【対談】『DON'T DENY THE GLORY』LAUGHIN' NOSEとSA、夢の2マン・ツアーが実現 CHARMY、NAOKIが語る、ツアーへの期待感と実現に至った本当の理由

インタビュー
音楽
2026.7.10
CHARMY、NAOKI

CHARMY、NAOKI

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長きに渡り日本のパンク・シーンを牽引するLAUGHIN' NOSEとSAの2マン・ツアーが決定した。タイトルは『DON'T DENY THE GLORY』。 “栄光を否定するな!” というフレーズは、過去に寄りかかることなく、現在進行形を貫いてきた2つのバンドをシニカルに体現している。そしてこのツアーに先駆けCHARMY(LAUGHIN' NOSE)、NAOKI(SA)の対談が実現した。人生の全てをLAUGHIN' NOSEに捧げたCHARMYは真理を探求した哲学者のようでもあり、度重なる怪我に悩まされながらも自らを貫くNAOKIは限界に挑むアスリートのようでもあった。今回の対談では、2人がステージに立ち続けるアティテュードや、知られざるLAUGHIN' NOSE結成前の貴重なエピソード、そして今回のツアーの期待値までたっぷりと語ってもらった。

●ひとつの夜を2つのバンドで最高の夜に!

ーーこの2マン・ツアーの企画はどこから始まったのでしょうか?

NAOKI:2年前からLAUGHIN' NOSEと一緒にツアーしたいという話はしていたんです。実は去年、俺が60歳になった2025年というのは、ラフィンでデビューしてから40年という節目。そのタイミングで出来たら良いなっていうのがあったのですが、それが今年になりました。

ーーCHARMYさんはSAとやれることに関して、どうですか?

CHARMY:楽しみです。

NAOKI:これは俺の勝手な解釈だけど、ファンにとって絶対観たい組み合わせだと思う。
それが実は2018年の7月の名古屋以来8年もやっていないと。さらに東京だったらもっとやっていない。20年近く前にSA、COBRA、ラフィンという組み合わせをSAが企画したことがありましたが……。それにこの前、ラフィンのライブを観に行って、それがすごく良いなと思うのもあって。ほっこり、ニコニコしながら観ていました。LAUGHIN' NOSEというのはそういう位置にいるバンド。PUNK以前にLAUGHIN' NOSEはLAUGHIN' NOSEだから。

ーーそうやってライブバンドとして40年以上やってきたわけですよね。

CHARMY:これを普通と思うなよ。結構しんどいんやぞ(笑)。でも、俺らのライブの場合、コール&レスポンスで、レスポンスが多いと良いライブになるからね。それでステージも客席もLAUGHIN' NOSEになっちゃうから。今回のツアーもそういう感じでSAの客を食ってやろうと思っています(笑)。

NAOKI:大人気ないこと言う(笑)。

CHARMY:嘘やで。冗談。SAのお客さんもラフィンのお客さんもどっちも楽しんでもらいたい。俺たち仲が良いからね。「俺はSAや」とか、「俺はラフィンや」とか、そんなことではなく、ひとつの夜を2つのバンドで最高の夜に!倍々効果でいきますから。

NAOKI:本当にそう。TAISEI(SA /ボーカル)も、ラフィンにはリスペクトしかないから、そういう夜にしたいと言っていたし。

●俺がラフィンにいたのは、たった5年間だけど、本当に熱い5年間だった……

ーーNAOKIさんは、ラフィンを離れてラフィンの良さが余計に分かったというのもありますか?

NAOKI:俺は89年にラフィンを辞めているけど、その後も数年周期でラフィンを観ています。それにSAに入ってからの25年は、対バンもあったしね。でも観ていると変な気持ちになるんですよ(笑)。遠くからステージを見ていると、「あそこに俺がおったんや」と。CHARMYがいてPONがいて、上手(かみて)には俺がおったんやな……と。そういう思いが今もあります。俺がラフィンにいたのは、たった5年間だけど、本当に熱い5年間だった……。

CHARMY:5年しかおらへんかったな。

NAOKI:19歳から24歳までだったから。

ーーラフィンがメジャーデビューした頃、お二人は一緒に住まれていたんですよね。

NAOKI:そう。右も左もわからない頃。85年の1月、CHARMYから電話がかかってきて、「いろいろなレーベルから話がきているから。お前、東京来るよな」と言われました。それでミニアルバムの『NEVER TRUST WOMAN』がリリースされる直前の7月から全国30箇所のツアーが始まるんです。初日が横浜。そのタイミングで部屋も借りずに東京に出てきた。そうしたらCHARMYが「ウチきたらええやん」って。バッグひとつにパンツ3、4枚、Tシャツ3、4枚でCHARMYの部屋に行ったよ。それで、そのままメジャーデビュー。忘れられないことは、その瞬間、瞬間にあります。

CHARMY:その時、お前、いくつやった?

