“めっっっちゃ”楽しい!そのワケは? 原田慶太楼が語る、篠崎史紀×小田桐寛之×シエナ・ウインド・オーケストラとともに贈るオール・リムスキー=コルサコフの世界
国際的に目覚ましい活躍を続けるマエストロ、原田慶太楼とシエナ・ウインド・オーケストラのタッグで贈るコンサート、『めっっっちゃ楽しい!リムスキー=コルサコフ!!』。ソリストに篠崎史紀(ヴァイオリン)、小田桐寛之(トロンボーン)を迎えて作り出す、色鮮やかなリムスキー=コルサコフの世界は、ここでしか聴けない唯一無二の体験となりそうだ。2026年9月6日(日)、サントリーホールでの公演を前に、指揮者・原田慶太楼に話を聞いた。
“めっっっちゃ”楽しい! オール・リムスキー=コルサコフ
――『めっっっちゃ楽しい!リムスキー=コルサコフ!!』、“めっっっちゃ”と、「っ」が3つ入っていますが、ズバリ、どのようなところが楽しいのでしょうか?
ベートーヴェンやマーラーをフィーチャーするコンサートはよくありますが、オール・リムスキー=コルサコフって、滅多にないですよね。でも、リムスキー=コルサコフって有名な曲が多いし、みんな結構好きなんですよ。中でも今回演奏する「トロンボーン協奏曲」は、海軍のバンドリーダーだったリムスキー=コルサコフが、メンバーのために書いた曲なので、もともと吹奏楽のための曲なんです。そのオリジナル版をプロの吹奏楽団の演奏会で聴けることってなかなかないし、ソリストの小田桐寛之さんは素晴らしいトロンボーン奏者なので、きっと盛り上がると思います。
一方、「シェヘラザード」はオーケストラの曲なので、吹奏楽版となると、お客さんが一番気になるのは、ヴァイオリンのことですよね。「あの4つのソロをどうするんだ?」って。「シェヘラザード」でヴァイオリンのソロが聴けないのは、やっぱり物足りないだろうから、私の変化球でヴァイオリンを入れる予定です。せっかくヴァイオリンを入れるなら、巨匠である篠崎史紀(マロ)さんに入ってもらって、吹奏楽と一緒に「シェヘラザード」を演奏しよう、と。そしてお客さんには「じゃあ、ソロを弾いていない時はどうするの?」という疑問を残したままサントリーホールに来てもらいたい。実は、マロさんと一度この組み合わせに挑戦したことがあって、すごく面白かったんですが、東京でご披露するのは初です。色っぽくて、物語性がすごく感じられる、彼独特の「シェヘラザード」のソロを吹奏楽と一緒に聴ける。他では絶対聴けない。だから“めっっっちゃ”楽しみなんです。
リムスキー=コルサコフの魅力
――リムスキー=コルサコフは、ひとことで「色彩豊か」とで表現されることが多いですが、紐解いていくと、どのように「色彩豊か」な音が生まれているのでしょうか?
やっぱり、時代ですよね。リムスキー=コルサコフが生きていた時代、彼とムソルグスキー、ボロディン、キュイ、バラキレフの5人が「ロシア5人組」と言われるチームだったわけで、切磋琢磨がすごかったと思うのね。当時のクラシック音楽は、バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマンなどのサウンドが王道だった中、ロシアの音楽をどのように発展させていくかを考えながら、ロシアンサウンドを固めていった5人だったわけです。ストラヴィンスキーやショスタコーヴィチ、プロコフィエフなど、その後に出てきた作曲家も皆、もとのオリジナルサウンドはリムスキー=コルサコフにあるわけですよ。ロシアンサウンドをプッシュするために、ドイツやウィーンといった、いわゆるメインランド・ヨーロッパでやっていなかったことをやって、彼らの独特なサウンドを作り上げていた。だからこそ、面白いんだと思いますね。
――「やっていなかったこと」とは、例えばどんなことなのでしょうか?
