京・渋谷クラブクアトロ
ジャズシーンで圧倒的な演奏スキル、表現力、センスを発揮しながら世界のトッププレイヤーたちと共演。A Tribe Called Quest、J. Coleなど、ヒップホップアーティストの作品にも参加するなど、ワールドワイドな活動を続けているキーボードプレイヤー・BIGYUKI。彼がリスペクトしてやまないRandy Runyon(G)、Jharis Yokley(Dr)を迎えたバンド編成による『YAMASTE JAPAN TOUR 2026』が、5月14日 (木)大阪・梅田クラブクアトロ、5月15日 (金)東京・渋谷クラブクアトロで行われた。東京公演の模様をレポートする。
BIGYUKI
ステージに現れたBIGYUKI、Randy Runyon(G)、Jharis Yokley(Dr)を出迎えた大きな拍手。フロア内に漂うムードが、観客が抱いている期待を物語っている。そして、オープニングは「When the Sun is dark」が飾った。シンセサイザーの音像、エレキギターの音色、ドラムのビートが一体となり、ステージを彩るライトが点滅。重低音がフロアをビリビリと震わせる。全身で受け止めた極上サウンドは、胸を激しく高鳴らせてくれた。
BIGYUKI
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「来てくれてありがとう。めちゃくちゃ楽しみにしていました。盛り上がって行きましょう!」とBIGYUKIが観客に呼びかけて、「Simple Like You」がスタート。プロジェクションマッピングの映像を浴びながら演奏する3人のシルエット、変化し続ける音、光、色彩を見つめる観客の間から、時折、感極まった様子の歓声が上がる。演奏を通じて何かを本能的に感じ取り、自由に喜びを露わにする人々が、ピュアなエネルギーで会場を満たしていた。続いて、「NuNu」「Red Pill」も届けられてから迎えた小休止。BIGYUKIは、5月13日にリリースされたEP『John Connor』について触れた。「あの作品はコロナ禍の中でピアノに向き合って、自分を内向きに掘り下げていったんです。でも、バンドと演奏するのは外向きのエネルギーで、みんなと一緒に音楽を作るプロセス。真逆な気がしますけど、多分どこかで繋がっていて。内向的に掘り下げたものを世の中とシェアする……みたいな。自分の中に溜めてたものをやっと外に出せる時なのかなと思ってます」と語りつつ、BIGYUKI with Randy Runyon & Jharis Yokleyによる作品制作についても報告した。「75%できてるとずっと言っていたんですけど、90%になりました(笑)。多分、近々シェアできるんじゃないかと。昨日の大阪で初めて演奏した曲は、そのアルバムからの曲です。昨日やったので、今日の方が良いに違ない(笑)」――そして披露された新曲「Harvey Dent」。ステージから迫ってくる音像、メロディ、ビートの熱が、フロアで踊る人々の幸福度を一際高めているのを感じた。
Randy Runyon(G)
Jharis Yokley(Dr)
「Soft Places」「Watermelon Juice」「One more shot」……鳴り響いているのは最先端のサウンドだが、何処か野趣にも富んでいたあの感じは、なんと表現したら良いのだろう? 各曲が幕切れる度に観客の間から起こった歓声は、本能に根差したピュアな興奮をありありと物語っていた。デジタル機材ならではの音圧やミステリアスな音色が非日常の恍惚を誘いつつも、構築されているアンサンブルには紛れもなく血が通っている。3人の呼吸、音を通じたコミュニケーションは、フロアで踊る人々の心をとことん無垢にしていた。そんなひと時を経て、再び迎えた小休止。「ツアーのために最高の仲間をNYから連れてきました。この仲間たちと演奏できるのは自分の中で一番楽しいこと。ステージをみんなと共有できて嬉しいです」と言い、BIGYUKIは明るい笑顔を浮かべた。そして、本編を締め括ったのは「Yamaste」。起伏に富んだ展開、キレの良いビート、多彩な音色、絶えず輝度を増す音像が美しい。穏やかなトーンの幕切れを迎えた時、心地よい余韻が会場内に漂っていた。
BIGYUKI
鳴り止まない手拍子に応えてステージに戻ってきた3人。アンコール1曲目はFlying Lotus のカバー曲「Putty Boy Strut」、BIGYUKIが頭上で回転させたタオルの動きが起爆剤となり、人々のダンスが開放的なムードを帯びた。そして、ラストは「LTWRK」。サウンドを交わす3人の喜びが、人肌の温もりを伴いながら伝わってきた。互いの音色とフレーズで刺激し合い、ドラマチックな音の響きを生み出す彼らの姿から目を離せず、耳は無上の快感で満たされていく。BIGYUKI、Randy、Jharisはもちろん、観客も音楽をとことん楽しみ尽くしていた。凄腕プレイヤーたちによる演奏が、無邪気さも示しながら躍動していたのが思い出される。エンディングを迎えた瞬間、観客の間から起こった拍手と歓声は、素晴らしい音楽体験をさせてくれた3人を全力で讃えていた。
取材・文=田中大 撮影=KOSERIE
BIGYUKI
セットリスト
02.Simple Like You
03.Nunu
04.Red Pill
05.Harvey Dent
(Drum Intro)
06.Soft Places
07.Watermelon Juice
(Randy Intro)
08.One More Shot
09.Yamaste
EN1.Putty Boy Strut
EN2.LTWRK