NAOKI:19歳。まだ高校を卒業して半年。「東京来るよな」って言われて、もうラフィンの流れを止めるわけにいかないし、やるしかないと。俺の上京前に新宿アルタ前のソノシートばら撒き事件とか、いろいろやっていたんですよ。CHARMYは1年以上前に上京していたから。雑誌『PUNK ON WAVE』なんかも作っていましたね。

CHARMY:俺は東京でいろいろやっていたんやね……。

●ラフィンのライブには “GLORY” (栄光)が見えます

ーーそういう意味でも今回のツアータイトル “DON'T DENY THE GLORY”(栄光を否定するな)というのは、感慨深いです。

NAOKI:このタイトルをつけたPON(LAUGHIN' NOSE /ベース)の直感力かもしれないけど、ぴったりやね。ラフィンのライブには “GLORY” (栄光)が見えますよ。でっかい“GLORY”ではなくて、ここまで愛されているという“GLORY”を感じます。

ーー今回のツアーは仙台からのスタートですね。初日は、ほぼソールドアウトということです。

CHARMY:ラフィンはビンビンやで!

NAOKI:そうやね。ライブの本数がすごいから。

CHARMY:うちのSeiji(ギター)が無茶苦茶なブッキングしやがって(笑)。死ぬかと思ったぜ(笑)。

ーーラフィンもSAも全国で待っているファンがいますから。

NAOKI:実はもっと行かなくてはいけない街があるような気がします。どんなバンドも行かない街。そういう場所のファンって、ずっと待っているから。そういう街が山ほどあるっていうのを知ったから。

⚫︎関西のパンク・シーンにおいては、意外と俺が後輩かも

ーーNAOKIさんがSA入って25年。ラフィンは結成からだと……。

NAOKI:81年ぐらいから「LAUGHIN' NOSE」って名乗っているよね。その翌々年にはPONが入っている。俺、82年にCOBRAの前身だった “TAN” (タン)でPONがいたノイズバンド “NASHI” (ナシ)と対バンしています。

CHARMY:その頃からお前、バンドやっとったんや?

NAOKI:そう。TANのメンバーがそのままCOBRAになるからね。高校生の頃から動き出して、心斎橋でNASHIと一緒にやって。俺たちもノイズから始まって、83年にCOBRAはハードコアに。

CHARMY:なんか俺みたいな流れやな。

NAOKI:CHARMYもノイズやっていたもんね。(註:YOU名義のソノシート『OUT』を1980年にリリース)

CHARMY:ノイズって、ちゃんとやっている人はちゃんとしている。だけど俺たちみたいなのは「ギャー!!」って叫んだら何かできると思ったんですよ。それをステージでもずっとやっていたら非常階段(註:京都で結成されたノイズバンド)の美川君が、「そろそろ止めてもらえますか」って(笑)。

ーーそこからハードコア方面に行くわけですね。

CHARMY:それでディスチャージとかを知るようになって、シングルの「Never Again」を初めて買って聴いた時に、「めっちゃカッコいいやん!」と。実は45回転のシングルを間違えて33回転で聴いたのに(笑)。それで当時溜まりだった、阿倍野にあったライブハウス MANTOHIHI(マントヒヒ)に持って行ったら、そこのマスターが、「それ33ちゃうで。45回転」と(笑)。それで改めて聴くとドッタン、ドッタン、ドッタン、ドッタン、ドコドコドッ、かっこええ!ドッタン、ドッタン。うおー。ハードコアや!

ーーそこでスイッチが入ったのですね。

CHARMY:入ったね。入った。だって 33回転でも、めっちゃかっこよかったのが、実は45回転。マジ?ってなるよね。

NAOKI:俺、TANで初めてライブやった場所がMANTOHIHIや。

CHARMY:その時期にMANTOHIHIに出ていたというのは、関西のパンク・シーンにおいては、意外と俺が後輩かもしれんね。多分、NASHIとかTANの方が全然早いから。だって、俺、NASHIに入りたかったもん。「ここのドラム、上手いこといってないな」と思ったから、叩けないのにドラムスティックをいつもポケットに入れていて「ピュッピュッピュッ、いつでも叩けまっせ」みたいな顔をして。