オーケストレーションかもしれないですね。すごく大きな編成や、ハーモニーの使い方かな。それから、民謡などのメロディーを使うことはドヴォルザークやブラームスなどもやっていたけれど、それ以前にリムスキー=コルサコフやボロディンの方がやっていたと思うんですよね。モーツァルトやベートーヴェン、メンデルスゾーン、シューマンなどは、自分が新しく作ったメロディーにこだわっていて、みんなが知っているメロディーを入れることはほとんどしていなかったけれど、ロシアの5人は、あえて皆がすでに知っているメロディーをオーケストレーションして、堂々と出している。それがやっぱり、聴いている人たちのハートを掴んだんじゃないかな。
――音楽を聴くだけで情景が分かるというか、「シェヘラザード」は「千夜一夜物語」の場面がよくわかりますし、「熊蜂の飛行」も、その様子が目の前に見えるようです。
そうですよね。理由の一つとしては、この時代のロシアの作曲家の多くはバレエの曲を書いていることがあると思う。チャイコフスキーもその一人ですよね。オペラなら歌詞があって、言葉で物語を伝えられるけれど、いざ言葉なしで音楽を聴くだけでロミオとジュリエットが浮かんでくるか、熊蜂が浮かんでくるか、シェヘラザードが浮かんでくるか、ってなると、相当想像力を持っていないと書けない。だからバレエ音楽の影響が強くて、そこがルーツであるような気もしますね。音楽だけで物語を語れるか、語れないか。
知っている曲も、吹奏楽サウンドで一味違う味に
――原田さんご自身が初めてリムスキー=コルサコフに指揮された時のことは、覚えていらっしゃいますか?
覚えてますよ。19歳か20歳だったと思いますが、モスクワ交響楽団で指揮者として初めて「シェヘラザード」を振った時の、音の壁というか、音の圧に圧倒されました。すごいハーモニーで押し倒される感じで、「なんなんだ、これ」って。フルオーケストラ、フルウィンドアンサンブルが、ワアーッと美しいサウンドを出してくるわけだから、それはやっぱり音楽作っていて気持ちいいし、楽しいですよ。“めっっっちゃ”楽しいです。
――作品と吹奏楽との相性については、どのようにお感じになりますか?
オーケストラは木管楽器と金管楽器、打楽器があって、あとは弦楽器ですよね。吹奏楽には、この弦のサウンドがないからこそ、吹奏楽ならではのサウンドがたくさんあります。クラリネットも種類が多いし、ユーフォニアムもあるし、打楽器ももっと多い。そしてコントラバスのユニークな音が残っているのも面白いし、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンのサックスも入ってるくる。音色のパレットがすごい増えるわけですよね。トロンボーン協奏曲はもともと吹奏楽だから相性の良さは言うまでもないですが、「シェヘラザード」も、みんなが知っている曲だけど、違う味になる。「同じカレーだけど、うちのカレーには違うスパイスが入っている」ような感じかな。
――プログラムの他の曲の聴きどころについては?
『歌劇ムラダ』は、ロシア5人組が企画したオペラの巨大プロジェクトが大失敗して、その後リムスキー=コルサコフがその物語で勝手に作ってしまったオペラなんです。でもそのオペラ自体もかなりのビッグスケールだったから、とても上演できず、その中で生き残ったのが、「貴族たちの行進」。ブラスのサウンド、カラーが魅力的な曲です。
「スペイン奇想曲」もリムスキー=コルサコフの代表作の一つで、「シェヘラザード」と同じく、吹奏楽版はあまり聴けないし、すごく楽しい。だからオーケストラのファンも聴いてくれたらいいなと思っています。吹奏楽だからとか、オーケストラだからとか関係なく、リムスキー=コルサコフのコンサートとして聴いて楽しんでもらいたいですね。
「熊蜂の飛行」は、マロさん、小田桐さん、そしてシエナによる、この日限りのスペシャルアレンジです。
ここでしか聴けない、サプライズたっぷりで企画中!
――シエナ・ウインド・オーケストラ(以下、シエナ)ならではの良さとは、どのようなところでしょうか?