●俺たちがここまで来たというのがPUNKでしょう

ーーすごい話ですね。今回ツアーで周る大阪は、お2人にとって特別な場所かと思います。

CHARMY:どこでも一緒です。僕らいろいろな場所でライブをしていますから。

NAOKI:でも先日大阪のアメ村に行って三角公園の前でタバコを吸っていて、「41年前ここでソノシートのばら撒きやっていたんだ」というのはすぐに思い出す。

ーー今回のツアーには、その辺りの目撃者もいそうですね。そういうファンも、最近好きになった人もラフィンのライブはすごく大切な居場所で、多幸感が溢れています。

CHARMY:それは嬉しいです。それを目指しているから。最近、“PUNKは愛だ” ということに気づきました。ああ、そういうことだったのかと思って。

NAOKI:25年ぐらい前のライブでCHARMYが「いい年取っていきましょう!」って言っていてね。客のメインが30代ぐらいだった時。でもあれから年を取ってさ、やんちゃだけだった20代、30代を過ごしたファンが50代になって、それが今も楽しめる空間になっているからね。

ーーSAも多幸感ですね。ライブを観るとテンションが高くなって、明日も頑張ろうと思います。

NAOKI:もちろん。そういうバンドかもしれないです。

ーー1980年代に革命を起こしたLAUGHIN' NOSEにいた2人。CHARMYさんは今もラフィンを継続して、NAOKIさんも25年間スタンスを変えずにSAで活躍中。

NAOKI:そこがでかいですよ。

ーー結局その姿勢がPUNKということですね。

NAOKI:だから説明不要。続けてきたこの形がPUNKということでいいんじゃないですか。俺たちがここまで来たというのがPUNKでしょう。そこに費やしてきた時間が半端ないので。この年になるまで続けてきた……。これ以上の説得力はどこにあるのかという。もう音楽だけ。バンドだけをずっと仕事として生きてきたわけで。もちろん苦しい時の方が多い。それでも辞めない。それが正解かどうかは、最後に墓場に行く時わかると思う。でもここまで来て、これが正解だったと言いたいし。

CHARMY:まぁそうやろうね。何も言わせないというね。だって、やり続けないと止まっちゃうから。NAOKIもそうだと思うけど、そこそこの年やねん。でもやるしかない。俺たちみたいな人間は、ずっと動いていないと止まってしまう。ただ、それはステージの上だけでいい。ステージに立てる。歌える。歌う。CHARMYでいる。それだけでいい。

ーーステージで人生が完結していいということですね。

NAOKI:じゃあ今から他に何ができる?って思うしね。ここまでやってきた歴史を考えてもね。

CHARMY:気仙沼で生まれ、PUNKに出会い、LAUGHIN' NOSEになり、今に至る。そして死ぬ。それでいい。

NAOKI:その通りだから。俺もそう思っているから。走り続けて死ぬ。俺も。

ーーお二人の言葉には理屈が入る余地がないですね。

CHARMY:そうやろ。 だから、みんなついて来いや!って言ってんねん。

NAOKI:ほんまや。すごいよね。CHARMYはもう達観しているから。

●俺ってLAUGHIN' NOSEじゃん、それ以外の何者でもない

ーーCHARMYさんがそういう気持ちになったのはいつ頃からですか?

CHARMY:気づいたらそうなっていたね。こないだ、『春のワチュロウ・パーティ!』っていうツアーをやっていたんですが、その時、長めのMCをして。そこで話したことで見えてくるものもあるんだよね。それを要約したのが今の言葉。止まったら動けなくなる。

NAOKI:そうやってラフィンも次のスケジュールが決まる。SAも先のスケジュールをどんどん決めていっている。こういう言い方は語弊があるかもしれないけど、俺たちぐらいの年齢で再結成というバンド、山ほどいますよ。20代で栄華を過ごして、その後燻る。バブルが弾けて、いろんなことが弾けて、タレントみたいなことをやって、結局60歳でやり直すバンドってたくさんいる。そことは違って俺らは止まっていないんです。

CHARMY:俺たち、ベルトコンベアの上の荷物みたいなもんやな。

NAOKI:ずっと回っている。次の街、次の街、次の街……とツアーして。

ーーそうやって続けていく中でご自身の到達点を考えたことがありますか?

CHARMY:もう到達しているから。だってもうLAUGHIN' NOSEになっちゃったから。そこで到達している。俺ってLAUGHIN' NOSEじゃん、それ以外の何者でもない。だからある意味、もう到達しちゃった。

NAOKI:そうだと思う。野心ってなんだろう?って思うしね。

CHARMY:野心って、昔はあったかもね。20代の頃とかはさ。デビューした時は永ちゃんみたいになりたいと思ったしね。そういう強い意識があった。

NAOKI:そうでないと、この戦場で戦えないからね。音楽業界という戦場で。

ーーファンは、今のままのラフィンとSAがやり続けてくれるのが一番だと思っています。

CHARMY:それを当たり前だと思って欲しくないよ。だから毎回ライブに来いと(笑)。それに今のメンバーがめっちゃ良いから。4人が4人ともアーティストとしてお互いをリスペクトできるバンドってそんなにないと思う。SeijiもToru(ドラム)も自分の歴史をちゃんと築いてきた2人。それで、俺とPONの生き様とか、アーティスト性を「この人たち、無茶苦茶だけどカッコいいよね」とちゃんとわかってくれるし、俺もわかってあげられる。

ーーSAも良い状態が続いているということですか?