私が初めて振ったプロの吹奏楽団がシエナで、それから定期演奏会やレコーディングなどのスペシャルプロジェクトをいくつもやらせてもらいました。だから初めて呼んでもらった縁と恩はあるし、私、シエナのサウンドって好きなんですよね。
日本は吹奏楽王国であるからこそ、そのスーパースペシャリストたちが集って、プロフェッショナルな環境で音楽できるのは、世界でも他にないことだと思います。なにより、シエナの魅力って、プレイヤーたちがとっても優しくて、あったかいこと。だからシエナに来ると、私はいつもファミリーみたいな感覚になるんです。アットホームな感じで、だけどちゃんとシリアスに音楽を作れる。そこはすごいプロフェッショナルだし、ユニークなサウンドはありますよね。シエナと佐渡さんのサウンドって絶対にあるし、シエナといろんな客演指揮者のサウンドもあると思うけれど、私が振っていても、「あ、これ、慶太楼とシエナの独特なカラーを作り上げてるな」と感じます。オーケストラが私のいろんなリクエストにすごくフレキシブルに対応してくれるから、やっていてすごく楽しいし、楽ですね。
そして、これはシエナ独特だと思うんだけど、ファンベースの「圧」がすごい(笑)。これはコンサートに来て初めてわかることだと思いますが、ファンの「シエナLove」がすごいんですよね。本当に「永遠にシエナのファン」っていう人たちが多くて、いい意味でアイドル化していて、私は好きだな。お客さんがいい雰囲気です、いつも。シエナのコンサートは会場の拍手とオーラがちがう。そういう独特なファンベースって、ソリストではよくあるんですよ。ステージを見なくても、お客さんを見れば誰のコンサートかわかるとか、あるでしょう? それが、シエナだと感じられます。いい意味でね。それをもっているオーケストラとか吹奏楽団て、やっぱりユニークだと思うし、シエナならではじゃないかなと思います。
――トロンボーン協奏曲のソリスト、小田桐さんの魅力とは?
面白い人なんですよ(笑)。いつもニコニコしていて、すっごくハッピーなキャラで。そして、オーケストラで長年トッププレイヤーだったからこそ、音の使い方と、トロンボーンのカラーの魅力を出す能力はやっぱり素晴らしい。リムスキー=コルサコフのプログラムをやるなら、「トロンボーン協奏曲」はマストだったから、楽しみだし、彼がソリストとして共演するのは初めてなので嬉しいですね。
――そして、マロさんの魅力は、どのようなところだと思いますか?
彼は本当に音楽を愛している人間で、ヴァイオリンを通して、音楽を通して、音楽に親しみのない人たちにも、「音楽は素敵なんだよ、素晴らしいんだよ」ということを、いつも発信している人だと思います。まさにミスター・ミュージックマンじゃないかなと思いますね。
――薫るような気品と、あの気さくさが同居しているのが信じられないというか、どうしたらそうなれるのか、不思議です。
確かにそうですよね。コンサートをするだけではなく、若手を育てる活動などにも熱心取り組んでいて、日本のコミュニティを音楽で良くしたいっていうパッションをすごく感じるし、それがやっぱり音にも出ていますよね。人間性が音に出ている。本当に美しいサウンドを持っていて、それなのに話し始めるとふざけていて、そのギャップも魅力的。「シェヘラザード」のキャラクターを再現する可能性と魅力と技術を持っている人だと思います。そして彼の一番面白いところは演出大好きなところ。ただ演奏することは絶対しないので、色々と企んでますよ。
――それは、気になります!
気になるのであれば、ぜひ来ていただきたいですね。
――それでは、公演にいらしてくださる方にメッセージをお願いします。
“めっっっちゃ”楽しい、ここでしか聴けないサプライズたっぷりのコンサートなので、リムスキー=コルサコフの世界をたっぷりと浴びに来てください。
取材・文=正鬼奈保 撮影=福岡諒祠
取材協力=文京シビックホール(公益財団法人 文京アカデミー)
公演情報
会場:サントリーホール
■出演
指揮:原田慶太楼
吹奏楽:シエナ・ウインド・オーケストラ
ソリスト:
・篠崎史紀(ヴァイオリン)
・小田桐寛之(トロンボーン)
■ 予定曲目
・歌劇「ムラダ」より 貴族たちの行進
・スペイン奇想曲
・トロンボーン協奏曲(トロンボーン:小田桐寛之)
・交響組曲「シェヘラザード」(ヴァイオリン:篠崎史紀)
スペシャル共演
・「熊蜂の飛行」(ヴァイオリン:篠崎史紀、トロンボーン:小田桐寛之)
※曲目は変更になる可能性がございます。
■
S席:8,800円
A席:7,700円
B席:6,600円
P席:5,500円 (全席指定・税込/未就学児入場不可)
■
*全て税込・全席指定となります。
*未就学児はご入場いただけません。
※車いす席をご希望の方はS席をご購入後、サンライズプロモーション(0570-00-3337、平日12:00~15:00)へご連絡ください。
公式サイト:https://www.koacreative.co.jp/sienawind-rimskykorsakov
主催 : KOA CREATIVE/サンライズプロモーション
企画・制作 :KOA CREATIVE/ジャパン・シンフォニック・ウィンズ