NAOKI:良いですね!メンバー同士が完璧に向き合っているから。ドラムだけ入れ替わったけど、今のドラム(ANNY)になって5年だから。ANNYは自分からSAに入りたいと志願してきたんで。電話をかけてきて「お願いします!」っていうから「よしっ!」と。彼は熱意が凄い。だから俺らも負けじとね。そういうメンバーだからリスペクトできる。みんなが力を持っている。SAはそういうバンドです。

CHARMY:俺らみたいな長く続けているバンドは、お互いのリスペクトがないとダメなんだよね。普通は、バーンとデビューしてバーンと解散する。

NAOKI:だけど、今はそこの年齢じゃないからね。たくさんの痛みを知っているから。

CHARMY:そういう痛みがわかって、年を重ねて今がある。それでバンドという船を漕いでいく。それでもエンジンがパワーアップしているから大したもんだぜ。

ーーSeiji君、Toruさんもすごくファンに受け入れられていますね。

CHARMY:この前、なんとなくXを見ていたら、イラストに「GET THE GLORY」とあって、俺がライブのMCで「長生きしろ」って言っているから「CHARMYより絶対長生きする」って書いてあるの。そしてその下に「セイジさん好き」って(笑)。……こんな感じです。

NAOKI:それがいいんじゃない。俺たちも愛を持ってファンと接しているし。ちょっと乱暴な愛もあるけど。だから今回の2マンは楽しみです!お客さんの笑顔が一番の楽しみだから。すごく笑っているんだろうなと。それに61歳になってやれることが幸せだし、LAUGHIN' NOSEとやれることも幸せ。決まった時はめっちゃ喜んだから。ちょっとメシ食おうぜみたいな感覚で旅に出られたらいいなと思った。

●観にきてくれた人も「俺もあきらめないぞ」という気持ちになって欲しい

ーー最後にファンに伝えたいことはありますか?

CHARMY:俺から言いたいのは、NAOKIの弟のTAISHO(註:THE WANDERERS/DOG FIGHT)のこと。大脳皮質基底核変性症っていう難病で今頑張っているんだけど……。なぁ、お前から言って。

NAOKI:弟は、俺たち一緒にいた時代もあるし、復帰するという可能性は捨てていないけど、彼の無念の分をなんとかしたいというのがあってね。

CHARMY:ちなみに俺とNAOKI、すごく応援しているから。

NAOKI:CHARMYは、うちの弟のことをすごく気にかけてくれている。それに、俺らはまだやり続けたい。やりたくてもできない弟のこともあるし……。俺たちが花火をあげるのを彼は傍でスマホを覗いていると思う。そのためにもやってあげたい。

CHARMY:俺らのその気持ちを応援してほしいなと。

NAOKI:うちの弟、ずっと寝たきりで過ごしていて、ステージに立てないけど、歌いたい気持ちは人一倍持っている。いや人百倍持っている。だからこそ、俺たちのステージを観て彼はすごく喜んでくれると思う。観にきてくれた人も、「俺もあきらめないぞ」という気持ちになって欲しい。この60 代の俺たちもまだまだ頑張るから。そんな思いがあります。

CHARMY:TAISHOは戻ってくるよ。俺らがケツ持っているから。俺とNAOKIとでね。

ーーCHARMY、NAOKIの真っ直ぐな想いが溢れるステージを、ぜひその目で見届けて欲しい。日本のPUNKシーン最前線を今も現在進行形で走り続けるLAUGHIN' NOSE、SAが作り上げる最高の夜、『DON'T DENY THE GLORY』ツアーは9月6日、仙台 MACANAで開幕。


取材・文=本田隆
撮影=根本風太

 

ツアー情報

LAUGHIN' NOSE vs SA
2MAN TOUR
"DON'T DENY THE GLORY"
■9/6(日)
仙台 MACANA
OPEN 17:00 / START 17:30
■9/12(土)
大阪 ANIMA
OPEN 17:30 / START 18:00
■9/13(日)
名古屋 BOTTOM LINE
OPEN 17:00 / START 18:00
■9/20(日)
東京 LIQUIDROOM
OPEN 17:00 / START 18:00
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